カワアイサ

Mergus merganser Linnaeus, 1758

レア度:たまに見られる(冬)

形態:全長約65cmで、日本産のカモ類では最大級の種類。上嘴は鉤状に曲がっていて、顎には歯状の突起が並んでいる。虹彩は黒色。雄は明瞭なツートンカラーで、黒緑色の頭部・背面と、白色の胸・腹・脇・翼の中間域 (雨覆~次列風切) に分かれている。幼鳥と雌は頭部が褐色で、灰色の胴体とのコントラストは弱い。雄の非生殖羽は雌によく似るが、雨覆が白い。

生息域:北半球に広く分布し、日本列島には主に冬鳥として九州以北に渡来するが、北海道では少数が繁殖している。海岸、河口、河川、湖沼に生息する。函館湾ではウミアイサよりむしろ本種のほうが多いが、葛登支ではあまり見かけない。

生態:水面を泳ぎながら頭を水中に入れて魚を探し、水中に潜って追跡し、捕獲する。しばしば獲物を加えたまま浮上し、水上で食べる。利用できる魚種はなんでも食べているようだ (Sjöberg 1988; Käläs et al. 1993)。地上または樹洞に営巣する。

その他:ウミアイサは一回り小さく、虹彩は赤色で、嘴の先端が曲がっていない。また、ウミアイサの雄はパンクロッカーである。

2016年2月@根室 山上
2017年2月@浜中 山上
2018年8月@上磯 山上越夏個体。ウミアイサ (M. serrator) との混群

引用文献:

  1. Sjöberg, K. 1988. Food selection, food-seeking patterns and hunting success of captive goosanders Mergus merganser and red-breasted mergansers M. serrator in relation to the behaviour of their prey. Ibis, 130: 79–93.

  2. Käläs, J. A., Heggberget, T. G., Bjørn, P. A. & Reitan, O. 1993. Feeding behaviour and diet of goosanders (Mergus merganser) in relation to salmonid seaward migration. Aquatic Living Resources, 6: 31–38.