本講演では、主にKadota(2019)のChapter 4(Shadowing for L2 speech production)にもとづき、まず、第二言語スピーキングに必要なプロセスについて、(1)発話における言い間違い、(2)スピーキングの認知プロセス:文産出モデル、(3)第二言語(英語)における流暢なスピーキングを支える3つの仕組みについて概観します。その上で、シャドーイング・トレーニングによる発話産出への効果の前提として、「伝導失語をベースにした音声復唱モデル」をもとに、このタスクが効果を発揮する段階として、(1)「音声コード化」「調音装置」への効果、(2) 「語彙文法コード化」「形態・音韻コード化」への効果という2つの観点から検討したいと思います。
【ご参考】Kadota, S. (2019). Shadowing as a Practice in Second Language Acquisition. London: Routledge.
このワークショップでは、国際英語(EIL/WE/ELF)の視点からの語彙・文法指導についてお話しいたします。英語は、よかれあしかれ、アジア、オセアニア、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパなど、世界各地に拡がり、「国際語」と呼ばれています。その普及に伴い、英語はさまざまな言語・文化と接触し、あらゆる面において多様性を示す言語になりました。1928年生まれの長い歴史を持ち、かつ現存する最大規模の英語辞書のオックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary: OED)は、World Englishesのスタンスを明確に打ち出し、インド、フィリピン、香港、ナイジェリアなど、世界各地の英単語を積極的に掲載しています。またWEやELFのコーパスも利用可能であり、英語の語彙、文法の多様性が研究されています。本ワークショップでは上記の言語リソースや研究成果を活用して、世界、とくにアジアの英語の多様性(variety/variation)を示すとともに、その知見をいかに中高の英語授業に活かすか、具体的にお示しします。
本ワークショップでは、教室内で自分の実践を対象に研究を行いたいと考えている方を主な対象として、実践を研究する方法について考えていきます。具体的には、(1)実践研究をどのように行えばよいのかについて、問いの探し方、データの集め方、分析の仕方についてお話します。また、(2)実践研究を行うコツとして、どのような点を意識して実践研究を行うとよいか、実践研究を行う上で考えられる問題点にどのように対処していくかについて、フロアの方々と一緒に考えたいと思います。また、(3)私の実践研究の進め方をたたき台にしながら、実践研究の様々な進め方について共有する場を作りたいと思います。
教師は日々、多様な業務に直面し、忙しい日々を送っています。そのため、授業準備や実践研究に十分な時間をとることが難しいことも多いと思います。そのような中、本ワークショップが、忙しい毎日の中でふと立ち止まり、自身の実践について振り返ったり、授業に前向きに向かい合ったりするきっかけとなれば幸いです。
当日のスライドはコチラで公開されています.
英語発音指導の目標が,ネイティブのようにではなく,明瞭性の高い発音であると主張されて久しいのですが,その目標に近づくような指導が行われているのでしょうか。また,もし英語発音指導がなされているとしても,英語のプロソディの側面にはどの程度光が当たっているのでしょうか。
これまでに,発表者は,あまり指導がなされていないプロソディを「3つの原則」というミニマムエッセンシャルズの形に落とし込んだ指導と学習を提案してきました。
この「3つの原則」を取り入れることで,教員自身が英語プロソディについて(これまで以上に)知ることができ,どのように教材・素材を分析するかを検討することができます。また,教材をどのように提示するかを考えることもできると思っています。
このワークショップでは,英語プロソディ指導のミニマムエッセンシャルズである3つの原則について概説するとともに,どのようにそれを用いて教材・素材を分析するかを紹介し,それぞれの現場でどう活かすことができるかを一緒に考えていきたいと思います。時間が許せば原則に対応する形で活動事例などを紹介し,それらについても検討してみたいと思います。
近年,学術分野における学生や若手支援の必要性が頻繁に取り上げられ,現在まで英語教育の関連学会も様々な取り組みをしてきた。本企画では,なぜ今学会が学生や若手を支援することが必要なのかを改めて認識し,これまでに学会が行ってきた学生や若手支援の様々な取り組みを紹介するとともに,今後どのような支援が必要なのかについて考えていく。そして,その内容に基づいて登壇者間で議論を行うとともに,フロアの参加者からの意見も募り,学生や若手にとって学会をより魅力的なものにするためには何が必要かについて検討したい。
新学習指導要領では高等学校に続いて、中学校でも授業を英語で行うことが基本とされるが、その目的は生徒の英語を引き出すことであろう。本ワークショップでは、香港で利用されている「英語教師言語能力評価」(LPATE)の授業観察尺度(CLA)を参照して、中田科研において開発された一連の「教室内教師・生徒英語力評価尺度」を紹介する。とりわけ、教室内で教師に求められる言語機能(誘出、促進、明確化、修正、意見、評価)を段階的に記述したCan-Do尺度を、具体的な授業映像をもとに読み解いていき、生徒の言語使用につながる教師英語力について議論する。現実の教室場面では、教師は生徒の発話状況に応じて、柔軟に言語調整を行っており、「教室内生徒英語尺度」を合わせて用いることで、教師英語が生徒英語の質を高める上で効果的であるのかの気づきを得ることができる。目の前の授業改善のみならず、専門家としての教師の成長につながる尺度の活用について考えたい。
2020年に完全施行される新学習指導要領において、「聞く」ならびに「読む」領域のみならず、「話す」「書く」領域にも発展させて、英語絵本を活用できる実際例をワークショップ形式で体験していただきたい。なぜ英語絵本の読み聞かせなのか。どのような絵本を選ぶべきか。どのような点に気をつけて絵本を読み聞かせたらよいか。CLILに発展できる絵本にはどのようなものがあり、どう発展させていくのか。さらには、We CanとLet’s Try!を学習する際にadditional booksとして取り入れられる絵本も紹介したい。