イソヘラムシ

Cleantiella isopus (Miers, 1881)

レア度:いつでも見られる

形態:体形はほぼ長方形で、体側縁がまっすぐ平行なのがオス、やや丸みがあるのがメス。第2触角は5節と、ふつう白色の1つの鞭節が先端に付属する。尾節の後縁は円形ないしは三角形になる。体色パターンには茶、茶+白色帯、茶+白色斑、薄茶、緑の5タイプがある。雌雄によって各タイプが出現する比率は異なり、薄茶と緑はメスが多い。体色は体サイズや生息場所の基質にはよらず、様々なタイプの個体が一か所にまとまってみられる(Takahashi & Goshima, 2012)。

生息域:葛登支では、砂に埋まらない石の下や、種々の海藻の上でよく見られる。

生態:海藻食者。寿命は1年前後と考えられ、葛登支での繁殖期は2月、5月~7月の2回で、少数だが8月に3回目の繁殖を行うものもいる。オスがメスの上に覆いかぶさるような交尾前ガードを行う。本種ではオスのガードに対してメスが抵抗することが知られており、メスによるオス選択と考えられている(Miura & Goshima, 2016)。

その他:葛登支のヘラムシの仲間は本種の他に、オヒラキヘラムシ C. strasseni, オホーツクヘラムシ Idotea ochotensis, ワラジヘラムシ Synidotea laevidorsalis が生息する (五嶋・高橋・三浦, 2016)。

2020年5月 大友
2020年8月 大友茶+白色斑のタイプ、体の側縁がやや丸みを帯びるためメス?
2020年8月 大友茶+白色帯のタイプ、恐らくオス
2020年8月 大友薄茶…かな?多分オス
2016年2月 りったガードペア
2016年2月 りった左のガードペアを上から撮ったところ上の個体とそっくりだが、多分他人の空似
2020年12月 大友
2016年5月21日 りったメスをガードし、狂喜乱舞しているように見えるオス、ただし、右のアンテナは切れている
2016年5月21日 りったメスのポーチを見よ
2020年10月 りった
2020年10月 りった
2021年2月 大友
2021年2月 大友 おしゃれ模様
2021年2月@茂辺地 大友
2021年3月 大友ガードペアを激写
2021年4月16日 りった
2021年5月1日 りった女の子のあられもない姿

引用文献:

  1. 五嶋聖治・高橋智央・三浦裕人, 2016. ヘラムシ類の生活史と繁殖生態. Cancer 25: 1-8.

  2. Miura, Y., & Goshima, S., 2016. Temporal dynamics of intersexual conflict and the effect of male quality on female fecundity in the marine isopod Cleantiella isopus. Behaviour 153: 569-589.

  3. Takahashi, T., & Goshima, S., 2012. The growth, reproduction and body color pattern of Cleantiella isopus (Isopoda: Valvifera) in Hakodate Bay, Japan. Crustacean Research 41: 1-10.