イトマキヒトデ
Patiria pectinifera (Muller & Troschel, 1842)
レア度:いつでも見られる
形態:腕が短いため、体形は星形だがほとんど五角形に近い。本種は腕の先端がやや尖り、反口側(口がないほう=背中側)に顕著な棘などがないことが特徴。反口側は青色だが個体によって濃淡の差があり、赤やオレンジの不規則な斑紋がある。口側は一様に薄いオレンジ色。
生息域:全国に分布し、浅い岩礁域や砂底にふつうにみられる。
生態:繁殖期は、陸奥湾では9月 (Kobayakawa & Satoh 1978)、利尻島では8月下旬~9月中旬 (高橋 1979)。受精後、ビピンナリア幼生期、ブラキオラリア幼生期を経て稚ヒトデとなる (小松・小黒 1984)。他のヒトデやウミウシなどの卵をたべていることもある。
その他:腕が4つや6つの個体もしばしばみられ、中には9本ある個体もいるらしい。腕の数は遺伝的に決まっているわけではない (大野・三田 2015)。
引用文献:
Kobayakawa, Y. & Satoh, N. 1978. Induction of the wrinkled blastula formation in the starfish, Asterina pectinifera, by modified developmental conditions. The Biological Bulletin, 155: 150–160.
高橋延昭. 1979. 利尻島産イトマキヒトデの繁殖期. 日本水産学会誌, 45: 945–950.
小松美英子・小黒千足. 1984. ヒトデ類の生殖と発生 (2). 海洋と生物, 6: 114–123.
大野雄登・三田雅敏. 2015. イトマキヒトデの腕数に関する研究: 5 腕以外のイトマキヒトデが生まれる要因とは? 東京学芸大学紀要 自然科学系, 67: 25–31.