私たちの身の回りにある優れた医薬品や農薬には、複雑で精密な立体構造を持つ分子が多く存在します。しかし、こうした分子を狙い通りの形(立体化学)で正確かつ大量に作り出す(分子構築する)ことは、従来の化学反応だけでは限界があり、極めて困難でした。
そこで本研究では、「量子計算」×「有機化学」×「生物合成(バイオ)」という3つの領域を極限まで融合させた、全く新しい分子構築テクノロジーの開発に挑んでいます。
1. 量子計算(デジタルシミュレーション)
スーパーコンピュータを活用し、原子や電子のミクロな振る舞いを計算することで、反応の仕組みや酵素との相性を高精度に予測します。
2. 有機合成(精密な分子設計)
目的の機能を果たす分子構造や、複雑な骨格を組み立てるための論理的な設計図を描き出します。
3. 生物合成(優れた酵素触媒の力)
自然界が誇る圧倒的に精密な生体触媒(酵素)の力を活用し、従来の化学合成では真似できない高度 な立体選択性を実現します。
これら3つの強みを掛け合わせることで、これまで「つくることができなかった」有用分子を自由自在にデザインし、高効率かつ合理的に生み出す新しいものづくり基盤を確立します。