トウガタガイ科の一種

Odostomia (?) sp.

レア度:いつでも見られる

形態:微小な巻貝(2㎜程度)。貝殻はチャツボ形で、白色半透明。貝殻表面に特別な彫刻はみられない。殻口内部には軸襞とよばれる突起がわずかに確認できる。軟体部も貝殻と同じく白色半透明だが、貝殻を透過して褐色の色素外套器官 (pigmented mantle organ) がほくろのように目立つ。1対の眼点は正中線から離れている。本科の多くは単純な貝殻をもっているため、貝殻だけでなく軟体部の特徴も分類上重要である (堀 1998)。しかし、貝殻形態に基づいて記載された種の多くはその実態がよくわからないものになっている。本種は Odostomia 属の一種と思われるが、同定には至っていない。

生態:同科他種と同じく、寄生性であると考えられる。葛登支では砂をさらうと高確率で混じってくるが、宿主は不明。

その他:なお、函館にはオリイレクチキレモドキ Megastomia tenera (A. Adams, 1860) も分布するが、 Megastomia 属は "寄り目" なグループである。

2020年10月 山上ご尊顔
2019年12月 山上死殻。砂からよく出てくる

引用文献:

  1. 堀成夫. 1998. 日本周辺産トウガタガイ科貝類の系統および寄生様式の研究. 東京水産大学博士学位論文.