茅とはイネ科で、ススキのことです。春に芽が出て草と同じように青々としてます。
長さは種類により違い、長い物で3m以上あります。茅の収穫時期は冬、11月~3月頃までです。この茅刈りが重労働の作業で、山間部や耕作放棄地などで、カマや草刈り機などを使い、刈り集めます。
自ら刈入れをし、良い材料、悪い材料に選別し収穫していきます。
刈り終えた場所は次の年に綺麗な芽が生えるように野焼きをしたり刈りクズを残さぬように綺麗にします。
【ススキ刈入れ】
使う茅は屋根の部位により、種類や性質が異なります。適切な性質の茅を適切な部位に使用するために、品質チェックも兼ねてより分け、長さを揃え、使う順番を考えてすぐに使えるように保管します。
【茅の下ごしらえ】
古茅を下から上へ向かって取り除いていきます。
何十年、何百年、お侍さんが居た時代からある茅葺屋根。
そこには、当時の材料・技術が眠っています。大先輩の職人の技を解体しながら学び、当時の作業風景を想像しながら解体していきます。
解体は、自分達にとっての教科書なのです。
次世代に繋ぐため、使える荒縄・竹・茅は残します。
【古茅の解体】
【古茅の解体】
耐久性のある屋根にするためには、下地の竹や縄のメンテナンスが非常に重要で、ここにしっかりと時間をかけ、注意深く仕上げていくことで高い耐久性が得られます。
【下地の縄替え】
【下地縛り】
屋根の中でも水切りの役割を果たす部分です。それと同時に、屋根を葺くにあたり、基礎となり非常に重要な部分です。細心の注意を払って調整します。
【軒付け】
屋根に面するはじめの部分です。軒付け後、少しずつ屋根の頂点へ向けて茅を重ねていきます。茅葺屋根は茅一本一本のわずかな隙間を雨水が外側かつ下方向へと導かれ、家屋の高い防水効果を発揮します。そのため、全ての茅の方向を揃え、一本一本の茅を傷つけないよう、茅本来の滑らかさを保ったまま重ねていくことが重要です。茅の間に無駄な空間を作らないよう、また、極端に詰め過ぎないよう、丁寧に重ねていきます。
【返り】
屋根のカーブや膨らみ具合を美しく仕上げるための重要な工程です。締め付け具合により、美しく、かつ末永く高い防水効果を発揮できるように返りと同様、注意深く調整しながら進めていきます。
【平葺き】
茅の束を杉皮で巻いて、それを竹で押さえて縫い留めます。「棟飾り」と、装飾のように呼びますが、単なる飾りではなく、雨水の侵入を防ぐ重要な部分です。何年経っても雨水が入らぬよう注意深く作業していきます。
[棟飾り]
十字に交差した木材を千木と書いて「ちぎ」と呼びます。または鰹木(かつおぎ)とも呼ばれることもあります。建物の補強と安定を目的として屋根の頂点に設置します。一見、大胆に見えるこの工程ですが、耐久性や安全性に影響する工程です。何年経っても安全に保たれるよう、細かく念入りに調整を行います。
【千木設置】
葺替えの相談や、竪穴式住居の建設など、お気軽にご相談ください。