クロフジツボ

Tetraclita japonica Pilsbry, 1916

レア度:いつでも見られる

形態:殻の直径は2~4㎝程度と、葛登支でみられるものでは比較的大きなフジツボ。外側の殻(周殻)は4枚から成るものの、互いの接合部はよく密着して不明瞭なため、1枚の殻からできているように見える。殻の底面積に対して、頂端の開口部が小さい。色は灰色。きわめてよく似る2種とは、色の違いで判別する(タイワンクロフジツボ T. formosana:赤みがかる、ミナミクロフジツボ T. squamosa:緑がかる)。

生息域:沖合の巨岩の上。函館が分布の北限とされ、南は台湾くらいまで見られる(Yamaguchi, 1987)。

生態:紀伊半島での繁殖期は6~7月。クロフジツボと同属他2種は元々「亜種」として記載されていたが、分子学的解析の結果、生殖隔離があることが判明した(Yamaguchi, 1987)。したがって、現在これら3種は、互いに独立な種として扱われている(山口. 1995)。本州では3種ともほとんど隣り合って生息し、繁殖期も同じころであるにも関わらず隔離があるのは、地史的なイベントや、同種の認知などが発達しているのだろうか?

その他:

2020年8月 山上ついているのはミゾレコガモガイ
2020年8月 山上これも?
2020年8月 山上これも?
2020年3月@真鶴・岩 大友

引用文献:

  1. Yamaguchi, T., 1987. Changes in the barnacle fauna since the Miocene and the infraspecifc structure of Tetraclita in Japan (Cirripedia; Balanomorpha). Bulletin of Marine Science 41 (2): 337-350.

  2. 山口寿之, 1995. まん(蔓)脚下綱 In 西村三郎 (編) 原色検索日本海岸動物図鑑 (Ⅱ). 保育社.