イシガレイ
Platichthys cf. bicoloratus (Basilewsky, 1855)
レア度:たまに見られる?
形態:体長40㎝くらいになるカレイの仲間。体の中央付近の側線周辺、背鰭の下、腹鰭の上と、石のような質感の骨板を持つことが最大の特徴。体に鱗がないため、それ以外の部分はつるつるしている。触ればすぐにわかるが、写真では模様にまぎれてわかりにくく、未成魚では不明瞭な個体もいる。小さい個体は体高があり丸っこく、有眼側にやや大きな白点が散在する。側線は胸鰭付近でやや波打つが湾曲はせず、それ以降はまっすぐ。よく似るマコガレイは有眼側に鱗があり、よりほっそりとした体形になる。まれに有眼側の左右が逆だったり、両側に色があったりする個体が見つかる(藤田, 1984)。
生息域:葛登支では秋の夜に出現。かなり波打ち際よりの、礫底のところで見つかった。日本では沖縄を除く地域の沿岸域に普通にみられる。
生態:沿岸の水深100mくらいまでの砂泥底に生息する。北海道周辺での産卵期は、日本海側や道南で11~2月頃、オホーツク海や道東では5~7月とされる(北海道庁)。分離浮遊卵からを産み、体長1㎝前後で着底する(南, 1984)。成魚は甲殻類、多毛類、その他魚類を餌とする。刺し網や底引き網で漁獲されるが、マコガレイに比べると、やや泥くさい通好みの味とのこと。かつて「オショロガレイ」という種が記載されたが、のちにイシガレイ×ヌマガレイ P. stellatus の雑種であることが判明した(Fujio, 1977; Hubbs & Kuronuma, 1942)。野外でも比較的頻繁に交雑しているようで、たまに釣れるので、今でもこの名前は俗称として使われている。
その他:地面という動かないものに擬態してるわけなので、持ち上げでもしない限り不動を貫き通す。なので写真撮り放題、触り放題。お魚の負担にならない程度に楽しませてもらおう。
(画像中央。頭を上にして縦向き)
引用文献:
Fujio, Y., 1977. Natural hybridization between Platichthys stellatus and Kareius bicoloratus. Japan. J. Genetics 52(2): 117-124.
藤田清, 1984. 東京湾から採集された側面逆位で両眼有色のイシガレイ. 魚類学雑誌 27(2): 175-178.
北海道庁・水産林務部. 北海道お魚図鑑 「イシガレイ[石鰈] (URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/ske/osazu/oz01fis/fis054.htm, 2020年11月4日訪問).
Hubbs, C.L. & Kuronuma, K., 1942. Hybridization in nature between two genera of flounders in Japan. Mich. Acad. Sci. Papers (1941) 27: 267-306.
南卓志, 1984. イシガレイの初期生活史. 日本水産学会誌 50(4): 551-560.