6月11日

13:40-15:00 企画ワークショップ①

【第1室 Zoom1】

英語絵本と小学校英語 ―絵本で出来ること・その指導と評価―

【講師】田縁 眞弓 先生(京都光華女子大学)

【概要】

長年音声を中心に指導されてきた小学校外国語において、その読み書き指導をどのように行うかはまだまだ模索の域にある。特に音声から文字へと繋げる指導は、「フォニックスなどの指導は中学英語から」とする文部科学省の指針のもと、「読むこと」の目標は、「イ 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かるようにする。」とされ、その言語活動例として、音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を、絵本などの中から識別する活動(文部科学省、2017b、pp.157-158)が挙げられている。では、絵本などを使って、実際には何をどのように指導するのか

長年小学校の指導現場で、絵本指導を行ってきた立場から、小学生の発達段階や目的に合わせた絵本選書や、読み聞かせ(語り)のストラテジー、音から文字へつなぐための具体的な方法、および、絵本を通して培った読みの力をどう評価するかなどをワークショップ形式で皆さんと考えたい。

【講師略歴】

京都光華女子大学教授。私立小学校および小中高一貫英語教育実践ならびに教員養成大学での小学校外国語指導を経て2021年4月より現職。小学校英語教育学会京都支部(KEET)事務局長。元大阪市教育委員会英語統括アドバイザーをはじめ地方教育委員会の小学校外国語指導研修を多数務める。文部科学省検定済教科書著者(小学校)。共著に,『小学校英語だれでもできる英語の音と文字の指導』『小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ』(三省堂),「新編小学校英語教育法入門」(研究社)ほか


【第2室 Zoom2

論理・表現の授業でディベート実践 ー生徒の思考力と表現力育成のために教員ができることー

【講師】三仙 真也 先生(福井県立藤島高等学校)

【概要】

本ワークショップでは、地方公立高校における英語ディベートの授業例と実践の様子を紹介しながら、英語ディベートが持つ良い点と潜在的な問題点を指摘し、参加いただく皆様とともに、教室でどのようにすれば英語ディベートをより効果的に導入できるかについて考えたいと思います。

新学習指導要領で変わった「英語コミュニケーション」「論理・表現」とはどうあるべきか。ディベートをツールに両科目の有機的な連携を促せる、授業展開を考えていきます。我々教員は「論理・表現」の導入をチャンスと捉えられているでしょうか。それとも、旧態依然の授業のままで良いのでしょうか。ワークショップ形式でディベートを体験いただきながら、特に「持続可能な形で」、「評価方法を吟味し」、「生徒一人一人の表現力や論理的思考力を育むこと」に焦点を当てて、両科目でのこれからの実践を見据えた授業のあり方を提案します。

【講師略歴】

一般社団法人 全国高校英語ディベート連盟(HEnDA)広報委員会副委員長・普及委員会委員

20084月より福井県立若狭高校に勤務し、20164月より現職。福井県教育委員会により授業名人に任命(2019)

2009年より教科指導の傍ら英語ディベート指導に従事し、福井県内での大会運営に携わる。2015年に若狭高校を同校史上初の県大会優勝・全国大会出場に導く。2016年に現任校勤務後、指導者として現在まで藤島高校を準備型県大会6連覇、即興型同4連覇。同校最高順位は準備型全国大会準優勝(2018年、2021年)、即興型全国大会優勝(2018年)。

「英語によるコミュニケーション能力・論理的思考を強化する指導改善の取組」拠点校事業に関する文部科学省実践報告会において実践報告(2014年)。文部科学省「Let’s start English Debate! 高校生が英語で考え、伝え合い、高め合う!『授業で行う英語ディベート』YouTube動画シリーズ」に授業動画が掲載(2020年)。

その他学会での実践発表や英語教育(大修館)等に寄稿。


15:10-16:40 講演

学習者のためのアセスメント・リテラシー

【講師】渡部良典 先生(上智大学


【概要】

テストの第一の目的は学習者の能力の測定である。一方、試験制度を変えて特定の方向に学習を仕向けたり、テストを使って学習効果を高めたり、といった副次的な目的にテストを使うこともある。しかし、その効果は極めて限定的であることを、国内外で行われた実証研究の結果は示している。テスト作成者の狙いが直接学習効果や教育効果を生み出すわけではない。作成者の意図と受験者の受け止めた意図にはギャップがある。テストで学習効果をあげるためには、このギャップを埋めなければならない。そのためには、受け手の側-つまり受験者にもテストについての知識―アセスメント・リテラシー(assessment literacy)―が必要である。では、学習者のためのテストの基礎知識とはどのようなものなのか、それは何故必要なのか、参加者の皆様と理解を深める機会としたい。

【講師略歴】

https://yoshinori-josh-watanabe.com/

上智大学言語科学研究科教授。英国ランカスター大学博士課程修了。言語学博士。国際基督教大学、秋田大学等を経て現職。日本言語テスト学会会長。全国学力調査に関する専門家会議委員、全国学力・学習状況調査英語・座長大学入試のあり方に関する検討会議委員等を歴任。専門は外国語の教育評価、授業研究。Washback in Language Testing (共編著、2004年)、『言語テストの作成と評価』(編訳、2010年)他、言語テストに関する著訳書論文多数。近著に近著にSoft-CLIL and English Language Teaching(共著、2021, Routledge)がある。




6月12

10:00-11:20 企画ワークショップ

【第1室 Zoom1】

通じるという喜びと驚きともっと上手くという叫びー「実践的」とは比べものにならない「実体験」ー

【講師】若林茂則 先生(中央大学)

【概要】

本発表では「日本語を話さない人たちとのコミュニケーション&コラボレーションプロジェクト」(通称「にこP」)による、ICTを用いた国際コラボレーションによる実体験英語コミュニケーションプログラムを紹介する。にこPは、学習者自身が興味ある内容について同年代の海外の高校生・大学生(アジアの英語学習者)と、小グループでやり取りするプロジェクト型学習である。にこPを通して、生徒・学生たちが経験した興奮と成就感と学習意欲(「通じた」「楽しかった」「もっと勉強したい」)からは、先生から正しい形を学んで身につける英語学習や「やらされている会話練習」では見られない、生徒・学生のワクワクする姿が見えてくるはずである。また、にこPの背景となる言語知識やその習得の考え方、形成的評価とそこから見えてきた学習成果、および、実際のプログラム運営方法・体制も紹介したい。


【講師略歴】

若林茂則。中央大学文学部教授。中央大学教授・一般社団法人「ことばのまなび工房(WILL)」<https://kotoba-kobo.jp/>代表理事。早稲田大学卒業後、8年間の三重県公立高校教諭(英語)を経て英国に留学。Ph.D.(ケンブリッジ大学)。科学的研究専門領域は文法習得のモデル化。著書には『英語教育用語辞典』(大修館書店)などがある。2011〜14年に中央大学副学長としてグローバル人材育成推進事業(全学型)の実施責任者を務め、多くの国際共同プログラムを開発・実施した。2020年からWILLの代表理事を務め、これまでに実施された6つの「にこP」の運営にあたっている。現在WILL主催「英語の教室で何ができるか」ワークショップ(2021年4月から7月にかけて月1回計4回)の司会進行も行なっている。




【お知らせ】

講師の若林先生が主宰されている「ことばのまなび工房」において、今回のワークショップにも関連する連続ワークショップがオンラインで開催されます。初回は4月23日(土)で、それ以降も単回から参加可能です。詳しくは以下のサイトをご覧ください。


https://kotoba-kobo.jp/workshop


【第2室 Zoom2

10:00-11:20 幹事企画ワークショップ

若手!?による若手のための授業のお悩み共有スペース

【概要】

本WSは、普段の授業実践の中で「自信がないこと」や「どうすればいいのか分からない」場面(など)

について、登壇者とフロアの皆様とのキャッチボールを通して考えてみるセッションです。

新年度が始まり、新たに教壇に立たれた先生方や、新任の先生以外でも、新しい実践を始められた先生も多いかと存じます。

そんな皆様から、「こんな文法導入や活動をしているが、どうなんだろうか」や、「教科書の使い方でなんとなく悩んでいる」などの「お声」を下記フォームに事前にお寄せいただければと思います。

https://docs.google.com/forms/d/1Au4xfbZS-4XeReRYAUP9gKhcvszln6RJVIsAQqvU9TQ/edit

当日は集まったお声をもとに、登壇者たちを中心に、参加者の皆さんを巻き込みながら、日々無理のない授業実践を共に考えていければと思います。

なお、本WSは「授業の良し悪し」について指導するという性質のものではなく、さまざまなアイデアや方向性をフロアの皆様と共有するということが主旨であることをご了承ください。

あらゆる校種の若手の先生を中心に、もちろん、中堅・ベテランの先生のお越しもお待ちしております。

登壇者

コーディネイター: 泉 惠美子@関西学院大学 教育学部

進行: 南侑樹@神戸市立工業高等専門学校

山形悟史@関西大学第一高等学校・第一中学校

【簡単なプロフィール】

泉 惠美子(関西学院大学 教育学部・教育学研究科教授,学術博士)

 兵庫県立高等学校で英語教員として長年勤めたのち,兵庫県立教育研修所指導主事,京都教育大学教授等を経て現職。現在は幼稚園や小・中・高で教員を目指す学生の教員養成に努めると共に,多くの自治体の教員研修に携わっています。専門は英語教育学,応用言語学で,これまでに英語教育のカリキュラム開発や授業と評価,教師教育,コミュニケーション,小学校英語などに関する研究を進めており,関連図書や論文の他,小中高大の教科書も執筆しています。卒業・修了生の頑張りが嬉しくまた誇らしいです。

南侑樹(神戸市立工業高等専門学校 講師)

 京都市出身。京都教育大学大学院修了後,大阪府立高等学校で教諭として勤務したのち現職。教員歴は大学院時代の非常勤講師としての経験も通算すると,今年で10年目です。今年度は1年生の担任をしながら,陸上競技部の顧問として学生たちと一緒に走っています。研究では大学時代より英語語彙指導および語彙学習に興味を持っており,特に認知負荷に注目しています。また教員になってからは,省察的実践を基盤とした実践研究や英語教員の実践研究を支援する研究も行なっています。

山形 悟史(関西大学第一高等学校・第一中学校 教諭)

 大学では福祉を専攻し、大学院では英語教育に専門を変えて1から学び直しました。大学院2年目には研究の傍ら、高校と中学校で非常勤講師をさせて戴きました。大学院修了後は、公立中学校教諭として1年間の勤務を経て現任校へ移り、今年で勤務は7年目になります。指導・研究の主な関心は語彙学習についてで、特に多義的な動詞で構成された句動詞やコロケーションの指導効率を高めるための指導順序や、効果的な明示指導のタイミングに興味があります。


13:30-14:50 企画ワークショップ

【第1室 Zoom1

英語のクラスを探究/研究活動の発信基地に!: 「プロジェクト発信型英語プログラム」の実践から見えてきたこと

【講師】山中司先生(立命館大学)

【概要】

新学習指導要領の実施、OECD Education 2030の策定、英語の外部試験導入の可能性、人工知能による音声認識や自動翻訳技術の飛躍的向上、コロナ禍を通した急速な教育のDX化など、英語教育を取り巻く環境は日々激変しているように思います。そのような中でも、英語教育に関わる者は、学習者の確かな英語力を育てること、そしてそれは未来のどんな時代においても通用することを目指すという点で一致できるように思います。

目まぐるしく変わる時代を教育が後追いするのではなく、未来のあり方を先導する英語教育があるとするならば、それは一体どのようなものでしょうか。私たちはこれまで、受信ではなく、発信能力の涵養に特化した「プロジェクト発信型英語プログラム」を行い、様々な英語教育改革を試みてきました。その中で得た気づきや課題として感じていることを皆様と共有したいと思います。そしてご一緒に、これからの英語教育に何が期待され、どう変わっていくべきなのか、特に私たち英語教員の役割の変化について考えることができればと思います。

【講師略歴】

1979年、岐阜県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。立命館大学准教授を経て、現在立命館大学教授。一般社団法人大学英語教育学会(JACET)本部運営委員(研究促進委員会)。IEEE Professional Communication Society, Japan Chapter, Secretary of PCSJ。専門は言語コミュニケーション論、英語教育政策・教授法、言語哲学(プラグマティズム)。主な著書に『自分を肯定して生きる―プラグマティックな生き方入門―』(海竜社)、『プロジェクト発信型英語プログラム―自分軸を鍛える「教えない」教育―』(共著・北大路書房)、『SDGs表現論―プロジェクト・プラグマティズム・ジブンゴト―』(共著・海竜社)などがある。


【第2室 Zoom2】

大学で行われている国際交流の取り組み ~オンライン国際協働探究の20年~

【講師】吉田信介先生(関西大学)

【概要】

20年間実践してきた「アジア学生交流プログラム」では,大学生がペアで国際協働グループを結成し,オンライン・ディスカッションと対面交流によりPBL国際協働プレゼンテーションを行ってきた.その結果,EFLによる問題解決力・交渉力・対話力・チームワーク・多文化理解力が養成され,VUCA(不安定,不確実,複雑,曖昧)の世界で必要な,(1)自立・協働・創造性で21世紀を生き抜く力(国立政策研)の育成,(2)外国語学習による,寛容・平和・国際貢献・多面的思考力(新学習指導要領)の養成,(3)個別最適かつ協働的な学びの実現のため,ICTの活用と協働で行う探求的・体験活動(令和の日本型学校教育)が実践された.本ワークショップでは,着想と手続き,成果物としてのプレゼンテーション事例と考察,および協同学習理論・交渉学・パーフォーマンス学・意思決定論・グループダイナミックスの視点からの知見と令和の英語教育への示唆を行う

【講師略歴】

関西大学名誉教授,KELES顧問,関西大学外国語教育学会名誉会長.専門分野は,英語教育学,国際協力学,SDGs.研究課題は,PBL国際協働型英語アクティブ・ラーニングにおけるチームワーク力の評価指標の開発,国際協働による英語アクティブ・ラーニングの研究,国際社会で生きる力を育てる英語教育の研究-PCM手法を活用して-(以上科研費).JICA専門家としてPapua New Guineaで活動.共著書に,「国際交流イベントのデザイン」『ICT 教育のデザイン』(日本文教出版),「国際理解教育の変遷と研究動向・展望」『英語教育学の今』(JASELE),「SDGs と国際ボランティア」『アカデミアが挑む SDGs ―関西大学の多様な取り組み―』(関西大学出版部)がある.