倫敦精霊探偵団
登場人物
主な登場人物
きっこ:孤児であったが、名探偵エヴァレットに見出されて少年探偵(見習い)となる。元気いっぱいの少年だが、子供なので手加減することを知らない。パチンコと花火を手放さない
アリエス:勝ち気で陽気で負けず嫌い、かわいいけれど自分のミスを認めない、何でも主人公のせいにしちゃう、ちょっとにくい女の子
相棒:主人公を「あにき」と慕う孤児。6歳前後。天真爛漫な性格で、時にはトラブルに巻き込まれる。身体は丈夫で、高いところから落ちても平気。
重要人物
エヴァレット探偵:英国の誇る天才私立探偵。自分に不可能なことはないと知っている、ミスターパーフェクト。自信満々で女の子にモテモテの、とにかくカッコイイひと
怪人スペクター:古風な価値感に生きる、古い怪人。失われつつある古い時代の美学に身を捧げている。4年前に引退済
要注意人物
楊宗元:闇の武器商人。その名は代々継がれているらしく、中国の裏社会を数百年生き続けている。
お話の内容とあらすじ
Prologue・少年探偵の誕生
発展し続ける街倫敦の、少なくはないストリートチルドレンの一人であったきっこはある日、かっぱらいよりパンを寄越せと迫られる。
手にした自慢のパチンコでかっぱらいを見事撃退してのけると、横で見ていたらしい紳士がきっこに、弟子にならないかと声をかけてきた。彼はかの有名な倫敦の誇る名探偵、エヴァレットその人であるらしい。
エヴァレット探偵に弟子入りをしたきっこは、エヴァレットのパトロンで小説家の大家より同じアパートメントの一室を借り、倫敦の街を奔走する。
1章・怪人からの挑戦状
四年前に引退しているはずの怪人スペクターから、お隣の鉱物学者に宝石の原石を頂くとの予告状が。
しかしその後、きっこは怪人スペクター本人より、これは自分の仕事ではないので濡れ衣を晴らしてくれるようにとの依頼を受ける。
調査の結果、これは隣人の娘・アリエスが意中のエヴァレット探偵に会いたいがために仕組んだものであったことが判明。この事件を機に、アリエスはきっこと同様エヴァレット探偵のもとに弟子入りを果たす。
探偵エヴァレットはどうやら怪人スペクターと旧知の仲で、現在も交流のあるようだ。
2章・倫敦の笛吹き男
近頃、小さい子どもたちが居なくなるという事件が頻発している。笛の音に誘われているようだ。
調査の結果、故障した蒸気機関から発せられるモスキート音が子どもたちを酔わせ、引き寄せていたことが判明した
3章・怪人の復活
倫敦の街で、演劇ロミオとジュリエットが上演されるらしい。そしてその舞台では、国宝級の宝石が小道具として使用されるらしい。
きっこたちが劇場の前を通ると上演待ちの客で溢れていたが、その横壁から、怪人ヤング・ゴーストより件の宝石を頂戴しに参上する旨の予告状が発見され、またきっこ宛に怪人スペクターより、6年前に引退した相棒・怪人ゴーストの孫娘を無謀を止めて欲しいと頼まれる。
怪人スペクターより手渡されたチケットで入場したきっこは、上演中に堂々と宝石と人気主演俳優のくちびるを盗みおおせた彼女を劇場の屋上にて追い詰め、無事に宝石を取り戻す。なお彼女の身柄は怪人スペクターにより回収されてしまい逮捕は叶わなかった。
4章・万博の呪い
万博の開催が近づき、徐々に展示品が倫敦の街に届きつつあるが、その保管倉庫で奇妙な事件が相次いて発生しており、万博委員会はこれを幽霊の仕業としているらしい。
エヴァレット探偵は、こういった事件に詳しいヴァージルという男が居ると、きっこに紹介状を書いて渡してくれる。
ヴァージルと共に保管倉庫の中に入ると、そこには突然異国の地に運ばれ混乱し、暴れ回る石像があった。きっこたちが物理で殴って無理やり落ち着かせると、石像が当然ひび割れしてしまう。
きっこはこれを運んできた船の船長に、その石像のかけらを祖国に連れて帰ってあげて欲しいと頼み、幽霊騒動は落着をみた。
5章・ラットキングと6匹のネズミ
近頃倫敦の街、特に商店街にねずみが溢れ、大きな騒ぎとなっている。原因究明のためきっこが街を奔走していると、ねずみと相棒が地下下水道の方へ走っていくのが見えた。
追いかけてみると、先にはラットキングを名乗る怪人がおり、ねずみ(と相棒)を使役し、食料などを盗ませていたらしい。
呆れたラットキングだが、最近そのねぐらを誰かが占領し荒らしているので、それを除いてくれればもう悪さはしないという。きっこがねぐらに入ってみると、そこには自立する機械兵が。
何とか撃退し、エヴァレット探偵と警察に報告するきっこ達。どうやらその機械兵は闇の武器商人・楊宗元のものであるらしいとのことで、万博の迫る倫敦に不穏の影をみる事件であった。
6章・ネコのお祭り
最近風邪が流行っている。アリエルは体が強くないらしく、この流行病に伏せっているらしい。
街を歩いていると、植物たちに声をかけられ、ヴァージルを助けてくれるよう頼まれる。部屋を訪れると、彼もまた体調を崩しているようだった。
言われるがままにおつかいをこなしたきっこたちは、その夜、ヴァージルと共に廃屋を訪れる。そこには、再会を懐かしむ大勢の幽霊達の姿があった。
7章・地下鉄の幽霊事件
近頃、開通前の地下鉄の霊園前駅にて幽霊の目撃が相次いでいるらしい。夜になると白い巨人の幽霊が現れ、シューシューという音を出しながら霊園の中へ入っていくのだという。
夜、きっこたちが霊園を訪れると確かに複数の白い巨人と怪しげな男女が霊園に入っていくのが見えた。
跡をつけると、死体安置所前で闇の武器商人・楊宗元の一味(マシナリータことフランシス、グスタフズイッヒェル、ジョー、ジョニー)が怪しげな会話を繰り広げていた。
盗み見るきっこたちはジョー&ジョニーに見つかり、機械兵をけしかけられその隙に逃してしまう。
なんとか撃退したきっこたちがエヴァレット探偵と警察に報告をすると、どうやらその死体安置所の地下はテムズ川の地下水路と繋がっており、そこからかの機械兵たちを船で運び出した形跡があるという。万博開催を目の前に、不穏の影がたちこめる。
8章・蒸気の中でうごめくもの
エヴァレット探偵は倫敦万博の警備主任に選ばれたようでほくほく顔だが、最近蒸気機関の調子が悪いらしい。
その影響から、地下鉄も止まってしまっているらしい。車両の中には人も取り残されており、駅員は原因究明に追われその扉を開けることもしばらく叶わないという。
きっこは請われ地下に降り、車両の扉を解錠するが、その帰りに大量のナメクジと遭遇する。
どうも全ての原因が蒸気管にあるらしいが、そこへは子供の小柄な体しか通れないというので修理に赴くきっこ。蒸気管奥には巨大なナメクジが巣食っており、それが蒸気機関の動作に悪影響を与えていたのだろうとのことだった。
9章・屋根上の怪人
来る万博博覧会に展示される予定の機械メイドが、歯車の異常で暴走し行方不明になっているらしい。時を同じくして、怪力でジャンプ力よく跳ね回り竜巻のように走る女の子の目撃情報が相次いでいる。
機械メイド回収の依頼を受けたエヴァレット探偵は、ヨークシャーに用があるといいきっこに丸投げして出かけてしまったので、最近物音が激しいという屋根の上を捜索することとする。
広い屋根上を歩き回っていると、きっこ達は闇の武器商人・楊宗元の手下、ズイッヒェルとジョー&ジョニーが、機械兵の完成のために機械メイドを狙うという会話を立ち聞く。
けしかけられた機械兵の犬を撃退し奥に進むと、そこにはうずくまった機械メイドとヴァージルがいた。きっこが機械メイドの歯車を交換すると、どこかへ静かに歩き去る。
ヴァージルによると、彼女は寂しくて泣いていたのだという。そしてその中に、機械ではない何かが生まれようとしているのだと。