コウダカアオガイ

Nipponacmea concinna (Lischke, 1870)

レア度:いつでも見られる

形態:やや大型の笠貝で、和名の通り貝殻は高さがある。最大で3㎝程度になり、成長とともに正円形に近い輪郭をなす。無紋型と有紋型がある。貝殻表面は顆粒が規則的に配列しておろし金のようになるが、葛登支の個体は摩耗が激しく、この特徴がいまいちよくわからない。基質から剥がすと、頭と足の側面が黒ずんで見える (Sasaki & Okutani 1993)。

生息域:北海道から九州に分布し、潮間帯の岩礁に生息する。葛登支では大型個体が護岸壁に、小型個体が護岸壁直下の転石にみられる。

生態: 植食性で、主に夜間に活動する (Takada 2001)。12–3月に海中で受精し、子はプランクトンとして生まれる (網尾 1963)。天草では、稚貝の加入は1月と3月におこり、20㎜弱まで成長、産卵したのち翌年5月までにほとんど死亡する (Takada 1997)。

2020年9月 山上
2020年9月 山上
2020年8月 山上一番大きい個体(まわりはクサイロ、たぶん)
2020年8月 山上イシダタミを従える
2018年7月@恵山 山上
2020年10月@恵山 山上足の側面は黒い
2019年7月@三石 木戸

引用文献:

  1. 網尾勝. 1963. 海産腹足類の比較発生学ならびに生態学的研究. 水産大学校研究報告, 12: 229358.

  2. Sasaki, T. & Okutani, T. 1993. New genus Nipponacmea (Gastropoda, Lottiidae): a revision of Japanese limpets hitherto allocated in Notoacmea. Venus, 52: 1–40.

  3. Takada, Y. 1997. Recruitment, growth and survival of Nipponacmea limpets on a boulder shore in Amakusa. Venus, 56: 145–155.

  4. Takada, Y. 2001. Comparison of the activity patterns of nine molluscan grazers on a boulder shore at Amakusa, Japan. Venus, 60: 157–172.