キヅキに生える木々は七里岩や船山の植生に近づけます。ケヤキ、コナラ、オニグルミを中心として、エゴ、カマツカ、リョウブ、アオダモなど落葉広葉樹が近隣の植生の多くを占めています。
人里に近い森の植生は、人々の暮らしぶりを反映しています。薪を拾い、堆肥のための落ち葉を掻き、木の実を収穫する。かつての原子的な暮らしを身近に感じながら、人間の「生きる力」を育む…そんな園庭にしていきたいです。
キヅキの立地は釜無川と塩川の間の平地ですが、八ヶ岳の噴出物である七里岩との繋がりがありそうな場所でもあります。実際近くの船山は少し離れていても七里岩と同じ構造を持っています。
八ヶ岳から地中ではつながる大きな岩盤の一部がここで表出し、小さな岩礁は浮島のような森となり、そこにこどもたちが暮らしている、そういうイメージです。
森の中では光や水を求めて激しい競争が繰り広げられています。ただ一方で、強い光や乾燥に強い大木が木陰を作りながら小さい木々に栄養を与えたり、小さな菌たちが大木の養分の吸収を助けたりもする。虫が花粉を運び受粉を助け、鳥が種を持って来て植物を移動させる。多くの動植物それぞれが小さな役割を果たしながら、安定した森の営みを維持しています。単独で生きている生物はなく、誰の役に立っていない生物もいない。それを理屈ではなく体験として感じてほしい。
最初は自生種の植物を植栽しますが、風や鳥に運ばれてくる植物たちも徐々に加わっていくつかの小さな生態系を形成していきます。時間が経過しながら、半分は自然の介入によって、
そして、もう半分は人の手を加え続けることによって、この保育園を取り囲む植生が大きなひとつの営みとして安定したとき、「杜」と呼べる場所になっていくと思います。