ウミアイサ

Mergus serrator Linnaeus, 1758

レア度:たまに見られる(冬)

形態:全長55cm程度で、マガモやカルガモとほぼ同大。はげしいねぐせを思わせる長い冠羽と、細長く少し上に沿った赤い嘴が特徴。虹彩は赤い。体色は雌雄で大きく異なる。雄の生殖羽は頭巾を被ったような見た目が特徴的で、首は白く、胸は褐色で、翼の付け根と雨覆 (中間域) が白い。また、脇腹は黒い波状斑のある羽毛で覆われる。幼鳥と雌の頭部は褐色で、白い首輪がなく、背面の大部分は灰褐色で地味である。雄の非生殖羽は雌によく似るが、雨覆が白い。

生息域:北半球に広く分布し、日本列島には主に冬鳥として九州以北に渡来するが、なかには越夏する個体もいる。海岸や河口に生息するが、カワアイサも同所的に見られるので、名前に惑わされてはいけない。葛登支では平磯の潮溜まりで遊泳している個体がいるが、警戒心が強く、即座に飛んで逃げる。

生態:日本で繁殖することはほとんどないが (阿部・藤巻 1968)、求愛行動は観察できる。雄は「首を高く伸ばしたあとに喉元を水面につけて体を反らす」というお決まりのダンスを雌のそばでおこなう。

その他:近縁種のカワアイサはより体が大きく、彩は黒色で、嘴の先端がかぎ爪状に曲がっている。また、カワアイサの雄は白黒の単純なツートンカラーである。

2020年3月@上磯 山上
2020年3月@上磯 山上求愛ダンス

引用文献:

  1. 阿部学・藤巻裕蔵. 1968. 北海道におけるアイサ類の新たな繁殖例. , 18: 272–275.