カムチャッカモエビ

Heptacarpus camtchaticus

(Stimpson, 1860)

レア度:いつでも見られる(夜)

形態:体長2~3㎝の小型のモエビだが、動きは俊敏で見つけるのは難しくない。体色は赤や茶色から緑まで、生息環境に合わせて変化する。第3腹節が盛り上がり「への字」の姿になる。額角の上縁に白色の線があり、個体によってはこの白線が頭胸甲や腹節にまで伸び、太さにも変異がある。さらに第5腹節の前後縁には不明瞭な白色帯が、頭胸甲には青い斑点が散在する。額角は長く水平だが、触覚鱗(第2触角の外肢とよばれる部分、写真では「鼻」のように見えるところ)の先端より短い。また額角の上縁に4~7歯、下縁に4~9歯を持つ。

生息域:葛登支では平磯の水路、海藻が生えている場所に多い。大抵は数個体がまとまってみられる。環北太平洋的に分布し、日本周辺では北海道からのみ知られる。

生態:

その他:以前は九州まで分布するとされていたが、Komai & Ivanov (2008)によって整理された。葛登支には他にコシマガリモエビが同所的に生息すると思われる。第3顎脚が触覚鱗の長さの半分を超えるものはカムチャツカモエビ、超えないものはコシマガリモエビで、後者は体色が一様で白線や青斑点のような模様がないことでも識別できるとされる。

2020年10月 大友

引用文献:

  1. Komai, T., & Ivanov, B.G., 2008. Identities of three taxa of the hippolytid shrimp genus Heptacarpus (Crustacea: Decapoda: Caridea), with description of a new species from East Asian waters. Zootaxa 1684:1-34.