Thorlaksonius brevirostris
Bousfield & Hendrycks, 1994

レア度:いつでも見られる

形態:体長は1㎝未満のものが多いが、たまに2㎝くらいの個体も見つかる。体色は黒、褐色、ピンク、赤紫などさまざまで、複雑な模様が入ることも。胸脚の先端や尾肢が黄色い。額角が前に張り出して、第1触覚の柄節を覆う。底節板は大きく、腹節を曲げていることがおおいため、横からは楕円形にみえる。第1・2咬脚の第4・5節が下にむかって張り出し、特に第5節のでっぱりはよく発達して、第6節(”前節”=てのひらのようなところ)に沿う。この第6節には2個の鋭い小棘が生える。腹節の背面は、やや凹凸がある個体と、つるっとしている個体がいる。尾節板は完全に切れ込む双葉で、各葉は細長い二等辺三角形。

生息域:葛登支ではかなり優占しているヨコエビ。海藻の中や、その根元の砂泥中で生活しているようだが、石の裏についている個体も多い。

生態:ヨコエビの仲間だが「縦向き」の姿勢で生活する。そのためか、第5~7胸脚も後ろには反り返らず、何かにつかまれるように横に開く。体を丸めた状態では、黒いものはチャツボに、ピンクのものは石灰藻がついた巻貝によくにており、「ベイツ擬態では?」と考えるむきもある(Chapman, 2007)。

その他:甲冑を着ているようでかっこいい。カラーバリエーションが多いので、宝探しをしている気分になる。

2020年8月 大友
2020年8月 大友咬脚をひっぱりだしたところ
2020年8月 大友額角は顕著に前に飛び出て、第1触覚は第2触角よりもずっと短い
2020年8月 大友第1咬脚の拡大写真
2020年10月 大友
2020年9月 大友咬脚を摘出した、右が第1で左が第2大きな前節(てのひらのような節)に沿って腕節が伸びる
2020年9月 大友まっくろ、フジマツモからよく見つかる
2020年10月 大友
2020年12月 大友これは石灰藻の中から見つけた個体
2020年12月 大友左から、第1・2咬脚、第3・4胸脚
2020年12月 大友尾節と尾肢のようす、右端の黒いのは底節板
2020年12月 大友
2020年12月 大友大きいのと小さいの、雌雄かはわからない…
2020年12月 大友正面顔
2020年8月 山上チャツボと並んだところ。似すぎ。
2020年12月 大友尾節板の様子、柳の葉のような形をしている
2020年12月 大友The 正面顔!
2020年12月 大友たぶんフジマツモか何かから出てきた
2021年2月 大友
2021年5月12日 とみよし鼻高い。うらやましい。
2021年5月12日 とみよし

引用文献:

  1. Chapman, J.W., 2007. Amphipoda: Gammaridea, in Carton J. T. (Ed.), The Light and Smith Manual, Intertidal invertebrates from central California to Oregon, fourth edition, completely revised and expanded. University of California Press pp.545-618.