クサイロアオガイ

Nipponacmea fuscoviridis (Teramachi, 1949)

レア度:いつでも見られる

形態:中型の笠貝で、2㎝程度。貝殻は上下につぶれたように平らで、頂点は極端に前方に寄る。模様をもつ個体が多い。貝殻表面はコウダカアオガイほど粗さを感じない (突起の形状、配列も規則正しくない感じがする)。頭・足側面は黒く染まらない (Sasaki & Okutani 1993)。貝殻内面は鮮やかな青緑色を呈し、和名はこれに由来する。

生息域:北海道 (東部を除く) から沖縄まで広く分布し、潮間帯の岩礁に生息する。葛登支では護岸壁やその直下の丸石に付着している。

生態:11月中旬から5月中旬に海中で受精し、子はプランクトンとして生まれる (網尾 1963)。コウダカアオガイは殻長14㎜でも未成熟であるのに対し、本種は8㎜未満でも成熟している。また、この2種を交配させても発生は進まないらしい (網尾 1963)。

2020年8月 山上下の一番大きい個体はコウダカアオガイ
2021年3月 山上
2020年3月 山上頭部と足の側面は白い
2019年7月@忍路 木戸

引用文献:

  1. 網尾勝. 1963. 海産腹足類の比較発生学ならびに生態学的研究. 水産大学校研究報告, 12: 229358.

  2. Sasaki, T. & Okutani, T. 1993. New genus Nipponacmea (Gastropoda, Lottiidae): a revision of Japanese limpets hitherto allocated in Notoacmea. Venus, Japanese Journal of Malacology, 52: 1–40.