トゲクリガニ

Telmessus acutidens (Stimpson, 1858)

レア度:たまに見られる

形態:背甲の幅は最大10㎝くらいにまでなる、葛登支では大型のカニ類。上から見ると尖ったおにぎりのような形。脚も含めて赤紫っぽい顆粒が多く散在する。体全体にわたって、まばらだが太くて短い毛が生える。クリガニとの識別点は、生時に甲の側面に黄色い斑紋がないこと、両眼の間の4歯のうち中央の2歯が相対的に小さいこと、背甲の前側縁の第4棘(最も横に張り出しているトゲ)の前縁と後縁に小棘があること(クリガニは前縁のみ)によって識別できる。

生息域:葛登支では低潮線近くの礫底でよく見かける。北海道の日本海側から東京湾まで分布する。なおクリガニは北海道太平洋岸からベーリング海に分布し、函館は両者の分布域の中間にある。

生態:陸奥湾など東北地方では、刺し網やカニかごで漁獲されて食用になる(本尾ら, 1997)。春のブルームの時期には、餌のムラサキイガイ Mytylus galloprovincialis を通して内臓に貝毒をため込むそうなので注意(Oikawa et al., 2002)。

その他:雪が降るころから活動が活発になる。挟まれることはほとんどない。

2020年7月 大友
2018年12月 山上たまご
2020年11月 大友
2020年11月 大友クリガニには、この辺に黄色い斑紋がある
2020年12月 大友前側縁第4棘には、前後縁に小棘がある
2012年12月 大友
2020年12月 大友額部の4本の棘のうち、中央の2本は比較的小さい
2014年4月@七重浜 大友なにこれ…
2021年5月 とみよし近い
2021年4月29日 りったいろいろあったみたい

引用文献:

  1. 本尾洋・田中俊輔・高林信雄, 1997. 陸奥湾のトゲクリガニとその漁業について. Cancer 6: 11-15.

  2. Oikawa, H., Fujita, T., Satomi, M., Suzuki, T., Kotani, Y., & Yano, Y., 2002. Accumulation of paralytic shellfish poisoning toxins in the edible shore crab Telmessus autidens. Toxicon 40: 1593-1599.