Research

 光共振器の中では、分子が光の吸収と放出を可逆的に繰り返す強結合と呼ばれる現象が起こり、分子と光の量子的な重ね合わせ状態(ポラリトン)がつくられます。特に、分子振動の強結合は、振動強結合(VSC: vibrational strong coupling)とよばれます。近年、振動強結合によって、分子の性質が変化することが分かってきました。特筆すべき点は、外から光を入れなくても、光共振器の中の電磁場のゆらぎによって振動強結合の状態になることです。つまり、光源を使わなくても光共振器の中に分子を入れるだけで、分子の性質が変わります。この量子光学的な現象を使って、自己集合、化学反応、物性操作する技術を開発しています。  

総説論文

"Molecular Chemistry in Cavity Strong Coupling" Chem. Rev. 2023, 123, 8099


著書

"Polariton Chemistry: Molecules in Optical Cavities" Chapter 12, Wiley Books


オンライン講演動画

第46回ケムステVシンポ強結合を利用した分子集合の科学(20249月10日)

JST新技術説明会「自動制御システムを導入した光共振器による選択的化学反応(2023年1020日)

第4回Qコロキウム「量子ゆらぎを利用した有機反応と自己集合」(2020年7月30日)


紹介・研究解説

Chem-Station 化学者データベース(2024年8月27日)

みらいぶプラス「光を使わない光の化学」(2020年6月22日)

academist Journal「ミラーを動かすだけで化学反応を制御」(2020年2月19日)

ネットジャーナル「自己集合を光でコントロールする手法の研究を通じ光計測や生体応用の分野にも貢献」(2018年11月19日)