川崎市立病院を基幹とする整形外科専攻医プログラムでは公立3病院(都市部および地方)での研修を主軸に据えています。公的医療機関の特徴は、地域において必要な医療のうち、通常診療のみならず、民間医療機関では困難な医療も提供することにあります。このような背景から当プログラムでは公的医療機関ならではの幅広い領域、診療レベルの経験を数多く積むことが可能であるだけではなく、必然的に自らの研修活動そのものが地域医療に貢献(地域公益)できる特性を有しています。
研修期間は3年9か月を基本とし、整形外科専門医取得を目指します。この研修期間中、リサーチマインドを滋養することにも力を注ぎ、臨床研究の遂行や学会・研究会における成果発表、論文作成も行います。また、整形外科専門医取得後に脊椎・脊髄外科、手外科、関節外科、骨・軟部腫瘍、リウマチ、スポーツなどのサブスペシャルティ領域の研修を希望される場合や学位取得のため連携大学院(慶應義塾大学)への入学を希望される場合は、これらの道も開かれています。そして、日本脊椎脊髄病学会指導医や日本手外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医などのサブスペシャルティ領域の専門医取得を目指すことも可能です。
整形外科の1つの大きな柱は救急外傷です。特に基幹施設の川崎市立川崎病院はヘリポートを有する3次救急病院であり、あらゆる種類の救急外傷を経験することが可能です。もう1つの大きな柱は変性疾患でしょう。加齢から生じる退行性変化はあらゆる運動器におよびます。これらの機能障害を改善し、健康寿命増進に寄与することは整形外科医の大きな使命の1つで、同時に高い専門性が求められています。
本研修プログラムでは十分な経験を持つ充実した各分野の指導医陣が個々のサブスペシャリティを基盤に、各種外傷・変性疾患の診断評価、保存および手術療法、そして社会・家庭復帰までのプロセスを専攻医の皆様とともに考え指導いたします。そして研修期間を通じて、「病気」でなく「病人」を診る心の大切さも伝えていきたいと考えております。
本研修プログラムを選択された皆さんが、運動器疾患に苦しんでいる患者さんに対して、良質かつ安全・安心で人間性のある医療を提供し、あらゆる地域で貢献できる整形外科専門医となることを確信しています。