Horikawa lab@Paleoceanography and geochemistry
Keiji Horikawa, Ph.D. Professor, University of Toyama
Our laboratory
私たちの研究室では,過去に起こった環境変化とその影響を堆積物試料や生物試料の化学的な分析から詳細に復元しています。過去の環境変化とその影響に関する知見を蓄積し,理解することで,将来の地球環境の理解や気候予測に貢献したいと考えています。具体的な研究としては,海洋堆積物,海水,河川水などを研究対象とし,野外での試料採取と室内での化学分析を行っています。
Our laboratory mainly focusses on reconstruction of past climate changes and understanding of climate systems by analyzing trace metals and their isotopes of marine sediments, foraminifera, seawater, and river water. Obtaining the advanced knowledge on the past climate changes will contribute to better understanding of near future climate states and climate prediction.
北大低温研で行われた「過去 2000 年間の北極海古環境に関する研究集会」(Holocene Arctic Palaeoclimate and Palaeocean Investigation; HAPPI)に参加し,卒論生が研究の進捗状況を報告しました。(2023/11/2-5)
西部北極海のバローキャニオンで採取された堆積物コアについて,砕屑物のネオジム同位体比を分析したところ,中世温暖期や小氷期,人新世に明瞭な同位体比のシフトが見られ,気候状態に応じて西部北極海で大規模な海流系の変化があったことが分かりつつあります。
Exp379 ポストクルーズミーティングドイツ・ハイデルベグル大学で行ってきました。(2023/5/2-4)
海氷の張り出しによって,当初予定したサイトでの掘削ができなかった航海ですが,南極アムンゼン沖で採取できた2つのコアは5Maまでの連続的な氷期ー間氷期記録を含んでおり,どの境界条件の氷期ー間氷期でどの程度西南極氷床が融解したかを解析できる南極域で唯一のコア試料であることがわかってきました。この航海の成果は,夏以降論文として公表されていくと思います。
研究成果
修士課程2年生の藤本美柚さんが,2022年11月4日・5日に開催された第8回地球環境史学会年会において,学生発表賞を受賞しました。
発表題目:大陸基盤岩および砕屑物の同位体データを用いた西南極氷床融解域の推定
GEOTRACES航海@白鳳丸KH-22-7
北太平洋155E測線で白鳳丸航海を実施しました。
今航海で,マリアナリッジ,オントンジャワ海台,シャツキーリッジでピストンコアを採取し,オントンジャワ海台とシャツキーリッジでは回収率100%のコアが得られ,マリアナリッジでは北太平洋亜熱帯域で貴重なコアが採取できました。試料に興味がある方はご連絡ください。
粒子自動ピッキング装置@AIST
産総研(板木さん)を訪問し、粒子AI画像判定システムでカリ長石粒子のAI画像判定のテストを行いました。うまくいくと、堆積物中の多量のカリ長石をAI判定と自動ピッキングデバイスを使い、高速に拾え、多層準で個別粒子の同位体比分析が可能になります。
新年度が始まりました
理工学研究科に加え、大学院持続可能社会創成学環のグローバルSDGsプログラムにも兼担で関わっています。
修士課程、博士課程への入学に関心のある方、お気軽にご連絡ください。研究室訪問も歓迎しています。
https://www.gss.u-toyama.ac.jp/program/global_sdgs/
弘前大・田副ラボでDGAレジンを使った海水中のネオジムの単離を教えていただきました(1/24-28)
非常にスマートな方法で、今後の主流な分離法になりそうです。
弘前城の目の前にあるスターバックスもレトロでいい雰囲気でした。
Tazoe et al (2021) https://doi.org/10.1016/j.talanta.2021.122435
軽元素同位体質量分析計(delta v advantage, thermo)を導入しました。(現在立ち上げ中。11/11)
この機械で,炭酸塩の炭素酸素安定同位体比や海水の水素酸素同位体比,堆積物の炭素窒素硫黄安定同位体比が測定できます。
軽元素massの他にも,主要な分析機器が揃っていますので,水試料や堆積物試料による同位体分析や微量元素分析などから環境解析をしてみたいという大学院生を広く募集しています。
Yi Zhong, Ning Tan, Jordan Abell, Chijun Sun, Stefanie Kaboth-Bahr, Heather Ford, Timothy Herbert, Alex Pullen, Keiji Horikawa, Jimin Yu, Torben Struve, Michael Weber, Peter Clift, Juan Larrasoaña, Zhengyao Lu, Hu Yang, André Bahr, Tianyu Chen, Jingyu Zhang, Wei Cao, Wenyue Xia, Sheng Yang, and Qing-Song Liu. 2024. Role of land-ocean interactions in stepwise Northern Hemisphere Glaciation. Nat Commun 15, 6711. https://doi.org/10.1038/s41467-024-51127-w
Jamstec小野寺さん筆頭のベーリング海ラミナ論文が受理されました。ラミナの厚さや珪藻の種構成に2-8年の変動周期が見られ,中期更新世においてもENSOに駆動された海洋変動があったことを示唆する研究内容です。(2023/12/14) https://doi.org/10.1016/j.marmicro.2023.102323
2023年度 住友財団環境研究助成で「過去1万年間の黒潮大蛇行の発生頻度:個別個体有孔虫分析による新たな研究展開」(代表:堀川)が採択されました(2023/11/1)
浮遊性有孔虫一個体ごとのMg/Ca比の分析を簡便に行える洗浄システムの開発と一個体ごとのMg/Ca比の分析を東海沖のコア試料に適用し,黒潮大蛇行の発生頻度を解析しようとする研究になります。22年の卒論生に検討を開始してもらい,別の修士学生が再実験と洗浄システムの改良を現在行なっています。
西南極氷床下にある海底堆積物を採取し,堆積物や氷床モデルの研究から,2℃の地球温暖化によって西南極氷床がどのように応答するかを評価する国際プロジェクト(https://www.swais2c.aq)に極地研の菅沼さんと北大低温研の関さんと日本から3名で参加します。(2023/7/4) https://www.swais2c.aq/our-team
Iizuka, M., Seki, O., Wilson, D.J., Suganuma, Y., Horikawa, K., van de Flierdt, T., Ikehara, M., Itaki, T., Irino, T., Yamamoto, M., Hirabayashi, M., Matsuzaki, H., Sugisaki, S., 2023. Multiple episodes of ice loss from the Wilkes Subglacial Basin during the Last Interglacial. Nat Commun 14, 2129. https://doi.org/10.1038/s41467-023-37325-y
北大関研の飯塚さんがD論で取り組んだ研究が出版されました。ネオジム同位体の前処理を富山大で手伝いました。
Zhu, S. J., Zhang, J., Matsuno, T., Tsutsumi, E., Kambayashi, S., Horikawa, K., et al. (2023). Quantifying the Water Contribution of Subtropical Mode Water and Related Isopycnal/Diapycnal Water Mixing in the Western Pacific Boundary Current Area using Radiocesium: A Significant Nutrient Contribution from Subtropical Pacific Gyre to the Marginal Region. Journal of Geophysical Research: Oceans, 128, e2022JC018975. https://doi.org/10.1029/2022JC018975
張先生の学生さんが筆頭で書かれた論文が出ました。
Horikawa, K., Kodaira, T., Zhang, J., and Obata, H. (2023), Salinity–oxygen isotope relationship during an El Niño (2014–2015) in the southwestern Pacific and comparisons with GEOSECS data (La Niña, 1973–1974), Marine Chemistry, 249:104222, https://doi.org/10.1016/j.marchem.2023.104222
海洋表層水の酸素同位体比と塩分の関係が,ENSOに応じて赤道・亜熱帯域で大きく変化することを示しました。
https://doi.org/10.26022/IEDA/112770 (reposited in the EarthChem database)
堀川恵司,(2023), ネオジム同位体比分析による過去の海洋循環研究, 地球化学, 57, 2, 特集「GEOTRACES」。https://doi.org/10.14934/chikyukagaku.57.74
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/chikyukagaku/list/-char/ja
"West Antarctic Ice Sheet Dynamics in the Amundsen Sea Sector since the Late Miocene—Tying IODP Expedition 379 Results to Seismic Data" by Gille-Petzoldt Johanna, Gohl Karsten, Uenzelmann-Neben Gabriele, Grützner Jens, Klages Johann P., IODP Expedition 379 Scientists, Bauersachs T., Courtillat M., Cowan E., De Lira Mota M., Esteves M., Fegyveresi J., Gao L., Halberstadt A., Horikawa K., Iwai M., Kim J., King T., Klaus A., Kulhanek D., Penkrot M., Prebble J., Rahaman W., Reinardy B., Renaudie J., Robinson D., Scherer R., Siddoway C., Wu L., Yamane M., Frontiers in Earth Science, v. 10, 2022, https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/feart.2022.976703
"Indian monsoon variability in the Mahanadi Basin over the last two glacial cycles and its implications on the Indonesian throughflow" by Jongmin Lee, Sunghan Kim, Minoru Ikehara, Keiji Horikawa, Yoshihiro Asahara, Chan Min Yoo, and Boo-Keun Khim, Geoscience Frontiers, v. 14, 2023, https://doi.org/10.1016/j.gsf.2022.101483
Paleoceanography and Paleoclimatology誌に論文がでました。"Neodymium isotope records from the Northwestern Pacific: Implication for deepwater ventilation at Heinrich Stadial 1" by Keiji Horikawa, Yukiko Kozaka, Yusuke Okazaki, Takuya Sagawa, Jonaotaro Onodera, Hirofumi Asahi, Shin Ki-Cheol, Yoshihiro Asahara, and Kozo Takahashi., 2021, https://doi.org/10.1029/2021PA004312
卒業生の小坂さんが卒論から修論にかけて分析したデータが主になっている研究成果。ハインリッヒイベント1に見られる北太平洋の中深層水の形成に,ベーリング海とオホーツク海での中層水形成が関与しているものの,外洋の深層水にはベーリング由来の水塊の影響がより強いことを鹿島沖と天皇海山列の堆積物コアのネオジム同位体比から明らかにした内容。(2021/9/22)
南極アムンゼン航海(IODP exp379)の論文がGRL誌に公表されました。Gohl et al. (2021) Evidence for a Highly Dynamic West Antarctic Ice Sheet During the Pliocene, https://doi.org/10.1029/2021GL093103 (2021/7/28)
科研費基盤研究(A)に採択(内定)されました(2021/4/7)。令和3年度-6年度まで「過去の温暖期における南極氷床の大規模融解の実態解明:鉛同位体に着目した新たな解析」というテーマで研究を行います。主に,2019年にIODP379次航海で採取した西南極アムンゼン湾沖の堆積物試料の地球化学的解析を通して,過去の温暖化状況下での南極氷床の融解メカニズムと融解量の解明に取り組みます。
論文が公表されました.Matsui, H., K. Horikawa, S. Chiyonobu, T. Itaki, M. Ikehara, S. Kawagata, H. Wakaki-Uchimura, Y. Asahara, O. Seki, and Y. Okazaki (2019), Integrated Neogene biochemostratigraphy at DSDP Site 296 on the Kyushu-Palau Ridge in the western North Pacific, Newsletters on Stratigraphy, doi:10.1127/nos/2019/0549. OG後藤さんの卒論の成果が入っています.
論文が公表されました.Horikawa, K., T. Kodaira, K. Ikehara, M. Murayama, and J. Zhang (2019), Millennial-scale fluctuations in water volume transported by the Tsushima Warm Current in the Japan Sea during the Holocene, Global and Planetary Change, 103028, doi: https://doi.org/10.1016/j.gloplacha.2019.103028. 小平君の卒論・修論の成果です.
IODP exp379南極アムンゼン湾掘削航海に参加してきました(2019.1.19-3.20)
西村日向子さんが2019年度笹川科学研究助成に採択されました。「淡水・海水魚の微量元素・鉛同位体比の特徴:回遊履歴を推定する手法の確立」(2019/3/12)
論文が公表されました.Kozaka, Y., K, Horikawa., Y, Asahara., H, Amakawa., Y, Okazaki, (2018), Late Miocene-mid Pliocene tectonically-induced formation of the semi-closed Japan Sea, inferred from seawater Nd isotopes, Geology, https://doi.org/10.1130/G45033.1. 小坂さんの博士論文の成果です.
上記の研究について,プレスリリースを行いました。
富山新聞(9/19),北日本新聞(9/19),NHKとやまお昼のニュース(9/22),読売新聞(10/4),財経新聞,サイエンスポータルとacademist Journalでも紹介していただきました。(10/9,11)。
「子供の科学(1月号)」でも紹介していただきました。
論文が公表されました.Khim, B.K., K, Horikawa., Y, Asahara., Kim, J.E., M, Ikehara, (2018), Detrital Sr-Nd isotopes, sediment provenance, and depositional processes in the Laxmi Basin of the Arabian Sea during the last 800 kyrs, Geological Magazine.
論文が公表されました.Maeda, A., K, Fujita., K, Horikawa., A, Suzuki., Y, Ohno, and H, Kawahata, (2018), Calibration between temperature and Mg/Ca and oxygen isotope ratios in high-magnesium calcite tests of asexually reproduced juveniles of large benthic foraminifers, Marine Micropaleontology, v. 143, 63-69.
30年度科研費挑戦的研究(萌芽)が採択されました(7/2)。これから2年間,「バリウム同位体を使った氷河・氷床の融解イベントの検出」というテーマで研究を実施します。
Research
温暖化環境下での南極氷床の融解メカニズムと融解量の解明
Collapse of the Antarctic Ice Sheet in warm Pliocene
海洋循環の解析
Reconstruction of ocean circulations based on Nd isotope analysis
有孔虫殻の微量元素分析
Reconstruction of seawater chemical compositions from Mg/Ca and Ba/Ca...of foraminifera
海底堆積物試料を使った古環境解析
Analysis of trace metals and isotopes of marine sediments for sediment provenance studies (Sr, Nd, and Pb)
海水や河川水試料の分析
Measuring seawater Ba isotopes and Nd isotopes, and making geochemical maps of river waters etc...
大学院生を募集しています
野外での調査や化学分析,古環境学,あるいは機器分析に興味のある学生を歓迎します.研究室訪問はいつでも歓迎いたします.
他大学や他分野からの大学院の進学も歓迎しています。
修士2年 2名,修士1年 4名,学部4年 2名
指導方針
研究内容は,本人の意向をくみつつ,相談しながら決めていきます.
研究活動を通して,プレゼン能力や文章力が向上するよう指導します.
学生が応募できる研究助成の申請書についても添削指導をします.
野外での調査方法,調査の立案,実験室での分析については,可能な限り一緒にやりながら指導していきます.
卒論や修論などでは,研究室の人と付き合いが長くなります.研究室を決める際には,教員や在学生との相性も自分の研究を進めて行く上で重要なので,研究室訪問や面談などを積極的に行って,研究室を決めるようにしてください.