環境サニタリー
【会社案内】
当社は福岡県久留米市にて、以下の業務を承っております。
✅浄化槽の清掃
✅し尿の汲取り(仮設トイレを含みます)
✅浄化槽の保守点検(維持管理業務)
✅排水管の清掃(詰まりなどのトラブル対応)
✅下水道管路施設の点検(マンホール点検など)
1958年(昭和33年)の創業以来、地域の皆様に支えられてまいりました。現在は「ちくご菜の花ライオンズクラブ」の正会員としても活動しております。
【費用について】
お見積りは無料で承っております。
浄化槽関連の費用内訳は、主に「保守点検料」「清掃料」「消費税」「法定検査手数料(浄化槽法第11条に基づく検査)」となっております。費用面でご不明な点やご不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
【浄化槽法による義務について】
浄化槽をご使用になる皆様には、法律により「法定検査」「保守点検」「清掃」の3つを行うことが義務付けられています。適切な管理のため、ぜひ当社にお任せください。
【営業区域】
浄化槽の清掃および維持管理の対象エリアは、「田主丸地区」と「北野地区」以外の「久留米市内」となっております。
【営業時間】
月曜日〜土曜日: 8:00 〜 17:00
定休日: 第2・第4土曜日、日曜日
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
✅当社は1958年(昭和33年)に石井勲〈第一工業大学名誉教授・医学博士・環境省 地域環境保全功労者表彰(平成11年度)・黄綬褒章(平成14年度 秋)・旭日双光章(平成19年度 秋)〉により福岡県久留米市にて創業させて頂きました。ちくご菜の花ライオンズクラブ正会員で御座います。
電話:0942-39-1000
FAX:0942-39-1001
メールアドレス:sanitary@oregano.ocn.ne.jp
〒830-0048
福岡県久留米市梅満町1602−1
【浄化槽のコラム】
【浄化槽の疑問】
下記の様な皆様は、令和8年8月19日~8月28日までの間で、久留米市では個別相談会が御座います。
⇒住んでいる場所が浄化槽区域か、下水道区域なのか分からない。
⇒合併浄化槽の仕組みがよく分からない。
⇒浄化槽を設置したいけど、業者や補助金等について知りたい。
⇒下水道に接続したいけど、業者や各種制度等について知りたい。
詳しい内容は、久留米市のウェブサイトをご覧ください。
※引用元:
久留米市のサイト:浄化槽の設置や下水道接続(排水設備)に関する個別相談会を実施します
【合併処理浄化槽のメリット】
・高い環境保全効果
家庭から排出される汚水の約7割は「生活雑排水」が占めています。従来の単独処理浄化槽ではこの生活雑排水を処理できないため、合併処理浄化槽と比較すると、1人1日あたりのBOD負荷量で見て約8倍もの汚れをそのまま排出してしまいます。一方、合併処理浄化槽であれば、汚水と生活雑排水のすべてを綺麗に浄化することが可能です。
・下水処理場並みの優れた浄化性能
合併処理浄化槽は、下水処理場と同等の高い処理性能を備えています。具体的には、BODの除去率が90%以上であり、放流水のBOD濃度を20mg/L以下にまで抑えることができます。さらに、高度処理型の浄化槽であれば、富栄養化の原因となる窒素やリンの除去も可能です。
・設置のしやすさと迅速な工期
設置にあたっての利便性も大きな特徴です。乗用車1台分ほどのコンパクトなスペースがあれば地下に埋設できるため、地形の影響を受けにくいという利点があります。また、工期はおおむね1週間程度と短期間であるため、速やかに設置して効果を得ることができます。
・災害に対する高いレジリエンス(復旧力)
個別処理方式を採用しているため、災害にも強いという強みがあります。万が一、地震などで一部の設備が被災した場合でも、地域全体へ影響が及ぶことは少なく、個別の早期復旧が可能です。
【仮設トイレの汲み取りについて】
工事現場やイベント会場、災害時などに設置される仮設トイレは、その多くがタンク(便槽)に汚物を溜める仕組みになっています。下水道に接続しないため、定期的な汲み取り作業が必要です。
・簡易水洗式
便器の下に便槽があり、少量の洗浄水で流して汚物を溜めるタイプです。水道や下水道の配管工事が不要なため、容易に設置できる点がメリットです。
・非水洗式
水を使わずに直接便槽へと落とす、旧来のタイプです。こちらは構造上、ニオイが発生しやすい傾向があります。
その他のタイプ
下水道に接続して使用する「水洗式」や、微生物の力で汚物を分解し、汲み取りの頻度を大幅に減らすことができる「バイオトイレ」などもございます。
工事現場やイベント、災害支援の現場では、一般的に簡易水洗式が多く導入されています。下水道に接続しないタイプの仮設トイレは汚物がタンク内に蓄積していくため、定期的な清掃と汲み取り作業が欠かせません。
【膜分離活性汚泥法(MBR)のメリット】
膜分離活性汚泥法(MBR)は、従来の標準活性汚泥法における「最終沈殿池」での工程を「膜によるろ過」に置き換えた革新的な水処理方式です。本方式が持つ主なメリットについて詳しく解説いたします。
・極めて優れた処理水質
SS(浮遊物質)や細菌類を膜によってほぼ完全に分離できるため、非常に透明度の高いきれいな処理水が得られます。
・大幅な省スペース化の実現
最終沈殿池が不要となる上、反応槽内の活性汚泥濃度を高く維持できるため、設備全体を非常にコンパクトに集約できます。
・高度な汚濁物質除去能力
BODやCOD、SSなどを一括して高いレベルで除去できるため、厳しい排水基準にも柔軟に対応可能です。
・汚泥の沈降性に左右されない安定性
膜を用いて強制的に固液分離を行うため、従来の方式で問題となりやすかった「汚泥の沈降不良(バルキング現象など)」による悪影響をほとんど受けません。
・処理水の再利用に最適
極めて高品質な処理水が得られるため、工場内の工業用水や、ビルのトイレ洗浄水などの雑用水としてそのまま再利用するのに向いています。
【浄化槽の「7条検査」と「11条検査」について】
≪7条検査とは≫
7条検査は、浄化槽が適切に設置され、正常に機能しているかを確認するための検査です。詳しく申し上げますと、設置工事が適正に行われたか、浄化槽が正しく作動しているか、そして設計通りの浄化能力を発揮できそうかを確認します。つまり、本来備わっているべき処理機能があるかどうかに着目し、設置状況を中心に確認する「最初の性能確認」にあたるものです。環境省の指針でも、7条検査は「主として設置工事の適否と、浄化槽の初期機能を確認するもの」と位置づけられています。
≪11条検査とは≫
11条検査は、浄化槽の使用を開始した後に、適切に維持管理されているかを毎年1回確認する検査です。いわば、浄化槽の「毎年の健康診断」のような役割を持っています。環境省では、11条検査を「主として保守点検や清掃が適正に行われ、機能が維持されているかを確認するもの」としています。この検査では、その後の継続的な稼働状況を確認するため、特に以下のポイントを重点的に検査いたします。
・ブロワ(送風機)やばっ気装置の作動状態
・ポンプや消毒設備の状況
・汚泥(おでい)の堆積状態
・水の流れや、各設備全体のコンディション
≪まとめ≫
このように、7条検査が「工事後の初期性能のチェック」であるのに対し、11条検査は「その後の継続的な維持管理のチェック」という異なる目的と役割を持っています。
【仮設トイレの汲み取りについて】工事現場やイベント、災害時などに設置される仮設トイレは、その多くがタンク(便槽)に汚物をためるタイプです。これらは下水道に直接接続されていないため、定期的な汲み取り作業が必要となります。
【臭突管(しゅうとつかん)について】
汲み取り式トイレに使用される「臭突管」は、便槽(べんそう)から発生する臭気を屋外へ逃がすための換気用煙突です。分かりやすく申し上げますと、便槽の中の臭気を含んだ空気を、トイレの外へ排出するための縦長の管(クダ)の仕組みを指します。
汲み取り式トイレでは、便器の下に便槽があり、そこにし尿が溜まる構造になっています。そのため、どうしても便槽内ではアンモニアや硫化水素などを含む臭気が発生してしまいます。
そこで、「便槽 ➔ 臭突管 ➔ 屋外の高い位置」という経路を作ることで、ニオイがトイレの室内にこもらないようにしています。
重要なポイントとして、臭突管そのものがニオイを消臭するわけではありません。臭突管はあくまでも、臭気を含んだ空気を便槽から吸い出し、外へ運ぶための役割を担っています。
【臭突管(しゅうとつかん)について】
汲み取り式トイレに使用される「臭突管」は、便槽(べんそう)から発生する臭気を屋外へ逃がすための換気用煙突です。分かりやすく申し上げますと、便槽の中の臭気を含んだ空気を、トイレの外へ排出するための縦長の管(クダ)の仕組みを指します。
汲み取り式トイレでは、便器の下に便槽があり、そこにし尿が溜まる構造になっています。そのため、どうしても便槽内ではアンモニアや硫化水素などを含む臭気が発生してしまいます。
そこで、「便槽 ➔ 臭突管 ➔ 屋外の高い位置」という経路を作ることで、ニオイがトイレの室内にこもらないようにしています。
重要なポイントとして、臭突管そのものがニオイを消臭するわけではありません。臭突管はあくまでも、臭気を含んだ空気を便槽から吸い出し、外へ運ぶための役割を担っています。
【浄化槽で活躍するバキュームカーの仕組み】
バキュームカーは、強力な掃除機のような仕組みを持った車両です。浄化槽の中に溜まった汚泥やスカム(浮きかす)、汚水を吸い上げ、専用のタンクで運搬する役割を担っています。
その大まかな構造と仕組みは、以下の通りです。
・吸引のメカニズム
まず、真空ポンプを動かしてタンク内部の空気を外へ排出します。これによりタンク内の圧力が下がり、「負圧(気圧が低い状態)」が生まれます。この圧力差によって、浄化槽の汚水や汚泥が吸引ホースへと押し込まれ、汚泥タンクへと回収されます。厳密には、ポンプが汚泥を直接引っ張っているのではなく、大気圧によって汚泥がタンク内に押し込まれるという仕組みです。この点は家庭用の掃除機と非常に酷似しています。
・吸引する対象(汚泥とは)
浄化槽の汚泥は、微生物によって分解しきれなかった固形物や、役目を終えた微生物の死骸などが沈殿したものです。これらは時間の経過とともに浄化槽の底に溜まっていきます。この底部に溜まった沈殿物を、バキュームカーを使ってきれいに引き抜いています。
【グリストラップ清掃とは】
グリストラップ清掃とは、飲食店などの厨房から出る油脂や食べかす、汚泥などを「グリストラップ(油脂分離阻集器)」と呼ばれる装置から取り除く作業のことです。
厨房からの排水には、食べかす、油、洗剤、水などが混ざり合っています。これをそのまま下水管へ流してしまうと、油が冷えて固まり、排水管の詰まりや悪臭を引き起こす原因となります。そこで、厨房の排水が下水道へ流れる手前の箇所にグリストラップを設置します。
グリストラップは排水を一時的に溜めることで、生ゴミ、水、油脂をそれぞれの比重の違いを利用して分離させる仕組みです。イメージとしては、「厨房 ⇒ グリストラップ ⇒ 排水管 ⇒ 下水道」という順番で水が流れていきます。
グリストラップの清掃を放置すると、内部に油脂や汚泥がどんどん蓄積してしまいます。その結果、悪臭が発生したり、害虫が引き寄せられたり、排水の流れが悪くなったりするトラブルにつながります。そのため、定期的な清掃が必要不可欠です。
【汲み取り時期の目安】
タンクの容量が7割から9割ほどたまった段階で、汲み取りを依頼することをお勧めいたします。一般的なタンクの容量は300〜400リットル程度で、満杯になるまでの期間はおおよそ2週間から1か月程度が目安です。1回の使用につき、排泄物と洗浄水を合わせて約1〜1.5リットルほどタンクにたまるとされており、利用人数が多いほど早く満杯になります。
使用例の目安:
1日10人程度で使用する場合:2週間前後
少人数で使用する場合:1か月程度持つ場合もあります。
なお、夏場はニオイが強まりやすいため、時期にかかわらず早めに対応していただくのが安心です。
【合併処理浄化槽と単独処理浄化槽の違い】
「単独処理浄化槽の8分の1」とは、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽へ転換した場合に、河川や水路などへ排出される汚れの量(BOD)がおよそ8分の1に減少することを表した表現です。これは、環境省や各自治体の資料などで広く用いられている説明です。従来の単独処理浄化槽は、し尿(トイレの排水)のみを処理するシステムです。そのため、台所や風呂、洗濯などの「生活雑排水」は未処理のまま側溝や河川へ放流されてしまうという問題があり、2001年4月以降は原則として新設が禁止されました。これに対し、現在の主流である「合併処理浄化槽」は、家庭から出るすべての生活排水(し尿と生活雑排水)をまとめて処理することができます。現在、単に「浄化槽」と呼ぶ場合は、この合併処理浄化槽のことを指します。
汚れの減少(8分の1)の具体的な計算根拠は以下の通りです。
一般的に、1人が1日に出す生活排水全体の汚れ(BOD負荷量)は約40gとされています。
・単独処理浄化槽の場合
し尿の汚れは処理されますが、それでも約5gが残ります。さらに、生活雑排水の汚れ約27gが未処理のまま流出するため、合計で約32gの汚れが排出されます。
・合併処理浄化槽の場合
40gの汚れ全体を90%以上除去できるため、排出される汚れはわずか4g以下に抑えられます。
この2つを比較すると「32g ÷ 4g = 8」となり、合併処理浄化槽へ転換することで、河川などに流出する水の汚れを単独処理浄化槽の「8分の1」にまで減らすことができるという計算になります。
【グリストラップ】
グリストラップは、飲食店などの厨房排水に含まれる油脂、油分、固形物を捕捉し、下水道へ流さないようにするための装置です。正式には「油脂分離阻集器」と呼ばれており、下水道法などに基づき、一定規模以上の飲食店などで設置が義務付けられています。
清掃を怠ると、悪臭や害虫の発生、排水管のつまり、逆流、水質基準違反などの問題を引き起こします。日本の法律において「何日に1回清掃しなければならない」といった具体的な日数は定められていません。
しかし、下水道法、水質汚濁防止法、各自治体の条例、食品衛生法(HACCP関連)などにおいて「適切な維持管理」が求められています。基準を超過した場合や、不衛生な状態が確認された場合には、改善命令や営業停止、罰則の対象となります。
【家庭用浄化槽と洗剤に関するご注意】
家庭用浄化槽は、槽内の微生物(バクテリア)が汚水を分解する仕組みになっています。そのため、使用する洗剤の種類や量には注意が必要です。強い殺菌成分、漂白成分、酸性成分を多く使いすぎると、微生物が弱ってしまいます。その結果、処理能力の低下、悪臭、泡立ちなどのトラブルの原因になります。
洗剤の種類と特徴
中性洗剤
・微生物への影響が最も少ない洗剤です。
・パッケージに「中性」かつ「浄化槽対応」と記載されているものを選ぶと安心です。
クエン酸系(弱酸性)洗剤
・天然由来の成分で、比較的影響は穏やかです。
・ただし、強酸性の洗剤は避けるか、ごく少量にとどめてください。
酸性洗剤(塩素系・強酸性など)
・強い酸性成分は微生物に大きなダメージを与えます。
・例えば「サンポール」などの酸性洗剤を使用される場合は、必ず「浄化槽用」と記載された製品をお選びください。
塩素系漂白剤
・大量に使うことや、頻繁に使用することは避けてください。
・微生物を死滅させてしまうため、日常的なご使用はお控えいただく必要があります。
アルカリ性洗剤
・一部の液性が「弱アルカリ性」のものであれば、基本的には問題ありません。
【凝集脱リン法について】
リンを除去する必要性についてご説明いたします。洗剤やし尿を含む生活排水には、多くのリンが含まれています。通常の浄化槽では、有機物や窒素はある程度除去できるものの、リンはほとんど処理されずに残ってしまいます。このリンが河川や湖沼に流出すると「富栄養化」が進行し、アオコや赤潮の発生を招いて水質悪化を引き起こす原因となります。そのため、高度処理型の浄化槽では「凝集脱リン法」を導入し、リンを効果的に除去しています。
【膜処理浄化槽(MBR)のメリット】
膜処理浄化槽(MBR)のメリットは、従来の生物膜法や沈殿分離方式の浄化槽に比べ、処理水質の高さ、省スペース(コンパクトさ)、そして維持管理のしやすさにあります。本方式では、極めて高い処理水質を得ることができます。膜の微細な孔(あな)を用いて固液分離を行うため、SS(浮遊物質)や大腸菌などの細菌類がほぼ通過せず、常に安定した処理水が得られます。また、BODなどの有機汚濁物質の除去だけでなく、高濃度活性汚泥による運転を行うことで、窒素の除去も容易となります。さらに、凝集剤を添加すればリンの除去も可能です。クリプトスポリジウムをはじめとする病原生物の除去性能も高いため、ケースによっては消毒工程を簡略化することもできます。
【石井式合併処理浄化槽について】
①石井式合併浄化槽の処理水はBOD1ppmレベルを保持する。
汚水を生物浄化させるための必要条件
(1)微生物の繁殖
(2)繁殖した微生物の活性化
この(1)、(2)を満足させるためには乳酸菌飲料に使った廃容器(ヤクルト容器など、これに類するもの)をばっ気槽にランダムに投入すればよい。一般的なろ材では、ばっ気槽内の流速は平均毎分6.7m。これに対し、石井式では僅か0.3m/分であり、この遅い流速が生物群を固着させる。その上、ばっ気槽内の酸素(O2)が0から最高の飽和まで一様に分布するため、各種の微生物が繁殖し、活性化を促し浄化力が最高となる。石井式合併浄化槽の水質は、1ppmです。
③脱窒に好適
生物学的に脱窒をはかることが経済的な処理法である。それには脱窒菌を繁殖させること、これには石井式が最適であり、先の河川学会で建設省技官が本システムの脱窒率は71.9%と発表した。(通常の脱窒率:下水道10~20%、合併浄化槽10%以下)
④処理水には大腸菌群が微少
東京大学、佐賀大学の微生物研究者が、ある下水処理場と石井式の大腸菌群を比較したところ、処理水1mlあたり260万個に対し、僅か33個であった。現法規では1mlあたり3000個以内に消毒し放流するよう定められている。
⑤余剰汚泥の僅少
通常の処理法では1年ごとに余剰汚泥を除去するよう、法で定められている。標準活性汚泥法を採用している下水道では、その都度、汚泥の除去をせねばならず、汚泥処分が困難を極めている。石井式を用いている私宅の浄化槽では13年間、又、BSゴルフクラブでは11年間など、ほとんど10ヶ年以上汚泥処分は行なわれずそのまま放置状態を続けている。
⑥メンテナンス・イージー
このように汚泥の発生量も極端に少なく、活性汚泥法のようにMLSSの上限下限の問題点もない。またそれにつきものの汚泥の膨化、解体というトラブルも関係がないため、メンテナンスが容易である。ただブロアーが摩耗するので、2ヶ年に1回程度パッキンの取り替えは必要であるが、最近、家庭用の浄化槽ではタイマー(一定時間毎に断通電する器具)により1日の内、8~12時間のばっ気にしたので、ブロアーのパッキン替えも5ヶ年程度に延びた。
⑦処理水の再利用
トイレ洗浄水へのリサイクルは勿論のこと、庭木の散水、水道水の確保が困難な地域にあっては洗濯水への利用、渇水都市においては水の再利用で石井式の効用は水環境の保全に最適である。その他河川、湖沼水への浄化に利用されはじめているし、海外にあってはカナダではバイオグリーンの名称で盛んに設置されている。 (Tel 0011-604-669-2021)
【石井式合併浄化槽の英語版解説】
FEATURES OF THE ISHII WATER RECYCLING SYSTEM: VITAL TO THE PRESERVATION OF THE HYDROLOGICAL CYCLE
By Dr. Ishii, Dai-ichi Technical University, Japan
1. Maintains a treatment standard of 1 ppm BOD
Two essential conditions that must be present in order to purify wastewater biologically are:
1) the breeding of microorganisms and
2) the continuous maintenance and breeding of microorganisms.
Using conventional contact media, the velocity inside the aeration tank is 6.7 m/min. on average with a minimum of 2.8 m/min. being achieved. The velocity achieved through use of the Ishii system is 0.3 m/min. and this slower speed is well suited to and allows for the adhesion of bio-films and contributes to the purification of wastewater. As the range of dissolved oxygen varies from zero to saturation levels throughout the aeration chambers, the various types of microorganisms breed in their preferred environments within the chamber.
Example: water quality/BOD
Description BOD Typical Inhabitants
1. very clean water 1ppm Yamame (a type of trout)
2. clean water 2ppm Ayu (a sweetfish)
3. rather clean water 3ppm Haya (a dace or minnow)
4. marginally clean 5ppm
5. marginally putrescent 10ppm
6. wastewater 20ppm
2. Ideal for Denitrification (Nitrogen removal)
It is economically practical to biologically measure the amount of denitrification that has occurred within a compound. If you allow for the denitrificans to propagate, as in the Ishii system, optimum results and at a recent Construction Ministry gathering, it was shown that this system resulted in denitrification levels of 71.9%. (typical denitrification levels: sewage water: 10~20%, consolidated treatment systems: under 10%)
3. Disposal water contains minute coliform groups
Researchers at Tokyo and Saga Universities found that in a side by side comparison, effluent from a typical sewage treatment facility contained about 2,600,000 coliform bacteria/ml. whereas a similar sampling of effluent treated with the Ishii system contained only 33 coliform bacteria/ml. Current regulations allow for up to 3,000 coliform bacteria/ml.
4. Minimal Sludge Production
As biomass (mixed liquor suspended solids, MLSS) exceeds a certain amount, the excess MLSS is molecularized and converted into menthane, carbon dioxide, water, sulphur and so on.
The Ishii treatment system installed at my own home has been in operation for 13 years while another system at the BS Golf Club has been in operation for around 11 years. Most installed systems operate maintenance-free for over 10 years.
5. Ease of Maintenance
Maintenance of this system is very easy for the following reasons:
a) the production of sludge is extremely small
b) problems that are usually associated with the activated sludge process are absent, such as limitation of MLSS expansion and dissolution.
The only major upkeep required for this system is maintenance of the blower unit, where worn out components must be replaced every two years or so. For residential units, the maintenance period has been extended for up to five years as a result of a timer that limits the daily operation of the system to an 8 to 12 hour period, corresponding to normal living hours.
6. Recycling of Effluent
The effluent from this system is ideally suited for watering plants, flushing toilets and washing laundry. Furthermore, this system is an efficient and suitable addition to help preserve the hydrological cycle and the environment, especially in cities where water resources are limited.
The Ishii system, distributed under the trade name Biogreen, has been installed in various locations in Canada (0011-604-669-2021)
7. Manufacturer of the Ishii System
Smaller residential units of the Ishii system are supplied by (Tel. 0987-23-3447) whereas larger units are produced and distributed by many manufacturers throughout Japan.
【浄化槽を長持ちさせるためのポイント】
・トイレの洗浄水は十分な量を流してください流す水が少ないと、配管や便器に汚れが残る原因となります。
・便器の清掃には、微生物に影響を与える薬剤を避けてください塩素系や強酸性の洗剤は使用しないでください。浄化槽内の大切な微生物が減少してしまいます。
・トイレットペーパー以外のものは絶対に流さないでください市販のティッシュペーパーやゴミなどを流すと、詰まりの原因になります。
・浄化槽の電源は絶対に切らないでくださいまた、通気口や送風機(ブロワ)の空気吸込口はふさがないようお願いいたします。微生物が活発に働くためには、十分な空気が必要です。
・マンホールの上には物を置かず、フタは常に閉めておいてください安全の確保と、スムーズな定期点検を行うためです。
・消毒剤は切らさないよう、常に補充しておいてください放流口付近で水がしっかりと消毒され、きれいな状態で排水されます。
・台所から野菜くずや天ぷら油などを流さないでください油は紙に染み込ませてゴミとして捨てるか、再利用をお願いいたします。油分や固形物は、浄化槽の機能を著しく低下させます。
【嫌気ろ床槽の構造と働き】
沈殿分離槽や嫌気ろ床槽の過程から出た汚水は、配管を通って浄化槽に入ります。主な役割は、大きな固形物・油脂・浮遊物を物理的に分離し、嫌気性微生物によって有機物の一部を分解することです。
嫌気ろ床槽の構造と働き
・槽の構造: 通常は2つに分かれています。
・ろ材の役割: プラスチック製などのろ材(網目状や板状の充填剤)が詰まっており、汚水が通過する際に固形物を捕捉します。
・微生物による分解: ろ材の表面に付着した嫌気性微生物が有機物を分解(嫌気分解)します。
・脱窒の作用: 後段から循環してきた硝酸性窒素などの脱窒もここで行われます。
・処理の流れ: 第1室で粗大なものを処理し、第2室でさらに細かく処理する段階的な方法が一般的です。
・ろ材の充填率: 第1室で約40%、第2室で約60%程度とする例が多く見られます。
【膜分離活性汚泥法(MBR)】
膜分離活性汚泥法は、従来の活性汚泥法に膜ろ過を組み合わせた排水処理技術です。膜分離活性汚泥法(MBR)は、従来の活性汚泥法に膜ろ過を組み合わせた排水処理の技術でございます。
≪従来の方式との違い≫
従来の活性汚泥法では、沈殿池にて汚泥と処理水を重力によって分離しておりました。膜分離活性汚泥法では、精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いて、水と泥を強制的に分離いたします。
≪主な特徴≫
沈殿池が不要になります。汚泥濃度を高く維持することが可能となります。処理水質が大幅に向上いたします。
≪処理の流れ≫
生物処理槽、膜分離、処理水の排出、汚泥の引き抜き
【膜分離方式の浄化槽について】
膜分離方式(まくぶんりほうしき)の浄化槽は、従来の沈殿槽(ちんでんそう)の代わりに、特殊な「膜」を用いて汚水と微生物(活性汚泥)を確実に分離するシステムです。正式には「膜分離活性汚泥法(まくぶんりかっせいおでいほう)」と呼ばれる技術を導入しています。
処理の大まかな流れ
・流入:汚水が浄化槽内に入ります。
・分解:微生物が汚水中の汚れを分解します。
・ろ過:膜を通してろ過を行います。
・放流:きれいにした水を消毒し、外部へ放流します。
・「膜によるろ過」の詳しい仕組み
槽の中に浸した「精密ろ過膜」を使い、汚泥と濁りのないきれいな水を分離します。この膜の穴(孔)は非常に小さいため、細菌やほとんどの濁り物質を通しません。ポンプによる吸引や、水位の差(水圧)を利用することで、ろ過された極めてクリーンな水だけを安定して取り出すことができます。
【仮設トイレの清掃方法】
仮設トイレの汚れは、泥や砂ぼこりによる汚れと、尿石などの排泄物による汚れの2種類に大別されます。それぞれの汚れに合わせて洗剤を使い分けることが、きれいに落とすための重要なポイントです。
≪基本の清掃手順≫
1. 換気をしっかり行うまずドアを大きく開けて空気を入れ替えます。室内のニオイを効率よく拡散させましょう。
2. 壁や床の泥汚れを落とす。中性洗剤を含ませた雑巾やモップを使い、上から下に向かって拭いていきます。仮設トイレは樹脂(プラスチック)製が多いため、素材を傷めにくい中性洗剤が適しています。
3. 便器内の尿石や黄ばみを落とす。便器の内側やフチの裏側に酸性洗剤を塗布し、数分間放置します。しっかりと浸透時間を置くだけで、汚れが格段に落ちやすくなります。その後、やわらかいブラシなどでこすり落としてください。
4. 水で洗い流し、乾拭きをする。少量の水で洗剤をきれいに洗い流します。最後に乾いたクロスで水分を完全に拭き上げます。水気が残っていると雑菌が繁殖しやすくなり、新たなニオイの原因となるため注意が必要です。
≪清掃頻度の目安≫
週に1度:トイレ全体の定期清掃
毎日:便座の周りやドアノブなど、直接肌や手が触れる場所の拭き掃除
【福岡方式】浄化槽の検査率を劇的に上げた仕組み
福岡方式とは、福岡県が独自に導入した画期的な仕組みです。浄化槽の法定検査(11条検査)を受けやすくし、受検率を大幅に向上させました。
・抱えていた課題
浄化槽の所有者には、法律で定期的な法定検査が義務付けられています。しかし「手続きが面倒」「検査を忘れてしまう」などの理由で、受検率が低い地域が少なくありません。福岡方式は、この受検率の低さを解決するために生まれました。
・仕組みと実現の方法
普段から自宅の保守点検や清掃を行っているお馴染みの業者が、検査の窓口になります。この民間業者と、検査を行う指定検査機関がしっかりと連携(連帯)しています。住民側は、依頼先に悩む必要がなくなり、複雑な手続きの手間が大幅に削減されました。
・導入による効果
業者間の強い連携により、地域の検査体制が強化されました。住民の負担が軽くなったことで、実際の受検率が劇的に上昇しています。
【臭突(しゅうとつ)または臭突管とは】
臭突、あるいは臭突管とは、汚水やし尿が分解される際に発生するメタンガス、アンモニア、硫化水素などの悪臭を、建物の外の気流が良い高い場所へ安全に逃がすための煙突のような設備です。
トイレや浄化槽、排水設備から発生するニオイの混じったガスを室内に漏らすことなく、屋根の上などの高い位置から屋外へ放出する仕組みになっています。通常の煙突が煙を排出するのに対して、こちらはニオイを排出することに特化した管であるため、「臭突」と呼ばれています。
主な用途としては、汲み取り式トイレや簡易水洗トイレなどが挙げられます。便槽(べんそう)のニオイが室内にこもらないよう、便槽からつながる塩化ビニル製などの管を屋根の上までまっすぐ立ち上げます。管の先端には、雨水が入らないように「傘」が取り付けられており、さらに効率よく排気するために電動のファンが設置されているケースが多く見られます。
【活性汚泥法について】
活性汚泥法とは、好気性微生物の働きを利用して汚水中の有機物を分解・除去する、生物学的な排水処理方法です。下水処理場で最も広く使われている方式であり、特に大規模で高度な処理を行うタイプの浄化槽で採用される、主要な処理技術の一つです。
日本の浄化槽(特に合併処理浄化槽)では、生物処理が中心となっています。家庭用の小規模な浄化槽では、接触ばっ気法などの「生物膜法」が主流ですが、活性汚泥法も構造基準にしっかりと位置づけられた処理方式の一つです。
・標準活性汚泥方式
・長時間ばっ気方式
・硝化液循環活性汚泥方式
・膜分離活性汚泥法(MBR):膜を使って汚泥を分離する高度なタイプ
このように、状況や目的に応じた様々な仕組みが存在します。活性汚泥法は大縮尺の施設や性能評価型の浄化槽でよく使われており、下水処理場と同じ原理で非常に高い処理水質を実現できるのが特徴です。
【浄化槽の張り水について】
浄化槽の清掃を行った後、槽内が空になった状態で入れる水のことを「張り水(はりみず)」と呼びます。
浄化槽内の洗浄に使用した水は、原則としてすべて引き抜く必要がありますが、例外的に張り水として再利用できる場合があります。「浄化槽法施行規則(清掃の技術上の基準)」によるルールは以下の通りです。
・張り水に使えない洗浄水
対象の槽: 嫌気ろ床槽、脱窒ろ床槽、消毒室や消毒タンク(消毒槽)などの洗浄水
理由: これらの洗浄水には嫌気性微生物が多く含まれているか、または消毒剤が残っている可能性があり、一次処理側の微生物に悪影響を与えてしまうためです。
・張り水に使える洗浄水
対象の槽: 上記以外の接触曝気(ばっき)槽、沈殿槽などの単位装置の洗浄水
用途: 嫌気ろ床槽や沈殿分離槽などの「一次処理装置」の張り水として使用できます。
理由: 接触曝気槽の洗浄水は、好気性処理を経ているため比較的きれいです。嫌気性微生物や消毒剤による悪影響もないため、嫌気ろ床第1室などの一次処理側の張り水として適しています。
【みなし浄化槽とは】
これは以前から使用されていた「単独処理浄化槽」のことです。平成13年の浄化槽法改正により、新しく設置することは禁止されました。しかし、すでに設置されているものを急に撤去することは難しいため、「浄化槽とみなして管理する」という扱いになりました。そのため、現在では「みなし浄化槽」と呼ばれています。
【単独処理浄化槽の仕組み】
処理する対象は、トイレの汚水(し尿)のみです。台所、お風呂、洗濯、洗面所などから出る「生活雑排水」は処理されません。つまり、トイレ以外の汚れた水は、そのまま川や側溝に流れてしまう仕組みになっています。
「単独処理浄化槽は生活雑排水が混ざらないため、処理効率が高い」と言われることがありますが、これは誤解です。本来「処理効率が高い」とは、汚れた水を綺麗にする力が強いという意味を指します。
ここで、具体的な例を挙げてみましょう。し尿の汚れの量を13gと仮定します。単独処理浄化槽はし尿の汚れを65%除去できるため、計算すると有機物の汚れは約5gにまで減ります。しかし、残りの生活雑排水は一切処理されないため、全く綺麗にならないまま河川へと流れ出てしまいます。
このように、単独処理浄化槽はトイレの汚水だけを処理し、その他の生活雑排水はそのまま流してしまう仕組みです。そのため、「他の排水が混ざらないから効率が良い」というわけではありません。実際には、すべての排水を綺麗にする「合併処理浄化槽」に比べて、約8倍もの汚れを環境中に流してしまっているのが現状です。
【家庭用浄化槽の概要】
家庭用浄化槽は、下水道が整備されていない地域において、各家庭から出る生活雑排水を微生物の力で浄化して河川などへ放流する、日本独自の分散型水処理施設です。現在、一般家庭に普及している「合併処理浄化槽」の規模は、主に5人槽、7人槽、10人槽の3つのタイプが中心となっています。
主な種類とそれぞれの概要は次の通りです。
1. 単独処理浄化槽(みなし浄化槽)
こちらはトイレのし尿のみを処理するシステムです。台所やお風呂、洗濯などの生活雑排水は未処理のまま流されてしまうため、環境への汚濁負荷が合併処理浄化槽に比べて約8倍と非常に大きいという課題があります。そのため、2001年(平成13年)4月からは新設が原則禁止されており、すでに設置されているものについても合併処理浄化槽への転換が強く推奨されています。
2. 合併処理浄化槽
こちらはし尿だけでなく、生活雑排水も含めたすべての排水をまとめて処理するシステムです。BOD除去率は90%以上、放流水質はBOD 20mg/L以下を基本としており、公共下水道の二次処理(一般的な下水処理場での浄化)とほぼ同等の優れた性能を持っています。戸建て住宅向けとしては、主に5人槽・7人槽・10人槽が用意されており、建築基準法に定められた処理対象人員の算定基準に基づいて、住宅の延べ床面積などから適切な大きさが選定されます。
【浄化槽の種汚泥について】
浄化槽では、汚水をきれいにするために微生物が重要な役割を果たしています。この微生物の塊や、繁殖の元となるものを「種汚泥」と呼びます。この種汚泥をしっかりと増やし、活発な状態に保つことで、浄化槽の処理能力が安定し、向上します。
そのために必要なのは、次の3つのポイントを正しく実践することです。
① エサの供給
② 酸素の調整
③ 市販のシーディング剤の投入
③のシーディング剤については、種汚泥が減ってしまった時、浄化槽の使い始め(立ち上げ時)、または調子が悪いときに、外部から微生物を補充する方法です。「シーディング剤」や「バイオ製剤」と呼ばれる市販の製品を使用することで、処理に役立つバクテリアを増やすことができます。ただし、ただ投入すればよいというわけではなく、効果を出すためには「タイミング」「量」「種類」を正しく選ぶ必要があります。
■ 要点種汚泥を増やし、元気に保つためには、「適量のエサ」+「適度な酸素」+「必要に応じた微生物の補充」の3つのバランスが特に大切です。
【家庭用浄化槽のトイレ用洗剤】
家庭用浄化槽を設置されているトイレの洗剤選びで、最も注意すべき点は「微生物(バクテリア)への影響を抑えること」と「洗剤を使いすぎないこと」です。
なぜ塩素系の洗剤が問題になりやすいのかと言いますと、浄化槽は微生物の働きによって汚水を分解・浄化しているからです。次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系洗剤には強力な殺菌・漂白作用があるため、大量に流してしまうと、浄化槽内の微生物を死滅させたり、その働きを大きく低下させたりしてしまいます。
その結果、浄化槽の処理能力が落ち、悪臭の発生や水質の悪化などを引き起こしやすくなります。また、一度低下した浄化槽の能力を元に戻すには、多くの時間がかかるケースもあります。
ただし、塩素系洗剤を「絶対に使ってはいけない」というわけではありません。「普段のお掃除で適量を使用し、しっかりと水で洗い流す程度であれば大きな問題にはなりにくい」という専門業者の声も多く聞かれます。トラブルに繋がりやすいのは、「一度に大量の洗剤を流すこと」や「頻繁に使い続けること」ですので、使用量や頻度には十分ご注意ください。
【BOD(生物化学的酸素要求量)とは】
浄化槽の水質検査で測るこちらは、水の中にどれほどの「有機物の汚れ」が含まれているかを分かりやすく示す指標です。なぜ酸素の量を測定するのかと言いますと、水の中に食べ物の残りカス、し尿、洗剤などの有機物が増えると、それを分解するために「好気性微生物(酸素を好む微生物)」が繁殖するためです。微生物が有機物を分解する際には、多くの酸素が消費されます。そのため、「消費された酸素の量」を「汚れの量」と見なして測定を行います。BODの数値が高いことは、汚れが多く水が汚れている状態を意味し、数値が低いことは、汚れが少なく水がきれいな状態であることを示しています。
なお、公的な定義では以下の条件で測定することと定められています。
・温度:20℃
・期間:5日間
・内容:微生物が有機物を酸化分解する際に消費する酸素の量(単位:mg/L)
【浄化槽の消毒槽について】
使用する薬剤は、主に塩素系の薬剤です。具体的には、次亜塩素酸カルシウムの錠剤や顆粒、または次亜塩素酸ナトリウム溶液などが用いられます。
綺麗になった上澄み水が消毒槽に入ると、これらの薬剤と接触・混合されます。塩素が微生物の細胞を酸化・破壊することで、大腸菌などの病原菌を不活性化(死滅)させます。
薬剤との接触時間を十分に確保するため、消毒槽には水が一定時間とどまる(滞留する)ような設計がなされています。※放流基準では、大腸菌群数が一定値以下になるよう管理されています(日本の放流水質基準では、大腸菌群数は1mLあたり3,000個以下などと定められています)。
【浄化槽からニオイが発生する主な原因】
浄化槽から異臭がする場合、主に以下の3つの原因が考えられます。
1. ブロアーの不調や停止
浄化槽の中では、空気を送り込むことで微生物が活発に働き、水をきれいにしています。しかし、ブロアーが故障などで止まってしまうと、槽内の酸素が不足してしまいます。その結果、微生物が働けなくなり、ニオイの原因物質が分解されにくくなってしまいます。
2. 微生物(バクテリア)の減少や死滅
汚水を分解してきれいにするのは、浄化槽内に住む微生物の役割です。洗剤や薬品の使いすぎ、または長期間お使いにならなかったことなどが原因で微生物が弱ってしまうと、汚れの分解が追いつかなくなり、ニオイが発生しやすくなります。
3. 清掃(汲み取り)の不足
浄化槽は定期的な清掃が必要です。長期間汚泥の汲み取りを行わないと、槽の中に汚れが溜まりすぎてしまいます。これにより全体のバランスが崩れ、強いニオイの原因となってしまいます。
【消毒槽の構造】
消毒槽は比較的小さな容量で、沈殿槽の後に配置されています。多くの機種では、薬剤を自動的に供給する仕組み(薬剤筒など)が備わっています。また、浄化槽によっては、薬剤が均一に混ざり合うように、水流をコントロールしたりバッフル板(整流板)を設けたりする工夫が施されています。
【浄化槽ブロア故障時の影響について】
浄化槽のブロア(送風機)が故障しますと、槽内に空気が送られなくなってしまいます。その結果、以下のような問題が短期間のうちに発生いたします。
1. 微生物の死滅
浄化槽の中では、酸素を好む「好気性微生物」が汚水の中の汚れを分解し、水を綺麗にしています。ブロアが止まると酸素の供給が途絶えるため、これらの微生物が活動できなくなり死滅してしまいます。その結果、汚水を浄化する能力が失われ、浄化槽としての機能がほぼ停止してしまいます。
2. 強い悪臭の発生
酸素がなくなると、浄化槽内は酸素のない「嫌気状態」へと変化します。すると、溜まっていた汚れが腐敗し始め、硫化水素などの強い悪臭ガスが発生いたします。このニオイがご自宅の中や周囲にまで広がり、非常に不快な環境になってしまいます。
3. 水質の悪化
微生物が働かなくなった汚水は、ほとんど処理されないまま放流されることになります。その結果、近くの川や排水路を汚染してしまったり、環境基準を超える汚れた水がそのまま流れ出たりする原因となります。
【浄化槽の規模】
浄化槽の大きさは「〇人槽」という単位で表示されております。これは「処理対象人員」と呼ばれるもので、実際に居住する人数ではなく、建物の用途や規模から法律に基づいて機械的に算出された数値です。
現在、算定の基準となっているのは、建築基準法に基づく日本産業規格(JIS)の「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準」(JIS A 3302-2000)です。
多くの自治体では、延べ床面積130㎡を基準の境界として採用しています。ただし、JISの注記に「この値は、その地域の住宅の平均的な延べ面積に応じて増減できる」と定められているため、自治体によっては少し緩やかな基準を設けているケースもございます。
また、条件によっては10人槽となる場合もございます。例えば、二世帯住宅などで台所と浴室がそれぞれ2か所以上ある場合は、原則として10人槽が適用されます。
【嫌気ろ床接触ばっ気方式の概説】
まず、家庭から汚水が流れ込みます。
最初に入るのは「嫌気(けんき)ろ床槽」です。ここでは、汚水に含まれる固形物を分離して貯留します。酸素のない環境で活動する「嫌気性微生物」が、汚れ(有機物)を分解していくのが特徴です。最初の槽で大きな固形物を沈殿させ、次の槽でさらに分解を進めるというイメージです。
続いて、「接触ばっ気槽」へと移ります。こちらにはブロワ(送風機)から常に空気が送り込まれており、酸素が豊富な状態が保たれています。ここでは、酸素を好む「好気性微生物」が、残った汚れ(有機物)をさらにきれいに分解します。
その後、「沈殿槽」へと進み、ここまでの処理の過程で発生した浮遊物や、微生物の塊(汚泥)を底に沈めます。
最後は「消毒槽」です。固形の塩素剤を使用して衛生的に消毒を行い、安全な水として河川などへ放流します。
【接触曝気槽(せっしょくばっきそう)について】
・曝気(ばっき)とは?
曝気とは、空気を汚水としっかりと混ぜ合わせ、酸素を供給する操作のことです。液体と空気を接触させる作業全般を指します。
・接触曝気槽では何を行っているのか?
この水槽の中には、微生物が定着しやすいように作られた「接触材(せっしょくざい)」が入っています。この接触材の表面には、好気性微生物が膜のようにびっしりと付着しており、これを「生物膜(せいぶつまく)」と呼びます。槽内では、ブロワ(送風機)で空気を送り込みながら、汚水を接触材に繰り返し接触・循環させています。その結果、汚水の中に含まれる有機物が、微生物の働きによってさらに分解・浄化されます。
・まとめ
一言で申し上げますと、接触曝気槽は「空気を送り込みながら、微生物が定着している接触材に汚水を触れさせることで、水の汚れを綺麗にする場所」です。
【浄化槽の担体押さえ面】
浄化槽の「担体押さえ面(たんたいおさえめん)」についてご説明いたします。
生物ろ過槽の中には、微生物が定着するための「担体」と呼ばれるろ材が大量に入っています。この担体が外へ流れ出ないように、槽の上部を網や板で固定している部分が「担体押さえ面」です。イメージとしては、容器の蓋や金網、メッシュ状の板を想像してください。
ろ材部分で詰まりが発生している場合、その多くは担体自体が汚泥や生物膜で汚れているだけではありません。担体を固定している網や板(担体押さえ面)にも汚泥やスカム(浮きかす)がびっしりと付着し、目詰まりを起こしているケースが多々あります。
担体押さえ面が詰まると、水が上から下へとスムーズに流れなくなります。さらに、逆洗(ぎゃくせん)を行う際の空気も通りにくくなるため、結果として水位が上昇しやすくなってしまいます。
そのため、担体押さえ面をブラシや水圧で洗浄し、目詰まりを解消する作業は、詰まりの原因を直接取り除く重要なメンテナンスです。浄化槽の正常な機能を維持管理する上で、非常に大切な作業の一つといえます。
【浄化槽と川の自浄作用の関係】
浄化槽の仕組みと役割浄化槽は、家庭から排出される生活雑排水を、微生物の力を借りて綺麗にする装置です。これは、川が本来持っている「自浄作用」を、人工的に作った小さな川のような設備で再現しています。
接触材の重要性槽内には、川の礫(小石)の役割を果たすものとして、プラスチックなどの特殊な素材で作られた「接触材」が大量に設置されています。汚水がこの接触材の隙間を通過することで、汚れが接触して沈殿したり、吸着されたりする現象が効率よく起こるようになります。
微生物の働き
接触材の表面には、微生物の膜(生物膜)が形成されます。
酸素が少ない環境では「嫌気性微生物」が働きます。
空気が十分に供給される環境では「好気性微生物」が活発になります。
これらの微生物が汚れをエサとして取り込み、酸化分解を行います。この働きにより、最終的に有機物の汚れは水や炭酸ガスなどに分解され、きれいな水へと生まれ変わります。
【ホシチョウバエの幼虫と浄化槽】
遊泳能力の欠如: カの幼虫(ボウフラ)は水中を活発に泳ぎ回り、水面に逆さにぶら下がって呼吸管から空気を吸います。一方、ホシチョウバエの幼虫は体をくねらせて這うように動きます。そのため、何かに体をくっつける場所がないと安定して動けず、呼吸もうまくできません。
生息と呼吸の仕組み: 幼虫は頭部を汚泥や有機物に潜らせて細菌や有機物を食べ、お腹の後ろにある呼吸管だけを水面に出して空気を吸います。
スカムの重要性: 浄化槽では、汚水中の油脂や固形物が浮かび上がってスカム(浮遊汚泥)が形成されます。このスカムが幼虫にとって理想的な環境となります。つまり、スカムなど体を付着させるものがないと生育できません。
繁殖しやすい条件: 浄化槽は「常に水分がある」「有機物が豊富」「暗くて比較的温暖」「成虫が侵入して産卵しやすい」という条件が揃っているため、ホシチョウバエの幼虫が繁殖しやすい場所です。
対策: 浄化槽のスカムを定期的に除去したり破砕したりする清掃を行い、適切に管理することで幼虫の発生を抑えやすくなります。
【浄化槽清掃のご案内】
浄化槽の清掃は、浄化槽法に基づき、浄化槽管理者(所有者など)の皆様に義務付けられている大変重要な維持管理作業です。
環境省の解説でも強調されている通り、浄化槽内に少しずつ蓄積する「水に溶けない固形物」や「汚泥」をそのまま放置してしまうと、悪臭の発生や放流水の水質悪化を招き、周辺環境に悪影響を及ぼす原因となります。
浄化槽の清掃とは、槽内に生じた汚泥やスカム(浮きかす)の引き出し、引き出し後の槽内汚泥の調整、および各単位装置や付属機器類の洗浄などを行う一連の作業を指します。
主な作業内容は、以下の通りです。
・汚泥やスカムの引き抜き
・各装置やインバートますなどの付着物・沈殿物の除去と洗浄
・必要に応じた各種機器類の洗浄
・引き出した汚泥の適正な処理
【みなし浄化槽について】
単独処理浄化槽は「みなし浄化槽」とも呼ばれており、し尿(トイレの排水)のみを処理する旧来型の浄化槽のことです。お風呂や台所、洗濯などの生活雑排水は、処理されずにそのまま川などに流されてしまうため、水質汚濁の原因となっていました。
その後、平成13年(2001年)4月1日の浄化槽法改正にともない、浄化槽の定義が「合併処理浄化槽」に限定されることになりました。それ以前に設置された単独処理浄化槽については、法律上で「浄化槽とみなす」とされたため、現在は「みなし浄化槽」と呼ばれています。なお、保守点検や清掃などの義務については、通常の浄化槽と同様に適用されます。
現在、原則として単独処理浄化槽の新設は禁止されています。すでに設置されているものはそのままご使用いただけますが、合併処理浄化槽への転換が努力義務とされています。
【「浄化槽法の一部を改正する法律」(令和元年法律第40号)】
「浄化槽法の一部を改正する法律」(令和元年法律第40号)の公布前は、すでに使用されていた浄化槽の約半数(380万基程度)が、まだ単独処理浄化槽のままでした。
単独処理浄化槽はし尿のみを処理するため、台所やお風呂、洗濯などの生活雑排水はそのまま川や海に流れてしまい、水質汚濁の大きな原因になっています。さらに、設置から40年以上が経過した古い単独処理浄化槽も多く、破損や漏水が進んでいるため、し尿さえも適切に処理されていない可能性がありました。
こうした状況に対応するため、この改正法律は、合併処理浄化槽への転換を促すことと、浄化槽の管理を強化することを目的として公布されました。
【浄化槽ブロアの役割】
ブロアは、曝気(ばっき)槽に空気を送り込むための装置です。通常は浄化槽本体から少し離れた、雨の当たらない場所に設置されています。
この装置には、空気を送り込んで汚水を撹拌(かくはん)するだけでなく、好気性微生物に酸素を供給して繁殖を促すという重要な役割があります。
万が一、ブロアが故障してしまうと、短時間で好気性微生物が死滅してしまいます。その結果、悪臭が発生したり、浄化機能が大幅に低下したりする原因となります。
ブロアは「浄化槽の心臓」と呼ばれるほど非常に重要な役割を担っており、24時間年中無休で稼働し続けています。そのため、普段と違う異音に気づいたり、完全に停止しているのを見つけたりした場合は、速やかに点検を依頼する必要があります。
【浄化槽とトイレットペーパーの窒素量について】
トイレットペーパーは、木や竹などの植物を原料としたパルプから作られています。このパルプの主な成分はセルロースです。セルロースは基本的に炭素・水素・酸素のみで構成されており、窒素は含まれていません。植物の繊維そのものであるため、トイレットペーパーは人間の体から排出されるし尿とは成分が異なります。
つまり、トイレットペーパーを多く使用しても、それが原因で窒素が増えるという現象は起きません。窒素が増加するのは、し尿の量や濃度が増えた場合です。トイレットペーパーの使用量が増えた場合に増加するのは、SS(浮遊物質)やBOD(生物化学的酸素要求量)となります。
窒素は主に、尿に含まれる尿素に由来します。トイレットペーパーには窒素もタンパク質もほとんど含まれていないため、この紙をどれだけ流しても窒素の量はほぼ変わりません。
ただし、紙の繊維が大量に浄化槽へ流れ込むと、槽内が汚れたり詰まったりする原因になります。
結論として、トイレットペーパーの使用量が増えても、窒素量が増えることはありません。
【BODの性質と浄化槽の処理プロセスについて】
BOD(生物化学的酸素要求量)は、水の汚れ(有機物)の度合いを表す代表的な指標です。微生物が有機物を分解するときに消費する酸素の量を測定したもので、この数値が高いほど、水が汚れていることを示します。汚水に含まれる有機物の汚れは、大きく分けて「不溶性(固形物や浮遊物など)」と「可溶性(水に溶けているもの)」の2種類があります。
汚水における不溶性・可溶性成分の特徴
家庭や建物から出るトイレのし尿、台所の食べ残し、洗濯の汚れなどは、発生した時点ではそのほとんどが固形や半固形の状態です。これらは配管を通って浄化槽に流れ込むまでに、一部は水に溶け(可溶化)、一部は混ざり合った(懸濁した)状態で流入します。そのため、汚水には水に溶けない「不溶性の汚れ」がかなりの割合で含まれています。もし、これらの固形物(不溶性BOD)をそのままにしておくと、その後に続く微生物による処理プロセスに大きな負荷がかかってしまいます。しかし、最初に固形物をしっかりと物理的に取り除くことができれば、BOD(汚れ)の大きな部分をはじめに効率よく減少させることができます。
汚れの性質に応じた浄化槽の処理プロセス
浄化槽では、「物理的に取り除ける不溶性の汚れ」と「微生物に分解させる可溶性の汚れ」のそれぞれの性質に合わせ、次のような非常に合理的な順番で処理を行っています。
1. 一次処理(物理的な分離)沈殿分離槽や夾雑物(きょうざつぶつ)除去槽などで、大きな固形物やスカム(浮いた汚れの塊)を物理的に沈殿・分離して溜めます。ここでは、まず不溶性BODの多くを取り除きます。
2. 二次処理(微生物による生物分解)曝気(ばっき)槽や接触曝気槽などで空気を送り込み、微生物の働きによって、水に溶けている可溶性の有機物や、一次処理をすり抜けた細かな汚れを分解・摂取させます。
3. 沈殿処理(固液分離と仕上げ)沈殿槽で、汚れを食べて大きく増殖した微生物の塊(活性汚泥や剥離した生物膜)を底に沈め、きれいな上澄み水だけを放流します。この段階で、浮遊物質(SS)とともに、微生物の体に姿を変えた汚れもきれいに取り除かれます。
汚水には多くの固形物(不溶性BOD)が含まれているため、浄化槽ではまず「固形物を物理的に取り除き(一次処理)」、その後に残った溶けている汚れを「微生物に食べさせて分解し(二次処理)」、最後にそれらを「沈殿させて仕上げる」という、非常に無駄のないシステムでクリーンな水へと浄化しています。
【合併処理浄化槽と単独処理浄化槽について】
そもそも浄化槽とは、下水道が整備されていない地域に設置される装置のことです。家庭から出る汚水をきれいにしてから川や海へ流す役割を持っています。具体的には、トイレのし尿や生活雑排水を微生物の力で分解・浄化します。
■ 合併処理浄化槽とは合併処理浄化槽は、トイレの汚水だけでなく、台所やお風呂、洗面所などから出るすべての生活雑排水をまとめて処理する装置です。家庭から出るすべての汚水をきれいにしてから放流するため、川や海を汚しにくく、環境に優しいという特徴があります。現在、浄化槽を新しく設置する場合は、原則としてこの合併処理浄化槽のみと定められています。
■ 単独処理浄化槽とは単独処理浄化槽が処理するのは、トイレの汚水のみとなります。台所やお風呂、洗面所などからの生活雑排水は処理されないため、そのまま側溝などを通って川や海に流れてしまいます。そのため、河川や海洋汚染の原因の一つとなっています。なお、法改正にともない、平成13年(2001年)4月以降は原則として新しく設置することができなくなりました。
【浄化槽の清掃について】
浄化槽の清掃においては、汚泥、スカム(浮きかす)、洗浄水を含めた「全量を引き出すこと」が基本的な基準とされています。
なぜ全量を引き抜く必要があるのか
第1室は、流れ込んできた汚水が最初に入る場所です。そのため、大きな固形物やトイレットペーパー、異物、そして重い汚泥が集中して蓄積されます。もしここに汚泥を中途半端に残してしまうと、ろ材(微生物が付着するフィルター)がすぐに詰まりやすくなります。その結果、次に続く第2室や接触曝気槽(ばっきそう)などの二次処理工程に悪影響を及ぼしてしまいます。このような理由から、浄化槽法施行規則の「清掃技術上の基準」や各メーカーの解説書でも、第1室は全量を引き抜くよう定められています。
正しい清掃の手順
ろ床の閉塞(目詰まり)を防ぐためには、作業の順番が非常に重要です。
・上部スカムの引き抜きまずは、上部に浮いているスカムを先に引き抜きます。棒などでスカムを細かく砕きながら、ホースを使って表面から吸い取っていきます。このとき、底部から先に引き抜いてはいけません。水位が下がると、スカムや上部の堆積物がろ材の中に入り込んでしまい、目詰まりの原因になります。
・ろ床部汚泥の引き抜き次に、ろ床部の汚泥を引き抜きます。ろ材の表面が見えるようになるまで、ろ床の上に溜まった汚泥を丁寧に吸い取ります。
・底部汚泥の全量引き抜きと洗浄続いて、底部の汚泥をすべて引き抜き、洗浄を行います。清掃用の穴からホースを底部まで差し込み、汚泥を全量引き抜きます。ろ材の内部や槽の壁に付着した汚泥は、高圧水で洗い落としながら、その洗浄水と同時に引き抜いていきます。このとき、洗浄に使用した水も残さず全量引き抜きます。
・内部の確認引き抜きが終わったら、内部の確認を行います。ろ材や内部の部品に破損や異常がないかをしっかりとチェックします。
・水張り最後に水張りを行います。清掃が完了した後は、所定の水準目安線(満水線)まで再び水を張ります。
【浄化槽ではSSが重要です】
SS(Suspended Solids:浮遊物質量)とは、水の中に浮かんだり漂ったりしている「溶けない小さなゴミや粒子」の量を表す指標です。
なぜ浄化槽でSSが重要なのか
浄化槽は、汚水の中の汚れを「沈める」「分解する」「ろ過する」という工程を経て、水を綺麗にしています。SSはまさに、沈殿やろ過によって取り除くべき汚れの代表と言えます。
SSが多い場合に起こる4つの問題
水中のSSが多い状態が続くと、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。
1. 放流水が濁るSSが多いと水が白く濁ったり、透視度が下がったりします。見た目が悪くなるだけでなく、放流基準の数値を超えてしまう原因になります。
2. 微生物の働きを邪魔する水中の粒子が多いと、曝気(ばっき)槽の中で酸素が行き渡りにくくなります。その結果、汚れを分解してくれる微生物がうまく働けなくなってしまいます。
3. 汚泥が増えやすくなるSSの多くは、最終的に「汚泥(おでい)」として槽内に留まります。SSが多い状態が続くと汚泥が溜まるスピードが早まり、汚泥の引き抜き(清掃)頻度が増えたり、浄化槽内が詰まったりしやすくなります。
4. 配管や装置のトラブル微細な粒子が配管やポンプ、散気管(空気を出す管)などに溜まることで、詰まりや故障を引き起こす原因になります。
浄化槽でのSSへの対策
浄化槽内では、それぞれの槽が連携してSSを処理しています。
・沈殿槽:重い粒子を底に沈めて取り除きます。
・曝気槽・接触曝気槽:微生物が有機物を分解しながら、細かい粒子を塊(フロック)にして沈みやすくします。
・最終沈殿槽・ろ過層:残った粒子をさらに沈殿・ろ過させ、仕上げとして水を綺麗にします。
浄化槽法に基づく法定検査や水質検査においても、SSは非常に重要なチェック項目の1つです。法律の放流基準でも「SS ○○mg/L以下」といった明確な数値が定められています。
要点
SSは水の中に浮いている「溶けない粒子」の量のことです。浄化槽において、このSSをしっかり沈殿・分解・ろ過して減らすことが、綺麗な水を放流するための基本となります。「SSが多い=濁りが強く、処理がうまくいっていないサイン」と捉えていただくと非常に理解しやすいかと思います。
【浄化槽と洗剤の薬剤について】
便器の清掃などでよく使われる薬剤(塩素系漂白剤、強酸性・強アルカリ性洗浄剤)は、以下のようなメカニズムで浄化槽内の微生物に悪影響を及ぼします。
1. 細胞膜やタンパク質の破壊
塩素系の薬剤は強力な酸化剤として働くため、細菌の細胞膜や酵素タンパク質を破壊してしまいます。その結果、微生物が死滅したり、活動を停止したりします。
2. pH(ピーエイチ)の急激な変化
強酸性や強アルカリ性の薬剤は、浄化槽内のpHを急激に変化させます。微生物は特定のpH範囲でしか酵素が正常に機能しないため、この急激な変化によって活動が大幅に低下してしまいます。
3. 抗菌・殺菌成分の残留
抗菌剤や一部の洗剤成分は、浄化槽に流れ込んだ後もすぐには分解されません。そのため、微生物の増殖を長期間にわたって抑制してしまいます。結果として、汚物の分解に必要な菌が減少し、浄化能力が弱くなってしまいます。
4. 連鎖的な影響
微生物が減少すると有機物の分解が遅くなり、処理された水の画質(水質)が悪化します。さらに、好気性微生物(酸素を好む菌)に必要なブロワー(エアーポンプ)の効果が相対的に低下するなど、システム全体のバランスが崩れてしまいます。
【浄化槽で用いるBOD測定の仕組み】
BOD(生物化学的酸素要求量)とは、水の中に含まれる有機物(汚れ)を微生物が分解する際に、消費される酸素の量を測定する指標です。そのため、正確に測定を行うには、微生物が活発に活動できる環境であることが絶対条件となります。
工場排水でBODが検出されにくい理由
工場排水には、一般的な生活排水とは異なる成分が混ざっていることがあり、BODが低く出やすい傾向があります。その理由は、大きく分けて2つあります。
1. 難分解性の有機物が含まれているため
・微生物がほとんど分解できないタイプの有機物です。
・具体例:特定の合成化学物質や、プラスチック由来の物質など。
・影響:水の中に有機物自体は存在しているものの、微生物がそれを食べることができません。結果として酸素がほとんど消費されないため、BODの数値は低く測定されます。
2. 重金属などの有毒物質が含まれているため
・微生物の活動を妨げたり、死滅(殺菌)させてしまったりする物質です。
・具体例:銅、クロム、水銀などの重金属や、強い薬品類など。
・具体例:銅、クロム、水銀などの重金属や、強い薬品類など。
一般的な排水との違い
・河川の水や生活雑排水
微生物にとって栄養となる有用な成分が含まれています。そのため、微生物が活発に動き、多くの酸素を消費することから、有機物の量に応じてBODの数値が高く現れます。
・一部の工場排水
微生物が摂取できない分解しにくい成分や、有害な成分が含まれています。微生物が有機物に接触できなかったり、死滅したりしてしまうため、酸素はほとんど消費されません。
工場排水の場合、実際に有機物が含まれていたとしても、それが必ずBODの数値として反映されるとは限りません。微生物が正常に働けない環境においては、BODの数値が実態より低く出たり、測定自体が困難になったりすることがあります。
【膜分離活性汚泥法(MBR)について】
微生物が汚水を綺麗にしてくれても、処理槽の中には大量の微生物が残っています。つまり、槽の中は「処理水+微生物(活性汚泥)」という状態です。このままでは川などに流すことはできません。そこで、一般的な活性汚泥法では、通常「沈殿槽(ちんでんそう)」を用います。微生物は重いため、時間をかけると下に沈んでいきます。その上澄みの水を取り出すことで、固体(微生物)と水を分離しているのです。一方、MBR(膜分離活性汚泥法)では、微生物を沈めるのではなく、膜でろ過(こす)をします。ここが従来の活性汚泥法との大きな違いです。MBRでは沈殿槽の代わりに、「MF膜(精密ろ過膜)」や「UF膜(限界ろ過膜)」を使用します。つまり、従来の活性汚泥法は「微生物を沈めて水と分ける」のに対し、MBRは「微生物を膜でこしとって水と分ける」という違いがあります。
・MF膜とUF膜とは?
膜と言っても、単なる膜ではありません。非常に小さな孔(あな)がたくさん開いたフィルターのことです。微生物のような大きなものは通さず、小さな水分子だけを通すという働きをします。
【浄化槽の水は河川に流れます】
浄化槽は、家庭ごとにそれぞれ設置される「個別分散型」の施設です。一方で下水道は、広い地域の排水を大きな処理場にまとめて運んで処理する「集中型」の施設です。この仕組みの違いが、小さな河川の水量に影響を与えます。
では、なぜ浄化槽の方が小さな河川の流量維持に役立つのでしょうか。それは、処理した水の放流場所が近いからです。
浄化槽で綺麗にされた水は、その家の近くにある側溝や小さな水路、あるいは小さな河川にすぐ放流されます。つまり、家の周りの小さな川や水路に、日常的に水が補給されることになります。
これに対して、下水道の場合はどうなるでしょうか。下水道では、各家庭の排水が太い管を通って、遠くにある大きな下水処理場まで運ばれます。そして、処理された水は処理場の近くにある大きな川や海などにまとめて放流されます。その結果、もともと身近にあった小さな川や水路には、以前よりも水が流れにくくなってしまいます。
結果として、浄化槽が多い地域では小さな川や水路に水が残りやすく、流量が維持されやすくなります。一方で、下水道が普及した地域では、小さな河川の流量が減少しやすくなります。
イメージに例えると以下の通りです。
浄化槽: 各家庭が、自宅の庭の近くにある小さな小川に、綺麗にした水を少しずつ流しているイメージです。
下水道: 各家庭が、水を太いホースで遠くの大きな川まで運んでいるイメージです。
【ばっ気とは何か?】
「ばっ気」とは、液体に空気を接触させて、酸素などを溶け込ませるプロセスのことを言います。
ミクロの視点で見ると、ブロア(送風機)から送られた空気の泡が汚水中を上昇する際、気泡と液体の境界で「二膜理論」と呼ばれるガス交換が発生します。これにより、酸素分子が気体側から液体側へと拡散し、水中に「溶存酸素」として溶け込んでいきます。
水中の好気性微生物は、細胞呼吸を行う際に、この溶存酸素を「電子受容体」として利用します。微生物が有機物を酸化分解する際、電子伝達系の最終段階で酸素が水へと還元されることにより、生命活動に必要なエネルギー(ATP)を獲得しています。
【浄化槽の仕組み】
浄化槽は、嫌気(けんき)ろ床槽、接触曝気(ばっき)槽、沈殿槽、そして消毒・放流という一連の工程から成り立っています。ここでは、その最初のステップである「嫌気ろ床槽」について詳しく解説いたします。
嫌気ろ床槽は、家庭などから出た汚水が最初に流れ込む大切な槽です。ここでは、主に次の2つのステップで水をきれいにしています。
・固形物のキャッチ
汚水に含まれる大きな固形物は、プラスチックなどで作られた「ろ材」に引っかかることで、その大部分が取り除かれます。
・微生物による分解
ろ材の表面には、「嫌気性微生物」という酸素のない環境で活発に活動する微生物が付着しています。この微生物たちが、水に溶け込んでいる汚れの成分(有機物)を分解・除去してくれます。
嫌気ろ床槽では、このような「一次処理」が行われ、汚れの一部がしっかりと分解されます。なお、浄化槽の構造によっては、ろ材のない「沈殿分離槽」が使われることもあります。しかし、固形物を沈殿させて分離し、嫌気性微生物の働きによって汚れを分解するという基本的な機能や仕組みは、どちらもほぼ同じです。
【浄化槽の主な特徴】
1. 優れた処理性能
下水処理場と同等のきれいさまで汚水を処理することが可能です(BOD 20mg/L以下、除去率90%以上)。さらに、窒素やリンの除去など、より高度な水質処理にも対応しています。
2. 省スペースかつ迅速な設置効果
個人住宅用の大きさは乗用車1台分程度と非常にコンパクトで、地中に埋設するため目立ちません。工事はおおむね1週間程度で完了し、設置後すぐに効果を発揮します。
3. 普段通りの生活で水質を改善
各ご家庭からの排水方法はこれまでと変わらず、流す水そのものの質だけが良くなります。また、処理した水をその場で自然に返すため、河川の流量を安定的に保つことにも貢献します。
4. 災害(地震など)への強さ
長い下水管を必要としない「個別処理方式」を採用しているため、万が一地震などで管路が破損した場合でも、その影響を最小限に抑えることができます。
【浄化槽における嫌気性微生物の働き】
この微生物は、酸素を使わずに有機物を分解(酸化)し、別の硝酸や硫酸、あるいは有機物自体を還元することによってエネルギーを得ています。細胞レベルにおいては、細胞外酵素による前処理、細胞内での嫌気的代謝経路(解糖系から発酵・呼吸への移行)、そして代謝産物のやり取りによる微生物群の共生が同時に進行しています。好気性処理(酸素を必要とする処理)に比べると増殖速度は遅く、分解の進み方も穏やかですが、「汚泥の発生量が少ない」「窒素の除去に貢献する」という大きな利点があります。これが家庭用浄化槽における、嫌気性微生物の基本的な働きです。実際の浄化槽内では、ろ材の目詰まり、温度やpH(水素イオン指数)の変化によって微生物の活動が変動するため、定期的な維持管理が非常に重要となります。
【高度処理型脱窒ろ床ばっ気方式とは】
日本の「中規模・小規模の合併処理浄化槽」で採用されている高度処理方式の一つです。通常のBOD除去に加え、窒素の高度除去を目的とした生物学的処理システムです。湖沼や閉鎖性水域の富栄養化対策に極めて有効とされています。
一般的な「BOD除去型」との違い
・BOD除去型:主に有機物(BOD)のみを除去。放流水質はBOD 20mg/L以下程度。
・高度処理型:BODに加えて窒素も除去。多くのシステムで総窒素 20mg/L以下の達成を目指す。
システムの仕組みと処理の流れ
標準的なBOD除去型をベースに、硝化液の循環システムを追加することで生物学的窒素除去(硝化・脱窒)を実現しています。
【浄化槽のリン除去装置とは】
浄化槽のリン除去装置は、鉄電解法(てつでんかいほう)や凝集剤(ぎゅうしゅうざい)の注入によってリンを除去するシステムです。一般の家庭用小型浄化槽では、主に鉄電解法が広く採用されています。
鉄電解法の仕組み
鉄電解法は、以下のような仕組みでリンを分離・除去します。
・鉄イオンの溶出:好気槽や担体流動生物ろ過槽などの汚水中に2枚の鉄板を浸し、直流電流を流すことで、陽極から鉄イオンを溶出させます。
・鉄イオンの酸化:溶出した鉄イオンが、ばっ気(空気を送り込む作業)による溶存酸素と結びつき、3価の鉄イオンへと酸化します。
・リン化合物の生成:この鉄イオンが汚水中のリン酸イオンと反応し、水に溶けないリン酸鉄などの「リン化合物」に変化します。
・沈殿と捕捉:生成されたリン化合物は、塊(フロック)となって沈殿し、生物ろ過部でキャッチされます。または、汚泥と一緒に嫌気ろ床槽などへ移送され、そこに貯留されます。
・浄化槽外への除去:たまったリン化合物は、定期的に行われる専門業者による「汚泥抜き取り(清掃作業)」の際に、浄化槽の外へと回収されます。
このように、電気と鉄の化学反応を利用して、水質汚染の原因となるリンを効果的に取り除いています。
【単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の見分け方】
ご自宅に「浄化槽設置届出書」の控えがございましたら、その中の「処理対象」の欄をご確認ください。
この欄に「し尿のみ」と記載されている場合は、ご自宅の浄化槽は「単独処理浄化槽」でございます。一方、「し尿および雑排水」と記載されている場合は、「合併処理浄化槽」となります。これが最も確実な見分け方でございます。
この届出書は、設置の際に行政へ提出する書類ですので、お手元に控えが保管されているケースが多くございます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
単独処理浄化槽:トイレから出るし尿のみを処理するタイプです。台所、お風呂、洗濯、洗面所などから出る生活雑排水は処理されず、そのまま側溝や河川などへ流れ出ます。
合併処理浄化槽:し尿と生活雑排水の両方をまとめて処理するタイプです。微生物の働きによって汚水を綺麗に浄化してから放流いたします。
【福岡県浄化槽協会 【企業PV】「ふくおかの水環境を守る」
】
水質検査をされる「福岡県浄化槽協会」様が企業PVを作成されました。こちらについて箇条書きで解説させて頂きます。
≪動画≫
(一財)福岡県浄化槽協会 【企業PV】「ふくおかの水環境を守る」
⇒こちらの動画の要点は以下の通りです。ご参考ください。
里福岡の豊かな自然で生まれた雨水が川となり、浄水場で水道水にされ、私たちの暮らしで使われている。
使った後の汚れた水はきれいにして川に戻す必要があり、方法は主に2つ:大きな街では下水道で下水処理場へ、下水道のない地域では各建物の浄化槽を使用。
浄化槽は台所・トイレなどの排水をきれいにする装置で、福岡県では特に筑後・筑豊地域で20〜40%の人が利用。工場で製造・設置され、設置後は保守点検・清掃・法定検査が必須。
福岡県浄化槽協会は県内3カ所の検査センターで法定検査を実施。現場で稼働状況や水質を確認し、分析結果を研究発表・研修などに活用して水環境を守っている。
福岡市内でも単独処理浄化槽や汲み取り式が残り、生活雑排水が直接川に流れているケースがあるため、シンポジウム・キャンペーン・出前講座・ポスターコンクール・車両ラッピングなどで普及啓発を推進。
浄化槽できれいにして川に返すことは暮らしを守る上で重要で、SDGs(6・11・14など)の達成に貢献。次世代に美しい水環境を残すため、身近な水環境問題に向き合い持続可能な社会を目指す。
【浄化槽業界の歴史】
1950~1960年代(イノベーターおよびアーリーアダプター段階)単独処理浄化槽の急速な普及に伴い、清掃業が業界の主流へと移行した時期です。
1970~1980年代(アーリーアダプターの拡大期)浄化槽法の制定や浄化槽管理士資格の誕生により、事業基盤が確立された時期です。
1990~2000年代初頭市場への普及において、いわゆる「キャズム(普及の壁)」を迎えた時期です。
2010~2020年代アーリーマジョリティー以降の段階に入り、さらなる普及が進む時期です。
単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換は、法律によって後押しされてまいりました。しかしながら、実際には一部の地域で現在も単独処理浄化槽が使用されている状況です。これは、コストや手間、あるいは既存の実績などを理由に、転換を慎重に検討されているためと考えられます。
1990年代以降、合併処理浄化槽への切り替えを本格的に検討されるお客様の中には、「単独処理浄化槽で十分ではないか」「転換にかかるコストを考慮すべきである」といったご意見もあり、普及の過程では一定の摩擦も生じております。しかし、現在は補助金制度などが整ったことにより、その負担や摩擦も徐々に緩和されつつあります。
【浄化槽用ブロワの異音や振動が発生】
浄化槽用ブロワの異音や振動が発生する場合、主に以下のような原因が考えられます。
・ダクトの固定不良
ダクトの固定が不十分な場合、運転時の振動が周囲に伝わりやすくなり、異音や振動の原因となります。
・回転体の接触
インペラ(羽根)がケーシング(外枠)に接触すると、明らかな異音や異常振動が発生いたします。
・異物の噛み込み
羽根の隙間に異物が挟まると、回転のバランスが崩れ、振動や異音の直接的な原因となります。
・取付ボルト・ナットの緩みや欠損
本体のモーターを固定するボルトやナットが緩んでいると、運転時に大きな振動や音が発生します。
※なお、ヒューズの容量不足につきましては、過電流の際にヒューズが溶断して電源が遮断される原因にはなりますが、振動や異音そのものを発生させる直接的な原因にはなりません。
【浄化槽は地震に強い仕組み】
下水道の特徴
下水道の大きな特徴は、ご家庭から処理場に至るまで、数キロメートルから数十キロメートルにも及ぶ長い下水管(管渠ネットワーク)が地下に埋め込まれている点です。また、処理場や中継ポンプ場といった大型施設も欠かせません。
そのため、地震によって1箇所でも管が折れたり、マンホールが浮上したり、処理場が被災したりすると、その先にある広範囲の地域でトイレが使えなくなってしまいます(広域の停電や断水に似た被害が広がります)。地下深くに埋設されていることから、被害箇所の特定や修理には時間を要し、過去の大地震では復旧に数ヶ月から半年以上かかった例もございます。
家庭用合併処理浄化槽の特徴
一方、家庭用合併処理浄化槽は、各ご家庭の敷地内で処理が完結する「分散型システム」です。配管の長さも、家から浄化槽までの短い配管と、処理後の放流管(数十メートル程度)のみにとどまります。
本体はFRP(繊維強化プラスチック)製で軽量かつ頑丈であり、機械類もブロワ(送風機)など最小限に抑えられています。そのため、仮に1軒が被害を受けたとしても隣家へ影響することはなく、被害は局所的です。
過去の震災における被害状況
過去の大地震における浄化槽の破損率は以下の通りです。
・阪神・淡路大震災: 約2.9%
・新潟県中越地震: 約3.6%
・熊本地震: 約2.4%
・東日本大震災: 全損の可能性ありを含めて約3.6%
震度6以上の激しい揺れに見舞われた地域であっても、大半の浄化槽は機能の維持が可能でした。全損(交換が必要な状態)となる割合はおおむね数パーセント以下にとどまっています。
被害の主な内容は、本体の浮上や傾き、配管の抜け・外れ、ブロワの故障などであり、本体そのものが粉々に破損するケースは極めてまれです。特に液状化が発生した地域では浮上被害が多く見られましたが、それでも限定的な範囲にとどまりました。これに対し下水道は、同じ地震で広範囲にわたる管の破損や処理機能の停止が報告され、長期間トイレが使えなくなる事例が頻発いたしました。
被害が少なく、復旧が早い理由
・被害が少ない理由
本体に使用されている繊維強化プラスチック(FRP)に柔軟性があり揺れに強いこと、配管が短いため地盤変動の影響を受けにくいこと、重量のあるコンクリート製大型施設を必要としないことなどが挙げられます。
・復旧が早い理由
被害がご家庭単位で独立しているため、専門業者が現場に入ればすぐに修理や交換へ着手できます。配管の再接続やブロワ交換などの応急処置を行えば、多くの場合1週間前後で使用を再開できます。下水道のように道路を大規模に掘り返して長距離の管を修繕する必要がございません。
注意点と限界
ただし、浄化槽にも留意すべき点がございます。劇的な液状化が生じた場所や、埋め戻し土の状態が良くない場所では浮上しやすくなります。また、津波による浸水を受けた場合は、ブロワが流失したり内部に土砂が流入したりするリスクがあります。なお、古い単独処理浄化槽は合併処理浄化槽と比べて被害を受けやすい傾向にあります。そのため近年では、浮上防止工法や液状化に強い埋め戻し材の選定など、耐震性をいっそう高める施工方法が推奨されています。
要点
下水道は長い管でつながった「集中型システム」であるため、1箇所の被害が広範囲へ波及しやすく、復旧に時間を要します。それに対し家庭用合併処理浄化槽は、各戸で完結する「分散型システム」であるため、被害が局所的で破損率も低く、早期復旧が可能です。
これが、浄化槽が下水道と比較して災害・地震に強い設備であると評価されている理由であり、過去の大地震における各種データもこの事実を裏付けております。
【処理の流れ】
1:嫌気ろ床槽(「脱窒ろ床」として活用し、窒素を除去)
2:接触ばっ気槽(微生物と空気の力で汚れと窒素を分解)
3:循環システム(ばっ気槽の硝化液を嫌気ろ床槽へ戻す)
4:沈殿槽(きれいな水と泥を分離)
5:消毒槽(大腸菌などを殺菌して放流)
【浄化槽の法定検査(11条)】
浄化槽の法定検査(11条の水質検査)は、自動的に通知が届いたり、検査員が突然訪問したりすることはありません。そのため、浄化槽の管理者様ご自身で検査を依頼していただく必要がありますが、一般的には保守点検業者が手続きの代行や案内をしてくれるケースが多くなっています。
浄化槽法に基づき、浄化槽の管理者および所有者には、この検査を受ける義務が課せられています。この検査は都道府県知事が指定した「指定検査機関」だけが行える公的なものです。民間の保守点検業者とは異なる組織であるため、管理者様からの依頼がない限り、指定検査機関が動くことはありません。
もし検査を依頼しなかった場合、まずは都道府県知事から勧告(注意・指導)を受けることになります。それでも改善されない場合は行政懲罰の対象となり、30万円以下の過料が科されることがありますのでご注意ください。
特定既存単独処理浄化槽の概要
⇒「特定既存単独処理浄化槽」の法的な定義は以下の通りです。
『既存の単独処理浄化槽のうち、そのまま放置すれば生活環境の保全および公衆衛生上、重大な支障が生じるおそれがあると認められるもの』
これは、特に問題があり、放置することができないレベルにまで老朽化した単独処理浄化槽のことを指します。
⇒「特定既存」と呼ばれる理由
老朽化や破損が深刻であり、公衆衛生や環境へのリスクが重大であると判断されたものが存在するため、このように区別して呼ばれるようになりました。
⇒行政による対応と罰則
特定既存単独処理浄化槽に指定された場合、行政が積極的に介入できるようになります。具体的な行政の対応手順は以下の通りです。
・助言と指導:段階的な改善を促します。
・勧告:指導に従わない場合の公的な要請です。
・命令:法的な強制力を持つ指示です。
万が一、この行政からの命令に違反した場合には、30万円以下の罰金が科される対象となります。
【浄化槽の消毒槽について】
浄化槽の最後の大事な工程:消毒とは
浄化槽では汚水を綺麗にした後、最後に必ず消毒を行ってから、川や側溝へと放流します。消毒の役割は非常にシンプルです。処理水の中に残っている大腸菌などの細菌を減少させたり、殺菌したりすることです。病原菌が外部に漏れ出すのを防ぐことで、私たちの公衆衛生を守っています。
「消毒設備の欠落」とはどのような状態か消毒設備が欠落している状態とは、単に消毒薬(塩素剤)が切れている状態のことではありません。次のように、消毒装置そのものが破損していたり、失われていたりする状態を指します。
消毒槽や消毒器自体が破損している。
消毒装置が外れてしまっている(脱落している)。
装置が丸ごとなくなっている。
薬剤を入れる筒(薬筒)が壊れており、薬を補充したくても入れられない。
このような状態では、たとえ消毒薬を買ってきたとしても入れる場所がないため、消毒を行うことができません。
なぜこれが問題なのか消毒が行われないまま水が放流されると、次のようなリスクが発生します。
細菌や病原菌がそのまま川や側溝に流れ出す。
周囲の環境や、地域住民の皆様の健康に悪影響を与える可能性がある。
処理水の水質悪化に直結する。
つまり、どれだけ手前の工程で水を綺麗にしたつもりでも、最後の安全確認(安全対策)ができていない水が外部に流れ出ている状態になってしまいます。
なぜ「特定既存単独処理浄化槽」に指定されやすいのか
「単独処理浄化槽」において上記のような不具合がある場合、「特定既存単独処理浄化槽(そのまま放置すると環境や衛生上重大な支障をきたす恐れがある浄化槽)」に指定されることがあります。環境省の指針では、この消毒設備の欠落は「その他の項目」に分類されていますが、実際には非常に緊急性(切迫性)が高いと判断されます。理由は以下の通りです。
構造的に破損しており、簡単には修理できない場合が多い。
未消毒の水が、常に流れ続ける状態になってしまう。
公衆衛生上の問題が直接的かつ甚大である。
要点
正常な浄化槽は、最後にしっかり消毒を行って細菌を減らしてから放流します。消毒設備が欠落した浄化槽は、消毒装置そのものがないため、細菌がそのまま流れ出てしまいます。この状態は公衆衛生上のリスクが極めて大きいため、「特定既存単独処理浄化槽」の判定において厳しく重視されます。
【曝気槽(ばっきそう)における空気の役割】
曝気とは簡単に申し上げますと、水の中に空気を送り込むことです。浄化槽ではブロワーを使って空気を送り、その空気を散気管や散気装置から細かい気泡として放出します。
この空気は非常に重要な役割を果たしています。その理由は、汚水を処理する主役である「好気性(こうきせい)微生物」が酸素を必要とするからです。
曝気槽の主役は、あくまでも微生物です。曝気槽は、単純に空気の勢いで汚れを吹き飛ばしているわけではありません。汚水には、食べ物の残りや洗剤などの有機物、アンモニアなどが含まれています。微生物はこれらをエサとして取り込み、二酸化炭素と水、そして新しい微生物を生み出します。
では、なぜ空気が必要なのでしょうか。それは、微生物の中には酸素がないと十分に活動できない種類(好気性微生物)がいるためです。
したがって、万が一ブロワーが止まってしまうと、泡が出なくなるだけでなく、微生物の活動に必要な酸素が不足するという大きな問題が発生してしまいます。
【CODは化学的に酸化させた際の酸素消費量】
COD(化学的酸素要求量)は、化学的に汚れを酸化させた際に、どれくらいの酸素が必要であったかを測定する方法です。
ただし、使用する酸化剤の酸化力には限界があります。
日本で一般的に用いられるのは「過マンガン酸カリウム法」です。
・この方法は、酸化力がやや弱いのが特徴です。
・分解しやすい有機物は十分に酸化できます。
・一方で、構造が強固なものや特定の化合物など、分解しにくい有機物は炭酸ガスにまで完全に分解されません。
そのため、水中のすべての有機物が完全に炭酸ガス化されるわけではない点にご注意ください。
なお、より強力な「二クロム酸カリウム法」を用いた場合でも、一部の有機物は100パーセント酸化しきれないことがあります。
浄化槽における考え方
浄化槽の処理水や汚泥を分析する際にも、CODを測定することがあります。浄化槽の中には、以下のように多様な有機物が混ざり合っています。
・微生物が分解しやすいもの: 食べ残しや洗剤成分など
・微生物が分解しにくいもの: 特定の油分や複雑な構造を持つ有機物など
過マンガン酸カリウム法で測定した場合、分解しやすい有機物は反映されますが、分解しにくい有機物は測定しきれないことがあります。つまり、「CODの数値 = 水中の有機物の全量」ではないということです。
・BOD: 微生物に有機物を分解させる測定法です。実際に微生物が分解できる汚れの量を測るため、浄化槽の実際の処理性能に近い値を得られます。
・過マンガン酸カリウム法:過マンガン酸カリウムで酸化させる方法です。酸化力が控えめなため、分解しにくい有機物は測定に残りにくくなります。有機物のおおよその目安にはなりますが、完全ではありません。
・二クロム酸カリウム法:二クロム酸カリウムを用いる方法です。酸化力が強く、大半の有機物を測定できます。より現実に近い値が出ますが、それでも100パーセントではありません。
要点
CODは、化学的に酸化させた際の酸素消費量を示します。しかし、使用する酸化剤の力には限界があります。特に日本で主流の 過マンガン酸カリウム法 は酸化力が弱めであるため、すべての有機物が完全に炭酸ガスまで酸化されるわけではありません。浄化槽管理においてBODが最も重視されるのは、実際に微生物が働く処理性能を直接反映するためです。CODは、その性質を理解した上で補助的な指標として活用されています。
【浄化槽におけるCOD指標】
浄化槽におけるCOD指標の活用について
浄化槽の放流水や処理水の水質を評価する際、最も基本的な指標はBODですが、補助的・補完的な指標としてCODが使われる場合もあります。
・BOD:微生物が分解できる有機物のみを測定します。
・COD:化学的に酸化できる有機物を幅広く測定します。
そのため、浄化槽では以下のような場面でCODが用いられます。
・高度処理浄化槽の性能評価
・処理水に難分解性の有機物が残っていないかの確認
・放流先の河川や湖沼の水質管理との関連付け
・法定検査や自主検査における参考指標
CODの測定原理
CODは酸化剤(日本では主に過マンガン酸カリウムなど※)を加え、有機物を化学的に強制酸化させて、その際に消費された酸素量を算出する方法です。簡単に言うと、微生物の力を借りずに薬品の力で「有機物をどれだけ酸化できるか」を測る試験です。
・短時間で測定可能:微生物を用いるBODが約5日かかるのに対し、CODは数時間程度と短時間で測定できます。
・難分解性物質も測定可能:微生物が分解しにくい物質(難分解性有機物)もある程度まで酸化して測定できます。
※日本の環境基準や排水試験(JIS K 0102)におけるCODは、一般的に「過マンガン酸カリウムによる酸素消費量」が用いられます。欧米等では重クロム酸カリウムが主流です。
有機物の分解・酸化の傾向
CODの測定では、すべての有機物が完全に炭酸ガスまで酸化されるわけではありません。
・易分解性有機物:非常に酸化されやすく、し尿や生活雑排水の主成分であるため、ほぼ完全に酸化されます。
・難分解性有機物:洗剤の成分や一部の化学物質、フミン質などは酸化されにくく、不完全にしか酸化されない場合があります。
・酸化剤に反応しにくい有機物:特定の芳香族化合物などは酸化剤と反応しにくいため、ほとんど測定されないことがあります。
つまり、CODの数値は有機物の総量に近いものの、完全に正確な「全有機物量」を表しているわけではありません。難分解性の物質が多く含まれていると、実際の総量より低めの値が出ることもあります。
浄化槽におけるBODとCODの関係
浄化槽の処理水では、一般的に以下のような傾向が見られます。
・BOD:微生物が分解できる有機物の残存量。数値が低いほど処理が順調に行われていることを示します。
・COD:化学的に酸化できる有機物の残存量。BODよりも高い値が出ることが一般的です。
・具体例(よく処理された浄化槽の放流水)
BOD:5〜15 mg/L 程度
COD:10〜30 mg/L 程度
(CODの方が高くなるのが普通です)
CODが高くなるのは、微生物では分解しきれなかった難分解性の有機物が検出されるためです。
浄化槽でCODを確認する際の注意点
1:CODが高くBODが低い場合
微生物が分解できる有機物はしっかり除去できていますが、難分解性物質が残っている可能性が高いと考えられます。
2:BODとCODの差が大きい場合
難分解性有機物の割合が多いことを示しています。洗剤の使い過ぎや、特殊な排水が混入している可能性が疑われます。
3:CODが極めて高い場合
全体的な処理が不十分であるか、または酸化されにくい物質が多量に残っている可能性があります。
まとめ
・CODは、薬品を用いて強制的に有機物を酸化・測定する方法です。
・多くの有機物を測定できますが、すべての有機物が完全に分解・酸化されるわけではありません。
・難分解性の物質は、不完全にしか測定されない場合があります。
・浄化槽ではBODがメインの指標となりますが、CODを併せて確認することで、微生物では分解しきれない有機物がどれだけ残っているかを知る重要な手がかりとなります。
【浄化槽の引き抜きについて】
浄化槽の清掃における「汚泥の引き抜き量」には、法律に基づいた重要なルールがございます。
浄化槽を清掃する際は、槽内に溜まった汚泥をバキューム車などで引き抜きますが、その引き抜き量については法律(環境省関係浄化槽法施行規則第3条)によって、装置ごとに「全量」か「適正量」かが定められています。
・全量:中身をほぼすべて抜き取ることを指します。
・適正量:浄化槽の機能が低下しないよう、必要な分だけを残して抜き取ることを指します。
なぜ「全量」と「適正量」に分かれるのか
・全量引き抜きの理由
ほとんどが汚物そのものであり、微生物の働きをあまり期待していない装置が対象となります。イメージとしては、トイレの汚物を一度すべて空にするような作業です。
・適正量引き抜きの理由
微生物や生物膜、あるいは沈殿機能を残しておかないと、清掃後にすぐ汚水を処理できなくなってしまう装置が対象となります。イメージとしては、必要な菌や汚れをあえて残し、余分な分だけを取り除く作業です。
全量引き出しを行う装置
・みなし浄化槽(単独処理)の一次処理装置全般
・汚泥貯留槽・汚泥貯留タンク
・別置型沈殿室
・汚泥貯留タンクを持たない浄化槽の沈殿池
・単純ばっ気型の二次処理装置
・嫌気ろ床槽・脱窒ろ床槽の「第1室」
適正量引き出しを行う装置
・沈殿分離槽
・接触ばっ気槽・接触ばっ気室(汚泥を移送する装置がない場合)
・凝集槽
・流量調整槽・流量調整タンク
・消毒槽・消毒室
・汚泥貯留タンクを持っている浄化槽の沈殿池
・重力で汚泥を返すタイプの沈殿槽
・嫌気ろ床槽・脱窒ろ床槽の「第2室以降」
大まかな分類としては以下の通りです。
・一次処理系や汚泥貯留系は「全量」を引き抜きます。
・二次処理系や流量調整、消毒は「適正量」を引き抜きます。
・嫌気ろ床のみ例外となり、第1室は「全量」、第2室以降は「適正量」となります。
【毎年の法定検査を受けられていますか?】
福岡県のホームページに詳細な記載がございますので、分かりやすく解説いたします。
浄化槽は法律(浄化槽法)により、毎年1回の法定検査を受けることが義務付けられています。「自分たちの浄化槽は検査を受けているだろうか?」と気になられる場合は、次の3つの方法でご確認いただけます。
1. 「検査結果書」を探す
法定検査を受けられている場合は、福岡県の指定検査機関から「検査結果書」が届きます。この書類に、実際に検査を受けた日付が記載されています。
2. 契約している業者へ連絡する
普段、浄化槽の保守点検や清掃を依頼している業者へお問い合わせください。多くの場合、業者が法定検査の手続きを代行していますので、現在の状況をスムーズに確認できます。
3. 指定検査機関に直接問い合わせる
上記の方法でも分からない場合は、福岡県の指定検査機関へ直接お問い合わせください。もしお問い合わせ先が分からない場合は、久留米市の上下水道営業課(事務局)でお尋ねいただけます。
【浄化槽のろ材の役割】
・ろ材の概要
ろ材はプラスチック製などの充填(じゅうてん)剤であり、浄化槽の中にたくさん詰められています。
・固形物の除去
汚水がろ材の間をゆっくりと通過する際に、固形物が物理的に引っ掛かる仕組み(ろ過作用)になっています。
・微生物による分解
ろ材の表面には嫌気性微生物が付着し、バイオフィルム(生物膜)を形成します。これにより微生物を安定して浄化槽内に保つことができ、汚れの分解効率が高まります。
・固形物の減量
ろ材に捕捉された固形物も、微生物の働きによって徐々に分解され、体積が減っていきます。
・室ごとの充填率
一般的に、第1室ではろ材の充填率が約40%、第2室では約60%程度とされています。そのため、第2室の方がより密に詰められていることが多いです。
【最新号】久留米の水だより第37号(令和8年7月1日発行)より
久留米市が発刊してある、上記に浄化槽に関して記載が御座いました。こちらをまとめました。
大雨で浄化槽が被害を受けない様にするポイントが2つだそうです。
⇒ブロワー(浄化槽のポンプ・送風機)の対策
・浄化槽のブロワー(空気を送り込む機械)は、長時間水に浸かると故障してしまいます。
・一度壊れると修理や交換が必要になり、費用もかかります。
(対策)
・浸水しそうだと予想されるときは、事前に避難させる。
・屋内(家の中、車庫など)や高い場所(台の上など)に一時的に移動させる。
・大雨が来る前に余裕を持って移動しておくのがポイントです。
⇒浄化槽のフタの対策
・大雨で水が上がると、浄化槽のフタが浮いてしまい、流れていくことがあります。
・フタがなくなると、浄化槽の中の汚物が溢れたり、異物が入ったりする危険性が高まります。
(対策)
・フタをしっかりと閉める。
・その上に重り(おもり)を置く(例:コンクリートブロック、大きな石、砂袋など)。
・重りは複数置いて、しっかり固定するようにしましょう。
【浄化槽のブロアについて】
浄化槽のブロアは、槽内へ空気を送り込むための重要な装置です。浄化槽では、流れ込んだ汚水に含まれる有機物などを微生物が分解する仕組みになっています。この微生物のうち、空気中の酸素を利用して活動する「好気性(こうきせい)微生物」が十分に機能するためには、絶え間ない酸素の供給が欠かせません。そこでブロアが連続して空気を送り続けることにより、微生物が活発に活動できる環境を維持しています。
≪なぜ24時間稼働させる必要があるのか≫
浄化槽内の微生物は、基本的に休むことなく活動を続けています。そのため、もしブロアを止めてしまうと槽内が酸素不足に陥り、好気性微生物の活動が著しく低下してしまいます。その結果、有機物の分解能力が落ちて汚泥が溜まりやすくなったり、水質が悪化したりして、深刻な悪臭の原因となってしまいます。したがって、浄化槽の機能を正常に保つためには、ブロアを原則として24時間いつでも常時運転させておくことが非常に大切です。
【浄化槽の清掃について】
原則として、浄化槽を洗浄した際に出る洗浄水は、汚れた水を槽内に残さないために、すべてバキューム車で引き抜いて処分することになっております。ただし例外として、一部の洗浄水については再利用が認められる場合があります。再利用ができるのは、嫌気ろ床槽(けんきろしょうそう)の第1室や、沈殿分離槽(ちんでんぶんりそう)といった「一次処理側」の槽に限られます。一方で、以下の3つの場所の洗浄水を一次処理側に再利用することは禁止されています。
・嫌気ろ床槽
・脱窒ろ床槽(だっちつろしょうそう)
・消毒関係の槽(消毒タンク、消毒室、消毒槽など)
これらの場所の再利用が禁止されている理由は次の通りです。
嫌気ろ床槽・脱窒ろ床槽
酸素を嫌う「嫌気性微生物」が多数存在しています。この水を一次処理側に戻してしまうと、その後の工程で活躍する「酸素を好む細菌(好気性微生物)」の働きに悪影響を与えてしまうためです。
消毒関係の槽
塩素などの消毒剤が残っている可能性が高いためです。消毒剤が一次処理側に入ると、汚水をきれいにするための微生物が死滅してしまい、浄化槽の処理能力が低下してしまいます。
【簡易水洗トイレの汲み取りについて】
⇒概要と特徴
・簡易水洗トイレとは:使用時に少量の水で排泄物を流すタイプのトイレです。
・仕組み:流した汚物と水は、屋外や床下のタンクにたまります。
・汲み取りの必要性:下水道や浄化槽には繋がっていないため、定期的な汲み取りが必須です。
・頻度の傾向:水を使用するため、従来の「ぼっとん便所」よりもタンクが早く満杯になります。そのため、汲み取りの頻度が若干高くなる傾向にあります。
⇒汲み取り作業の概要
・専門業者による作業:汲み取りは、自治体の許可を受けた専門の「し尿収集運搬業者」のみが行えます。
・使用する車両:主にバキュームカーを使用して作業を行います。
⇒一般的な作業の流れ
・事前調整:日程や時間の調整を行います。
・到着・準備:業者が現地に到着し、作業の準備を整えます。
・汲み取り:バキュームカーでタンク内の汚物を吸引します。
・仕上げ・確認:残量がないか確認し、必要に応じて便器に水を張る仕上げを行います。
・後片付け・報告:周囲を清掃し、作業完了の報告をいたします。
・運搬と処理:回収した汚物を専門の処理施設まで安全に運搬します。
【分離槽・嫌気槽について】
浄化槽の最初の段階では、大きな固形物と液体を分離することが非常に重要です。汚水が槽に入ると、重い物質は下に沈み、軽い油脂などは上に浮き上がります。
・沈むもの: 排泄物などの固形物、食べ物のカス、そのほかの重い粒子
・浮くもの: 油脂、浮遊物質
このようにして、まずは汚水をある程度分離させます。同時に、槽の底の方などでは、酸素の少ない環境で活動する「嫌気性(けんきせい)微生物」によって、有機物の一部が分解されます。そのため、この槽は「嫌気槽」と呼ばれることもあります。ここで重要なポイントは、最初の槽において、まずは固形物を取り除きながら、同時に有機物の一部を微生物に分解させるという点です。なお、沈んだ汚泥(おでい)は完全に消えてなくなるわけではありません。微生物によって一部は分解されますが、分解されにくい物質はそのまま汚泥として溜まっていきます。
【微生物による汚濁物質の分解速度と濃度の関係】
エサ(有機物)が少ないとき
微生物は「もっとエサが欲しい」という状態にあります。そのため、汚濁物質の濃度が少し増えるだけでも、微生物はどんどん分解を進めます。この段階では、濃度が上がるにつれて分解速度も上昇します。
エサがある程度増えたとき
微生物はすでに精いっぱ働いている状態になります。そのため、これ以上エサを増やしても分解速度はほとんど上がりません。つまり、処理能力が限界に達しています。この状態では、エサの濃度を2倍にしても、分解速度はほとんど変わらないか、ごくわずかしか上昇しません。
数式での表現(ミハエリス・メンテン式とモノド式)
上記のような関係を数式で表したものが、酵素反応の式である「ミハエリス・メンテン式」や、微生物の増殖速度の式である「モノド式」です。どちらも同じ形式の数式であり、「基質(エサ)の濃度が上がると反応速度は上昇するが、ある程度の濃度になると頭打ちになる」という右肩上がりのカーブを描きます。
逆の関係が起きない理由
これとは逆の「濃度が上がると分解速度が下がる」という現象は、基本的には起こりません。「濃度が2倍になったときに分解速度が半分になる」といった現象は、濃度が高すぎて微生物がダメージを受けてしまう特殊なケース(基質阻害)に限られます。そのため、一般的な生活排水を処理する浄化槽では、このような逆の現象は発生しません。
浄化槽における実務的な意味
汚濁物質の濃度が高い(つまり負荷が高い)ほど、微生物はより活発に分解しようとします。ただし、濃度が高すぎると「酸素不足」や「pHの低下」が引き起こされやすくなります。そのため、ばっ気量や槽の容量を適切に維持管理することが非常に重要です。
「濃度が上がると分解速度が下がる(分解が遅くなる)」わけではありません。「負荷が増えると酸素の消費量が増え、管理環境が厳しくなるため、微生物が非常に忙しくなる」と捉えるのが正確な考え方です。
まとめ
汚濁物質の濃度が上がると、分解速度は基本的には上昇しますが、ある程度のところで頭打ちになるという特性を持っています。
【浄化槽清掃のタイミングについて】
浄化槽の清掃を依頼するタイミングは、基本的には汚泥が溜まったからという理由だけではなく、法律上の基準や、浄化槽の種類、使用状況によって異なります。一般的な家庭用の浄化槽では、年に1回程度を目安に、浄化槽の管理者様から清掃業者へご依頼いただくことになります。ただし、浄化槽の種類によっては、年に1回以上の清掃が必要な場合もございます。
なぜ清掃が必要なのかと申しますと、浄化槽では、トイレや台所から流れ込む汚水を微生物が分解・処理しているためです。この処理の過程で汚泥やスカム(浮き上がった汚れの塊)が発生し、槽内に蓄積されていきます。
これらをそのまま放置してしまうと、浄化槽の処理能力が低下したり、悪臭の原因になったりいたします。そのため、内部に溜まった汚泥やスカムを引き抜き、浄化槽を綺麗に洗い流す清掃作業が必要不可欠なのです。
【合併処理浄化槽の仕組みと高度処理(窒素除去型)】
通常の合併処理浄化槽は、主に微生物の力を利用して有機物を分解し、BOD(生物化学的酸素要求量)を20mg/L以下にまで下げます。これは河川に放流しても問題がないレベルの綺麗さです。
一方、高度処理(窒素除去タイプ)は、BODに加えて窒素も同時に除去します。窒素が湖や内湾などの閉鎖性水域で増加すると、富栄養化が引き起こされ、アオコや赤潮の発生原因となります。そのため、閉鎖性水域や水道の水源に近い地域では、この高度処理型の設置が求められることがあります。
窒素除去(硝化・脱窒)の仕組み
窒素を除去するプロセスは、主に以下の4つのステップで行われます。
1. 加水分解(アンモニアへの変化)
汚水に含まれるタンパク質などの有機態窒素が、速やかにアンモニア性窒素へと変化します。
2. 硝化(酸化反応)
酸素がある槽(担体流動槽や接触曝気槽など)において、硝化菌の働きにより、アンモニアが亜硝酸や硝酸へと酸化されます。
3. 硝化液の循環
硝酸などを含んだ処理水を、ポンプやエアリフトを使って手前の嫌気槽へと戻します。この工程が、硝化液循環方式と呼ばれるシステムの中心となる部分です。
4. 脱窒(窒素のガス化)
酸素のない嫌気ろ床槽において、脱窒菌が硝酸の中にある酸素を取り込んで呼吸します。その結果、酸素を失った窒素だけが残り、窒素ガスとして大気中へ放出されます。
酸素のない嫌気ろ床槽において、脱窒菌が硝酸の中にある酸素を取り込んで呼吸します。その結果、酸素を失った窒素だけが残り、窒素ガスとして大気中へ放出されます。
【浄化槽管理で使うCOD】
COD(化学的酸素要求量)は、強い酸化剤を使って、水の中の汚れを強制的に酸化させる測定方法です。このとき酸化剤は、有機物だけを狙って酸化するわけではありません。酸化剤の視点からは、電子を渡しやすい物質、つまり「還元性の物質」はすべて酸化の対象になります。
還元性の強い無機物質とは
有機物以外で、酸化剤を消費しやすい物質のことです。代表例としては、亜硝酸塩、硫化物、鉄などが挙げられます。これらは還元性が強く、酸化剤を多く消費する性質を持っています。
なぜCODが高く出るのか
酸化剤は、有機物と還元性の無機物質の両方を酸化します。そのため、水の中に有機物だけが含まれている場合はその分だけ酸化剤を消費しますが、有機物と還元性の無機物質の両方が含まれている場合は、その両方の分の酸化剤を消費してしまいます。結果として、実際の有機物の量よりもCODの値が高く出てしまうのです。
漂白剤に例えた場合
COD測定を「強力な漂白剤で汚れを落とす作業」と仮定してみましょう。有機物が「普通の汚れ」だとすると、還元性の無機物質は「特に汚れが落ちにくいもの」にあたります。漂白剤の使用量によって全体の汚れの量を測っているため、無機物質が多いと、その分「汚れ全体の量が多い」と判定されてしまいます。
CODは有機物の量を測る指標としてよく使われますが、厳密には「酸化剤を消費する物質の総合量」を測定しています。そのため、還元性の強い無機物質が含まれていると、有機物がそれほど多くなくてもCODが高く出てしまうことがあります。
【浄化槽と水質汚濁】
水環境に排出された汚濁物質が、どのようにして希釈(薄まること)されたり、分解されたりするのかを解説します。この仕組みの中で特に重要なものが「生物作用(微生物による分解)」であり、これこそが浄化槽の原理そのものです。
1. 自然の水環境における自浄作用
・汚濁物質が川や湖に入ると、以下のような作用が働きます。
・混合・拡散:きれいな水と混ざり合うことで、汚濁物質の濃度が下がります。
・ろ過:川の底(河床)や植物などが、物理的に汚れをこしとります。
生物作用:微生物が有機物を分解し、安定した物質へと変化させます。
有機物の濃度が高いほど、微生物は活発に分解を行います。逆に、濃度が下がると分解のスピードも落ちていきます。「濃度が下がると分解が早くなる」というのは誤りですのでご注意ください。
2. 浄化槽の仕組み(自然の生物作用を人工的に濃縮したもの)
家庭用の浄化槽は、まさにこの「生物作用」を、装置(箱)の中で効率よく発生させるシステムです。し尿や生活排水などの汚水が入ると、まず濃度が高い状態で、大量の微生物が有機物を一気に分解します。その後、処理が進んで有機物の濃度が下がると、微生物の活動も自然と穏やかになります。浄化槽の内部では、酸素を送り込んだり、微生物が定着しやすい環境を整えたりすることで、自然の川や湖よりもはるかに早く、確実な分解を実現しています。つまり、自然の水環境が「ゆっくりと自浄作用を働かせる」のに対し、浄化槽は「同じ微生物による分解を、コンパクトかつ効率よく再現している」と言えます。
要点
有機物の汚濁物質は、主に微生物の生物作用によって分解・安定化されます。
その分解速度は、濃度が高いほど早く、濃度が低いほど遅くなります。
浄化槽は、この生物作用を人工的に最大限に活用する装置です。
【高度処理型脱窒ろ床ばっ気方式とBOD除去型嫌気ろ床接触ばっ気方式の違い】
⇒概要と共通点
どちらの方式も、主に日本の小規模合併処理浄化槽で採用されている生物処理方式です。微生物の働きを利用した「生物膜法」に分類されます。基本的な処理フローは、以下の通り両者共通しています。
・固液分離
・有機物分解
・沈殿
・消毒
・放流
また、どちらの方式も「嫌気ろ床槽」と「接触ばっ気槽」を備えている点が特徴です。
処理メカニズムの違い
1:処理目的の違い
・BOD除去型 嫌気ろ床接触ばっ気方式
主な処理目的は、有機物(BOD)の除去です。
・高度処理型 脱窒ろ床ばっ気方式
BODの除去に加えて、窒素(TN)の除去も同時に行います。
2. 処理プロセスの違い(循環と窒素削減)
高度処理型(脱窒ろ床ばっ気方式)には、BOD除去型にはない以下の特徴があります。
・処理水の循環
接触ばっ気槽で処理した水を、嫌気ろ床槽へと3〜4倍の量で循環させます。
・窒素の大幅な削減
BODの除去だけでなく、「硝化(ばっ気槽)」と「脱窒(嫌気槽)」のプロセスを経ることで、水中の窒素を大幅に削減することが可能です。
【浄化槽とORPについて】
ORP(酸化還元電位)とは、水が「酸化しやすい状態(酸素が十分に維持されている状態)」か、あるいは「還元しやすい状態(酸素が不足している状態)」かを数値で示す指標です。単位にはミリボルト(mV)が使われます。数値がプラス側に大きい場合は酸化状態が強く、酸素が多いことを示します。反対に、数値がマイナス側に傾くほど還元状態が強く、酸素が減少している、あるいは全くない状態であることを意味します。
浄化槽の曝気槽(ばっきそう)でORPが重要な理由
浄化槽の中心的な処理機能を担っているのが曝気槽です。ここでは、酸素を好む好気性微生物(菌)が、汚水に含まれる汚れ(有機物)をきれいに分解しています。この微生物たちが活発に働くためには、常に酸素が存在していることが絶対条件となります。
・正常な状態(好気状態)
ORPはプラスの値を維持します。曝気槽に空気が十分に送り込まれており、酸素が豊富な状態です。その結果、微生物が元気に汚れを分解し、水処理がスムーズに進行します。
・異常な状態(嫌気状態)ORPは0に近づくか、あるいはマイナスの値になります。これは、曝気槽への空気の供給不足、散気管の詰まり、またはブロワの故障などが起きているサインです。放っておくと微生物が弱ったり、死滅したりする恐れがあります。その結果、汚れが分解されなくなり、悪臭や処理不良を引き起こしてしまいます。
数値で管理するメリット
曝気槽の水をORP計で測定することにより、現在酸素が足りているかどうかをすぐに数値で確認できます。見た目やニオイだけでは判断しにくい酸素不足の兆候を早い段階で察知できるため、ブロワの故障、散気管の詰まり、汚泥の溜まりすぎといったトラブルの早期発見につながります。
要点
浄化槽の処理において、基本となるのは「酸素を十分に送り込み、好気性微生物に働いてもらうこと」です。ORPは、その酸素の状態を数値でチェックするための便利な指標として活用されています。数値がプラス寄りであれば微生物の活性が高く、マイナス寄りであれば酸素不足によって微生物の活動に問題が生じている可能性があります。
【浄化槽とN-BODの関係】
浄化槽は、微生物に汚れを分解してもらう(食べてもらう)装置です。
有機物の汚れを微生物が分解する際には、酸素が必要となります。この消費された酸素の量を測定した数値が「BOD」です。
ただし、BODで測定している酸素の用途には、実は以下の2種類が存在します。
・炭素系BOD(C-BOD)
一般的な有機物の汚れを分解するために消費される酸素です。これが本来の汚れの程度を示す部分となります。
・窒素系BOD(N-BOD)
アンモニアを硝酸へ変化させる(硝化する)ために消費される酸素です。
こちらも酸素を消費するため、BODの測定値に加算されてしまいます。
なぜ浄化槽でこの点が問題になるのか
合併浄化槽の内部では、しっかりとした「ばっ気(空気の送り込み)」を行っているため、硝化菌が育ちやすい環境が整っています。
特に以下のような状況下では、N-BODが大きくなりやすい傾向にあります。
・処理がスムーズに進んでおり、有機物の分解がほぼ完了している
・浄化槽内に十分な酸素が存在している
・水温が比較的高い
・滞留時間が長く確保されている
このような状態になると、微生物は残された有機物よりも、アンモニアを硝酸に変える作業に対して優先的に酸素を消費し始めます。
その結果として、実際の有機物による汚れは少ないにもかかわらず、BODの数値が高めに測定されてしまうことがございます。
具体例
例えば、浄化槽の処理水を測定した際に、以下のような結果が出たと仮定します。
・本来の有機物由来による酸素消費(C-BOD) → 8 mg/L
・アンモニアの硝化による酸素消費(N-BOD) → 12 mg/L
この場合、通常の測定方法では、BODは合計で 20 mg/L と表示されてしまいます。
しかし、実際の有機物による汚れ自体は 8 mg/L 程度しか存在しません。
浄化槽の放流水基準は「BOD 20 mg/L以下」となっているため、一見すると合格水準を満たしているように見えますが、実態は「有機物は少ないものの、硝化が著しく進んでいる状態」と言えます。
「含まれることがある」と表現する理由
N-BODは、どのような条件でも必ず発生するわけではありません。
・硝化菌が少ない、あるいは活動が抑制されている場合、N-BODはほとんど発生いたしません。
・一方で、硝化が進行している場合には、N-BODの割合が大きくなります。
このような理由から、「(N-BODが)含まれることがある」という表現を用いております。
要点
・C-BOD:有機物を分解する際に使われた酸素の量であり、本来の汚れの程度を表します。
・N-BOD:アンモニアを硝酸に変える際に使われた酸素の量であり、BODの数値に加算されます。
・浄化槽で起きやすい理由:ばっ気によって十分な酸素が供給され、硝化菌が活性化しやすい環境であるためです。
・注意点:処理状態が良好であるにもかかわらず、BODが高めに出ることがあります。これは硝化が順調に進んでいる証拠でもあります。
【浄化槽のポンプの種類】
浄化槽の放流ポンプ(くみ上げポンプ)には、主に「陸上ポンプ」と「水中ポンプ」の2つのタイプがあります。これらは、浄化槽内の処理水(上澄み水)を強制的に放流する必要がある場合に設置されます。
※すべての浄化槽に必須というわけではなく、高低差などを利用して自然に放流できる場合は不要です。
⇒基本的な役割
・処理水の排水:浄化槽内で綺麗になった水を、放流先へくみ上げます。
・自動運転:フロートスイッチ(浮き)で水位を検知し、自動で電源のオン・オフを切り替えます。
・トラブル防止:故障すると排水不良が起き、逆流やあふれ、悪臭などのトラブルが発生しやすくなります。そのため、故障した際は早期に交換することが重要です。
⇒陸上(地上設置型)ポンプ
・陸上ポンプは、ポンプ本体を浄化槽の外(地上)に設置するタイプです。
・メリット:点検や修理などのメンテナンスがしやすく、水による腐食がないため長寿命な傾向があります。
⇒ 水中ポンプ
水中ポンプは、ポンプ本体を処理水の中に沈めて使用するタイプです。
・メリット:水による冷却効果が高く、連続運転に優れています。また、水中に収まるため設置スペースを取りません。
・デメリット:常に水の中に沈んでいるため、陸上型に比べると腐食や劣化が進みやすく、寿命が短めになる傾向があります。
【浄化槽における「TOC」の重要性について】
TOC(Total Organic Carbon:全有機炭素)とは、水の中に含まれる有機物の量を「炭素の量」として直接測定する指標です。
ここで言う有機物とは、食べ残しや洗剤、し尿などに由来する「生き物由来の汚れ」を指します。TOCは、こうした汚れの中にどれくらいの炭素が含まれているかを測定いたします。
その他の代表的な水質指標(BOD・COD)との違い
・BOD(生物化学的酸素要求量)
微生物が汚れを分解する際に消費する酸素の量です。実際の自然界における「分解のしやすさ」を反映します。
・COD(化学的酸素要求量)
化学薬品を用いて汚れを酸化させた際に消費される酸素の量です。測定時間は比較的早いものの、使用する薬品の種類によって数値が変動する傾向があります。
・TOC(全有機炭素)
有機物を高温で完全に分解(燃焼)させ、生じた炭素の量を直接測定します。そのため、水中に含まれる有機物の総量を正確かつ迅速に把握できるという特徴があります。
TOCが高い場合に起こる問題
水中のTOCが高い状態(有機物の量が多い状態)が続きますと、以下のような問題や影響が生じます。
・浄化処理が不十分であるサイン
曝気(ばっき)槽内で微生物が十分に活動できていない、汚泥が蓄積しすぎている、あるいは酸素供給が不足している可能性を示しています。
・放流水による環境負荷(水質悪化)
TOCが高い状態のまま放流を行うと、河川や海域において残留した有機物が分解される際に大量の酸素が消費され、水質環境に負担をかけてしまいます。
・管理指標としての活用
近年では、測定に時間がかかるBODの代わりにTOCを採用する事例も増えております。浄化槽の処理性能を素早く確認するための非常に有効な指標となっています。
浄化槽内におけるTOCの変化イメージ
・流入水:TOCが高い状態(=有機物の汚れが多い状態)
・処理過程:槽内で微生物が有機物を分解・減少させていく
・放流水:TOCが低い状態(=水が十分に綺麗な状態)が理想
つまりTOCは、「浄化槽がどれくらいしっかりと汚れを取り除けているか」を明確な数値で確認できる便利な指標と言えます。
まとめ(要点)
TOCとは、水中の有機物汚れの総量を「炭素の量」で直接測定する指標です。浄化槽においては、処理が正常に行われているかを迅速に把握するために活用されており、BODやCODと並んで大変重要な水質チェック項目の1つとなっています。「TOCの数値が低いほど、水が綺麗に処理されている状態」とご理解いただけますと幸いです。
【浄化槽の「環境大臣が特別に回数を定める場合」】
基本ルールと特例の関係性
通常の浄化槽は、環境省関係浄化槽法施行規則第6条の表に定められた回数(例:家庭用で4か月に1回以上など)に従います。
しかし、同条第3項では次のように定められています。
「環境大臣が定める浄化槽については、前二項の規定にかかわらず、環境大臣が定める回数とする。」
これは、特殊な構造や新しい技術を採用した浄化槽について、一般的な表の回数ではなく、環境大臣が個別に定めた回数に従うという特例規定です。
なぜ特別に回数を定めるのか
新しい技術や特殊な構造を持つ浄化槽は、標準的な仕組みと動きが異なります。
・より高度な処理性能を持つもの
・センサーや遠隔監視機能により、状態を常時把握できるもの
・汚泥の貯留能力が大きいもの
・メーカーが独自に設計した大臣認定の性能評価型浄化槽
このような浄化槽は、従来の頻度で点検する必要がない場合や、逆にさらに頻繁な点検が必要な場合があります。
そのため環境大臣は、特定の条件を満たす浄化槽について、適切な点検回数を告示などで別途指定しています。
具体的な例(遠隔監視機能付き浄化槽)
令和3年(2021年)に出された「環境省告示第59号」が代表的な例です。遠隔監視機能を備えた浄化槽については、点検回数が以下のように緩和されています。
・膜分離活性汚泥方式(処理対象人員51人以上)従来:1週間に1回以上遠隔監視機能がある場合:2週間に1回以上
・回転板接触方式・接触ばっ気方式・散水ろ床方式(51人以上)(流量調整槽が前にあり、汚泥やし渣を1か月以上貯留できるなど一定条件を満たすもの)従来:2週間に1回以上 遠隔監視機能がある場合:1か月に1回以上
このように、遠隔で常時監視できる仕組みを整えることで、現地での点検回数を減らすことが可能となりました。
その他のケース
国土交通大臣の認定を受けた性能評価型浄化槽については、メーカーが提出した維持管理要領書に記載された回数に従う場合がございます。また、今後新しい技術が登場した際にも、同様に環境大臣が告示等で回数を指定することがあります。
実際の確認方法
ご使用の浄化槽がこの特例に該当するかどうかは、以下の方法でご確認いただけます。
・浄化槽の型式認定書や仕様書を確認する
・メーカーや設置業者に確認する
・保守点検業者へ、環境大臣が定める特別回数の対象かどうか問い合わせる
・都道府県や市町村の浄化槽担当窓口に問い合わせる
該当する場合は、一般的な表の回数ではなく、大臣が指定した回数に基づいて保守点検を行う必要がございます。
要点まとめ
・一般的な浄化槽の場合は、法律の表に定められた回数に従います。
・特殊な構造、新技術、遠隔監視機能付きの浄化槽は、環境大臣が別途定めた回数に従います。
この制度は、技術の進歩に合わせて柔軟に管理頻度を調整できるように設けられたものです。新しい浄化槽を導入された場合や型式が特殊な場合は、管理されている浄化槽の正しい点検回数を必ずご確認ください。
【浄化槽の水温と消毒について】
浄化槽の消毒槽では、処理水を放流する前に、主に次亜塩素酸カルシウムなどの塩素系消毒剤を用いて、残っている細菌などを殺菌します。この消毒剤は、水に触れると少しずつ溶け出して塩素を発生させます。
この溶け出す速度(溶解速度)は、水温によって大きく変化します。例えば、水温が高い夏場などは消毒剤が溶けやすくなるため、溶け出す量が多くなり、残留塩素濃度が高くなりすぎてしまうことがあります。逆に、冬場など水温が低い時期は消毒剤が溶けにくくなるため、溶け出す量が少なくなります。その結果、残留塩素が不足して消毒効果が弱くなってしまうことがあります。
そのため、これらをどのように管理するかが重要となります。薬剤を入れる「薬剤筒」には、水が通るための切れ込み(スリット)が入っています。夏場の水温が高い時期は、溶けすぎを防ぐためにスリットの幅を調整して溶け出す量を抑えます。逆に、冬場の水温が低い時期は、十分に溶けるようにスリットを広く調整して溶け出す量を増やします。
このように、季節や水温の変化に合わせて薬剤筒を調整することは、浄化槽管理士の大切な仕事の一つです。
【浄化槽埋設工事について】
浄化槽の埋設(まいせつ)工事とは、ご家庭から出る生活雑排水を処理する「合併処理浄化槽」を、地中に正しく設置するための一連の工事のことです。 下水道が整備されていない地域で水洗トイレを使用するために欠かせない工事であり、浄化槽法などの法令に基づき、都道府県等に登録された「浄化槽工事業者」が施工いたします。
1. 事前調査・届け出
設置場所の広さ、地盤の強度、地下水位、放流先(放流経路)など、周囲の状況を事前にしっかりと確認いたします。その後、「浄化槽設置届出書」を都道府県や市町村へ提出します。原則として、届け出が受理されてから10日(※型式認定を受けていない特殊な浄化槽の場合は21日)が経過した後に着工が可能となります。
2. 仮設工事(地縄張り・遣方)
浄化槽の設置位置を正確に決定し、施工の基準となる高さや水平の目印(遣方:やりかた)を設けます。
3. 掘削(くっさく)工事
浄化槽本体のサイズよりも、前後左右に少し余裕を持たせて地面を掘削します。掘る深さは1.5mほどになることが多く、周囲の土砂が崩れないように必要に応じて「山留め(やまどめ)」の補強を行います。深く掘りすぎてしまうと地盤が弱くなる原因となるため、慎重に作業を進めます。
4. 基礎工事
通常の地盤であれば、砕石(または割栗石:わりぐりいし)を10〜15cmほどの厚さで敷き詰め、機械でしっかりと締め固めます。軟弱な地盤の場合は、栗石地業(くりいしちぎょう)や杭打ちなどを用いて地盤を強化します。その上に「均(なら)しコンクリート」を打ち、さらに鉄筋を配した「基礎コンクリート」を打設(流し込み)することで、浄化槽が自重や水の重さで沈み込むのを防ぎます。
5. 本体据付工事
クレーン等を使用し、浄化槽本体を静かに吊り下ろして基礎コンクリートの上に水平に設置します。その際、インバート(流入管)や放流管の向き、および勾配(高さの傾き)が正しいかをしっかりと確認します。
6. 水張り(みずはり)
土を埋め戻す前に、必ず浄化槽内に水張りを行います。規定の水位まで水を入れ、改めて水平を確認するとともに、水漏れ(漏水)がないかをチェックします。この作業を行うことで、周囲の土圧(土が押す力)に対抗できるようになり、本体の変形や、地下水による浮き上がり(浮上)を防ぐことができます。
7. 埋め戻し工事
石や大きなゴミ(ガラ)などが混ざっていない、質の良い土や山砂を使用します。本体が歪まないよう、浄化槽の周囲から均等に、少しずつ土を入れて埋めていきます。その際、水をかけながらしっかりと締め固め(水締め)を行い、隙間(空隙)ができないように仕上げます。また、槽内に土砂が混入しないよう、マンホール部分にはしっかりと養生を施します。
8. 上部スラブ(蓋コンクリート)・配管・ブロワの設置
地表部分にコンクリート(上部スラブ)を打ち、マンホールを安全に設置します。あわせて排水管をしっかりと接続し、浄化槽内の微生物に空気を送るための「ブロワ(ブロア)」を取り付けます。なお、設置場所が駐車場になるなど、上部に車両が乗る場合は、重荷重に耐えられるよう鉄筋を増強した「補強スラブ」を施工いたします。
9. 試運転・竣工検査・お引き渡し
すべての設置と接続が完了した後、試運転を行って正常に作動するかを確認します。さらに法令に基づく法定検査などを経て、問題がないことを確認した上で、お客様へお引き渡しとなります。
【し尿処理施設以外の浄化槽汚泥および汲み取りし尿の処理方法】
下水道への投入による処理についてご説明いたします。
1. 処理の実績と傾向
この処理方法は全体の約7〜9%を占めております。令和2年度の実績では、汲み取りし尿の約8%、浄化槽汚泥の約8%で採用されており、近年は少しずつ増加傾向にあります。
2. 処理方法の概要
収集した汲み取りし尿や浄化槽汚泥を、直接、あるいは事前に「脱水」や「希釈」などの簡易処理を行った上で、公共下水道や流域下水道の管渠(かんきょ)に投入します。最終的には下水処理場にて処理を行う仕組みです。下水道の整備が進んでいる地域や、し尿処理施設の老朽化に直面している自治体での採用が増加しています。
3. 投入方式の選択肢
単純希釈方式下水道の排除基準を満たすために、20〜30倍程度の希釈水が必要となるケースがあります。
前脱水+希釈方式(現在の主流)あらかじめ汚泥を脱水して固形分を減らしたのち、分離液を希釈して下水道に流す方法です。コストの削減や、下水処理場への負荷軽減に非常に有効であるとされています。
4. メリットとデメリット
メリット:し尿処理場の更新・維持コストを抑えられる。既存の下水道インフラを有効活用できる
デメリット:下水道使用料が発生する。下水処理場の処理能力や排除基準への適合が求められるため、投入量に制限がある
【湖沼・内湾で沈降した汚濁物質と浄化槽】
湖沼や内湾は「閉鎖性水域」と呼ばれ、水の入れ替わりが少ないという特徴があります。 その具体的な理由は以下の通りです。
・流れがほとんどない: 河川とは異なり、強い流れがほとんど発生しません。
・成層現象の発生: 特に夏場などは、太陽光で温められた表層の水が軽くなり、底側の冷たく重い水と分かれる「成層」という状態が生まれます(汽水湖では塩分濃度の差でも同様の現象が起きます)。
・上下の水の遮断: 成層が形成されると、上下の水が混ざりにくくなります。
この状態になると、水中の窒素やリンなどの栄養塩は重力によって水底に沈みやすくなります。さらに、一度沈んだ物質は低層の流れが弱いためにほとんど動かず、そのまま「ヘドロ」として蓄積してしまいます。
一方、河川では流れが強いため、沈んだ物質も下流へと流されたり、水流で巻き上げられたりして移動しやすい性質があります。このように、汚濁物質がその場に溜まりやすい点が、湖沼や内湾の大きな特徴です。
・なぜこれが問題になるのか
水底に溜まった有機物は、微生物によって分解されます。この分解の際に酸素が大量に消費されるため、水底の溶存酸素(DO)が低下しやすくなります(貧酸素化)。水底が貧酸素状態になると、底の泥(底泥)から窒素やリンなどの栄養塩が再び水中に溶け出しやすくなります(内部負荷)。これにより、植物プランクトンが異常増殖して「アオコ」や「赤潮」を引き起こし、水質がさらに悪化するという悪循環が生まれてしまいます。
・浄化槽との関係
浄化槽は、家庭から出る生活排水を処理して放流するための装置です。従来の「単独処理浄化槽」は、し尿(トイレの排水)のみを処理し、台所やお風呂、洗濯などの「生活雑排水」をほぼ未処理のまま流してしまうため、放流水に窒素、リン、有機物が多く残ってしまいます。この放流水が河川を経由して湖沼や内湾に流れ込むと、先ほど説明した「溜まりやすい環境」によって、水底の泥として蓄積しやすくなってしまいます。
・水質改善に向けた取り組み
上記のような理由から、湖沼や内湾の水質改善においては、以下の対策が非常に重視されています。
・「単独処理浄化槽」から、生活排水をすべて処理できる「合併処理浄化槽」への転換
・窒素やリンをしっかりと除去できる「高度処理型」の導入推進
周囲の流域から流入する水質汚濁の負荷を減らすことこそが、水底への泥の蓄積を抑える第一歩となります。
まとめますと、湖沼や内湾では流れが弱く成層ができやすいため、沈降した汚濁物質が底に溜まりやすく移動しにくいという課題があります。そのため、合併処理浄化槽への転換推進や、高度処理型の導入を進めることが望まれます。
【浄化槽とpHについて】
浄化槽の中で汚濁物質を分解しているのは、目に見えない小さな微生物たちです。微生物も私たち人間と同じ「生き物」ですので、過ごしやすい環境と、そうではない環境があります。微生物が元気に活動するために、特に重要となるのが次の2つの条件です。
1. pH(酸性・アルカリ性の度合い)
微生物が最も活発に活動できるのは、ほぼ中性であるpH7前後のときです。環境が酸性やアルカリ性に傾きすぎてしまうと、微生物の働きが弱くなり、有機物の分解が遅れてしまいます。
2. 水温
微生物の活動が最も盛んになるのは、だいたい20〜30度の間です。水温が低すぎると動きが鈍くなり、逆に高すぎると微生物自体が弱ってしまいます。
適切な環境から外れてしまうとどうなるか
・pHが中性から大きく外れた場合
微生物の持つ酵素がうまく働かなくなり、汚濁物質の分解速度が落ちてしまいます。
・冬場など水温が低すぎる場合
微生物の活動が鈍くなります。そのため、いつもと同じ汚水量であっても処理が追いつかなくなることがあります。
・水温が高すぎる場合
一部の微生物が弱ってしまったり、水中に酸素が溶けにくくなったりするため、処理機能に悪影響を及ぼします。
浄化槽の点検でpHや水温を測定する理由
浄化槽の保守点検では、必ずpHと水温を確認いたします。これは、「微生物が今、快適に働けているかどうか」をチェックするためです。もしpHや水温が適切な範囲から大きく外れている場合は、ばっ気(空気を送り込む作業)の強さを調整したり、異常の原因を調査したりといった適切な対応が必要となります。
要点
浄化槽の処理能力は、微生物の元気さに大きく左右されます。その活性を決める大切な条件が「pH」と「水温」です。これらを適切な状態に保つことが、汚濁物質をきれいに分解することに直接つながっています。
【浄化槽の「7条検査」とは】
浄化槽法第7条に基づいて実施される、浄化槽設置後の水質検査のことです。新たに設置された浄化槽(規模を変更したものも含みます)を対象に、使用開始後3ヶ月を経過した日から、5ヶ月の間に1回だけ受けることが義務付けられている法定検査です。この検査は、浄化槽の設置工事が適正に行われ、本来の処理能力が十分に発揮されているかを、第三者機関である「福岡県浄化槽協会」(都道府県知事が指定した指定検査機関)が確認することを目的としています。建築基準法による検査とは別に、実際に使い始めてから一定期間が経過した後に機能を評価し、もし不具合があれば早期に改善・是正するための重要な検査です。
【下水道とトイレ】
水洗便所の排水を公共下水道に流せない地域の場合、浄化槽を設置しなければなりません。つまり、下水道が整備されていない場所では、トイレの汚水をそのまま川や地面に流すことは禁止されており、浄化槽で処理した上で放流する必要があります。
浄化槽法第5条(設置の義務)では、以下のように定められています。「し尿又は雑排水を処理しようとする者は、公共下水道の処理区域外において、水洗便所を設置しようとするときは、浄化槽を設置しなければならない。」
なぜトイレの排水にはこのような義務が課されているのでしょうか。トイレの排水には、病原菌や有機物、窒素、リンなどが大量に含まれており、そのまま河川や海に流すと、水質汚濁や感染症の原因になってしまうためです。
したがって、公共の下水道が整備されている場所では下水道へ流すことができますが、下水道がない地域では、各ご家庭ごとに浄化槽を設置し、一定の基準を満たしたきれいな水にしてから放流しなければなりません。
【浄化槽の役割と維持管理について】
浄化槽とは、ご家庭から出る生活雑排水を微生物の力で綺麗に浄化し、川や海へと流すための設備です。主に、下水道が整備されていない地域で広く利用されています。しかし、浄化槽はメンテナンスを怠るとすぐに汚れてしまい、本来の機能を発揮できなくなります。そのため「浄化槽法」により、定期的な維持管理が義務付けられています。原則として、浄化槽の所有者(世帯主)が「管理責任者」となります。ただし、実際の管理には専門的な知識が必要で個人で行うことは難しいため、専門の業者へ維持管理を委託するのが一般的です。
維持管理の全体的な流れ(時系列)
浄化槽の使用を開始してから、定期的かつ継続的に行うべき管理作業を時系列でご紹介いたします。
① 使用開始後 4〜8か月目の間:7条検査(設置後等の水質検査)
・目的:設置工事が適切に行われたか、また浄化槽が正常に機能しているかを確認します。
・内容:都道府県が指定した検査機関による、水質検査および外観のチェックです。
② 定期的な実施:保守点検(年3回以上※)
・目的:浄化槽の機能を常に正常に維持するために行う、最も頻度の高い作業です。
・内容:蓄積した汚れ(汚泥)の状況確認、送風機(ブロワ)の点検・修理、消毒剤(塩素など)の補充、機械の異常チェックなどを行います。
③ 毎年1回以上:清掃
・目的:浄化槽の内部に溜まった汚泥を抜き取るために行います。
・内容:汚泥の抜き出し、槽内の洗浄、各部品の異常確認などを行います。
④ 毎年1回:11条検査(定期法定検査)
・目的:都道府県指定の「指定検査機関」が実施します。保守点検や清掃が適切に行われ、浄化槽が正常に機能しているかを第三者の視点からチェックします。
【嫌気ろ床のろ材とは】
嫌気ろ床(けんきろしょう)とは、浄化槽の中で汚水を嫌気性微生物の働きによって生物学的に処理する槽のことです。ここでいう「嫌気性」とは、酸素がほとんどない環境で活動するという意味を持っています。
嫌気ろ床では、主に次の2つのアプローチによって汚水を浄化しています。
・浮遊物の捕捉:ろ材を使って汚水中のゴミをキャッチします。
・有機物の分解:嫌気性微生物の力で汚れを分解します。
ここでの「ろ材」とは、汚水を通過させるための材料を指します。汚水がこのろ材を通過する際に、し尿中の固形物や浮遊している有機物、その他の汚れなどがろ材に引っかかって捕捉されます。つまり、ろ材には汚水中の浮遊物を物理的に取り除くという大切な役割があります。ただし、ろ材の役割は単なるフィルターだけに留まりません。ろ材の表面には、時間が経つにつれて微生物が付着し、「バイオフィルム」と呼ばれる微生物の膜を形成します。この膜の中に、汚れを分解してくれる嫌気性微生物が存在しているのです。したがって、ろ材には「浮遊物をキャッチする場所」としての役割と、「微生物を住み着かせる場所」としての役割の、2つの重要な役割が備わっています。
【曝気(ばっ気)と悪臭対策について】
浄化槽における「曝気(ばっ気)」とは、槽内で汚れを分解する好気性微生物に酸素を供給し、活発に働かせるために空気を送り込む操作を指します。
この曝気によってブロワから絶えず空気が送り込まれると、槽内に新しい空気が入る一方で、元からあった空気が押し出されます。その際、槽内で発生した臭気成分が空気と一緒に外部へ押し出されることがあります。
浄化槽の構造に関する法的な基準においては、次のように定められています。
「悪臭が発生する恐れのある部分は、密閉する、または臭突管などの防臭装置を取り付けること」
ここで重要なのは、対策の対象が「曝気槽だけ」に限定されているわけではないという点です。嫌気ろ床槽や汚泥が蓄積する部分など、構造上どうしても臭いが発生しやすい箇所全体が密閉や換気・排気の対象となります。
・臭突管の本来の役割臭突管は、単に「曝気で空気が動くからそこから臭いを抜く」というだけでなく、浄化槽の各所(槽内や密閉された空間)に溜まった臭気を、建物の上方などの高所に導き、風で十分に薄めてから安全に放出するための設備です。 特に、放流ポンプ槽が設置されている場合は、槽内が密閉構造になりやすく、曝気や流入によって生じた空気の逃げ場がなくなってしまいます。その結果、マンホールなどのわずかな隙間から臭気が漏れ出すのを防ぐため、適切な通気・排気経路としての臭突管が必要な場合があります。
・換気の考え方に例えると
この仕組みを分かりやすく部屋に例えるならば、曝気は「部屋の中に扇風機で風を送り込む行為」に似ています。
風を送り込んで室内の空気を外へ押し出す仕組みにした場合、扇風機を置いたその部屋だけに換気扇をつければ解決するわけではありません。正しくは、臭いが発生しやすい空間や空気の流れる建物全体をトータルで捉え、適切に換気・排気できるように設計するというのが本来の考え方になります。
【浄化槽の水の再利用における注意点:消毒室のスカム・汚泥の扱いについて】
1. 浄化槽の流れ(分離接触ばっ気方式)
単独処理浄化槽である「みなし浄化槽」では、おおむね以下のような流れで水が処理されます。
・沈殿分離室(一次処理):まずは固形物を沈めて貯める場所です。
・接触ばっ気室(二次処理):微生物が有機物を分解する場所です。
・沈殿室:はがれ落ちた微生物の塊(泥)を沈める場所です。
・消毒室:最後に塩素で殺菌してから放流する場所です。
処理プロセスの前半(沈殿分離室〜接触ばっ気室)は微生物を育てる場所ですが、最後の消毒室だけは微生物を殺菌する場所であるという点が大きなポイントです。
2. なぜ消毒室のものを上流に戻してはいけないのか
消毒室では、処理水に塩素剤を接触させて大腸菌などを殺菌しています。そのため、消毒室に浮いているスカム(浮きかす)や底に溜まった汚泥には、強い塩素が溶け込んでいます。
もしこれらを前段の沈殿分離室に戻してしまうと、以下のような問題が発生します。
・上流の沈殿分離室や接触ばっ気室に塩素が混入します。・汚れを分解してくれる大切な微生物が弱ったり、死滅したりします。
・微生物による分解が機能しなくなり、処理された水の質が悪化します。
・せっかくの生物処理の仕組みが、消毒剤によって壊されてしまいます。
これは例えるなら、「台所の生ごみ処理機に塩素系漂白剤を流し込む」ようなものです。汚れを分解してくれる味方の菌を、自らの手で殺菌してしまうことになります。
3. 正しい対応方法
・消毒室のスカムや汚泥:必ず槽外へ引き出し、バキュームカーなどで回収してください。絶対に沈殿分離室や接触ばっ気室に戻してはいけません。
・沈殿室のスカム:沈殿室の段階ではまだ塩素が少ないため、原則として沈殿分離室へ戻す現場もあります。しかし、消毒室のものに関しては完全に別扱いとなりますのでご注意ください。
【膜分離活性汚泥法(MBR)の短所】
膜分離活性汚泥法(MBR)には多くのメリットがある一方で、以下のような短所(課題)も存在します。
まず、専用の膜モジュールや吸引ポンプなどの設備が必要となるため、一般的な活性汚泥法に比べて導入費用や維持管理費が高くなる傾向があります。また、運転を続ける中で微生物や有機物が膜の表面に付着し、透過性が低下する「膜ファウリング」が発生します。これに対応するため、定期的な薬品洗浄などのメンテナンスが不可欠であり、長期的には膜の交換費用もかかります。
さらに、膜ろ過の作動や膜面を洗浄・流動化させるために多くの空気を送る必要があることから、消費電力が大きくなる点も課題です。そのため、安定した運転を維持するには、膜の差圧や汚泥濃度、ファウリングの状態などを日々細かく把握する厳密な運転管理が求められます。
【BOD(生物化学的酸素要求量)について】
BOD(生物化学的酸素要求量)は、好気性微生物が有機物を分解する際に消費する酸素の量を測定しています。微生物が有機物を酸化分解すると、化学エネルギーが放出されます。このエネルギーの使い道は、大きく分けて「同化」と「異化」の2つがあります。つまり、酸化によって得られたエネルギーのすべてが、無機化(二酸化炭素や水への分解)に使われているわけではありません。エネルギーのかなりの部分が、微生物自身の増殖(細胞の合成)に回されているといわれています。
【浄化槽における内生呼吸について】
内生呼吸とは
浄化槽の中では、微生物が汚水に含まれる汚れ(有機物)を食べて分解しています。しかし、汚れが減少して食べ物が不足すると、微生物は自分の体内に蓄えていた栄養素(グリコーゲンやポリ-β-ヒドロキシ酪酸など)を自ら消費してエネルギーを得ます。これが「内生呼吸」です。自身の体を酸化させてエネルギーに変換することから、「自己酸化」とも呼ばれています。
内生呼吸が続いた場合の影響
内生呼吸が続くと、微生物は自身の体を消費し続けてエネルギーを作り出します。
やがてエネルギーを使い果たすと微生物は死滅しますが、その死骸は生き残っている他の微生物の栄養源となります。
その結果、浄化槽内の微生物の全体量(汚泥量)が徐々に減少していきます。
浄化槽での活用方法
この「微生物の量が減る」という性質は、以下のような処理方法に応用されています。
・汚泥の減量化処理
余剰汚泥に空気(酸素)を送りながら時間をかけて保持することで、内生呼吸を促進させ、汚泥の量を減少させます。
・長時間ばっ気方式
ばっ気(空気の供給)を長期間行う処理方式では、汚れの分解が終わった後も内生呼吸が継続するため、余剰汚泥の発生量を低減できます。
このように浄化槽では、微生物に汚れを分解させるだけでなく、食べ物がなくなった後に自身の体を消費させる仕組みも有効に活用されています。
この内生呼吸の仕組みを理解することで、「なぜばっ気時間を長くするのか」「なぜ汚泥が減少するのか」というプロセスのイメージがより明確になります。
【沈殿槽(ちんでんそう)について】
沈殿槽は、合併処理浄化槽などの重要な構成要素のひとつです。主に生物処理をおこなった後の水から固形物を重力によって分離し、綺麗な上澄み水(うわずみすい)を得る役割を果たしています。
家庭用浄化槽は、下水道が整備されていない地域において、生活排水(し尿、台所、お風呂などの排水)を微生物の力で処理する装置です。沈殿槽はその処理プロセスの後半に位置しています。
沈殿槽の基本的な仕組みは、重力を利用した「固液分離(こえきぶんり)」です。浄化槽内の水の流れを落として静かな状態を保つことで、水より重い固形物(汚泥など)を底部に沈めていきます。反対に、軽いもの(油脂など)は「スカム」として水面に浮上します。そして、中央の綺麗になった上澄み水だけが、次の消毒槽へと送られる仕組みです。
家庭用の小型浄化槽では、曝気槽(ばっきそう)に隣接した「スロット型」と呼ばれる形状が一般的です。沈殿槽の底に沈んだ汚泥は、自然に曝気槽側へと戻り、さらに一次処理をおこなう槽へと移送されて貯留される構造になっています。
【生物膜法(バイオフィルム法)】
こちらは、微生物を何らかの接触材に付着させて膜状に育成する方法です。
特徴として、発生する汚泥が比較的少なく、負荷の変動に比較的強いこと、また原則として汚泥の返送が不要である点が挙げられます。
回転板接触方式
・原理として、複数の大きな円盤を並べ、その約40パーセントを汚水に浸漬させた状態でゆっくりと回転させます。
・水中に浸かっている間は、微生物が汚れや有機物を吸着し、分解します。
・空中に露出している間は、大気中の酸素を取り込みます。このサイクルを繰り返すことで、微生物が効率よく活動します。
主な構成としては、スクリーン、沈砂槽、流量調整槽などの前処理を経て、回転板接触槽、沈殿槽、消毒槽へと流れます。規模が大きくなるにつれて、汚泥濃縮設備や貯留設備が追加されます。
適応規模は51人以上であり、特に101人以上の場合には、よりしっかりとした前処理設備が必要となります。
その他の特徴として、ブロアが不要であるため電気代が比較的安価であり、運転管理が比較的容易であることが挙げられます。なお、円周速度は毎分20メートル以下と定められており、回転が早すぎると生物膜が剥離し、遅すぎると酸欠を引き起こす原因になります。
【合併浄化槽の仕組み】
合併浄化槽とは
合併浄化槽(がっぺいじょうかそう)とは、家庭のトイレから出る汚水だけでなく、台所や洗面所、お風呂、洗濯などの「生活雑排水」もまとめて一緒にきれいにするシステムです。主に下水道が整備されていない地域で広く使われており、微生物の力を借りて汚水を浄化します。
水をきれいにする主役「微生物」
汚水をきれいにする主役は、浄化槽の中に住むたくさんの微生物たちです。彼らは水の中の汚れをエサとして食べることで分解し、水をピカピカにしていきます。この微生物は、性質によって大きく2つの種類に分かれます。
好気性(こうきせい)微生物空気を好む微生物です。酸素が十分にある場所で活発に働き、汚れを素早く分解してくれます。
嫌気性(けんきせい)微生物空気が苦手な微生物です。酸素のない場所で働き、汚れをじっくりと時間をかけて分解します。
微生物が働く具体的なステップ
・汚水の流入:まず、家庭から出た汚れた水が浄化槽へと流れ込みます。
・汚れの分解:槽内の微生物たちが、水に含まれる有機物(汚れ)をエサとして食べて分解します。
・微生物の増加:エサをたくさん食べることで、微生物の数がどんどん増え、さらに分解が進みます。
・微生物の増加:エサをたくさん食べることで、微生物の数がどんどん増え、さらに分解が進みます。
【脱窒接触ばっ気方式の仕組み】
こちらの方式における、全体の処理フローは次の通りです。
脱窒ろ床槽 ⇒ 接触曝気槽 ⇒ 沈殿槽 ⇒ 消毒槽
脱窒(だっちつ)とは
硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を窒素ガスに変え、大気中へ放出する生物学的反応のことです。この反応を担う微生物は「脱窒菌」と呼ばれ、酸素の少ない嫌気的な環境を好む特性があります。本方式では、一部の浄化槽法とは異なり、外部から炭素源をほとんど添加せずに稼働させることができます。
脱窒ろ床槽の役割
・第1室:主に固形物の捕捉と、脱窒処理を行います。
・第2室:さらに脱窒処理を推し進めます。
ろ材の表面には、脱窒菌を含む生物膜が厚く形成されます。ここに硝化液(※)が循環することで、槽内は「硝酸塩が豊富」「有機物が存在」「低酸素」という、脱窒に最適な環境が整います。
※硝化液とは:接触曝気槽の中で、硝化反応が十分に進行した処理水のことです。
【FRP製浄化槽の補強リブ】
「FRP製浄化槽の補強リブ」とは、繊維強化プラスチック(FRP)製の浄化槽本体、端部の鏡板(蓋板)、仕切り板などに設けられる突起構造(リブ)のことです。
このリブは、軽量性を保ちながら強度と剛性を高めるための重要な構造部材です。槽を地中に埋設した際、土圧や水圧、上部からの荷重、あるいは内水圧などによって、板がたわんだり変形したりするのを防ぐ役割を果たします。これにより、薄肉のFRP板であっても十分な耐久力を確保することが可能となります。
また、広い平面部や端部で発生しやすい「曲げ」や「ねじれ」を抑え、かかる応力を分散させる効果もあります。単純に板の厚みを増すよりも材料の使用量を抑えられるため、必要な強度を確保しつつ、結果として浄化槽全体の軽量化にも大きく寄与します。
特に鏡板や仕切り板においては、周辺部から中央方向に向かって直線的にリブを配置することで、応力分布を均一にし、破損のリスクを低減させています。特許技術などでは、鏡板や槽内の仕切り板に「補強リング」と「補強リブ」を一体化させた構造なども提案されています。これは最小の重量で最大の剛性を実現するための配置であり、周辺部の少なくとも3箇所以上から中央付近に向かって、直線的にリブを設ける例などが挙げられます
【接触ばっ気方式】
原理
浄化槽の中にプラスチックなどの接触材を詰め、そこに微生物を付着させます。槽の底から空気を送り(ばっ気)、微生物に酸素を供給しながら汚れを分解させます。生物膜(バイオフィルム)が厚くなりすぎた場合は、強い空気で逆洗して剥がします。これを「はく離汚泥」と呼びます。
主な構成
・前処理
・接触曝気槽
・沈殿槽
・消毒槽
適用規模
51人以上(なお、101人以上になると前処理が強化されます)
特徴
家庭用の小型浄化槽でよく使われている接触ばっ気の技術を大型化したものです。微生物の保持量が多く、処理が安定しやすいというメリットがありますが、定期的な逆洗が必要となります。
【散水ろ床方式】
原理
砕石やプラスチック製のろ材を積み上げたろ床の上から、汚水をシャワー状に均一に散水します。ろ材の表面にできた生物膜が汚れを分解し、酸素は自然の通気によって供給されるため、ブロアは不要です。
主な構成
・前処理
・散水ろ床
・沈殿槽
・消毒槽
適用規模
501人以上(設備が大きくなるため)
特徴
古くから使われている伝統的な方式であり、省エネルギーで余剰汚泥が少ないという利点があります。ただし、ハエや臭いが発生しやすく、季節による変動があるなどの欠点があるため、現在はあまり使われていません。
【沈殿槽について】
接触ばっ気槽を通過した直後の水には、まだ固形物が含まれています。
接触ばっ気槽では、好気性微生物が汚水中の有機物を分解する役割を担っています。しかし、この分解処理が終わったからといって、水がすぐに完全に透明になるわけではありません。槽内では微生物が増殖しており、それらが塊となって水中に浮遊しているためです。そのため、接触ばっ気槽から出てきた処理水には、微生物の塊や微細な浮遊物、微生物由来の固形物などが含まれることがあります。
これらの固形物に対処し、取り除く役割を持つのが「沈殿槽」です。
沈殿槽の基本的な原理は非常にシンプルです。水よりも重い固形物を重力によって底に沈め、水と固形物を分離させます。時間をかけてゆっくりと水を流すことで、固形物は重力によって自然と下へ沈んでいきます。その結果、上層には比較的きれいな水が残り、下層には固形物が沈殿するという状態を作ることができます。
「接触ばっ気槽ですでに浄化しているのに、なぜもう一度処理を行うのか」と思われるかもしれません。その理由は、「水の中の汚れ(有機物)を分解すること」と、「水の中から固形物を取り除くこと」は、それぞれ異なる工程(役割)だからです。
【沈殿分離槽】
浄化槽の仕組みを理解するうえで、この沈殿分離法はとても基本的で重要な部分です。
沈殿分離法は、トイレや台所から出る汚水を沈殿槽に貯めておくだけで、固体と液体をきれいにする方法です。
特別な薬品や機械を使わず、重力を利用するだけですので、シンプルで安価です。浄化槽の中でも最初の処理段階(沈殿槽や汚泥貯留槽)でこの原理が使われています。
浄化槽でも、粒子の沈降速度と上向流速度の関係、および水面積負荷(表面積の大きさ)の原理が機能します。
第1槽の沈殿分離槽では、汚水をまずここに貯めて、重い固形物を沈殿させます。上澄みの水だけが次の処理槽(曝気槽など)へ流れます。槽の設計では、水面積負荷を適切に保つことで、汚泥が流れ出ないようにしています。
・沈降速度は粒子が落ちる速さであり、浄化槽では汚泥がしっかり沈むかどうかに関わります。
・上向流速度は水が上に流れる速さです。浄化槽では早すぎると汚泥が舞い上がってしまいます。
・水面積は槽の広さです。浄化槽では広いほど分離しやすくなります。
要するに、汚水を静かに貯めて重いものを下に沈めるというシンプルな原理が、浄化槽の最初の重要な役割を果たしているということです。
この原理を理解すると、なぜ浄化槽は定期的に汚泥を引き抜く必要があるのか、また、なぜ槽が詰まると処理能力が低下するのかということもイメージしやすくなります。
【浄化槽には水に溶けやすいものだけをお流しください】
浄化槽の中では、水中に生息する微生物が汚れを分解しています。これらの微生物は、細胞膜という薄い膜を通して、水に溶け込んだ栄養分を取り込み、分解する仕組みを持っています。つまり、汚れが水に溶けた状態になって初めて、微生物は効果的に働くことができるのです。
そのため、固形物や水に溶けない物質(不要物)は、微生物が持つごく小さな酵素と直接触れ合うことが難しく、分解が進まないまま残ってしまいます。結果として、これらの一溶けない物質が配管を詰まらせたり、浄化槽の処理能力を低下させたりして、悪臭や故障を引き起こす原因となってしまいます。
【浄化槽の効率化】
合併浄化槽は、主にブロワー(送風機)を使用して槽内に空気を送り込み、好気性微生物を活性化させることで汚水を処理しております。このブロワーの運転電力が、浄化槽における消費電力の大半を占めているのが現状です。
従来の浄化槽は本体が比較的大きく、処理能力に対して無駄な電力がかかりやすい構造でした。そこで近年では、小型化とブロック化(モジュール化)の技術開発が進み、大きな省エネ効果が生まれています。
(※ブロック化とは、浄化槽を複数の機能別ブロックに分けて製造し、それらを組み合わせる方式のことです。例えば、沈殿槽、接触曝気(ばっき)槽、消毒槽などを、それぞれ独立したブロックとして設計することを指します。)
この技術革新により、以前と比べて処理能力に対する槽の容積を小さく設計できるようになりました。その結果、処理すべき水量や空気量が減少し、ブロワーの風量や運転時間の削減につながっております。
さらにブロワー自体にも、高効率ブロワーやインバーター制御、効率的なポンプなどが導入されたことで、消費電力をより一層抑えることが可能となりました。
【浄化槽内における特定の気体濃度の測定について】
浄化槽の内部に入って清掃や点検などの作業を行う際、作業員の安全を確保するために必ず空気の測定(ガス検知)を実施します。では、なぜ「酸素」と「硫化水素」の2つを測定する必要があるのでしょうか。
浄化槽の内部には汚水や汚泥が溜まっているため、その空気環境は通常の外気とは全く異なります。
まず、酸素が不足する「酸欠(酸素欠乏症)」への対策です。槽内の汚泥や有機物が分解される過程で酸素が消費されるため、内部の酸素濃度は低下しやすくなります。酸素濃度が18%未満になると、意識を失ったり、最悪の場合は命を落としたりする危険性があります。
次に、硫化水素の発生への対策です。汚泥が腐敗すると、腐った卵のような臭いがする有毒な「硫化水素ガス」が発生します。このガスは濃度が高いと短時間で中毒を引き起こし、こちらも命に関わる重大な事態を招きます。
このような危険を防ぐため、「酸素欠乏等防止規則(労働安全衛生法に基づく規則)」により、浄化槽内に入る前には必ず酸素濃度と硫化水素濃度を測定し、安全を確認することが義務付けられています。
一方で、「なぜ窒素濃度は測定しないのか」という疑問が生じるかもしれません。窒素は空気の約78%を占める一般的な成分です。作業現場で危険となるのは、「酸素が減ること」や「有毒ガスが増えること」であり、窒素そのものが有害物質に変化したり増殖したりするわけではありません。酸素が減れば相対的に窒素の割合は高くなりますが、本当に確認すべきなのは「十分な酸素があるか」と「有毒ガスが発生していないか」の2点です。そのため、窒素濃度を測定しても、酸欠やガス中毒の危険性を正しく判断することはできません。
【浄化槽と協議会について】
下水道が整備されていない地域において、家庭や建物から出る汚水を綺麗にして川や水路に放流する装置を「浄化槽」と言います。
汚水の中身は主に「し尿」と「生活雑排水」の2つです。これらを微生物の力で分解・浄化してから放流します。下水道がない地域では、川や海の汚れを防ぐためにとても重要な設備です。
浄化槽には以下の2種類があります。
単独処理浄化槽:し尿のみを処理し、生活雑排水は未処理のまま流します。新規の設置は原則禁止されており、既存のものは「みなし浄化槽」として扱われ、合併処理浄化槽への転換が強く求められています。
合併処理浄化槽:し尿と生活雑排水の両方を処理します。単独処理浄化槽と異なり、両方の汚水を綺麗に処理できる点が特徴です。現在推奨されている標準的な浄化槽です。
単独処理浄化槽は、合併処理浄化槽に比べてBOD(生物化学的酸素要求量)の排出量が約8倍も多いと言われています。そのため、法律によって転換が進められています。
【浄化槽を適切に使用するために必要なこと】
浄化槽は設置して終わりではありません。定期的な管理が法律で義務付けられています。具体的には「保守点検」「清掃」「法定検査」の3つです。これらを怠ると性能が落ち、水質悪化や悪臭、故障の原因となります。
【なぜ協議会が必要なのか】
現場では、以下のような課題が多く存在しています。
管理が不十分なまま設置されている浄化槽がある
単独処理から合併処理への転換が進みにくい
行政、事業者、管理者の連携が弱い
浄化槽に関する情報の非対称性があり、状況を把握しにくい
このような問題を解決するため、令和元年の法改正により、都道府県や市町村が「協議会」を組織できるようになりました。
協議会では、主に以下のような事項について話し合いを行います。
浄化槽管理者への支援策
公共浄化槽の設置
浄化槽台帳や名簿の作成・整備
維持管理の向上策
単独処理浄化槽の転換促進
構成員は行政だけでなく、保守点検業者、清掃業者、工事業者、指定検査機関、管理者など、実際に浄化槽に関わりのある方々が参加できます。
【要点】
浄化槽は下水道の代わりとして、特に地方において水環境を守る大切な装置です。
現在は「合併処理浄化槽」が標準となっています。
設置するだけでなく、保守点検・清掃・法定検査をしっかり行うことが重要です。
これらを地域全体で円滑に進めるため、協議会という話し合いの場が法律に基づき用意されています。
【接触ばっ気槽の生物膜】
接触曝気槽は、浄化槽の二次処理を担う槽でございます。浄化槽内に接触材を充填し、ブロアで空気を送りながら汚水を循環させます。接触材の表面に微生物が付着して生物膜を形成し、その膜が汚水中の有機物などを分解いたします。
これが、接触ばっ気法、あるいは接触酸化法と呼ばれる生物膜法の一種でございます。活性汚泥法のように微生物を水中に浮遊させるのではなく、固定床に微生物を固定することが特徴です。
・生物膜の構造と微生物の共存
接触材の表面にできる生物膜は、単純な一層ではなく、厚みのある立体的な構造をしております。
生物膜が厚くなると、表面から内部にかけて酸素濃度の勾配ができます。
表面近くは好気ゾーンとなり、内部深くは嫌気・無酸素ゾーンとなります。
酸素が供給される深さは、一般的に約0.2mm程度までと言われております。それより深い部分は、酸素がほとんど届きません。
このため、同じ生物膜の中に以下の微生物が共存しております。
・好気性微生物
特徴として、分子状酸素がないと生きられず、活動もできません。有機物を酸化分解し、炭酸ガスと水に変えます。
また、硝化も行います。アンモニア性窒素を亜硝酸性窒素を経て硝酸性窒素へと酸化させます。
接触曝気槽の表面近くで活発に働き、ブロアによるばっ気で酸素を供給することで、これらの微生物の活動を支えております。
・通性嫌気性微生物
特徴として、酸素があるところでもないところでも活動することができます。酸素があるときは好気呼吸を行い、酸素がないときは硝酸などの結合酸素を使って呼吸をします。
主な働きは有機物の分解であり、条件が整えば脱窒にも関与いたします。
生物膜の内部や、局所的に酸素が不足する部分で活動します。
なぜこの共存が接触ばっ気の特徴なのか
・処理の安定性
流量の負荷が変動しても、生物膜が接触材に固定されているため、微生物が流出しにくい構造になっております。好気と通性嫌気の両方の微生物が存在することにより、環境変化に強いという利点があります。
・複数の反応が同時進行
表面では有機物の分解と硝化が行われます。
内部では、条件がそろえば脱窒の可能性も生じます。
これにより、単なる有機物の除去だけではなく、ある程度の窒素除去も期待できる場合がございます。
・汚泥発生量が少ない
生物膜法は自己酸化が進みやすく、余剰汚泥が活性汚泥法よりも少なくなる傾向にあります。
・逆洗の必要性
生物膜が厚くなりすぎると、接触材が閉塞したり、内部が完全に嫌気化して硫化水素が発生したりすることがあります。そのため、定期的な逆洗が必要となります。
要点
接触ばっ気槽の接触材表面にできる生物膜は、酸素が豊富な表面と、酸素が少ない内部という環境の違いを利用して、好気性微生物と通性嫌気性微生物がすみわけ、共存しております。
・好気性微生物は有機物分解と硝化の主力となります。
・通性嫌気性微生物は柔軟に対応し、内部環境でも活動します。
これが接触ばっ気法の大きな特徴であり、家庭用浄化槽で広く採用されている理由の一つです。単純に好気性微生物が働いているわけではなく、生物膜という立体構造の中で多様な微生物が役割分担をしている点が大きな特徴でございます。
【微生物による有機物の分解と浄化槽の仕組み】
微生物は有機物を分解してどうするのか:エネルギーの使途
浄化槽内、特に曝気(ばっき)槽では、微生物が有機物(汚れ)を摂取して分解しています。この分解の際に得られるエネルギーは、主に次の2つの用途に使われます。
1:有機物の無機化有機物を炭酸ガスや水などに完全に分解するプロセスです。浄化槽においては、水の汚れを根本から取り除くという、最も重要な役割(本命の仕事)を果たしています。
2:微生物自身の増殖と維持得られたエネルギーを使って新しい菌体(仲間)を作ったり、現在の状態を維持したりします。つまり、浄化槽内で活動する微生物を絶やさないために必要なプロセスです。
このように、有機物を酸化して得たエネルギーの一部は、微生物が自分たちの身体を作る「細胞合成」のために使われています。
浄化槽(曝気槽)で起こる具体的なイメージ
1:流入:汚水に含まれる有機物(汚れ)が曝気槽に入ってきます。
2:酸化:微生物がその有機物を酸化させ、活動エネルギーを得ます。
3:増殖:そのエネルギーの一部を使い、新しい微生物が増殖します。
4:蓄積:増えた微生物の身体そのものが、新たな有機物の塊となります。
上記のサイクルがあるため、有機物がすべて完全に無機物(炭酸ガスや水など)へと消えてしまうわけではありません。一部は「微生物の身体」という有機物の形で残る現象が起こります。これこそが、浄化槽で余剰汚泥(よじょうおでい)が発生する大きな理由の1つです。処理した有機物の一部が、微生物の身体として蓄積されていくためです。
BOD(生物化学的酸素要求量)測定との関係
BOD測定は、微生物が有機物を分解する際に消費する酸素の量を測るものです。しかし実際には、有機物を完全に分解しきるための酸素消費だけでなく、微生物が増殖するために消費される酸素も含まれています。したがって、「得られたエネルギーのすべてが無機化(汚れの分解)に使われる」という前提は成り立ちません。
浄化槽管理において役立つポイント
浄化槽では、有機物を分解すると同時に、微生物の増殖が必ず起こります。そして、増えすぎた微生物は、最終的に「汚泥」として槽外へ引き抜かれる(清掃される)ことになります。この汚泥の発生こそが、エネルギーのすべてが無機化に使われているわけではない(一部が身体の合成に使われている)ことの動かぬ証拠と言えます。
要点
微生物は、有機物を酸化して得たエネルギーのすべてを「汚れの分解(無機化)」に使っているわけではありません。その一部は、必ず自分たちの増殖や維持のために使用されているという点を理解することが重要です。
【浄化槽での脱窒反応】
脱窒とは、水中の硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を微生物の働きによって窒素ガスに変え、大気中に放出して水から除去する反応です。
働く微生物は脱窒菌です。必要な条件は、無酸素~嫌気状態で水素供与体が十分にあることです。
反応のイメージは以下の通りです。
硝酸イオンが電子を受け取って還元され、最終的に窒素ガスになります。脱窒菌は、酸素がないときに酸素の代わりに硝酸を使って呼吸します。そのときに有機物を燃料として消費します。
・水素供与体とは何か
水素供与体は、脱窒菌が電子を受け取るために必要な有機物のことです。
脱窒菌は従属栄養生物なので、自分で有機物を作ることができません。外部から有機物を摂取してエネルギーを得ます。
代表的なものは以下の通りです。
・流入汚水中のBOD成分
・外部から添加するメタノール、エタノール、酢酸など
Wikipediaでは、「実装置ではメタノールに替えて廃水中の有機物(BOD成分)の利用が広く行われ、目安として硝酸態窒素1に対しBOD3が消費される」とされています。
・標準の脱窒ろ床接触ばっ気方式での扱い
国土交通省の構造方法(告示)に基づく脱窒ろ床接触ばっ気方式では、以下のように設計されています。
・脱窒ろ床槽で脱窒を行います。
・接触曝気槽で処理した液を、脱窒ろ床槽の流入部へ循環させます。
・水素供与体として、流入汚水そのものに含まれる有機物(BOD)を利用します。
このため、構造基準上はメタノールを添加するための注入設備は必須とされていません。一般の家庭用浄化槽では、し尿や生活排水に含まれる有機物が、脱窒に必要な量をほぼ賄えるように設計されています。
家庭用浄化槽の流入水質の目安例:
・BOD:200 mg/L前後
・T-N(全窒素):40〜50 mg/L程度
この比率の場合、循環を適切に行えば、流入BODを水素供与体として脱窒が進行しやすくなります。
・なぜメタノール添加が標準ではないか
家庭用や小型の浄化槽では、薬品の定期的な補充や注入装置の点検・管理が負担になるため、できるだけ自然の流入有機物に頼る設計になっています。
・過剰添加のリスク
メタノールを入れすぎると、処理水のBODが上がったり、後段の好気槽で酸素が余計に消費されたりします。
・危険物としての扱い
メタノールは消防法上の危険物に該当するため、貯蔵や注入設備に規制がかかります。そのため、小型浄化槽には不向きです。
要点
標準的な家庭用脱窒ろ床接触ばっ気方式は、流入汚水の有機物をうまく使って脱窒する設計になっており、メタノールの注入設備は必須ではありません。
【スロット型沈殿槽】
構造例示型浄化槽の構造基準では、スロット沈殿槽の有効水深は次のように定められています。
「接触ばっ気槽と沈殿槽との隔壁下端から水面までの距離」
これが有効水深となり、底面から測るのではなく隔壁の下端が基準になります。
・スロット型沈殿槽とは
主に有効容量が1.5m³以下の小型浄化槽で採用される構造です。
接触曝気槽と沈殿槽が隣接して一体的に配置されています。
両方の槽の間を仕切る隔壁の下部にスロットが設けられています。
沈殿槽で沈降した汚泥がこのスロットを通って、重力で自然に接触ばっ気槽側へ戻る仕組みです。
スロット部の勾配は水平面に対して60度以上と規定されており、これにより汚泥がスムーズに滑り落ちやすくなります。この方式は、ポンプや自動引き抜き装置を使わずに循環させる、シンプルでメンテナンスしやすい構造が特徴です。
隔壁下端から水面までが有効水深である主な理由
1、汚泥の自然移送ゾーンを除外するため
スロットより下の部分は、汚泥が接触ばっ気槽へ移動するための通路・堆積ゾーンです。ここは綺麗な処理水を得るための沈殿・分離に直接寄与しないため、有効水深には含めません。
2、実際の沈殿有効空間を正確に評価するため
有効水深は、浮遊物質が沈降して綺麗な水が得られる有効な深さを意味します。隔壁下端より上の空間が、実際に沈殿作用が働くゾーンとなります。
3、構造上の一体性を考慮するため
スロット型は接触曝気槽と連続した空間を持っているため、底面全体を基準にすると有効容量を過大に評価してしまいます。隔壁下端を基準にすることで、沈殿槽としての実質的な容積を正しく計算できます。
関連する設計基準値(スロット型の場合)
・有効容量: 日平均汚水量に対して一定以上(小型では0.3m³以上など)
・水面積負荷: 水面1m²あたりの日平均汚水量が8m³以下
・越流負荷: 越流せき1mあたりの日平均汚水量が20m³以下
有効水深自体は1m以上が目安となりますが、基準の測り方がホッパー型や流量調整槽とは異なります。
要点
スロット型沈殿槽の有効水深は、接触曝気槽との隔壁下端から水面までの距離と定義されます。これは、スロットより下部が汚泥の移送ゾーンであり、実際の沈殿有効空間は隔壁下端より上であるという構造上の理由に基づいています。
【単独処理浄化槽の減少について】
日本でよく使われている浄化槽には、大きく分けて以下の2種類があります。
単独処理浄化槽(古いタイプ)
トイレのし尿のみを処理するタイプです。台所、お風呂、洗濯などの生活雑排水は、処理されずにそのまま側溝や川へ流されます。以前は主流でしたが、環境への負荷が大きいことから2001年以降は原則として新設が禁止されています。しかし現在でも、全国に数百万基ほど残っています。
合併処理浄化槽(現在の標準タイプ)
トイレのし尿だけでなく、生活雑排水の双方をきれいに処理してから流すタイプです。川や海を汚しにくく、環境にやさしい構造となっています。
単独処理浄化槽はトイレの水のみをきれいにして残りを流してしまうため、水質汚染の大きな原因となっています。
特定既存単独処理浄化槽とは?
現在残っている単独処理浄化槽のうち、特に劣化や破損が進み危険な状態にあるものを指します。分かりやすく表現すると、「このまま放置すると、近隣の生活環境や衛生面に大きな支障をきたす可能性が高い単独処理浄化槽」のことです。
制度が作られた背景(令和元年の法改正)
既存の単独処理浄化槽で老朽化が進み、本体の割れによる汚水の漏出、槽の傾きによる処理不良、消毒設備の故障による病原菌の排出など、深刻なトラブルが増加しました。
これを受けて国は、特に危険な浄化槽を「特定既存単独処理浄化槽」と認定し、都道府県などがより強い権限で指導を行えるよう制度を整えました。
認定された場合の対応
都道府県知事などから、管理者や所有者に対して段階的に指導や是正措置が行われます。
・指導・助言
・勧告
・命令(従わない場合は最大30万円の罰金)
最終的には、対象の浄化槽を撤去し、合併処理浄化槽へ入れ替える(除却)ことが基本となります。
なお、単に年数が経過している場合や、多少水質が悪いというだけで即座に認定されるわけではありません。すぐに修繕できない構造的な異常があり、周辺環境へ悪影響を及ぼすおそれがある場合に適用されます。
主な判断基準
・浄化槽本体が著しく破損・劣化している
・汚水が外部へ漏れ出している
・槽の傾きにより、汚水が処理されずにそのまま流れている(短絡流の発生)
・消毒設備が欠損・喪失している
複数回修理を行っても、同様の故障を繰り返している
※定期点検を行っていない場合や、一時的な消毒薬切れなどはすぐに改善が可能なため、通常は対象外となります。
要点まとめ
単独処理浄化槽は、トイレ専用の古いタイプであり環境負荷が高いシステムです。その中でも著しく破損し危険な状態にあるものが「特定既存単独処理浄化槽」に該当します。本制度は、問題のある浄化槽を早期に発見して合併処理浄化槽への転換を促し、河川や海の美化を進めるための仕組みです。
【浄化槽の破砕装置】
破砕装置は、浄化槽の前処理設備の中核を担う機械です。
汚水に含まれる紙、布、髪の毛、生理用品、固形ゴミなどの夾雑物を細かく切断・破砕する装置であり、「カッター」とも呼ばれています。
主な目的は次の通りです。
・後段のポンプが夾雑物によって詰まったり、損傷したりするのを防ぎます。
・曝気槽、接触曝気槽、回転盤接触槽などの生物処理槽に大きな異物が入り込み、処理機能を低下させるのを防ぎます。
・スクリーンのカス量を減らし、後段の維持管理の負担を軽減します。
特に、処理対象人員が101人以上の浄化槽において重要となります。小規模な家庭用浄化槽ではほとんど使用されず、代わりにばっ気型スクリーンや単純な荒目スクリーンで対応します。
設置場所と処理フローでの位置
破砕装置は通常、流量調整槽の前に設置されます。典型的な流れは次の通りです。
1、流入汚水
2、荒目スクリーン+沈砂槽
3、破砕装置
4、微細目スクリーン
5、流量調整槽
6、生物処理槽
流量調整槽の前に微細目スクリーンを設置する場合には、必ず破砕装置と組み合わせる規定があります。また、沈砂槽は破砕装置の前に設置するのが原則です。
構造と種類
代表的なものとしてドラム型が挙げられます。
円筒状の回転ドラムに切断歯がついており、固定された櫛状の歯との間で夾雑物を挟み込んで切断・破砕します。
切削歯は超硬合金製であることが多く、再研磨や交換がしやすい構造になっています。また、電動機と減速機が直結した立形がよく用いられます。
【浄化槽と防虫の網】
浄化槽の中には汚水や汚泥が存在するため、チョウバエ、蚊、ユスリカなどの害虫にとって非常に好都合な環境となっております。
特に以下のような場所が繁殖しやすいとされています。
・沈殿槽や嫌気ろ床槽などの水面
・マンホールの内側や蓋の裏側
・通気口・排気口の周辺
・スカム(浮上した汚れ)がある部分
これらの害虫が大量に発生いたしますと、周辺の住環境に大きなご迷惑をかけることになります。
特にチョウバエは「浄化槽バエ」とも呼ばれ、苦情の原因となります。
・害虫はどのように侵入するのか
1.マンホールの蓋の隙間
蓋のパッキンが劣化したり、石やゴミが挟まって完全に密閉されていない場合、そこから成虫が自由に出入りしてしまいます。
2.通気口、排気口(臭突管の開口部など)
浄化槽内の空気を外へ逃がすための開口部です。ここが無防備な状態ですと、害虫が直接中に入り込んでしまいます。
3.その他の開口部
点検口や清掃口など、蓋がしっかりと閉まっていない部分が該当します。
・防虫網の役割について
構造基準におきましては、次のように定められています。
「通気及び排気のための開口部は、雨水・土砂等の流入を防止できる構造とするほか、昆虫類が発生するおそれのある部分に設けるものには、防虫網を設けること」
つまり、開口部から雨水や土砂が入らないようにすると同時に、昆虫が侵入できないように防虫網を取り付けるという2つの目的がございます。
防虫網を取り付けることで、成虫の侵入を防ぐだけでなく、内部で発生した幼虫が成虫になって外へ出ていくのを防ぐという効果があります。
・実際のポイント
防虫網は、網目の細かいものを使用いたします。経年劣化によって破れることがございますので、保守点検の際に必ずチェックを行います。破れたまま放置してしまいますと、そこから害虫が大量に出入りするようになります。また、マンホールの蓋自体の密閉も重要であり、パッキンの状態が悪い場合は防虫網だけでは不十分となります。
要点
浄化槽の開口部に防虫網を取り付けることは、害虫の侵入と発生を物理的に防ぐための標準的な対策です。臭い対策と同様に、周辺環境を守るために非常に重要なポイントの一つとなります。
【浄化槽の広報や啓発】
生活排水処理基本計画では、施設の整備だけではなく、住民の皆様にどう伝えるかも重要な項目として明記されています。その理由は、浄化槽のほとんどが個人で設置・管理するものだからです。市町村が「この地域は合併処理浄化槽で処理しましょう」と計画で決めても、住民の皆様が動かなければ意味がありません。そのため、計画の中に住民への広報や啓発活動をきちんと位置付ける必要があります。
具体的に何を啓発するのでしょうか。指針で求められている内容は次の3つです。
・生活雑排水対策の必要性台所、お風呂、洗濯の排水をそのまま流すと川や湖が汚れてしまうことを、分かりやすく伝えることです。
・浄化槽の適正管理の重要性これは定期的な保守点検、清掃、法定検査(7条検査や11条検査)のことです。これらをきちんと行わないと、浄化槽の性能が落ちてしまい、汚れた水が流れ出てしまいます。
・単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の呼びかけ古い単独処理浄化槽は、生活雑排水を処理できません。下水道区域外であれば、合併処理浄化槽に転換しましょうと住民の皆様に呼びかけることです。
なぜこれが効果的なのでしょうか。
浄化槽は設置して終わりではなく、正しく使い続けて初めて効果を発揮する施設だからです。計画的に啓発活動を位置付けることで、住民の皆様の意識が高まり、適正管理が進み、合併処理浄化槽への転換が進みます。結果として生活排水処理率が上がり、水質が良くなるという流れを作ることができます。
【要点】浄化槽は個人のものであるため、市町村が計画の中で「住民にきちんと伝える」と明記しておくことが大切なのです。
【BODはCODより小さな値になります】
BOD(生物化学的酸素要求量)がCOD(化学的酸素要求量)よりも小さくなる理由は、測定している対象(範囲)が異なるためです。
・COD(化学的酸素要求量): 薬品の力で酸化できる有機物をほぼすべて測定します。微生物が分解できるものも、分解しにくいものもまとめて測定します。
・BOD(生物化学的酸素要求量): 微生物が実際に分解できる有機物だけを測定します。微生物が分解できない、または分解しにくいものは測定しません。
そのため、同じ水を測定しても、CODの方がより広い範囲の汚れを拾うため、数値が大きく出るのが一般的です。
浄化槽内での変化と処理水のイメージ
浄化槽の処理水を例にすると、以下のようなイメージとなります。
1:処理前の汚水には、さまざまな有機物が混ざっています。
・微生物がすぐに分解できる汚れ(食べやすい汚れ)
・微生物がなかなか分解できない汚れ(食べにくい汚れ)
2:浄化槽の中で微生物が働くと、分解しやすい汚れから順に処理されていきます。
3:しかし、分解しにくい汚れの一部は処理水の中に残りやすくなります。
その結果、処理水の検査数値は以下のようになります。
・BOD: 微生物が分解できる汚れがしっかり減っているため、数値が低くなります。
・COD: 残っている分解しにくい汚れも測定するため、BODよりも数値が高くなりやすくなります。
COD: 残っている分解しにくい汚れも測定するため、BODよりも数値が高くなりやすくなります。
浄化槽の検査結果によく見られる傾向
十分に処理が行われている浄化槽の放流水には、以下のような傾向があります。
・BODがかなり低い: 微生物がしっかりと機能して汚れを分解できた証拠です。
・CODがBODより少し高い: 微生物では分解しにくい成分がわずかに残っていることを示します。
これが「BODの方がCODより小さくなる」という関係の理由です。
逆に、BODがCODを上回ることは通常ほとんどありません。もしそのような測定結果が出た場合は、測定方法や条件に何らかの問題が生じている可能性が高いと考えられます。
浄化槽で知っておくと役立つポイント
・BODが低い場合: 微生物が分解できる汚れが良好に除去できています。
・CODがBODより高い場合: 微生物では分解しにくい汚れがまだ残っている可能性があります。
・両方とも低い場合: 全体的に大変きれいに処理できている状態です。
この違いを把握しておくと、浄化槽の検査結果をご覧になった際、なぜCODの方が高い数値になるのかをスムーズにご理解いただけます。
・要点
CODは薬品で酸化できる有機物を広く測定しますが、BODは微生物が実際に分解できる有機物のみを測定します。そのため、浄化槽の処理水においてBODがCODを上回ることはほとんどなく、通常はBODの方が小さな値となります。
【浄化槽とは】
日本では下水道が整備されていない家や建物において、トイレのし尿や台所・お風呂などの生活排水をその場で浄化し、川や側溝へ放流するための装置が必要となります。これが「浄化槽」です。
・小型のものは、一般住宅用(概ね5〜10人槽)として使用されます。
・中型から大型のものは、アパート、ホテル、学校、工場など、多くの人が利用する建物向けとなります。
国では、「確実に汚れを落とせる構造にする」ための基準を定めており、その代表的なルールの一つが「建設省告示第1292号(構造基準)」です。
【構造基準(建設省告示第1292号、最終改正:平成18年国土交通省告示第154号)第6の内容】
第6では、中型から大型の合併処理浄化槽の製作方法について規定されています。
主な目標として、放流水のBOD(生物化学的酸素要求量)をおおむね20mg/L以下にすることが掲げられています。
また、それぞれの処理方式においては、適用可能な規模の下限となる人数(処理対象人員)が方式ごとに定められています。以下はその参考となります。
・回転板接触方式:51人以上
・接触ばっ気方式:51人以上
・散水ろ床方式:501人以上
・長時間ばっ気方式:101人以上
・標準活性汚泥方式:5,001人以上
【要点】
・第6は、中型から大型の合併処理浄化槽の構造および製作方法について規定しています。
・適用可能な規模(処理対象人員の下限)は、処理方式によって異なります。
・生物膜法は比較的小規模なものから適用可能です。
・活性汚泥法は規模が大きくなるにつれて本格的な設備となり、特に標準活性汚泥方式では5,001人以上が対象となります。
【嫌気ろ床について】
これは家庭用浄化槽や合併処理浄化槽の中にある、処理槽の一つです。汚れた水を酸素のない環境(嫌気状態)で浄化するための部分のことを指します。
この嫌気ろ床には、主に2つの役割があります。
1つ目は、ろ材による物理的な浮遊物の除去です。ろ材には、プラスチック製の網目状のものや、小さな穴がたくさん空いた多孔質の材料などが使われています。汚水がこのろ材の間を通るときに、水中に浮いている固形物がろ材に引っ掛かり、取り除かれる仕組みです。
2つ目は、嫌気性微生物による生物的な浄化です。嫌気性微生物とは、酸素がなくても活動できる細菌のことです。ろ材の表面には、これらの微生物が膜のようになって付着しており(これを生物膜と呼びます)、汚水に含まれる有機物を分解してくれます。酸素を使わないため、分解は比較的ゆっくりと進むのが特徴です。
【微生物と汚濁物質の接触頻度】
微生物は、汚濁物質に直接触れることによって分解を行います。浄化槽の好気槽では、微生物が汚水中の汚濁物質である有機物を食べることで、水をきれいに分解しています。
しかし、微生物は水の中を自由に泳ぎ回れるわけではありません。そのため、有機物に直接触れられないと分解が進みません。例えば、以下のような状態では分解の効率が落ちてしまいます。
・汚水がほとんど動かず、微生物と有機物が離れたままになっている
接触を増やすとどうなるか
空気を入れて水を循環させる「ばっ気」や「かき混ぜ」を行うと、水が大きく動きます。その結果、微生物と有機物が何度もぶつかり合い、微生物の周りに新鮮な有機物が次々と運ばれてくる状態を作ることができます。
接触する回数が増えるほど、微生物は効率よく有機物を取り込めるようになり、分解速度が上がります。
これは身近な例で言うと、料理で味を染み込ませる際、ただ置いておくよりもかき混ぜた方が早く味が染みるのと同じ仕組みです。微生物と有機物も、しっかりと混ぜ合わせることで出会う回数が増え、分解がスピーディーに進みます。
浄化槽における実際の役割
浄化槽の曝気(ばっき)槽は、ただ酸素を供給するだけでなく、微生物と汚濁物質を効率よく混ぜ合わせるという非常に重要な役割も担っています。
ばっ気が弱すぎたり止まったりしてしまうと、接触の機会が失われて処理能力が低下します。逆に適切にばっ気を行えば、同じ微生物の量であっても、より効率よく有機物を分解できます。
つまり、浄化槽においては微生物の数だけでなく、「どれだけうまく接触させられるか」が、処理の良し悪しを大きく左右する重要なポイントとなります。
【浄化槽などの汚泥の処理方法について】
し尿等とは
「汲み取りし尿」とは、昔ながらの汲み取り便所からバキュームカーで回収した便や尿のことです。一方、「浄化槽汚泥」は、家庭用の小型下水処理槽である浄化槽を清掃する際に引き抜かれた、泥のような汚れ(汚泥)を指します。これら2つを合わせて「し尿等」と呼びます。
処理と処分の仕組み
これらは市町村の責任において回収され、適切に処理・処分されます。最も一般的な処理方法は、し尿処理施設への搬入です。環境省の公式調査(全国統計)によると、全体の約9割がこの方法で処理されています。具体的には、汲み取りし尿の約90%、浄化槽汚泥の約90〜92%が該当し、大半がし尿処理施設で処分されていることが分かります。
し尿処理施設での処理工程
し尿処理施設とは、簡単に言えば「汚れた液体をきれいにして、川や海へ流せるようにする施設」です。主な処理の流れは以下の通りです。
・受入: 運ばれてきたし尿や汚泥を受け入れます。
・夾雑物(きょうざつぶつ)の除去: 「し渣(しさ)」と呼ばれる大きなゴミを取り除きます。
・生物処理・脱窒(だっちつ)処理: 微生物の力を借りて汚れを分解します。
・放流: きれいになった水を川や海へ流します。
・汚泥の処理: 残った汚泥は脱水したのち、焼却処分をするか、資源として再利用します。
その他の処理方法
し尿処理施設への搬入以外にも、以下のような処分・活用方法があります。
・下水道への直接投入
・メタン発酵施設での処理
・農地への肥料としての還元
・ごみの堆肥(たいひ)化施設での活用
【浄化槽においてBOD指標が重要とされる理由】
浄化槽ではなぜBODが重視されるのでしょうか。浄化槽は、ご家庭や事業所から出される汚水を微生物の力で処理する装置です。
処理水や放流水の水質基準において、BODは最も基本的な指標として用いられています。
一般的な合併処理浄化槽の放流水質基準は、BOD 20 mg/L以下(日間平均)です。なお、窒素やリンの除去に対応した高度処理型の場合は、さらに厳しい基準が設定されることが多くあります。
このBODの数値は「有機物をどれだけ分解できたか」を表しているため、浄化槽の性能評価や法定検査において非常に重要視されています。
炭素系BODと窒素系BODの違い
・炭素系BOD
通常の有機物(し尿や生活雑排水の汚れ)を微生物が分解する際に消費される酸素の量です。これが浄化槽の主な役割となります。
・窒素系BOD
アンモニアが硝化細菌によって酸化される際に消費される酸素の量です。曝気(ばっき)槽で硝化が進むと必ず発生し、アンモニア1 mgあたり約4.57 mgの酸素が消費されます。
浄化槽で窒素系BODが問題となる理由
浄化槽、特に高度処理型の曝気槽では十分な溶存酸素が供給されるため、硝化が大幅に進行します。その結果、処理水の中に残っているアンモニアや途中で生成した亜硝酸が、BOD測定の際にも酸素を消費してしまいます。
実際に起こる影響
本来の有機物の残り具合(炭素系BOD)は低いにもかかわらず、窒素系による酸素消費が加わることで、見かけ上のBODが高く測定されてしまうことがあります。
・具体例:炭素系BOD自体は8 mg/L程度しかないにもかかわらず、窒素系が加算されることで15〜20 mg/Lと測定されてしまうケースがあります。
この場合、浄化槽自体は適切に汚水を処理できているにもかかわらず、基準超過と判断されてしまうリスクが生じます。
対策
法定検査や性能評価の現場では、硝化抑制剤を加えて炭素系BODのみを測定する方法が広く用いられています。抑制剤としては「アリルチオ尿素(ATU)」などが一般的です。これを使用することで硝化細菌の働きが止まり、窒素系による酸素消費を除外できるため、本来の有機物残存量を正確に評価することが可能となります。
また、最近の高度処理浄化槽は窒素除去まで行える設計になっているため、処理水中のアンモニア自体が減少し、窒素系BODの影響を受けにくくなっています。
まとめ
浄化槽のBOD測定値には、「有機物分解による酸素消費」と「アンモニア硝化による酸素消費」の双方が含まれる場合があります。特に硝化が進みやすい浄化槽では、窒素系BODの影響が大きくなりがちです。
そのため、有機物がどれだけ正確に除去されたかを把握したい場合には、硝化抑制剤を用いた炭素系BODで評価することが適切です。
【流量調整槽の有効水深について】
浄化槽などの構造基準や一般的な設計指針では、流量調整槽の有効水深について次のように考えられています。・有効水深は一定の深さ(1m以上など)を確保することが求められます。ただし、槽の底部付近(沈殿物やポンプの最低水位を考慮する範囲)や、槽の上端付近(安全余裕となる範囲)については、実効性のある容量(有効水深)の計算から除外して扱われます。つまり、実際の水位変動範囲のうち、底面側の余裕部分と、高水位からさらに上端までの余裕部分を除いた、実質的に調整に寄与する高さが有効水深として計算されます。高水位から低水位までの水位差のうち、底部側の一定のクリアランス分を差し引いた高さが有効水位となります。
≪底部と上端の範囲を計算から除外する理由≫
・底部側を除外する理由
汚泥や沈砂の体積を考慮するため
流量調整槽には固形物が少しずつ沈殿します。ポンプの吸込口が汚泥に埋まらないように、最低でも底から一定のクリアランス(余裕)を確保する必要があります。
ポンプの最低水位の設定
水中ポンプは、吸込口が完全に水没していないと空気を吸い込んで空転したり、故障したりする原因になります。そのため、底部から一定の高さまでのゾーンはポンプが安定して運転できる最低水位帯として見なし、有効容量には含めないことが一般的です。
撹拌装置の効果
流量調整槽には汚水を均一に混ぜるための散気装置や撹拌機が備えられています。底部の近くは撹拌の影響を受けにくく、堆積物が残りやすいため、この部分をあらかじめ除外して考えます。
≪上端側を除外する理由≫
余裕高(フリーボード)の確保
流入のピーク時やポンプの万が一の故障時に水位が急上昇しても、槽から汚水が溢れ出さないための安全余裕を確保するためです。
撹拌による水面波立ちへの配慮
曝気や撹拌によって水面に波が立つため、上端近くまで常時水位を上げると、飛沫や臭いの漏れが発生しやすくなるためです。
マンホールや配管の位置関係
上層部には点検用のマンホールや各種配管類が配置されることが多いため、水位が上がりすぎないように一定の空間を持たせます。
〇 有効容量との関係 有効水深を正しく把握・計算することで、適切な有効容量が決定されます。
有効容量 = 平面積 × 有効水深この有効容量が、日平均汚水量に対して必要な調整量をしっかりと満たしているかが、設計上の重要なチェックポイントとなります。
〇 実際の水位管理のイメージ
低水位(LWL):ポンプが停止する水位(底から一定の余裕を持たせた位置)
高水位(HWL):通常の最高水位
警報水位:さらに上位に設定され、異常な水位上昇時に警報や非常用ポンプが作動する水位有効水深は主に「LWL〜HWLの間」をベースに検討されますが、基準上や実務上は、底部や上端の余裕部分をあらかじめ差し引いて安全側で評価するルールとなっています。
要点
流量調整槽の有効水深は、底面から水面までをすべて含めるのではなく、上下の余裕代を適切に差し引いた範囲を有効とするのが正しい捉え方です。これは、ポンプの安全運転、沈殿物への対策、および溢水防止という実務上の必要性から成り立っています。
なお、沈殿分離槽やホッパー型沈殿槽などの他の槽とは目的や構造の性質が異なるため、それらを区別して捉えることが大切です。
【浄化槽とヘキサン抽出物質について】
ヘキサン抽出物質とは、水の中に含まれる油分や油脂類の量を測定するための指標です。正式には「ノルマルヘキサン抽出物質」と呼ばれており、水中の油分を「ヘキサン」という溶剤を使って抽出・測定します。簡単に申し上げますと、「水の中にどれくらい油が混ざっているか」を数値で表したものです。
浄化槽で油分が問題になる理由
浄化槽は、主に微生物の力を借りて汚水をきれいにする装置です。しかし、油分は微生物が分解しにくい苦手な物質の一つです。そのため、排水に油が多く含まれていると、以下のようなトラブルの原因になります。
・スカム(浮上油膜)の増加
油は水よりも軽いため、浄化槽のなかで水面に浮き上がり、膜(スカム)をつくります。このスカムが厚くなると、空気の通りが悪くなったり、槽内の水の流れが乱れたりします。
・微生物の働きを阻害
油の膜が微生物を覆ってしまったり、分解されにくい油が蓄積したりすることで、微生物の活動が低下します。その結果、汚水をきれいにする処理能力が落ち、放流する水質が悪化してしまいます。
・配管や装置の詰まり
油が固まって配管やポンプ、散気管(空気を送る管)などに付着し、詰まりや故障を引き起こします。
・悪臭の発生
溜まった油が酸素のない状態(嫌気的)で分解されると、悪臭の原因となる物質が発生しやすくなります。
特に注意が必要なケース
・一般の家庭
天ぷら油やドレッシング、マヨネーズなどを多く流してしまうと、浄化槽に悪影響を及ぼします。
・飲食店・ホテル・病院・社員食堂など
油分を多く含む排水が出る施設では、特に注意が必要です。こうした施設では、排水基準によってノルマルヘキサン抽出物質の量が厳しく規制されています。
対策のポイント
・油を流さない工夫をする
お料理で使った油や食器に付いた油汚れは、紙で拭き取る、固めて捨てるなど、なるべく排水口に流さないように徹底します。
・定期的な清掃を行う
グリーストラップ(阻集器)や油分離槽を設置している場合は、定期的な清掃を欠かさず行います。
・保守点検時のチェック
浄化槽の定期点検の際に、スカムの厚みや油っぽい汚れが溜まっていないかを専門業者に確認してもらいます。
まとめ(要点)
ヘキサン抽出物質は、水中の油の量を示す指標です。浄化槽にとって油分は天敵であり、多くなるとスカムの増加や微生物の機能低下を招き、処理不良の原因となります。特に油を多く使う場所では、「油をできるだけ流さない工夫」が極めて重要です。
【嫌気槽(または嫌気ろ床槽)の仕組み】
・固形物の沈殿と分離
汚水に含まれる浮遊物や固形物は、槽内の流れが穏やかになることで、重力によって底へと沈殿していきます。多くの浄化槽にはプラスチックなどの「ろ材」が設置されており、固形物がここに引っかかることで、より効率的に分離されます。こうして沈殿した固形物は、汚泥(おでい)として浄化槽の底に少しずつ蓄積されていきます。
・嫌気性微生物による有機物の分解
浄化槽の内部は、空気がほとんどない状態、あるいは酸素濃度が非常に低い状態に保たれています。この環境を好む「嫌気性微生物」が活発に活動します。これらの微生物は、水に溶け込んだ有機物を栄養源として取り込み、自身の持つ酵素の働きによって分解していきます。
【浄化槽を使わない場合のお手続き】
浄化槽を使用することがなくなった場合は、使用を停止した日から数えて30日以内に、都道府県知事(または権限を持つ市町村長)へ、使わなくなった旨を伝える届出(浄化槽使用廃止届出書)を提出する必要があります。これは浄化槽法第11条の3に定められている義務です。
なぜこの届出が必要なのか
自治体は、地域の環境を守るために「どの場所にどんな浄化槽が存在しているか」を台帳で管理しています。もし使われなくなった浄化槽が台帳に残ったままになると、実際にはないにもかかわらず検査や管理の対象になってしまったり、地域の環境管理や統計が不正確になったりする問題が発生します。そのため、廃止したことを適切に知らせる義務があるのです。
廃止に該当するのはどのような場合か
具体的には、以下のようなケースが該当します。
・公共下水道や農業集落排水に接続を切り替え、浄化槽を使わなくなった場合
・家を建て替えるために、古い浄化槽を撤去した場合
・古い浄化槽を新しいものに入れ替えた場合
・建物を解体し、あわせて浄化槽を撤去した場合
※なお、長期間の留守や空き家になるなど「一時的に使わない(休止)」という場合は、廃止ではなく「休止届」という別の手続きになりますのでご注意ください。
届け出の期限と重要な注意点
・期限と提出先
実際に使わなくなった日(廃止した日)から30日以内に、その浄化槽の管理者(通常は所有者の方)が手続きを行います。提出先は都道府県知事となっていますが、実際はお住まいの市町村の窓口であることがほとんどです。
・最終清掃の義務
浄化槽を廃止する前には、必ず中の汚泥をすべて引き抜き、消毒を行う「最終清掃」を専門業者に依頼してください。この清掃を行わずに放置したり埋め戻したりすると、不法投棄とみなされてしまうケースがありますので、くれぐれもご注意ください。
【ホッパー型沈殿槽】
正式な定義として、構造例示型浄化槽の構造基準(建設省告示第1292号など)では次のように定められています。
有効水深は1m以上とします。ただし、底部がホッパー型の場合は、ホッパーの高さの半分に相当する長さを有効水深に含めません。
つまり、ホッパーの高さの半分の位置から水面までの距離が有効水深となります。
(大型の槽になると基準値が上がり、処理対象人員100人以下で1m以上、101〜500人で1.5m以上、501人以上で2m以上となる場合もありますが、「ホッパー高さの半分を除外する」ルールは共通です。)
ホッパー型沈殿槽は、主に有効容量が1.5㎥を超える規模、およそ30人槽以上で採用されます。
底部は漏斗状、ホッパー状に傾斜しています。
勾配は水平面に対して60度以上と規定されています。
底部の平面形状は円形または正方形で、一辺または直径は45cm以下とされています。
槽の中央にはセンターウェルがあり、流入水を均等に分散させています。
沈殿した汚泥はホッパー底部に集まり、自動的に引き抜かれて沈殿分離槽などへ移送されます。
この構造により、汚泥を効率よく中央に集めて引き抜きやすくしています。
なぜホッパーの高さ半分を除外するのか?
主な理由は以下の通りです。
1.汚泥の貯留を想定しているため
ホッパー下部には常に一定の汚泥が溜まっている状態を前提としています。この部分は沈殿に有効に働く水深ではないため、有効水深の計算から除外します。
2.実際の沈殿ゾーンを正しく評価するため
有効水深はきれいな処理水を得るための沈降や分離が行われる深さを意味します。ホッパー下部は汚泥が集まるゾーンであるため、底を含めてしまうと有効容量を過大評価してしまいます。
3.設計上の安全率
有効水深を1m以上と規定しているのは、ホッパー部の半分を差し引いた後でも十分な沈殿時間が確保できるようにするためです。
有効容量の計算イメージ
有効容量は、主に次のように考えます。
・上部の立方形(または円筒形)部分の容積
・ホッパー部の上半分の容積(下半分は除外)
スロット型との違い
小型浄化槽では、接触曝気槽と一体になったスロット型沈殿槽が使われます。
スロット型は隔壁下端から水面までを有効水深とするのに対し、ホッパー型は独立した槽であり、ホッパーの高さの半分から水面までを有効水深とする点が大きな違いです。
要点
ホッパー型沈殿槽の有効水深は、ホッパーの高さの半分の位置から水面までと定義されています。
これは「下部に汚泥が常に溜まっていることを前提に、実際に沈殿が行われるゾーンだけを有効とみなす」ためのルールです。
【公共下水道】
公共下水道は、集合型処理システムの代表例であり、大規模な下水管路と汚水を浄化する終末処理場を組み合わせたシステムです。主に都市の中心部を中心に整備されており、最も一般的な汚物処理システムとして広く普及しています。
⇒主な特徴
・広大な集水エリア
各建物から排出される生活雑排水を地下の下水管で集め、1か所の広大な終末処理場にて一括で処理します。
・すべての排水が処理対象
トイレのし尿だけでなく、台所や浴室、洗濯などで発生する生活雑排水の双方を網羅して処理します。
・高度な水質管理
終末処理場では生物処理や高度な浄化処理が行われ、厳しい水質基準を満たした処理水を河川などへ放流します。
⇒デメリット
・莫大なコストと長期の工期
施設の建設期間が非常に長く、建設費用も膨大になります。特に、網の目のように張り巡らせる管路の設置だけでも、巨額の費用が必要となります。
⇒適した地域
・人口密集地
人口密度が高い大都市や市街化区域など、建物が密集している地域への導入に適しています。
【長時間ばっ気方式】
1、「長時間ばっ気方式は、活性汚泥法(浮遊生物法)の一種です。
浄化槽や下水処理で広く用いられる曝気槽の中で、微生物を水中に浮遊させた状態で増殖させ、汚水を処理する方式です。なお、生物膜を使用しないため、生物膜法には分類されません。
2、処理の仕組み
・曝気槽に汚水を投入し、空気を送り込みます。
・槽内に生息する微生物(活性汚泥)が酸素を利用して有機物を分解・摂取します。
・微生物は水中を自由に浮遊しながら増殖し、「フロック」と呼ばれる小さな塊を形成します。
・処理が進んだ水は次の沈殿槽へ送られ、微生物の塊(汚泥)が沈殿して分離されます。
・沈殿した汚泥の一部は再び曝気槽に戻され(返送汚泥)、残りの余剰汚泥は外部へ引き抜かれます。
この一連の流れが、活性汚泥法の基本となります。
〇長時間ばっ気の特徴
通常の活性汚泥法よりもばっ気時間を長く(一般的には24時間前後)設定するのが特徴です。
・ばっ気時間が長いため、有機物の分解がより進行しやすくなります。
・微生物が長時間酸素にさらされることで、汚泥の自己消化(微生物自身による分解)が進み、余剰汚泥の発生量が比較的少なくなります。
・比較的小型のエアーポンプや浄化槽、あるいは汚泥負荷が低い場合に適しています。
要点
長時間ばっ気方式は、微生物を水中に浮遊させて長時間のばっ気を行う方式です。生物膜を形成しないため、生物膜法を採用していないタイプの浄化槽となっています。
【家庭用浄化槽のメリット】
下水道を利用する場合、道路の下に長い公共管路を埋設し、街全体の膨大な汚水を遠く離れた処理場まで運ぶ必要があります。これには巨額のインフラ投資と長い年月を要します。
これに対し、浄化槽の場合は工事の範囲が比較的狭く済みます。浄化槽の本体は住宅の敷地内、例えば庭や駐車場の下などに埋設するため、排水管を接続する管路工事も原則として自分の敷地内だけで完結します。
また、何キロにも及ぶ下水管を敷設する必要がないため、社会全体としての整備コストが大幅に抑えられます。個人の負担に関しましても、多くの自治体で環境省などの基準に基づく補助金制度が設けられているため、実質的な費用は比較的安価に抑えられるケースが多くなっています。
さらに、浄化槽は災害にも強いという特徴があります。管路が短いため、地震などで地面が揺れても、下水道網のように街全体が長期間麻痺するリスクが低く、復旧も比較的早い傾向にあります。
【維持管理で使う指標:SS】
浄化槽の維持管理における「SS」とは、「水中にどれだけ浮遊する汚れの粒子があるか」を数値化した指標です。この値が高くなるほど浄化処理が不十分となり、河川の汚染原因になったり、浄化槽自体の寿命を縮めたりすることがあります。
⇒SSの性質と浄化槽への影響
SSの主な成分は、有機物や無機物の粒子です。これらが浄化槽内で十分に沈殿・分解されずに残ると、底部の汚泥槽が急速に厚くなります。一般的に浄化槽は、定期的な清掃(汲み取り)によって汚泥を除去します。しかし、SS値が高い状態が続くと清掃の間隔が短くなり、槽内の有効容量が減少してしまいます。容量が減ると水の滞留時間が短くなるため、浄化性能がさらに悪化するという悪循環に陥ります。
⇒SSの定義と重要性
SSは、水中に浮遊または懸濁(けんだく)している、直径2mm以下の浮遊性粒子の総量を指します。これは浄化槽(特に合併処理浄化槽)において、水質検査や保守点検、定期清掃時の重要な管理項目の一つです。また、法定検査(水質検査)でも欠かせない指標となっており、流入した生活排水中のSSを十分に分解・沈殿・ろ過できているかを確認することで、浄化槽が正常に機能しているかを判断します。
⇒SS値が高い場合に考えられる原因
SS値が高くなっている場合、主に以下の原因が考えられます。
・汚泥の過剰蓄積:槽内に汚泥が溜まりすぎている。
・ばっ気(エアレーション)不足:空気が足りず、沈殿が適切に行われていない。
・ろ材のトラブル:ろ材の目詰まりや、生物膜に異常が起きている。
・過負荷:使用人数が規定を超えているなど、処理能力以上の負荷がかかっている。
【膜ろ過(特にMF膜)について】
浄化槽は、家庭や小規模施設から排出される汚水を処理するための装置です。通常は生物処理と沈殿処理によって水を綺麗にしますが、処理水に微細な濁りや細菌が残る場合があります。そのため、放流基準が厳しい地域や、処理水を再利用したい場合など「より高い水質に仕上げたい」というニーズにおいて、膜ろ過(特にMF膜)が非常に有効です。
主な活用方法は以下の通りです。
1. 通常の浄化槽の後段に膜を配置する(高度処理)生物処理で大まかに綺麗にした水を、MF膜(精密ろ過膜)で仕上げろ過します。これにより汚濁がほぼゼロに近い状態となり、大腸菌などの細菌も大幅に除去されます。結果として放流水質が安定し、放流基準も余裕をもってクリアしやすくなります。
2. 膜分離活性汚泥法(MBR)として活用する浄化槽内で微生物と水を、膜を用いて直接分離する方式です。従来の沈殿槽が不要になるため装置全体を大幅に小型化・コンパクト化できます。また、BODやSS(懸濁物質)の値が非常に低くなり、処理水質が格段に向上します。
3. クリプトスポリジウムなどの病原菌対策通常の塩素消毒だけでは死滅しにくい病原菌に対しても、MF膜であれば物理的にシャットアウトできます。浄化槽の処理水をさらに安全に保ちたい場合にも極めて有効です。
【要点】
膜を活用した浄化槽では、生物処理後に微粒子や細菌を膜で物理的に遮断することで、高度な仕上げろ過が可能となります。これにより、安定した高水質な処理水が得られるだけでなく、装置のコンパクト化や自動運転のしやすさといったメリットが得られます。
【浄化槽とアンモニア性窒素について】
特に家庭用の小型浄化槽においては、最終工程で固形塩素剤や次亜塩素酸ナトリウムなどを用いた塩素消毒が行われます。これにより、放流水の大腸菌群数を基準値(3,000個/mL以下)以下に抑える仕組みになっていますが、この工程にはアンモニア性窒素の存在が大きく影響します。
反応の仕組み
処理水の中にアンモニア性窒素が残留している場合、注入された塩素(主に次亜塩素酸)はアンモニアと優先的に反応します。この反応がさらに進むと、ジクロラミンやトリクロラミンといった物質が生成されます。これらは総称して「結合残留塩素(クロラミン)」と呼ばれます。
塩素の大量消費
アンモニア性窒素を1 mg/L処理・分解するためには、理論上、約7~8倍もの塩素が必要とされます。そのため、アンモニア性窒素の濃度が高い処理水では、消毒に必要な塩素が瞬時に消費されてしまいます。その結果、強い殺菌力を持つ次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンなどの「遊離残留塩素」がほとんど残らなくなってしまいます。
対策
上記のような事態を防ぐために塩素剤の補充量を調整しますが、それだけでは根本的な解決に至らないケースもあります。そのため、より確実な対策としては、前工程における「硝化(アンモニアを硝酸に変化させること)」を促進させることが重要となります。
【脱窒ろ床槽(嫌気ろ床槽)の役割と構造】
嫌気(あんき)ろ床槽は、浄化槽の一次処理部に位置しています。主な役割は、汚水に含まれる固形物の分離や捕捉、嫌気性微生物による有機物の分解、そして脱窒(だっちつ)反応を行うことです。この槽内には「ろ材」が充填されており、そこに微生物が付着してバイオフィルム(微生物の膜)を形成します。汚水がこのろ材を通過する過程で、浄化処理が進む仕組みです。嫌気ろ床は通常2室以上に区分されており、小型浄化槽では2室の構成が一般的です。各室の役割と構造は以下の通りです。
⇒第1室
主に固形物の捕捉や沈殿が活発に行われるため、汚泥が比較的堆積しやすい傾向があります。
⇒第2室
第1室で捕捉しきれなかった微細な汚れの除去や、脱窒反応をさらに進めます。
第1室と第2室では充填率が異なります。室ごとにろ材の充填率を変えることで、水が処理されずにそのまま流れ出てしまう「短絡流(ショートサーキット)」を防ぎます。その結果、固形物を捕まえる効率と、微生物を槽内に留める効果をバランスよく両立させています。
【浄化槽と川の水の酸素関係】
川の水に溶けている溶存酸素は、空気から溶け込む酸素と、微生物が消費する酸素の2つのバランスによって決まっています。
生活排水などから汚れの元となる有機物がたくさん流れ込むと、微生物がそれを分解しようと活発に働き始めます。その際、微生物が大量の酸素を消費するため、川の酸素が減少してしまいます。酸素がほとんどなくなると嫌気状態(酸素のない状態)になり、魚が生息できなくなったり、悪臭物質やメタンガスが発生したりします。
浄化槽と川の酸素はどのように関係しているのか?
家庭から出るトイレや台所の排水には、有機物がたくさん含まれています。これをそのまま川に流してしまうと、先ほど述べたように、川の酸素を一気に奪う原因になります。浄化槽の役割は、この有機物を川に流す前に、あらかじめ微生物に分解してもらうことです。
浄化槽の中で起きていること
1. 酸素がある「好気性処理」が基本です
多くの浄化槽(特に合併処理浄化槽)では、ブロアと呼ばれる送風機などで空気を送り込み、酸素をたっぷりと供給します。酸素が十分にある状態で、好気性微生物が有機物を効率よく分解するため、ニオイもほとんど発生しません。
2. 有機物を減らしてから放流します
浄化槽で有機物をしっかりと分解することで、川に流す水の有機物濃度を大幅に減らすことができます。これにより、川の中で微生物が酸素を大量に消費するのを防ぎ、川の溶存酸素が減りにくくなります。
3. もし浄化槽がうまく働かないとどうなるか「空気を送る装置が止まっている」「汚泥が溜まりすぎている」「管理が不十分である」といった状態になると、浄化槽の中が嫌気状態になりやすくなります。すると、有機物が十分に分解されないまま川に流れてしまったり、ニオイが発生したり、川の酸素をさらに消費してしまうという悪循環が起こります。
つまり浄化槽は、川の酸素を守るための最初の砦のような存在です。家庭から出る汚れを微生物にきちんと分解してもらうことで、川全体の溶存酸素のバランスが崩れないように支えています。
【浄化槽における消毒剤の役割】
浄化槽は汚水をきれいにする設備ですが、処理の最後の工程として「消毒」が行われます。
汚水は主に以下のような流れで処理されます。
・固形物を沈殿・分離させる。
・微生物の力で汚れや有機物を分解する。
・きれいになった上澄み液を沈殿させる。
・消毒槽で消毒を行う。
・側溝や河川へ放流する。
消毒剤は、処理が終わってきれいになった水に残っている大腸菌などの病原菌を殺菌するためのものです。
この消毒を行わないと、一見きれいに見えても菌が残ったままの水が屋外へ流出してしまい、衛生上の問題が生じます。そのため法律においても、放流水は環境衛生上の支障が生じないよう、適切に消毒することが定められています。
どのように消毒するのか?
小型の家庭用浄化槽では、主に固形の塩素系消毒剤を使用します。
消毒槽の中には「薬筒(やくとう)」と呼ばれる筒状の容器が設置されており、その中に消毒剤の錠剤を入れておきます。
処理水がこの薬筒を通る際、錠剤が少しずつ溶け出して塩素が水に混ざり、接触することで消毒が行われます。その後、一定時間消毒槽にとどまったのちに放流されます。
よく使われる薬剤(主に2種類)
・有機系塩素剤(例:トリクロロイソシアヌル酸など):比較的水に溶けるスピードが安定しており、塩素臭が少ないのが特徴です。
・無機系塩素剤(例:次亜塩素酸カルシウムなど):塩素臭は強めですが、高い消毒効果があります。
※有機系と無機系を混ぜ合わせると、有毒ガスの発生や発火の危険性があるため、絶対に混ぜてはいけません。
なぜ必要に応じて補充しなければならないのか?
通常の保守点検は3か月に1回ほど行われますが、それとは別に「消毒剤がなくなりそうな時はすぐに補充しなければならない」というルールがあります。
理由は以下の通り非常にシンプルです。
・消毒剤が切れると、その瞬間から消毒効果がなくなります。
・菌が残ったままの水が屋外に流出してしまうリスクが高まります。
・薬剤の使用量はご家族の人数や水の使い方、水温などによって変動するため、次回の点検日まで持たない場合があります。
実際の管理方法
・通常は、保守点検業者が定期点検の際にお薬の残量を確認し、補充を行います。
・ただし、点検と点検の合間に薬剤が少なくなっていることに気づいた場合は、業者へ連絡して早めに補充してもらう必要があります。
・ご自身で補充することも理論上は可能ですが、専門知識が必要であり危険も伴うため、基本的には専門業者にお任せいただくのが安全です。
要点まとめ
・消毒剤は、浄化槽全体を消毒するものではなく、「処理水を外に流す直前」に消毒するためのものです。
・薬剤が切れたまま放置すると、法定検査(11条検査)で「不適正」と判定される可能性が高くなります。
・取り扱いには手袋やマスクの着用が必要であり、異種の薬剤を混ぜる行為は大変危険です。
・残量が減ってきたら、次回の点検日を待たずに早めに補充することが基本となります。
消毒剤は、浄化槽できれいに処理された水を安全に放流するための「最後の砦」とも言える存在です。定期的な確認と、状況に応じた迅速な補充を心がけましょう。
【膜分離活性汚泥法を用いた浄化槽(MBR型)】
1:前処理槽
こちらでは、流入する汚水から大きな固形物や油脂類をあらかじめ除去し、水の流量変動を穏やかに調整します。これは、後段にある分離膜を保護するための重要な役割も兼ねています。
2:生物処理槽
活性汚泥(微生物)の働きによって、汚水中の有機物を分解し、窒素の硝化・脱窒処理を行います。膜分離技術を活用することで、槽内の活性汚泥濃度(MLSS)を高く維持できるため、反応槽自体をコンパクトに縮小できます。さらに、微生物が安定して定着するため、硝化反応も確実に進行します。
3:膜分離装置
曝気(ばっき)槽の内部に、平膜や中空糸膜と呼ばれる膜ユニットを浸漬(しんせき)させます。吸引ポンプによる減圧、または高低差による水位差(重力)を利用して、処理水を膜の内側から安全に引き出します。また、膜の下部から常に空気を送り込む(ばっ気する)ことで気泡と水流を発生させ、膜の表面を常に洗浄(クリーンに)し、目詰まりを強力に防ぎます。
【浄化槽ブロワの故障について】
電磁式のブロワ(特にダイアフラム式)は、回転する羽根車を持たないタイプの送風機です。
主な構成部品には、以下のものがあります。
電磁石、振動子(アーマチュア)、ダイアフラム、圧縮室(チャンバー)、弁(バルブ)
動作の仕組み
・電磁石に通電することで磁力が変化します。
・この磁力の変化により、振動子が高速で左右に振動します。
・振動子の両端にあるダイアフラムが、交互に膨らんだり縮んだりします。
・これによって圧縮室の容積が変化し、空気を吸い込んでは押し出します。
・内部にある弁の働きによって、空気は一定の方向へ送られます。
この一連の動作を繰り返すことで、空気を連続的に送り出しています。オイルを使用しないクリーンな方式であるため、浄化槽のばっ気(空気を送り込む作業)などに広く使われています。
主な故障原因
最も故障しやすい箇所として「ダイアフラム」が挙げられます。ダイアフラムには特殊配合のゴムが使われており、高い耐久性を備えています。しかし、以下のような極めて過酷な条件下で使用されます。
・非常に高頻度な振動
・24時間連続での運転
・熱や圧力による影響
・設置環境(気温や湿度など)による影響
そのため、通常でも数年ごとに交換が必要となる部品ですが、設置環境や使用状況が悪い場合には、1年未満で破れてしまうケースもございます。
【ホッパー型沈殿槽・スロット型沈殿槽】
浄化槽における沈殿槽は、主に曝気(ばっき)槽などで処理された、水から乖離(かいり)した生物膜(活性汚泥など)の固形物を沈降させて分離し、その上澄み水を消毒槽へ送るための装置です。ここでは、良好な沈殿性能を維持することが、水処理全体の処理水質を左右する重要なポイントとなります。
⇒1. スロット型沈殿槽
スロット型沈殿槽は、小型向けに設計された標準的な規模の沈殿槽です。その特徴は、接触曝気槽と隣接して一体化されている点にあります。底部にはスロット(狭い隙間や開口部)が設けられており、沈殿した汚泥は重力によって自然にスロットを通り、接触曝気槽の底部へと流下して、自動的に返送される仕組みになっています。
⇒2. ホッパー型沈殿槽
ホッパー型沈殿槽は、中規模から大規模向けに設計された沈殿槽です。こちらの底部は、逆円錐(えんすい)状や逆ピラミッド状の形状をしています。沈殿した汚泥はホッパーの斜面を滑り落ちて底部の中央に集まり、集まった汚泥はポンプやエアリフトを用いて、直接沈殿分離槽へと移送されます。底部の開口部(集泥口)は小さく、一般的に45cm以下などとなっています。
⇒3. まとめ
汚泥を集める効率(集泥効率)は、スロット型沈殿槽よりもホッパー型沈殿槽の方が高くなります。
【浄化槽法における権限の分配と仕組み】
浄化槽法における権限の分配について
一般家庭や事業所で汚水を処理する装置(浄化槽)に関する事務は、基本的に都道府県知事が行います。ただし、保健所を設置する市(保健所設置市)においては、その区域内の事務を市長が代わりに担当することになっています。一方で、一部の事務は例外として、保健所設置市であっても移譲されず、知事の権限のまま残されています。それぞれの事務の具体的な分担は以下の通りです。
1: 市長が担当する事務(地域に密着した事務)
・浄化槽設置届出書の受理浄
化槽を新しく設置、または変更する際は、知事(保健所設置市では市長)への届け出が必要です。保健所設置市では市長がこれを受理します。
・浄化槽清掃業の許可
清掃業を営むためには、その区域を管轄する市町村長の許可が必要です。保健所設置市の場合も、市長が許可を行います。
・浄化槽保守点検業の登録
保守点検業については、条例によって登録制度を設けることができます。保健所設置市では市長が登録事務を行います。
・浄化槽台帳の作成
区域内に設置されている浄化槽ごとに台帳を作成する義務があり、保健所設置市では市長がこれを作成します。
2:知事のみが担当する事務(広域的な事務)
指定検査機関の指定この権限は知事のみに認められており、保健所設置市の市長には移譲されていません。
なぜ「指定検査機関の指定」だけが知事の権限なのか
法定検査(設置後の「7条検査」および毎年行う「11条検査」)は、浄化槽が正しく設置され、適切に管理されているかを確認するための極めて重要な検査です。この検査を行う機関は、都道府県ごとに統一して指定する必要があります。一部の市だけでなく、都道府県全体を見据えた広域的な視点が求められるため、保健所設置市であっても権限は移譲されず、知事が指定する仕組みになっています。
要点のまとめ
・市長ができること(権限がある事務)
届け出の受理、清掃業の許可、保守点検業の登録、台帳の作成など、地域に密着した事務です。
・市長ができないこと(権限がない事務)
指定検査機関の指定です。これは都道府県全体を対象とする広域的な事務であるため、知事の権限となっています。
【ばっ気型スクリーン】
ばっ気型スクリーンは、浄化槽の流入部付近(主に前処理工程)に設置される装置です。
汚水に含まれる髪の毛や紙くず、繊維類などの比較的大きな固形物を、網目状のスクリーンによって捕捉・除去する役割を担っています。
一般的なスクリーンでは固形物が網目に付着して目詰まりを起こしやすいのに対し、ばっ気型スクリーンは網付近から空気を吹き出す仕組みを備えている点が特徴です。
空気を送る主な目的
ばっ気型スクリーンにおいて空気を供給する主な目的は、物理的な作用にあります。
・気泡の力で固形物を動かし、解きほぐす
スクリーンの表面やその周辺に向けて気泡を吹き上げることで、付着した固形物を剥がしたり、細かく砕いたりします。
・目詰まりを防止する
気泡がスクリーンを洗浄するような効果を発揮し、固形物による網目の閉塞を防ぎます。すなわち、空気の物理的な力を利用してスクリーンを清浄に保つことが本来の目的です。
腐敗防止のための酸素供給について
「腐敗防止のために酸素を供給する」という点も、空気を送ることで得られる効果の一つではあります。
酸素が供給されることで嫌気性微生物の活動が抑制され、腐敗や悪臭の発生を抑えやすくなります。これは生物的・化学的な作用による効果です。
しかしながら、ばっ気型スクリーンにおける空気供給の設計上の主目的は、前述した物理的な洗浄・撹拌作用にあります。
酸素を供給して腐敗を防ぐ効果は、あくまで副次的な作用、あるいは他の曝気槽などで主に期待される役割となります。
要点
・主目的(物理的作用): 気泡の力で固形物を粉砕・洗浄し、目詰まりを防止する
・副次効果(生物・化学的作用): 腐敗防止のために酸素を供給する
【標準活性汚泥方式】
原理は、下水処理場で一般的に広く使われている本格的な活性汚泥法です。曝気槽で微生物を浮遊させて汚水処理を行い、沈殿槽で汚泥を沈殿させてその一部を曝気槽に戻します(これを返送汚泥と呼びます)。長時間曝気法と比較して滞留時間が6〜8時間と短く、処理効率が高い反面、余剰汚泥が多く発生するという特徴があります。
主な構成
前処理、流量調整槽、曝気槽、沈殿槽、消毒槽の順に流れます。※汚泥濃縮設備と汚泥貯留槽が必須となります。
適用規模
設備が非常に大がかりになるため、対象規模は5,001人以上となります。
特徴
処理能力が高く、大規模施設に向いています。
ただし、維持管理には専門知識が必要です(例:MLSS濃度や汚泥返送率の調整など)。
【浄化槽の清掃・点検頻度について】
みなし浄化槽(単独処理浄化槽)は、し尿のみを処理する旧タイプの浄化槽です(※2001年以降は原則として新設が禁止されています)。
このみなし浄化槽の中でも、処理方式によって汚水を綺麗にする仕組みが異なります。そのため、機械にかかる負荷や汚れの溜まりやすさが異なり、法律で定められた点検の必要頻度にも違いがあります。
処理対象人員が20人以下の場合、法令により以下のように規定されています。
1. 全ばっ気方式:3か月に1回以上
仕組みの特徴
浄化槽の内部全体に空気を送り込み、微生物の働きを活発にさせる方式です。ブロワ(送風機)を常時稼働させ、汚水全体をかき混ぜながら酸素を供給します。
点検回数が多い理由
ブロワが停止すると、すぐに処理能力が低下してしまいます。また、汚泥が槽全体に広がりやすく短期間で溜まりやすいことに加え、機械がフル稼働するため故障や調整の必要が生じやすくなります。そのため、最も頻繁な「3か月に1回以上」の点検が義務付けられています。
2. 分離ばっ気方式・分離接触ばっ気方式・単純ばっ気方式:4か月に1回以上
仕組みの特徴
汚水を分離させる部分と、ばっ気(空気を送る)する部分に分かれている方式です。最初に固形物を沈殿させてから、残りの液体に空気を送る仕組みが主流となっています。
点検回数の理由
全ばっ気方式に比べて汚泥の管理がしやすく、汚れが溜まる場所も限られます。しかし、ブロワなどの機械は稼働しているため定期的なチェックは欠かせません。放置すると処理能力が落ちてしまうため、全ばっ気方式ほど厳密ではないものの、中間にあたる「4か月に1回以上」の頻度となっています。
3. 散水ろ床方式・平面酸化床方式・地下砂ろ過方式:6か月に1回以上
仕組みの特徴
機械で強力に空気を送るのではなく、ろ材(石や砂、プラスチック材など)に汚水をかけ、自然の微生物の力で処理する方式です。上から水を撒く「散水ろ床」、平らな床に広げる「平面酸化床」、砂の中を通す「地下砂ろ過」などの違いはありますが、基本的にはろ材を活用するタイプです。
点検回数が少ない理由
ブロワなどの駆動機械が少ない(またはほとんどない)ため、機械故障のリスクが低い点が特徴です。自然の力を利用しているため急激に状態が悪化しにくい構造ですが、ろ材の目詰まりや汚れは少しずつ進行するため、完全に放置することはできません。そのため、最も間隔の長い「6か月に1回以上」となっています。
まとめ
簡単に申し上げますと、「機械を多く動かす方式ほど、頻繁に点検を行わないと不具合が生じやすい」「自然のろ過を利用する方式は、状態の変化が緩やかなため間隔を空けられる」という考え方に基づき、点検回数が決められています。
なお、実際の点検においては、これらの法令回数を「最低限の基準」とし、ご家族の人数や日常の使用状況に応じて回数を増やすことが推奨されています。
【生活排水処理の歩み】
1960年代
全国の川や湖の汚れが深刻化し、大きな社会問題となりました。主な原因は以下の3点です。
・工場や事業場からの排水
・下水道の整備の遅れ
・「単独処理浄化槽」の急増により、トイレ以外の生活雑排水がそのまま流されていたこと
1970年代
「水質汚濁防止法」が制定され、工場排水への規制が厳しくなりました。その結果、公共の水域を汚す原因として、生活排水が占める割合が大きくなっていきました。現在では、この生活排水が水質汚濁の主な原因となっています。
1980年代
戸建て住宅向けに、トイレの水と生活雑排水をまとめて処理できる「合併処理浄化槽」が実用化されました。これにより、郊外の住宅団地や、下水道が整備されていない中山間地域などにも広く設置されるようになりました。
2001年からの規制
法律の改正により、単独処理浄化槽の新しい設置が原則として禁止されました。
まとめ
これらの取り組みや戸建て用の浄化槽が普及したことで、全国のどこでも生活排水の対策ができるようになりました。その結果、日本の水環境は大きく改善され、水の循環においても大きな前進を遂げています。
上記、環境省パンフレット 生活排水処理へのみち を参考にしました。
【浄化槽の仕組みと正しい使い方】
家庭用の小型浄化槽は、トイレのし尿だけでなく、台所やお風呂、洗濯などの「生活雑排水」も一緒に処理するシステムです。かつて使われていたトイレの汚水のみを処理する「単独処理浄化槽」は、現在は新しく設置することができません。そのため、今ではこの「合併処理浄化槽」が一般的となっています。この浄化槽は微生物の力を借りて汚物を分解していますが、処理できる汚れの種類や量には限界があります。
・維持管理に必要な3つのこと
法律に定められている維持管理の基本は、以下の3つです。
・保守点検契約
・清掃契約
・法定検査
これらがなぜ必要かと言いますと、浄化槽は設置して終わりではなく、生きている微生物のバランスを保ちながら動く機械だからです。専門家が定期的に点検や清掃、検査を行わないと機能が低下してしまいます。その結果、最終的には近くの川などを汚染することにつながってしまうため、毎年の管理が欠かせません。
ご家庭でのお願いと注意点
浄化槽の機能を保つために、ご家庭で注意していただきたいポイントがいくつかあります。
【浄化槽のブロアやポンプの故障について】
浄化槽は、微生物の力を利用して汚水を綺麗にする設備です。
特に酸素を好む「好気性(こうきせい)微生物」が活発に働くためには、常に空気を送り続けたり、水を動かしたりする機械が欠かせません。
主な可動部品と役割
・ブロア(ブロワー)
浄化槽の外部に設置されている、音を立てて動く機械です。主な役割は「浄化槽内へ空気を送り込むこと」「汚水をかき混ぜること」「空気の力で水や汚泥を移送すること」です。言わば浄化槽の心臓とも言える非常に重要な装置です。
・ポンプ設備
汚水を次の槽へ送ったり、処理した水を放流したり、汚泥を戻したりする機械です。水位センサーと連動して自動で作動するものが多くあります。
これらが停止すると、直ちに以下のようなトラブルが発生します。
・ブロアが停止した場合
酸素供給がストップするため、好気性微生物が死滅してしまいます。その結果、汚水が分解できなくなって悪臭が発生しやすくなり、処理水の水質が急激に悪化します。
・ポンプが停止した場合
水が正常に流れなくなり、浄化槽がオーバーフロー(溢水)を起こします。また、汚泥が適切に移送されないため処理機能が低下し、最悪の場合は汚水が外部へ漏れ出してしまう恐れがあります。
法律上の位置づけ(点検義務について)
上記のようなトラブルを防ぐため、法律では定期点検とは別に「必要に応じた点検」を行うことが定められています。
環境省関係浄化槽法施行規則 第6条第5項には、次のように明記されています。
「駆動装置又はポンプ設備の作動状況の点検及び消毒剤の補給は、前四項の規定にかかわらず、必要に応じて行うものとする。」
これは「通常の保守点検(3ヶ月に1回程度など)の時期にかかわらず、ブロアやポンプの様子を見て異変を感じた場合は、すぐに点検・修理を行いなさい」という意味です。
異常のサイン(日常で気づきやすい症状)
ブロアの異常サイン
・いつもより音が大きい、変な音がする
・振動が強くなった
・音が急に小さくなった、または完全に止まった
・浄化槽の周辺から異臭が強くなった など
ポンプの異常サイン
・水の流れが悪い、水位が異常に高い
・ポンプが頻繁に作動する、あるいは作動しない
・異常な音や発熱がある など
上記のようなサインに気づいた場合は、次回の定期点検日を待たずに、速やかに保守点検業者へご連絡いただくことが適切な対応となります。
実際の管理ポイント
ブロアは常に稼働しているのが正常な状態です。「電源プラグが抜けていないか」「コンセントが切れていないか」といった点は、日常的にも確認いただけます。
なお、エアフィルターの汚れやダイアフラムの劣化も故障の原因となりますが、ご自身での修理は危険を伴います。修理作業は必ず登録を受けた保守点検業者へご依頼ください。
故障を放置すると、法定検査で「不適正」と判定されたり、悪臭や水質悪化によってご近隣へのご迷惑となったりする場合がございますのでご注意ください。
要点
ブロアやポンプは、浄化槽が正常に機能するために極めて重要な機器です。定期点検の回数はあくまで基準であり、「機器の状態を見ながら、異常を感じたらすぐに対応すること」が法律で求められている管理方法です。
【コミュニティ・プラントとは】
コミュニティ・プラントとは、主に住宅団地や集合住宅などにおいて、各ご家庭からのし尿や生活雑排水を管きょ(排水管)で一か所に集め、まとめて処理する施設です。
・処理対象:し尿および生活雑排水
・規模:比較的小規模から中規模で、計画処理人口がおおむね101人以上3万人未満の地域が対象となることが多く見られます。
・処理方式:接触ばっ気方式、活性汚泥方式、膜処理方式など、下水道の終末処理場や大型の合併処理浄化槽に類似した生物処理方式を採用しています。
・特徴:建設費が比較的に安価であり、短期間で整備できる点が挙げられます。下水道の整備がすぐには見込めない団地などにおいて、水洗化のニーズへ迅速に対応するために作られました。
・歴史的背景:昭和40年代のニュータウン開発ブームに伴い団地が急増した際、下水道の整備が追いつかず、水洗トイレの汚水を効率よく処理する必要性から生まれた制度です。
法的な位置づけとしては、浄化槽法の対象外となります。具体的な法的根拠は以下の通りです。
法的根拠と位置づけ
浄化槽法(第2条第1号)における「浄化槽」の定義では、便所と連結してし尿および雑排水を処理し、終末処理場を有する公共下水道以外へ放流する設備・施設のうち、以下のものが除外されています。
公共下水道・流域下水道、および「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づき市町村が設置したし尿処理施設
つまり、廃棄物処理法に基づくし尿処理施設は、最初から浄化槽の定義より明示的に除外されております。コミュニティ・プラントは、まさにこの廃棄物処理法に基づくし尿処理施設に該当します。
そのため、浄化槽法による規制(保守点検・清掃・法定検査の義務など)は直接適用されず、廃棄物処理法や関連する構造指針、各市町村の条例に基づいて管理されます。
浄化槽との共通点・相違点
・共通点:どちらもし尿と生活雑排水を処理し、きれいな水にして放流します。処理の仕組み(ばっ気や沈殿など)も技術的に非常に近く、下水道が未整備の地域における水洗化を支える役割を担っています。
・相違点:法的な枠組みが完全に異なります。コミュニティ・プラントは集合処理であり、市町村が責任を持って運営する公共施設的な性格が強いシステムです。一方、浄化槽は原則として個別処理であり、個々の管理者に維持管理の義務が課されます。
他の施設との関係(生活排水処理の全体像)
日本の生活排水処理は、大きく以下の4つに分かれています。
・公共下水道:大規模な集合処理
・農業集落排水施設:農村集落向けの集合処理
・コミュニティ・プラント:団地など非農村向けの集合処理
・合併処理浄化槽:個別処理、またはごく小規模な集合処理
コミュニティ・プラントは、下水道や農業集落排水のどちらにも該当しない地域の集合処理を担う位置づけです。
そのため、浄化槽の設置義務が生じるのは、公共下水道、農業集落排水、およびコミュニティ・プラントなどが整備されていない地域となります。
まとめ(要点)
コミュニティ・プラントは、処理内容自体は浄化槽や小規模下水道に大変よく似ていますが、法的には全く異なる制度です。
「し尿処理施設」として廃棄物処理法で規制されているため、浄化槽法における「浄化槽」の定義からは除外されています。
【浄化槽と廃棄物処理法について】
市町村は、廃棄物処理法という法律に基づき、「一般廃棄物処理計画」を策定する義務がございます。
この計画は大きく以下の2点に分かれます。
・ごみ処理基本計画
家庭ごみや事業系ごみの収集、処理、リサイクル方法について定める計画です。
生活排水処理基本計画が重要な理由
下水道が整備されている地域では、生活排水は下水道でまとめて処理されます。一方で、下水道が未整備の地域や今後も整備の予定がない地域では、各家庭で浄化槽を用いて処理を行う必要がございます。
その中でも特に重要なのが「合併処理浄化槽」です。
・単独処理浄化槽:トイレの排水のみを処理し、生活雑排水は未処理のまま河川へ流してしまいます。
・合併処理浄化槽:トイレの排水に加え、台所やお風呂などの生活雑排水もまとめてきれいに処理します。
計画内では、具体的に以下のような内容を定めてまいります。
・将来(おおむね10〜15年後)に向けて、どの地域を下水道、農業集落排水、あるいは合併処理浄化槽で処理するか
・それぞれの処理方法で、何人分を処理目標とするか
・浄化槽から発生する汚泥(浄化槽汚泥)をどのように処理するか
住民への広報・啓発が計画に含まれる理由
浄化槽の多くは個人が設置し、管理を行うものです。そのため、市町村が「この地域は浄化槽で処理する」と方針を決めても、住民の皆様が正しく設置・管理を行わなければ十分な効果が得られません。
そのため、計画には以下のような啓発活動も盛り込まれています。
・単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の呼びかけ
・定期的な保守点検、清掃、および法定検査の重要性の周知
・生活雑排水をそのまま流すことによる環境への影響についての説明
まとめ
生活排水処理基本計画は、廃棄物処理法を根拠として市町村が策定するものです。地域ごとに、生活排水を下水道・集落排水・浄化槽のいずれで処理するかを定めます。浄化槽は、下水道整備区域の外において生活排水をきれいにする中心的な役割を果たします。浄化槽は個人管理が基本となるため、住民の皆様のご協力が欠かせません。
総括いたしますと、生活排水処理基本計画とは「下水道が届かない地域において、浄化槽を用いて適切に排水処理を行うための市町村の長期的な計画」を正式に定めるものでございます。
【台所での注意点】
・使用した油は絶対に流さないでください。
・鍋や皿のひどい汚れは、紙で拭き取ってから洗うようにしてください。
・三角コーナーには細かい目のネットをかぶせてご使用ください。
【洗濯での注意点】
・無リン洗剤や漂白剤は、必ず適量を測って使うようにしてください。
・洗剤や漂白剤は、必ず適量を測って使うようにしてください。
【トイレでの注意点】
・紙おむつ、生理用品、タバコの吸い殻、ティッシュペーパー、ウェットティッシュなどは分解されにくいため、絶対に流さないでください。
・トイレにはトイレットペーパーのみを流すようにしてください。
・微生物に悪影響を与えるため、塩酸などの強力な薬品は使用しないでください。
【下水道から合併浄化槽への転換に関する検討について】
現在、公共下水道から合併処理浄化槽への転換を検討すべき地域が出てきています。主に対象となっているのは、人口減少や過疎化が進む地域です。
下水道は広域の水をまとめて処理できるため効率的ですが、人口が減少すると使用料収入が減る一方で、施設の老朽化に伴う更新費用が増大するという課題があります。そのため、人口密度の低い地域においては、浄化槽のほうが経済的であり、早期の整備が可能です。
現在、国土交通省などは下水道法等の改正を進めており、転換に向けた手続きを明確化しています。自治体が区域を見直し、合併処理浄化槽へ移行する場合には、一部の地域で補助金を上乗せするなどの措置も取られているようです。
これらの対象となるのは、主に市街化調整区域や農村部、下水道の整備が遅れているエリア、または採算性の低いエリアです。また、こうした地域には「単独処理浄化槽」がいまだ多く残っていることもあり、環境負荷の少ない「合併処理浄化槽」への転換が同時に促進されています。
【浄化槽の役割と法的な位置づけ】
合併処理浄化槽は、トイレから出るし尿と、台所や風呂などの生活雑排水を一つにまとめて処理する設備です。これに対して、従来の「単独処理浄化槽」はし尿のみを処理しており、生活雑排水は未処理のまま河川などへ放流する仕組みになっていました。そのため、平成13年(2001年)の浄化槽法改正により、単独処理浄化槽の新設は原則として禁止されました。現在では、合併処理浄化槽のみが法令上の「浄化槽」として認められており、下水道が整備されていない地域における、主要な生活排水処理施設となっています。
⇒転換が進められる背景
国や自治体が単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を推進しているのは、河川・湖沼・海域の水質汚濁を防止するためです。特に、窒素やリンによる水の「富栄養化」を防ぐために、非常に重要な取り組みとなっています。
⇒補助金制度の概要
補助金の詳細な内容は自治体によって異なりますが、環境省の大まかな方針と仕組みは以下の通りです。
⇒市町村の住民向け補助(一般家庭への直接支援)
多くの市町村が、合併処理浄化槽の設置費用の一部を独自に補助する制度を設けています。設置を行う住民の方が、お住まいの自治体へ直接申請する形が一般的です。補助額は地方自治体によって異なりますが、一般的には数十万円程度となっています。
⇒国による市町村への支援制度
国は市町村の取り組みを後押しするため、国庫補助金(国からの予算交付)による財政支援を行っています。この「合併処理浄化槽設置整備事業」は、昭和62年(1987年)から開始され、現在まで継続されています。
【浄化槽は「濃いし尿」を処理】
し尿と浄化槽汚泥のBOD(生物化学的酸素要求量)を比較すると、以下の通りです。
し尿:BOD 5,000〜10,000 mg/L前後
浄化槽汚泥:BOD 2,000〜5,000 mg/L前後
このように、浄化槽汚泥のBODはし尿の半分程度の濃度となります。
ここでさらに重要な要素が「含水率」です。一般的な浄化槽汚泥の含水率は98〜99%であり、その大半は水で構成されています。つまり、固形物はわずか1〜2%しか含まれていません。し尿はもともと濃度が高く、有機物や窒素、リンなどの汚濁物質が凝縮されています。一方、浄化槽汚泥は、すでに槽内である程度処理(分解)が進んだ状態であるため、し尿に比べて濃度が低く、水っぽいという特徴があります。
「濃度が低いほど処理に都合がよい」という考えは、なぜ間違いなのでしょうか。
し尿処理施設は、もともと「濃いし尿」を安定して処理することを前提に設計・運転されているためです。
具体的には、以下のような理由が挙げられます。
・微生物の働き:活性汚泥(微生物)が最も活発に働く濃度範囲に合わせて施設が作られています。
・高度処理の想定:脱窒(窒素除去)やリン除去などの処理プロセスは、高濃度であることを想定しています。
・設備能力の基準:薬品の注入量や各設備の能力も、ある程度濃い汚水を基準に設計されています。
そのため、ここに濃度の低い浄化槽汚泥が大量に流入すると、以下のような問題が発生します。
・全体の濃度低下:汚水が希釈されて薄くなるため、微生物が十分に機能しなくなります。
・性状の大きな変動:浄化槽汚泥は家庭ごとに成分が異なるため、日によって濃度や成分が大きくばらつき、生物処理が不安定になります。
・処理効率の低下:特に窒素除去などの高度処理が難しくなったり、後段の脱水工程に支障が出たりすることがあります。
なぜ、これが現在問題となっているのでしょうか。
近年、合併処理浄化槽の普及が進んだことにより、し尿処理施設に搬入される浄化槽汚泥の割合が急速に増加しているためです。昔はし尿が主体だった施設でも、現在では浄化槽汚泥の割合のほうが多いというケースは珍しくありません。そのため、多くの施設では「浄化槽汚泥対応型」の処理方式(あらかじめ凝集・脱水を行って性状を安定させてから、生物処理を行う方式など)を導入し、対応を進めています。
【改築・増築後の浄化槽について】
改築や増築を行った後の浄化槽への影響を考慮すると、トイレやキッチンの増設、お風呂の拡大などによって、生活雑排水や汚濁負荷が増加する可能性がございます。そのため、お早めに建築担当の方へご相談されることをおすすめいたします。
⇒処理対象人員(人槽)の基準
住宅の場合、浄化槽の大きさ(人槽)は延べ床面積によって決定されます(JIS A 3302基準)。
・130㎡以下:5人槽
・130㎡超:7人槽(2世帯住宅などの場合は10人槽になることもあります)
⇒容量超過によるリスク
トイレやキッチンの増設、大きなお風呂への変更は、1日あたりの平均汚水量を増加させます。浄化槽の処理能力を超えてしまうと、十分な水処理ができなくなり、悪臭の発生や配管の詰まり、放流水質の悪化、さらには浄化槽自体の故障につながる恐れがあります。
⇒増築時の注意点
リフォームによって床面積が広がったり、実質的な使用人数や水の使用量が増えたりすると、既存の浄化槽が基準を満たさなくなる可能性がございます。そのため、増築の際には特に注意が必要です。事前に「浄化槽の種類」「何人槽か」「設置年数」などの情報をご確認いただくと、その後の手続きや検討がスムーズになります。増築をご検討の際は、建築会社や保守点検業者、または地元の浄化槽管理士へご相談いただくのが最適です。
【浄化槽の清掃頻度について】
浄化槽は、微生物の働きを利用して汚水をきれいに浄化し、川などへ放流するための設備です。家庭用の浄化槽では、汚水を処理する過程で「汚泥(おでい)」と呼ばれる泥の塊が少しずつ溜まっていきます。この溜まった汚泥を抜き取り、槽の内部をきれいに洗浄する作業が「清掃」です。
法律による義務と清掃の頻度
浄化槽の清掃は、法律によって原則として年1回以上行うことが義務付けられています。ただし、「全抜気型(ぜんばっきがた)」と呼ばれる一部の古い規格の浄化槽については、汚泥が溜まるスピードが早いため、特例としておおむね6ヶ月に1回以上の清掃が必要です。
清掃を行わない場合の不具合
汚泥が槽内に過剰に溜まってしまうと、浄化槽の処理能力が低下します。その結果、十分に処理されていない汚水がそのまま放流されてしまったり、不快な悪臭が発生したりする原因になります。地域の水質汚濁を防ぎ、快適な生活環境を維持するためには、定期的な清掃が欠かせません。
保守点検や法定検査との違い
浄化槽の管理には、清掃のほかに「保守点検」と「法定検査」があり、これらはすべて所有者様の義務となっています。
・保守点検:機器の点検や調整、消毒剤の補充などを行う作業です(清掃とは別の作業となります)。
・法定検査:浄化槽が正しく機能しているかを総合的に確認する検査で、年に1回受ける必要があります。
【硝酸イオンがCODに含まれない理由】
CODが測定しているもの
COD(化学的酸素要求量)は、水の中にある還元性の物質を酸化剤で酸化する際に必要な酸素の量を測定する方法です。簡単に申し上げますと、「酸素を奪い取る力を持っている物質がどれだけ存在するか」を測定しています。主な測定対象は有機物です。有機物はまだ還元された状態にあるため、酸化剤で酸化させると酸素を消費します。
硝酸イオンの性質
硝酸イオンには、以下のような特徴があります。
・すでに完全に酸化された状態の無機物である
・窒素の中で最も酸化が進んだ形態である
・これ以上酸化される余地がほとんどない
つまり、硝酸イオン自体には酸素を奪い取る力がありません。むしろ逆に、酸素を与える側(酸化剤)として働くことすらあります。
浄化槽との関連性
特に窒素除去に対応した高度処理型の浄化槽では、硝化が進むと処理水の中に硝酸イオンが多く含まれるようになります。しかし、この硝酸イオンは有機物ではなく、すでに酸化されきっているため、CODの数値にはほとんど影響を与えません。
浄化槽内で硝化が進むと、アンモニアが減少して硝酸イオンが増加します。この時、BODは窒素系の酸素消費(硝化)の影響を受けることがありますが、一方でCODは硝酸イオンの影響をほとんど受けません。そのため、BODが高くCODが低い場合は、BODが硝化の影響を受けていることが疑われます。反対にCODが高い場合は、有機物(特に難分解性のもの)が残っている可能性が高いと考えられます。
要点
硝酸イオンはすでに酸化されきった無機物であるため、CODが測定しようとしている「還元性の有機物」には該当しません。そのため、浄化槽の処理水に硝酸イオンが多く含まれていても、CODの数値には通常反映されません。この仕組みを理解しておくことで、「硝化が進んでいるのにCODが低い」という検査結果の意味を正しく把握できるようになります。
【合併処理浄化槽の処理方式について】
小規模な合併処理浄化槽の処理方式には、「BOD除去型」と「高度処理型」の2種類がございます。高度処理型は、赤潮や湖沼のアオコの原因となる窒素を、酵素や微生物の働きによって除去できるのが特徴です。いずれの方式も、微生物の力を借りて家庭からの排水を綺麗にしています。ここでは特に、「脱窒(だっちつ)ろ床接触ばっ気方式」の高度処理型について解説いたします。この方式は、通常のBOD除去機能に加え、窒素も高度に除去することができます。
⇒接触曝気槽(せっしょくばっきそう)
まず、汚水が「接触曝気槽」に入ります。ここでは、酸素を好む「好気性微生物」の中でも、特に「硝化菌(しょうかきん)」などが活発に働きます。そして、し尿(トイレ)由来のアンモニア態窒素を、亜硝酸から硝酸へと酸化させます。
⇒脱窒ろ床槽(だっちつろしょうそう)
次に、酸化された水を、酸素を嫌う「嫌気性(けんきせい)」の「脱窒ろ床槽」へと循環させます。ここでは「脱窒菌」が活躍します。硝酸態窒素を窒素ガスへと還元し、大気中へと放出します。これらの仕組みにより、湖や海で問題となっている窒素過多(富栄養化)を防ぐことができます。
(まとめ)
BOD除去型:有機物分解のプロフェッショナル
高度処理型:有機物分解に加えて窒素も除去できる、より上級なシステム
【浄化槽の窒素除去の仕組み】
汚水に含まれる有機態窒素(タンパク質やアミノ酸など)が、窒素ガスとして空気中に放出されるまでには、大きく分けて4つのステップがあります。
1. 有機態窒素の分解(アンモニア化)
汚水中のタンパク質やアミノ酸などは、まず微生物によって分解されます。この過程で、窒素はアンモニア性窒素へと変化します。この反応は比較的早く進行し、酸素のない嫌気性の環境でも容易に起こります。その結果、水中の窒素の大部分が一度アンモニアの形態になります。
2. 硝化(しょうか)
次に、担体流動槽や接触曝気槽など、酸素が十分に存在する槽で「硝化菌」が働きます。硝化は主に二段階の反応で進行します。アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌の働きにより、アンモニアが亜硝酸性窒素や硝酸性窒素へと変化します。硝化菌は独立栄養細菌であるため増殖が遅く、活動には酸素と適度なアルカリ度が必要です。また、水温が下がると反応が鈍くなるため、冬場の管理には注意が求められます。
3. 硝化液の循環
硝酸や亜硝酸を含んだ処理水を、ポンプやエアリフトなどを用いて再び嫌気槽へと戻します。これが「硝化液循環方式」における重要なポイントです。この循環量を適切に調整することで、窒素の除去効率をコントロールします。
4. 脱窒(だっちつ)
酸素のない嫌気ろ床槽や無酸素槽では、「脱窒菌」が活動します。脱窒菌は酸素の代わりに、硝酸や亜硝酸に含まれる酸素を利用して呼吸を行います。この反応によって窒素ガスが生成されます。窒素ガスは水に溶けにくいため、そのまま空気中へと放出されます。これにより、水中から窒素を物理的に除去することができます。なお、脱窒反応には炭素源となる有機物が必要です。汚水中の有機物が不足している場合には、外部からメタノールを添加することがあります。
【浄化槽管理記録の取り扱いについて】
浄化槽管理者から保守点検または清掃の委託を受けた受託者(以下、業者)は、以下の法定業務を履行する義務があります。
・管理記録を作成し、浄化槽管理者へ交付すること
・当該記録の写しを作成し、3年間保存すること
根拠法における規定は以下の通りです。
同条第2項: 管理者から委託を受けた場合、受託者は「保守点検または清掃の記録を作成して、浄化槽管理者に交付しなければならない」
同条第9項: 受託者は、作成した記録の写しを3年間保存しなければならない
これにより、管理者に交付する「原本」と、業者が保管する「写し」の2部が存在することとなります。
実務における一般的な対応として、多くの業者は記録票を当初から2部作成し、1部を管理者へ交付、もう1部を自社に持ち帰り3年間保管するという手法をとっています。法律が写しの保存を義務付けている以上、この運用は極めて合理的であり、法的な問題は一切ございません。
【下水道管路施設の点検(マンホール点検など)】
下水道は道路の下に埋まっているため、普段は目に見えません。しかし、管の詰まりや破損、道路の陥没といった事故を防ぐため、定期的に状態を確認する必要があります。この作業を「点検」や「調査」と呼びます。
巡視・点検・調査の違い
・巡視:道路の上からマンホールの蓋や周辺の路面を確認します。蓋は開けず、道路の沈下、亀裂、蓋のガタつき、異常な臭いなどをチェックします。
・点検:マンホールの蓋を開けて内部の状態を確認する作業です。異常の有無を素早く把握することを目的としており、異常が見つかった場合は次の調査へと進みます。
・調査:異常の程度を詳しく測定・記録する作業です。修理の優先順位や適切な施工方法を決めるための情報を集めます。
作業は、巡視 ➔ 点検 ➔ 調査 ➔ 清掃・修繕 の順序で進めてまいります。
マンホール点検の主な方法
・地上からの目視:蓋を開けて鏡やライトで中をのぞき込みます。浅いマンホールで用いられる方法です。
・管口からのカメラ撮影:棒の先に装着したカメラを地上から挿入します。作業員が内部に入らずに済むため、多くの現場で標準的に採用されています。
・入坑による目視:作業員がマンホールの中に直接入って確認します。高い精度が求められる場合や、詳細な確認が必要な際に行います。
いずれの方法においても、安全確保が最優先となります。マンホール内は酸素が薄くなっていたり、硫化水素などの有毒ガスが発生していたりすることがあるため、必ずガス濃度を測定し、必要に応じて充分な換気を行ってから作業を開始いたします。
点検における主なチェック項目
1. マンホール蓋・枠の状態
・破損やクラック(ひび割れ)の有無
・がたつき(車両通行時の異音や動揺)
・表面の摩耗(滑り止めの摩耗状況)
・蓋と枠の段差
・浮上・飛散防止機能の有無
・蓋裏側の腐食(下水ガスの影響による錆など)
2. マンホール内部の状態
・足掛金物(はしご状の金具):腐食や欠落の有無
・インバート(底部の水路):破損や洗掘(水流による削れ)の有無
・側壁・斜壁:クラック、腐食、ズレ、隙間の有無
・管口(管とマンホールの結合部):劣化しやすい重要なポイントです。段差、樹木の根の侵入、浸入水の有無を確認します。
・副管(落差がある場合の補助管):詰まりや破損の有無
・堆積物:土砂、木の根、ゴミなどの蓄積状況
・流下状況:水がスムーズに流れているか
・環境:異臭や有毒ガスの発生有無
3. 路面および周辺環境
・沈下、亀裂、陥没の兆候
・溢水(あふれ出た水)の痕跡
要点
下水道の点検は、「目に見えないリスクを可視化する作業」です。マンホールは言わば「下水道の窓口」であり、ここから管の内部を確認して異常を早期に発見することが、地域のみなさまの安全と安心を守る第一歩となります。
【イオン交換による水の浄化】
イオン交換による水の浄水は、水中に溶けているイオン性の不純物をイオン交換樹脂と入れ替えることで、水をクリーンにするシステムです。家庭用の軟水器から工業用の用途まで、幅広く使われています。
水中の不純物の多くは、イオンとして存在しています。イオン交換樹脂は直径0.3〜1.2mm程度のビーズ状の合成樹脂で、内部に固定された電荷を持つ基(基:交換基)があります。水がこの樹脂槽を通過すると、樹脂が元々持っているイオンと、水中の不要なイオンが1対1で交換されます。
陽イオン交換樹脂は、水中の陽イオンを取り込み、代わりに水素イオンやナトリウムイオンを放出します。一方、陰イオン交換樹脂は、水中の陰イオンを取り込み、代わりに水酸化物イオンを放出します。
純水製造では、この両方の樹脂が組み合わされて使用されます。放出された水素イオンと水酸化物イオンが結合して水へと変化するため、イオンがほとんど残らない純水を得ることができます。
また、軟水をつくる場合は主に陽イオン交換樹脂を用い、水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンをナトリウムイオンへと交換します。
【接触ばっ気槽や生物反応槽など】
一次処理を経た水は、こちらの槽へと送られます。ここは浄化槽の心臓部ともいえる、好気性処理を行う場所です。主な役割は、ブロワー(送風機)から空気を送り込むことで、好気性微生物(酸素がある環境で活発に活動する微生物)を活性化させ、水中に残った溶解性の有機物を徹底的に分解することです。
【浄化槽のろ材について】
浄化槽における「ろ材」は、単にゴミをこし取るためのフィルターではありません。微生物が定着して活動するための足場(担体)として機能させることが非常に重要です。
身近な例としてヤクルトの容器を利用する方法があります。これは、安価で入手しやすく、表面に生物膜(微生物の集まり)を付着させられるという優れた発想に基づいています。しかし、市販されている浄化槽用の接触材や担体は、表面積の広さ、目詰まりのしにくさ、そして耐久性などが綿密に計算されて設計されています。
市販のプラスチック製接触材には、波板状、ネット状、ひも状、骨格様の球状など、多種多様な形状が存在します。
では、どのような形状が最も効率的なのでしょうか。実は「表面積が大きい=必ずしも高性能」とは限りません。浄化槽においては、以下の条件を同時に満たすことが大切です。
・微生物がたくさん付着すること
・水がスムーズに通り抜けること
・全体にしっかりと酸素が行き渡ること
・古くなった生物膜が適度にはがれ落ちること
・目詰まりを起こさないこと
例えば「接触ばっ気方式」では、この接触材に付着した微生物に空気を供給しながら、汚水と接触させて分解・浄化を進めていきます。
【接触ばっ気法における好気性微生物の役割】
ばっ気(ばっき)とは、簡単に申し上げますと、水と空気を十分に接触させて水の中に酸素などを供給する操作のことです。例えば、水の中に空気を吹き込むと、空気中の酸素が水に溶け込みます。この操作を「ばっ気」と呼びます。
具体的には、ブロア(送風機)を使って水中に空気を送り込み、その酸素を水に溶け込ませます。浄化槽の排水処理では、このように酸素を供給することで、好気性(こうきせい)微生物が活発に活動できる環境を整えています。
では、なぜ酸素を補給する必要があるのでしょうか。汚水には、食べ物の残りかすなどに由来する有機物が含まれています。この有機物を分解してくれるのが微生物です。特に、酸素がある環境で活動する微生物を「好気性微生物」と言います。好気性微生物は、有機物を栄養源(エサ)として取り込みながら増殖し、活動します。
概念としては、微生物による分解作用によって「有機物と酸素」が反応し、「より単純な物質」へと変化するとともに、「新しい微生物」が発生するという仕組みになっています。
<接触ばっ気槽の仕組み>
槽内には、ヘチマ状や板状のプラスチック部材である「接触材」が充填されています。ブロワーから底部の散気管を通して微細な気泡を送り、槽内の水を撹拌・循環させます。これにより、接触材の表面に好気性微生物による「生物膜」が形成され、この微生物が有機物を栄養源として摂取・分解します。また、同時にアンモニア性窒素の硝化も進みます。
なお、生物膜が厚くなりすぎると処理効率が低下するため、定期的に逆洗(ぎゃくせん)を行い、剥離した汚泥を一次処理側へと返送します。
【おむつの助成金】
トイレに紙おむつを流すと、浄化槽のトラブルになるため絶対にNGです。
でも、福岡県久留米市にお住まいなら、おむつ代を助成してもらえる制度があります!なんと、毎月3,000円分のおむつ券(介護用品給付券)がもらえます。
以下の条件に当てはまる方は、ぜひ使ってみてください。
・久留米市に住んでいて、介護保険を持っている
・介護度が「要介護3・4・5」のどれか
・体や頭の状態で、毎日おむつが必要
・家族みんなの住民税がかかっていない(非課税)
・お家で介護している(老人ホームなどに入っている方は対象外)
・生活保護を受けていない
※生活保護を受けている方は、別の窓口(生活支援課)で相談できます。
気になりましたら、久留米市のケアマネージャーを通して申請書にて長寿支援課又は総合支所へ申請してください。
【浄化槽に関して知っておくべきこと】
浄化槽は、ただ設置すればよいというわけではありません。正しく使用しない場合、法令違反になる恐れがあります。例えば、トイレのし尿などは、浄化槽できちんと処理をしてからでなければ、公共用水域に流すことはできません。また、浄化槽を使用される方には、守らなければならない規則があります。
⇒水の適切な使用
水の使いすぎや流しすぎには注意が必要です。それぞれ適正量がありますので、適切な使用を心がけてください。
⇒浄化槽に入れてはいけないもの
以下のものは、浄化槽に流さないでください。
殺虫剤、強い洗剤、防臭剤、油脂類、紙おむつ、生理用品、ティッシュペーパー
これらは、浄化槽内の微生物を死滅させたり、内部を詰まらせたりして、機能不全を引き起こす原因になります。
⇒電気設備の維持
ブロワーなどの電気設備がある場合、電源を切ると機能不全になる可能性があります。電気は落とさないようにしてください。
⇒管理者の義務と罰則
住民の方で浄化槽を使用されている方は「浄化槽管理者」となります。法律により、以下の管理が義務付けられています。
・保守点検
・清掃
・定期的な水質検査
これらを怠った場合には罰則や罰金が科されることがあるため、特に注意が必要です。
【嫌気ろ床槽とは】
こちらは、酸素のない状態、あるいは極めて少ない環境で機能する槽です。ボール状の充填剤(ろ材)が、汚水に含まれる浮遊物質(固形物)を捕捉して除去します。また、ろ材の表面や内部に付着・増殖した「嫌気性微生物」が、有機物を分解する仕組みです。この分解の過程では酸発酵(有機物の液化や酸の生成)が起こり、一部は硫化水素などのガスへと変化します。構造としては複数の部屋に分かれていることが多く、第1室から第2室へ移流しながら、段階的に浄化が進んでいきます。さらに、固形物の沈殿や貯留のほか、一部の脱窒(窒素成分の除去)も同時に行われます。なお、槽内を撹拌(かくはん)することはせず、水流を常に穏やかに保つのが特徴です。
【保守点検および清掃記録の3年間保管についてのお願い】
ご自宅に浄化槽を設置されている浄化槽管理者の皆様には、保守点検と清掃の記録を3年間保管することが法律で義務付けられております。こちらは単なる推奨ではなく、浄化槽法(第11条の2など)によって定められた明確な義務でございます。
対象となる書類は以下の2点でございます。
・保守点検記録:浄化槽保守点検業者が点検した結果の書類
・清掃の記録:浄化槽清掃業者が発行する書類(汚泥の除去量、作業日、作業内容などが記載されたもの)
≪3年間保管が必要な理由≫
浄化槽には、毎年1回の法定検査を受ける義務がございます。この検査の際、過去の清掃や保守点検が適正に行われているかを確認するための「書類検査」が行われます。万が一、これらの記録が確認できない場合、法定検査で「不合格」と判定されてしまう可能性がございます。浄化槽法では、管理者の皆様に適正な維持管理を行う義務を課しております。その維持管理が適切に行われていることを証明するためにも、記録の作成および3年間の保存が不可欠でございます。大切な書類でございますので、紛失されないようお手元に大切に保管してください。
【膜分離活性汚泥法(MBR)の長所】
膜分離活性汚泥法(MBR)は、従来の標準活性汚泥法と比較して多くの優れた特徴を持っています。
まず、設備を非常にコンパクトに設置できる点が大きなメリットです。本方式では最終沈殿槽が必要ないことに加え、活性汚泥の濃度を高く維持できるため、曝気槽の容積も小さく抑えることができます。これにより、敷地面積の大幅な削減が可能となり、敷地が限られた場所での新設や、既存施設の改築・高度処理化に非常に適しています。
次に、処理水質が極めて良く、安定している点が挙げられます。膜を用いて強制的に固液分離を行うため、浮遊物質(SS)や大腸菌などがほぼ完全に除去され、極めて透明度の高い処理水が得られます。従来の課題であったバルキングや汚泥が処理水に混ざる現象(キャリーオーバー)の心配もほとんどありません。そのため、3次処理が不要になるケースが多く、処理水を再利用しやすいという利点もあります。
最後に、運転管理が比較的容易で安定している点も特徴です。汚泥の沈降性に処理水質が左右されにくく、HRT(水理学的滞留時間)とSRT(汚泥滞留時間)をそれぞれ独立して制御できます。さらに、凝集剤を併用することで、高度なリンの除去にも柔軟に対応することが可能です。
【浄化槽とコンポスト化】
浄化槽とは、下水道が整備されていない地域において、住宅や建物から出る生活排水(トイレ、お風呂、キッチンなど)を綺麗にするための装置です。
浄化槽の特徴
・微生物による浄化:汚水の中の汚れを微生物が分解し、綺麗な水にしてから川や地面に流します。
・汚泥の発生:分解の過程で、底にヘドロのようなもの(汚泥)が溜まります。
・定期的な清掃:溜まった汚泥は、定期的に引き抜いて処理する必要があります。
浄化槽の汚泥(おでい)とは
これは、浄化槽の中に溜まった有機物が豊富な泥のことです。まだ分解しきっていない有機物や水分を多く含んでいるため、そのままの状態では臭いが強く、病原菌が含まれている可能性もあります。
コンポスト化とは
これは、浄化槽の汚泥を堆肥(たいひ)や肥料に変える処理のことです。分かりやすく説明すると、以下のような仕組みです。
・空気の供給:汚泥に空気を送りながら、微生物に分解させます。
・病原菌の死滅:分解によって温度が上がり、病原菌が死滅します。
・堆肥への変化:有機物が安定した状態になり、土に混ぜても安全なコンポスト(堆肥)になります。
コンポスト化のポイント
・酸素の必要性:好気性発酵(こうきせいはっこう)を行うため、酸素が必要です。酸素が不足すると腐敗が進み、悪臭が出やすくなります。
・水分の調整:水分が多すぎても少なすぎても、微生物は上手く働きません。適切な目安は50〜60%程度です。
・温度の上昇:発酵熱によって温度が上がることで、病原菌を死滅させることができます。
(要約)浄化槽とは、生活排水を綺麗にする装置であり、内部に溜まった汚泥は定期的な引き抜きが必要です。そして、その有機物を多く含む汚泥に酸素を与え、微生物の力で安全な堆肥へと変える処理のことをコンポスト化と呼びます。
【浄化槽の微生物について】
浄化槽内の微生物は、エサとなる有機物の量によって増え方が変わります。浄化槽の中で汚濁物質を分解している微生物は、その汚濁物質をエサとして成長し、増殖していきます。このとき、エサの量や濃度によって、微生物の増え方は以下のように変化します。
・エサが少ないとき
微生物は「もっとエサが欲しい」と感じている状態です。そのため、少しでもエサが増えると、増殖するスピードが一気に早くなります。
・エサがある程度まで増えたとき
微生物は精いっぱいはたらいている状態(フル稼働の状態)になります。そのため、これ以上エサを増やしても増え方はほとんど変わらなくなり、限界に達してしまいます。
このように、エサの量と微生物の増え方(増殖速度)の関係を表したものを「モノド(Monod)式」と呼びます。
・身近な例えでのイメージ
これは、私たち人間が食事をするときと同じです。お腹が空いているときは、少し食べるだけでも元気が湧いて活動的になります。逆に、すでに満腹のときは、どれだけごちそうを出されても、それ以上は元気に(活動的に)なれません。微生物もこれと同じで、エサが足りないときは濃度が上がると勢いよく増えますが、ある程度以上になると増え方は頭打ちになります。
・ 浄化槽における意味
上記のような関係があるからこそ、浄化槽の運用では次のことが想定できます。汚濁物質の濃度が低いとき:微生物の増え方も緩やかになります。濃度がある程度まで上がったとき:微生物が効率よく増え、汚水の分解もスムーズに進みます。濃度が高すぎる(エサが多すぎる)とき:酸素不足やpH(水素イオン濃度)の変化など、別の問題が発生しやすくなります。
つまり、微生物の増殖速度は汚濁物質の濃度に単純に比例するわけではありません。「ある濃度までは上がりますが、それ以上になるとほとんど変わらなくなる」という性質を持っています。これらの性質をあらかじめ理解しておくことは、浄化槽の汚濁物質の量と、処理能力のバランスを適切に考える際にとても役立ちます。
【ブロワーについて】
ブロワーは、浄化槽の中に空気を送り込むための機械です。
浄化槽の中には、水の汚れ(有機物)を分解してくれる「好気性微生物」が住んでいます。この微生物は、酸素がないと十分に活動することができません。
そこでブロワーが空気を送り込み、微生物を活性化させることで、汚れを分解して水を綺麗にする役割を果たしています。つまり、ブロワーは浄化槽の中の微生物に酸素を届ける「空気ポンプ」のような働きをしています。
また、このブロワーにはいくつかの運転タイプがあり、主に以下のように分類されます。
・連続運転タイプ:24時間常に空気を送り続けるタイプです。
・タイマー式タイプ:設定した時間ごとに、運転と停止を繰り返すタイプです。
・逆洗(ぎゃくせん)タイプ:通常の送気(ばっ気)とフィルター洗浄(逆洗)など、状況に応じて空気の送り先を切り替えるタイプです。
特に浄化槽においては、省エネ効果を高めるためや、特定の汚水処理方式に合わせるために、タイマーを使ってブロワーを間欠運転(一定の間隔を置いて運転・停止すること)させる設計になっている場合もあります。
【浄化槽から発生する音について】
浄化槽は、家庭から出る生活排水を微生物の力で綺麗にする、小型の汚水処理施設です。日本では、下水道が整備されていない地域を中心に広く普及しています。
⇒浄化槽の仕組み
浄化槽の内部はいくつかの槽に分かれており、主に「嫌気ろ床槽」「接触曝気(ばっき)槽」「沈殿槽」などで構成されています。特に「接触曝気槽」では、微生物に酸素を供給するために、「ブロア(送風機)」という装置を使って常時またはタイマー式で空気を送り込んでいます。この工程は汚水処理において非常に重要な役割を果たしていますが、同時に最も音や振動が発生しやすい部分でもあります。
⇒音や振動が発生する理由
浄化槽からの音の伝わり方は複雑です。空気中を伝わる音と、地面などの固体を伝わる振動が混ざり合って聞こえることがあります。また、浄化槽は地下に埋設されているため、外からは直接状態を確認しにくいのが特徴です。さらに、複数の原因が重なって音が大きくなっているケースも考えられます。
⇒主な原因:ブロア(送風機)のトラブル
音の発生源として最も多いのが、モーターでファンを回して空気を送る「ブロア」です。ブロアから異音や振動が発生する具体的な原因には、以下のようなものがあります。
・ベアリングの劣化:モーター内部の部品(ベアリング)が摩耗し、異音が発生している。
・防振ゴムの劣化:振動を抑えるゴムが硬化・劣化し、地面や配管に振動が直接伝わっている。
・フィルターの目詰まり:吸気口や排気口のフィルターが詰まり、モーターに負荷がかかって回転音が大きくなっている。
・本体の固定不足:ブロアの設置ネジなどが緩み、周辺の機器と共振して大きな音が出ている。
【浄化槽のタイマー運転を行う理由について】
これは必須の作業ではありませんが、ご使用の条件によってはタイマー運転が可能なケースがあります。基本的には24時間連続運転となるブロワについて、その理由や注意点をまとめました。
浄化槽ブロワをタイマー運転する理由
・電気代の節約とCO2削減:ブロワは24時間連続運転が基本であり、家庭用浄化槽の消費電力の大半を占めるためです。
・過曝気(かばくき)の防止:汚水への負荷が少ない状態では酸素が過剰になり、pH値が上昇したり水質が不安定になったりするのを防ぐためです。
・実際の利用人数が、設計上の処理槽の規模と比べて大幅に少ない場合などに適しています。
運転方法と注意点
・運転の制御:プログラムタイマーや専用の制御装置を活用し、特定のルールを繰り返したり、時間帯ごとに運転パターンを変更したりします。
・専門業者への相談:無計画にブロワを停止させてしまうと、内部の微生物が酸欠状態になり、悪臭や水質悪化の原因となります。設定を行う際は、必ず事前に維持管理業者にご相談ください。
【ブロアーがタイマー式になる理由と仕組み】
多くの家庭用浄化槽には、生物ろ過槽や担体ろ過槽があり、微生物が付着するろ材が使用されています。
タイマー式が必要な理由
ろ材に微生物の膜が厚く付きすぎると、以下のトラブルの原因になります。
・目詰まりによる浄化能力の低下
・槽内の満水(溢れ)
以前は、保守点検時に管理士が手動で掃除(逆洗)を行っていました。しかし、近年の浄化槽はコンパクト化が進んでいます。そのため、点検の間隔だけでは対応が追いつかなくなり、自動化(タイマー式)されるようになりました。
逆洗の仕組みとタイミング
通常は「ばっ気用」の吐出口から空気を送っていますが、タイマー設定によって自動で切り替わります。
・切り替えの仕組み:設定時刻になると内蔵の切換弁が作動し、空気の流れを「逆洗用」の吐出口へ切り替えます。
・逆洗の動作:ろ材の底部から空気を吹き上げ、余分な生物膜(汚泥)を剥がし落とします。
・実施の時間帯:家庭からの排水がほとんどない深夜に、1日数回、1回あたり10分程度行うのが標準的です。
逆洗の時間が終了すると、自動で通常の散気(ばっ気)運転に戻る仕組みになっています。
【11条検査とは】
11条検査とは、浄化槽の保守点検や清掃などの維持管理が適正に行われているか、また本来の機能を十分に発揮しているかを確認するための重要な検査です。不十分な管理による水質悪化や環境汚染を防ぐ目的で実施されます。
検査の対象と時期
・対象:使用中すべての浄化槽(単独処理・合併処理のどちらも対象)
・時期:毎年1回。7条検査を受けた翌年以降、継続して受ける必要があります。
・実施者:都道府県知事が指定した指定検査機関のみが行えます。福岡では福岡方式が採用されており、管理会社が検査のご案内をいたします。
検査内容
・外観検査:設置状況、設備の稼働状況、水洗いの流れ方、使用状況、悪臭の有無、消毒の実施状況、ハエの発生状況などを確認します。
・水質検査:水素イオン濃度、溶存酸素量、透視度、残留塩素濃度、生物化学的酸素要求量などを調べます。
・書類検査:保守点検や清掃の記録、前回の検査記録などを確認します。
【家庭用で膜分離活性汚泥法が使われない理由】
・初期費用が高い
膜モジュールや制御機械の価格が高く、初期費用が大きくなります。膜自体が高価であるため、従来の接触ばっ気方式や嫌気ろ床接触ばっ気方式などと比較して設備コストが上昇します。家庭用においては、この価格差が導入の大きな障壁となります。
・維持管理費が高い
膜の目詰まりを防ぐため、定期的な薬品洗浄(次亜塩素酸ナトリウムなど)が必要となります。膜の寿命は使用状況によって異なりますが、数年単位での交換が必要であり、その都度交換費用が100%発生します。また、吸引ポンプなどの動力が必要となるため、電気代も従来方式より高くなります。
・維持管理技術の普及が不十分
家庭用浄化槽の主流は、接触ばっ気方式や担体流動方式などの生物膜法です。これらは仕組みが比較的シンプルであり、既存の維持管理業者の技術やノウハウが蓄積されています。一方、膜分離方式は運転や管理の方法が大きく異なるため、専門的な知識や対応体制がまだ十分に広まっておりません。
【浄化槽をご利用の方が知っておくべき法的義務】
浄化槽は正しく使用しない場合、法律違反となる可能性がございます。これに関する重要なポイントを4つに分けてお伝えいたします。
1. 排水のルールについて
下水道が整備されている地域を除き、トイレの汚物や、台所・お風呂・洗濯などの生活雑排水は、必ず浄化槽を通して処理を行ってからでなければ、川や海などの公共用水域に流してはならないと定められています。
2. 正しい使用方法の遵守
浄化槽の正しい使い方を遵守していただく必要があります。具体的には以下の点にご注意ください。
・水量の調節:トイレを流す水の量は適正に保つ必要があり、流しすぎも少なすぎも好ましくありません。
・投入禁止物:殺虫剤、強力な洗剤、防臭剤、油脂類、紙おむつ、衛生用品など、浄化槽内の微生物を死滅させたり、管を詰まらせたりするものは絶対に流さないでください。
・排水の制限:単独処理浄化槽には生活雑排水を流してはなりません。また、合併処理浄化槽には工場排水、雨水、特殊な排水を流してはなりません。
・周辺環境の維持:点検や清掃作業の妨げにならないよう、浄化槽の周囲に物を置いたり、上に重いものを載せたりしないでください。また、通気口を塞がないようご注意ください。
3. 浄化槽管理者の義務
浄化槽の所有者は法律上で「浄化槽管理者」と呼ばれ、保守点検・清掃・水質検査を行う責任(義務)が課せられています。
・保守点検と清掃:法律で定められた年間の規定回数を実施する必要があります。これらは資格のある専門業者へ委託し、その記録は3年間保存する義務がございます。
・水質検査:設置後などの初期水質検査を3〜8ヶ月以内に1回受け、その後は毎年1回、定期検査を受ける必要がございます。
4. 罰則について
浄化槽に関する法令を遵守しなかった場合は、罰則の対象となる可能性がございますので十分にご注意ください。
【生活排水処理基本計画について】
生活排水処理基本計画では、下水道で処理する区域と、そこで処理を行う対象人口を必ず明記する必要があります。その理由は、これらを明確にすることで、下水道の区域外(=合併処理浄化槽で処理する区域)が自動的に特定されるためです。具体的には以下のような仕組みになっています。
1. 具体的な考え方(地図上での色分け)
・下水道区域の明記:市町村の区域全体を地図として捉え、まずは「下水道で処理する区域」を計画にしっかりと書き込みます。
・人口の記載:目標年次までに、この範囲のどれだけの人口を下水道に接続するかを記載します。
・浄化槽区域の特定:下水道区域から外れた「残りの区域」が、自動的に浄化槽で処理する区域となります。
これにより、下水道の整備予定がない(または整備が難しい)地域においては、「合併処理浄化槽を用いて生活排水を処理する」という方針が明確になります。
実際の計画では、さらに細かく以下のように分類して記載します。
・下水道で処理する区域と人口
・農業集落排水などで処理する区域と人口
・合併処理浄化槽で処理する区域と人口
・(必要に応じて)コミュニティ・プラントなど
2. なぜこれが重要なのか
・二重投資の防止:将来的に下水道が整備される予定の地域に、わざわざ新しく合併処理浄化槽を設置するという無駄を省くことができます。
・施策の根拠の明確化:逆に下水道の区域外では、合併処理浄化槽の設置や、古い「単独処理浄化槽」からの転換を積極的に推進するための明確な根拠となります。
・住民への説明のしやすさ:現在も単独処理浄化槽を使用している世帯に対し、「この地域は下水道区域外であるため、合併処理浄化槽への切り替えが必要です」と、住民の皆様へ納得のいく説明がしやすくなります。
要点
生活排水処理基本計画において「下水道で処理する区域と人口」を明確に記載することは、下水道が届かない地域は合併処理浄化槽できちんと処理を行う、という「区域分け」をはっきりさせる作業です。これにより市町村は、どこを下水道で処理し、どこを浄化槽で処理するかを長期的な視点で整理できるようになり、浄化槽の普及や転換を計画的に進めることが可能になります。
【浄化槽管理士が使用する主な道具とその使い方】
国家資格である「浄化槽管理士」が、浄化槽の保守点検を行う際に使用する主な道具と、その使い方についてご紹介いたします。浄化槽法に基づく保守点検では、槽内を流れる水の動きや水位、スカム(浮遊物)や汚泥の状況、生物膜(バイオフィルム)の状態、そしてブロアの作動具合などを細かく確認します。その際に、以下のような専門的な道具が使われています。
⇒pH/ORP計・DO計(溶存酸素計)
・水素イオン濃度(pH)や酸化還元電位(ORP)、水中に溶けている酸素の量(DO)を測定する機器です。
・採取した水を容器に入れ、機器の数値を読み取って測定します。
・異常な数値が検出された場合は、汚れを分解する微生物の働きが弱まっている可能性などが判断できます。
⇒残留塩素測定器(DPD錠剤法など)
・放流する水の消毒効果が正しく機能しているかを確認するために使用します。
・採取した水に専用の錠剤を入れ、変化した水の色を比色表と見比べて判定します。
⇒透視度計(30cm / 50cm)
・水がどのくらい澄んでいるか(透明度)を測定する器具です。
・目盛りのついたガラス管に水を入れ、上から覗いて底面の標識がはっきりと見える高さを確認します。
⇒スカム厚・汚泥厚測定器(界面計・透明パイプなど)
・槽内に溜まったスカム(水面に浮かぶ汚れの層)や、底に沈んだ汚泥の厚みを測るための器具です。
・槽内に専用の棒や器具を差し込んで、それぞれの厚みや境界線を正確に測定します。
このほかにも、現場の状況に応じて温度計、塩素イオン計、亜硝酸性窒素試験紙、メスシリンダー(SV:汚泥沈殿率の測定用)、水準器などが用いられます。
【個人でできる範囲のグリストラップ清掃】
グリストラップは、厨房排水に含まれる油脂や残渣(ゴミ)を分離するための装置で、一般的には3槽式が採用されています。それぞれの槽には以下のような役割があります。
・第1槽:バスケットで大きなゴミや残飯などをキャッチします。
・第2槽:油脂を表面に浮かせ、底には汚泥を沈殿させます。
・第3槽:トラップ管によってさらに油分を分離し、キレイな水を排水します。
底に溜まった汚泥を個人で完全に除去するのは難しいため、定期的に専門の外部清掃業者へ依頼するのが現実的です。もし定期的な清掃を怠ってしまうと、悪臭や配管の詰まり、害虫の発生だけでなく、場合によっては法令違反になる恐れもありますので注意が必要です。
⇒清掃時の服装・保護具
作業を行う際は、安全のために以下の保護具を着用してください。
・ゴム手袋、長靴、エプロン、マスク、ゴーグル
・作業時の注意点
営業が終了している時間帯に、必ず換気を良くして行います。
・グリストラップの蓋は非常に重く滑りやすいため、2人以上で作業を行ってください。
・排水が逆流しないように注意しながら進めることが大切です。
⇒必要な掃除道具
・バスケット用のブラシ
・長いひしゃく、おたま
・ストレーナー(網)
・ポリバケツ、ビニール袋
・中性洗剤
⇒掃除の頻度(目安)
・第1槽(バスケットのゴミ除去):毎日行うことが推奨されます。
・第2槽(浮遊している油脂の除去):2〜3日に1回、または週に1回が推奨されます。
・トラップ管の清掃:2〜3ヶ月に1回が推奨されます。
【外国人の方へ】
久留米市役所では外国人の相談窓口が御座います。
浄化槽清掃、し尿汲み取りでお困りでしたら、久留米市役所にご相談ください。
【To Foreign Residents】
Kurume City Hall provides a consultation desk specifically for foreign residents.If you have any issues or questions regarding septic tank cleaning or vault toilet emptying services, please feel free to consult with Kurume City Hall.
【致各位外国居民】
久留米市役所(市政府)设有面向外国人的咨询窗口。如果您在净化槽清扫、化粪池抽吸(抽粪)方面遇到困难,请随时向久留米市役所咨询。
【विदेशी निवासियों के लिए】
कुरुमे सिटी हॉल में विदेशी निवासियों के लिए एक विशेष परामर्श डेस्क है।यदि आपको सेप्टिक टैंक की सफाई या अपशिष्ट निकासी (मल निकासी) सेवाओं के संबंध में कोई समस्या या प्रश्न हैं, तो कृपया कुरुमे सिटी हॉल से संपर्क करने में संकोच न करें।
【合併処理浄化槽における微生物のメカニズム】
合併処理浄化槽は、お手洗いやお風呂、台所などから出る生活雑排水をまとめて処理する、小型の生物処理装置です。単に物理的な沈殿や分離を行うだけでなく、主役である水中の微生物が代謝を行うことによって、汚水をきれいな水へと浄化します。ここでは、その仕組みをミクロの視点から詳しく解説いたします。
1. 好気性(こうきせい)微生物の働き
好気性微生物は、活動に酸素を必要とする微生物です。細胞内で「好気呼吸」を行うため、非常に高い効率でエネルギーを作り出すことができます。
・主な役割: 炭水化物、たんぱく質、脂質などの有機物を酸化させて分解し、最終的には二酸化炭素、硝酸塩、水などに変換します。
・代表的な微生物: 偽単胞菌(シュードモナス属)や硝化菌などです。
・ミクロな視点: 細胞膜にある酵素を使い、酸素を最終電子受容体(じゅようたい)とすることで、大量のアデノシン三リン酸(ATP)を生成します。イメージとしては、汚れをエネルギーとして燃やし尽くして分解するような仕組みです。
2. 嫌気性(けんきせい)微生物の働き
嫌気性微生物は、酸素を嫌う(あるいは必要としない)微生物です。酸素が存在しない環境において、「嫌気呼吸」や「発酵」を行います。
・主な役割: 有機物を部分的に分解し、メタン、二酸化炭素、揮発性脂肪酸、有機酸などを生成します。また、窒素化合物の一部を還元する働きもあります。
・代表的な微生物: メタン生成古細菌や硫酸還元菌などです。
・ミクロな視点: 酸素がない環境のため、代わりに硝酸塩や硫酸塩を電子受容体として利用したり、リン酸を用いたりしてエネルギーを得ます。好気性微生物に比べてエネルギーの生産効率が低いため、分解が完全に進みきらず、有機酸などの中間代謝物が残りやすいという特徴があります。
【家庭用浄化槽の選び方】
単独浄化槽の新設禁止2000年(平成12年)の浄化槽法改正により、2001年4月から単独処理浄化槽の新設は原則禁止となりました。現在は「合併処理浄化槽」の設置が義務付けられています。
人槽の算定基準(JIS A 3302)浄化槽の処理対象人員(人槽)は、実際の居住人数ではなく、延べ床面積や建物の用途(JIS A 3302-2000規格)で計算されます。一般的な戸建住宅の場合、延べ床面積130㎡以下は5人槽、130㎡超は7人槽、二世帯住宅などは10人槽と機械的に決まります。
処理タイプと補助金標準型の放流水質(BOD 20mg/L以下)に対し、窒素やリンを除去できる「高度処理型(BOD 10mg/L以下など)」は環境負荷が低いため、多くの自治体で上乗せ補助金の対象に指定されています。
省エネ型(ブロワの消費電力)浄化槽は24時間ブロワ(送風機)を動かすため、電気代が常にかかります。旧型や非省エネ型から最新の省エネ型ブロワに換えるだけで、年間で数千円(約3,000円〜5,000円前後)の電気代削減につながるため、非常に重要な比較ポイントです。
コンパクト型各メーカーとも、総容量を小さく(浅型化など)したコンパクトモデルを展開しています。これにより、住宅密集地の狭い敷地でも設置可能になり、工期短縮や掘削・残土処分費のコストダウンが実現します。
メーカー例
「フジクリーン工業」「クボタ」「ダイキアクシス」「ハウステック」「アムズ」「ニッコー」は、いずれも日本の浄化槽市場を代表する主要・一流メーカーです。
【糖尿病の患者様がいらっしゃる場合の浄化槽への影響について】
糖尿病の患者様がいらっしゃる場合、特に単独処理浄化槽において、浄化槽への負担が大きくなる可能性がございます。
糖尿病患者様の尿は糖分の濃度が高く、排出量も多くなる傾向にあります。これに起因して流入水のBOD濃度が上昇し、微生物による浄化が間に合わない事態が生じることがあります。糖分が微生物の活動を過剰に刺激することで、汚泥の堆積や水質の悪化を招くほか、発酵の進行に伴い強い悪臭が発生しやすくなる可能性が示唆されております。
一方で、トイレのし尿と生活雑排水を併せて処理する「合併処理浄化槽」においては、この影響が比較的現れにくい傾向にあります。なお、糖尿病の治療薬そのものが浄化槽内の微生物を死滅させるような直接的な影響は殆どございません。薬剤は体内で代謝された上で排出されると言われております。
⇒状況を改善するための対策
・トイレの使用時は水を多めに流し、汚水の濃度を希釈する。
・ブロワ(送風機)を能力の高いものへ交換し、酸素供給量を増加させる。
・維持管理における清掃や点検の頻度を増やす。
・単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を検討する。
【浄化槽に廃油を流さないでください】
市販されている油処理剤の多くには界面活性剤が使われており、油を微細な液滴(細かな粒)に変える性質があります。これにより、一時的に水に流せる状態になりますが、浄化槽の中に入ると界面活性剤の効果が薄れ、再び水と油に分離してしまいます。
この現象がミクロレベルでどのように起きているのかを説明します。
油は水を嫌う「疎水性」という性質を持っています。化学的には「長鎖脂肪酸のトリグリセリド」という物質で、水分子とはほとんど相互作用しません(混ざり合いません)。そのため、再び分離した油の粒は、水面に浮上して「スカム」と呼ばれる頑固な汚れの層を作ったり、細かな粒のまま漂って浄化槽の水を濁らせたりします。さらに、これらの油の粒は不規則な動き(ブラウン運動)などによって、浄化槽内のあらゆる場所に付着していきます。
浄化槽が水を綺麗にする仕組みの要(かなめ)は、微生物が集まった「バイオフィルム」という膜です。ろ床材の表面に、厚さ数十ミクロン(1ミクロンは1ミリの1000分の1)の微生物の膜が作られ、そこにいる嫌気性細菌や好気性細菌が汚水の中の有機物を分解しています。
しかし、油は非常に表面に張り付きやすい性質(表面活性)を持っているため、バイオフィルムの親水性(水に馴染みやすい)の表面に優先的に吸着してしまいます。一度付着した油は表面に膜を張り、微生物が汚水の中の有機物と接触するのを遮断(ブロック)してしまうのです。
また、微生物の細胞膜自体も脂質(油分)でできているため、過剰な油にさらされると、代謝が妨げられたり、最悪の場合は微生物が死滅したりしてしまいます。
【接触曝気槽の微生物の共生】
曝気槽の接触材は、好気性微生物の呼吸や摂食を促すための装置であり、浄化槽全体は自然界の有機物分解プロセスを人工的に制御した「微生物の居場所」となっています。
浄化槽内では、嫌気性微生物による前処理と、好気性微生物による仕上げという食物連鎖的な共生による浄化が行われます。さらに、生物膜(バイオフィルム)が付着・成長・剥離のサイクルを自然に繰り返すことで、過剰な蓄積を防ぐダイナミクスが機能しています。
これらには環境因子が大きく影響します。温度、pH、DO濃度、栄養バランスは微生物の活性に直結するため、保守点検を通じてこれらを適切に維持・調整することが大切です。
最近では、原生動物などが複雑に絡み合う多様性の高い微生物環境ほど、浄化性能が安定することが明らかになっています。
【沈殿槽のミクロ視点】
沈殿槽は、活性汚泥法の二次処理において、最も重要な「固液分離」を行う工程です。曝気槽から流れてきた「水」「活性汚泥」「有機物」の混合液を、重力沈降によって分離します。
⇒曝気槽から流入するもの曝気槽から流れてくるものは「活性汚泥フロック」です。このフロックをミクロの視点で見ると、以下のような高度な生態系と構造を持っています。
・骨格と接着剤(EPS):多糖類やたんぱく質からなる「細胞外高分子物質(EPS)」が網目状に広がり、水を保持しながら細菌同士を接着させてフロック(塊)をつくっています。
・内部の生物群集:フロックの内部や中心には、好気性細菌、硝化菌、糸状菌など、汚れを分解する多様な細菌群が密集しています。
・周辺の微小動物:フロックの表面やその周辺には、ゾウリムシ(繊毛虫類)、ワムシ(輪虫類)、線虫などの微小動物が存在し、バラバラに浮遊している細菌を捕食して処理水をきれいにしています。
⇒沈降のプロセス
混合液が流入した後は、自由沈降 ⇒ 干渉沈降 ⇒ 圧密沈降 という3つの段階を経て、綺麗に分離されます。
・上層部(自由沈降):フロックの濃度が薄い領域です。個々の微細な粒子や小さなフロックが、ストークスの法則に従い、他からの干渉を受けずに単独で沈降します。
・中層部(干渉降下):フロックの濃度が高くなる領域です。フロック同士が密集し、お互いにぶつかり合い、影響を及ぼし合いながら「集団の界面」を形成して沈んでいきます。
・下層部(圧密沈降):底に堆積したフロックの層です。フロック自身の重さ(自重)によって引き締められ、隙間の水分が上部へと絞り出されることで、高濃度の「濃縮汚泥」となります。
【グリストラップとは何か】
グリストラップとは、飲食店などの厨房排水から油脂や食品カスを分離し、下水道への流出を防ぐための装置です。清掃を怠って放置してしまうと、悪臭や害虫の発生、配管の詰まり、さらには法令違反に繋がる恐れがあるため、定期的な清掃が必要不可欠です。
■ 基本構造(一般的な3槽式)
グリストラップの構造は、一般的に3槽式となっています。
・第1槽:バスケット(網カゴ)を使い、大きな食品カスや残飯をキャッチします。
・第2槽:水流を緩やかにすることで、油脂を水面に浮かべ、細かい汚泥を底に沈める分離槽です。
・第3槽:油脂や汚泥を取り除いた比較的綺麗な水を、トラップ管を経由して下水へ流します。
■ 清掃頻度の目安
快適な厨房環境と衛生状態を保つための、清掃の目安は次の通りです。
・毎日:バスケットに溜まったゴミの除去
・週に1〜3回:水面に浮いた油脂の掬い取り
・月に1回程度:底に溜まった汚泥(ヘドロ)の除去
・2〜3ヶ月に1回:トラップ管の清掃
・月に1回以上:高圧洗浄機などを用いた、全体的な本格清掃
【接触曝気槽のメカニズム】
⇒生物膜の形成
まず、槽内にある接触材の表面に「生物膜(バイオフィルム)」と呼ばれる微生物の共同体が形成されます。
⇒外層での好気性分解
接触材の外側(外層)は酸素が豊富な環境であるため、好気性微生物が活発に繁殖します。これらの微生物は、酸素を利用した「好気性呼吸」によって水中の有機物を分解します。
⇒分解の反応プロセス
具体的な反応は以下の通りです。有機物が酸素と反応することで、二酸化炭素、水、新しい微生物細胞、そしてエネルギー(熱)が発生します。この働きにより、水質汚濁の指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)が大幅に低下します。
⇒内層での嫌気性分解と共存
一方で、接触材の内側(内層)は酸素が届きにくいため、微好気性や嫌気性の微生物が生息しています。つまり接触材は、好気性微生物と嫌気性微生物が共存する場所となっています。これにより部分的に嫌気性分解も行われ、多様な微生物相(そう)が維持されることで、安定した水質の浄化が可能となります。
⇒生物膜の剥離と沈殿
生物膜が成長して厚くなると、内側の膜が自然と剥がれ落ち(解離)、その後にある沈殿槽で取り除かれます。
⇒活性汚泥方式との違いとメリット
この仕組みは「活性汚泥」とは異なりますが、非常によく似た役割を持っています。微生物が接触材にしっかりと固定されているため、槽外への流出が少なく、処理が安定しやすいという大きなメリットがあります。
【接触ばっ気槽をミクロ視点から解説】
浄化槽による汚水処理は、主に微生物の代謝活動によって有機物を分解し、無機化するプロセスです。今回は、この仕組みをミクロの視点から詳しく解説いたします。
なお、マクロの視点における仕組みは、微生物が活動しやすい環境を整えることを目的としています。
「ばっ気」とは、一般的に液体中へ酸素を供給する行為を指します。これをミクロの視点から見ると、酸素を必要とする細菌などの「好気性微生物」に対して、有機物を酸化分解するための電子受容体となる酸素を提供する、という重要な役割を持っています。
もし酸素が不足してしまうと、好気性微生物の活動が低下し、代わりに酸素を必要としない「嫌気性微生物」が優位になってしまいます。
そのため、ブロアー(送風機)を使ってばっ気槽内に気泡を発生させ、水中の溶存酸素(DO)濃度を高めることで、微生物の呼吸を活性化させています。
さらに、この気泡がもたらす撹拌(かくはん)効果によって、汚水が接触材の周りを効率よく循環します。これにより、微生物と有機物の接触回数が増え、高い浄化効果が維持されています。
【ブロアーを使って浄化槽を活性化】
ブロアー(送風装置)がどのように浄化槽の活性を高めるかについて、その仕組みを概説いたします。
好気性微生物にとって、酸素は「電子受容体」としての役割を持っています。送風装置によって、ディフューザーや散気管から空気の泡を細かく放出させると、以下のような現象が起こります。
まず、水中の溶存酸素(DO)が上昇します。これにより、微生物の細胞内で次のような反応が始まります。
微生物は、細胞内で有機物を分解して得た電子を「電子伝達鎖」へと渡します。電子が膜タンパク質を順番に移動していく際、プロトンを細胞膜の外側へと組み出し、プロトンの濃度勾配を形成します。この勾配を利用して、ATP合成酵素がエネルギー源となるATPを大量に生産します。最後に、その電子とプロトン、そして酸素が反応して水が生成され、有機物質が無害化されます。
一方で、酸素が少ない状況(DOが低い状態)では、電子伝達鎖の動きが悪くなってしまいます。その結果、ATPの産生量が大幅に減少し、微生物は休眠状態になったり死滅したりする傾向にあります。
ブロアーは、この呼吸に不可欠な酸素を供給することで一連の流れをスムーズにし、細胞1つあたりのエネルギー生産量を高める役割を果たしています。
【浄化槽のDO(溶存酸素)とは】
自然の水域である川や湖などにおいて、汚れの増減や酸素の量を大きく左右するのは「生物作用」です。その中でも特に重要なのが、微生物が有機物を分解する働きです。
・汚濁物質の分解
微生物が汚れ(有機物)を食べて分解することで、水中の汚濁物質の濃度が下がります。
・酸素の消費
微生物が有機物を分解する際には、水中の酸素(DO)を消費します。汚れが多いほど酸素をたくさん使うため、DOが低下しやすくなります。
この「分解」と「消費」の2つが同時に起こるため、生物作用は、汚れの濃度と酸素の量の両方を決める重要な指標となります。浄化槽は、この生物作用を人為的にコントロールして利用する装置です。
1. 浄化槽の中で微生物を働かせる
浄化槽内に微生物を住まわせ、汚水中の有機物を分解させます。特に空気を送る部分(好気槽)では、酸素をたくさん供給して微生物に効率よく汚れを分解させます。これにより、放流する水の汚濁物質濃度を大幅に下げることができます。
2. 放流後の水域への影響を抑える
浄化槽で十分に処理をせずに汚れの多い水を流してしまうと、放流先の川や湖で微生物が活発に働き、汚れを分解しようとして大量の酸素を消費します。その結果、DOが急激に下がり、魚が住めない環境になるなど、さらに水質が悪化してしまいます。逆に、浄化槽で綺麗に処理をしてから流せば、放流先での微生物の活動が穏やかになり、DOの低下を防ぐことができます。
まとめ
自然の水域では、微生物による分解が汚れを減らすと同時に酸素を消費するため、両方の濃度を左右します。浄化槽は、この微生物の力を槽の中で上手に使い、あらかじめ汚れを減らしてから自然に返すことで、放流先のDO低下を防ぐ役割を果たしています。要するに、浄化槽とは「微生物の分解力を利用して汚れを減らし、自然の水域で酸素が不足しないようにする装置」です。
【生物的自浄作用と浄化槽】
河川、湖沼、内湾などの自然の水域に汚濁物質が入ると、そこに生息する生き物たちが協力して汚れを減らす働きがあります。これを「生物的自浄作用」と呼びます。
主な役割分担は以下の通りです。
・微生物(細菌類): 有機物を食べて分解する中心的な役割を担います。酸素が十分にある場所では好気性菌が、酸素が少ない場所では嫌気性菌が働きます。
・水生植物(ヨシ、ガマ、藻類など): 窒素やリンなどの栄養塩を根や葉から吸収し、光合成によって酸素を供給します。
・水生動物(原生動物、ミジンコ、貝類、魚など): 微生物やプランクトンを捕食したり、水をろ過したりして汚れを減らします。
これらの生き物が食物連鎖を形成することで、汚濁物質の濃度を下げていきます。
・浄化槽と生物的自浄作用の関連性
浄化槽は、この自然界の「生物的自浄作用(特に微生物や微小動物による働き)」を人工的に、かつ効率よく再現した装置です。
1. 浄化槽内における微生物と微小動物の役割
浄化槽の中では微生物や微小動物が主役として活躍しています。槽内には細菌類、原生動物、微小後生動物などが生息し、食物連鎖のような生態系が形作られています。汚水に含まれる有機物は、これらの微生物が食べることで綺麗になります。好気槽では空気を送り込んで好気性細菌を活性化させ、嫌気槽では酸素のない状態で嫌気性菌を働かせています。また、植物の入らない浄化槽内での窒素やリンの除去も、主にこうした微生物の化学反応やろ材などを活用して行われています。
2. 放流後も続く自然の生物的自浄作用
浄化槽で処理された水を河川や側溝に放流すると、その先の水域でさらに水生植物や水生動物が働きます。例えば、水路の植物が残った栄養塩を吸収したり、川底の微生物や小動物がさらに有機物を分解したりします。浄化槽であらかじめ大幅に汚れを減らしてから放流することで、放流先である自然界の自浄作用の限界を超えないよう配慮されています。
3. 浄化槽が必要とされる理由
かつては生活排水をそのまま流しても、自然の生物的自浄作用によって浄化できていました。しかし、人口の増加に伴い排出される汚れの量が増えると、自然の力だけでは対応しきれなくなり、河川のドブ川化や湖沼でのアオコの発生といった水質汚染が生じるようになりました。そこで浄化槽が事前処理を行って大幅に汚れを減らし、自然界の生き物たちに過度な負担をかけないようにしています。
【まとめ】
自然の水域では、微生物を中心に水生植物や水生動物が協力して汚れを減らす「生物的自浄作用」が働いています。浄化槽はそのうち主に微生物や微小動物の仕組みを槽内で効率よく再現し、汚れを大幅に減らしてから自然へ返すための装置です。浄化槽で適切に処理を行うことで、放流先の水域でも自然の自浄作用(水生植物による栄養塩吸収などを含む)がスムーズに機能し、水質の悪化を防ぐことができます。つまり浄化槽は、自然界の生物的自浄作用を支え、その負担を軽減するために欠かせない装置といえます。
【イオン交換膜方式の浄化槽】
こちらは主に「リン」の除去を目的として用いられる技術の一つであり、一般的な家庭用の小型浄化槽で採用されることはありません。非常に特殊な技術であるため、限定的な場所や用途において導入が検討されます。
⇒主な適応場所
・閉鎖性水域の周辺地域:富栄養化の原因となるリンの除去を特に強化する必要がある、湖沼や内湾などの周辺。
・既存施設の機能追加:古い浄化槽をそのまま活用しつつ、新たにリン除去機能を追加する必要が生じた場合。
・中小規模の施設:小規模な集合住宅、農村集落、公共施設など。
⇒イオン交換膜方式の概要
・基本処理
通常の浄化槽と同様です。嫌気処理および好気処理によって、微生物が有機物(BOD)を分解・処理します。
・イオン交換処理
電気槽(または電気透析槽)に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を配置し、直流電流を流します。これによりイオンを選択的に移動・分離させ、特にリン酸イオンを濃縮して除去しやすくします。
・他方式との併用
鉄電極を組み合わせる場合もあります。溶出させた鉄イオンとリン酸を反応させてフロック(沈殿物)を形成し、沈殿除去する方式と併用することで、より効果的にリンを除去します。
【浄化槽の清掃について】
浄化槽の清掃は、槽内に蓄積した固形物や汚泥を引き抜くなどの作業のことであり、年に1回以上の実施が法律で義務付けられています。なお、この作業の委託は、市町村長の許可を受けた業者に限られます。
汚泥や固形物が溜まる理由
浄化槽は、微生物の働きを利用して、し尿や生活雑排水を分解・浄化する装置です。汚水が流れ込むと、まず物理的な沈殿や浮上によって固形物が分離されます。その後、微生物が有機物を分解して増殖・死滅する過程で、汚泥やスカム(浮きかす)が少しずつ堆積していきます。これらは水に溶けないため、浄化槽の内部に溜まり続けます。使用状況によって溜まる速度は異なりますが、放置すれば必ず蓄積していくものです。
放置した場合の影響
この汚泥やスカムが過剰に溜まると、以下のような問題が発生します。
・浄化機能の低下:槽内の有効容量が減り、微生物が働く空間が狭くなります。
・水質悪化:汚泥が流出して放流水に混ざり、周囲の水質を悪化させます。
・悪臭の発生:嫌気状態(酸素がない状態)や腐敗が進むことで、悪臭の原因になります。
【分離槽の処理プロセス】
家庭から排出された生活雑排水は、有機物の懸濁固形物や溶解性物質、細菌、油脂、糞便の粒子などを含んだ混合物です。この排水が分離槽に流入すると、主に物理的な分離と、嫌気性(けんきせい)微生物による初期の分解が並行して行われます。
⇒物理的分離のミクロな視点
排水中に含まれる密度の高い粒子(糞便の破片や食べ物の残渣など)は、重力によって沈降します。ミクロの視点で見ると、これらの粒子はコロイド状の有機物や細菌の集合体を含んでおり、徐々に凝集(ぎゅうしゅう)して沈殿しながら、浄化槽の底で汚泥層(おでいそう)を形成していきます。逆に、油脂や気泡を抱えた軽い有機物の粒子は、水よりも密度が小さいため、水面に浮上してスカム層を形成します。このようにして固形物が分離され、比較的澄んだ透明な水の部分が、次の工程である「曝気槽(ばっきそう)」へと送られます。
⇒嫌気性微生物による分解プロセス
分離槽は酸素がほとんどない「嫌気環境」であるため、嫌気性微生物が主役となって働きます。これらの微生物は、汚泥やろ材の表面に「バイオフィルム(生物膜)」として定着しています。この働きをさらにミクロの視点で解説します。
・加水分解の段階
タンパク質などの大きな有機物を、加水分解酵素によって小さな分子(アミノ酸など)へと分解します。ミクロの視点では、細菌がこの役割を担っており、固形汚泥の中にある有機物を液化・可溶化(水に溶けやすい状態にすること)しています。
・酸生成の段階
このようにして分解された分子は、さらに揮発性脂肪酸やアルコール、二酸化炭素へと変化(生成)されていきます。
【雨水と下水道】
下水道は、し尿や生活雑排水だけでなく、雨水や工場排水も処理の対象としています。公共下水道は、し尿と生活雑排水を合わせた「汚水」と「雨水」を排除・処理するための施設ですが、その集水方法には以下の2つの方式があります。
・合流方式:汚水と雨水を同じ1本の管にまとめて流す方式です。
・分流方式:汚水管と雨水管を別々に分け、それぞれ異なる管で流す方式です。
なお、工場排水(事業場排水)についても、定められた排水基準を満たしていれば、下水道へ接続して流すことが可能となります。
【他地域のし尿処理手数料(参考)】
≪久留米市≫
○久留米市廃棄物の処理及び清掃に関する条例 には以下の記載が御座います。
⇒し尿処理手数料 18リットルまでごとに225円(消費税等相当額を含む。)とする。
※久留米市廃棄物の処理及び清掃に関する条例より引用
≪福岡市≫
⇒一般家庭 1人1月300円(簡易水洗便所:750円)
※福岡市のサイトより引用
≪北九州市≫
⇒し尿収集にかかる手数料
人数によるもの(人頭制):1月1人につき350円
収集量によるもの(従量制)加水式トイレ:50リットルにつき400円
※し尿の処理について - 北九州市より引用
≪大牟田市≫
⇒し尿処理手数料
一般世帯等(注1):10リットルにつき・・・91円(税込)
事業所等(注2):10リットルにつき・・・125円(税込)
(注1)一般世帯等とは、住宅(専ら居住の用に供する家屋またはその一部を人の居住の用に供する家屋)に設置された便槽のうち、当該住宅に居住している者が専用で使用している便槽であって常時使用されているものをいいます。
(注2)事業所等とは一般世帯等以外の家屋等に設置された便槽をいいます。
※し尿くみ取りの申込み / 大牟田市より引用
≪佐賀市≫
⇒し尿くみ取り手数料283円(消費税込)
(補足)18リットル(18リットル未満は18リットルとする。)の単価です。
※し尿くみ取りについて/佐賀市公式ホームページ
【トイレの臭突管(しゅうとつかん)とは】
これは主に、汲み取り式トイレや簡易水洗式トイレの「便槽(べんそう)」から発生するニオイを、屋外へ排出するための煙突状の換気システムです。素材は塩化ビニル(PVC)製のパイプが一般的で、数メートルの高さがあり、先端に電動ファンが取り付けられているタイプが多く見られます。
⇒換気のメカニズム
このシステムがニオイを逃がす仕組みについて解説します。
・臭気の発生
便槽内の排泄物が分解される過程で、硫化水素やアンモニアなどの悪臭ガスが発生します。
・ガスの吸引と上昇
臭突管の先端にある電動ファン(または自然の気流)が便槽内の空気を吸い込み、管の中を上昇させて屋外の高所へと排出します。
・空気中への拡散
この臭気は地表近くではなく、数メートル以上の高さから排出されます。そのため、上空の風によって広範囲に拡散されて薄まり、地上では問題のない濃度まで低下するとされています。
【浄化槽の故障について】
浄化槽の内部は、いくつかの部屋(槽)に分かれています。汚水は順番にこれらの部屋を移動しながら、微生物に汚れを分解してもらったり、汚泥(汚れた沈殿物)を沈めたりすることで綺麗になっていきます。そのため、この順番通りに適切に水が流れることが極めて重要です。
水平の狂いとは何か?
浄化槽が地面に対して水平ではない状態のことを指します。具体的には、以下のような原因や状態で発生します。長年使用しているうちに、地盤が沈下した地震や地盤の影響により、槽が傾いてしまった設置した当初から少し傾いていた浄化槽全体が傾いたり、一部が沈んだりすると、内部の水位が不均等になってしまいます。
なぜトラブル(短絡水流など)が起きるのか
浄化槽が傾くと、以下のようなトラブルが発生します。
・汚水がまっすぐに通り抜けてしまう(短絡水流)本来であれば、ゆっくりと各部屋を回りながら処理されるはずの汚水が、傾きのせいで近道をしてしまい、十分に処理されずに素通りしてしまいます。その結果、汚れた水がそのまま外部へ流れ出てしまいます。
・汚泥が偏って溜まる傾いた側に汚泥が極端に集中したり、逆に反対側が空になってしまったりします。汚泥が偏ると処理能力が低下し、腐敗が進みやすくなります。
・悪臭が発生する汚泥が異常に溜まったり、処理が不十分になったりすると、槽の中で腐敗が進み、硫化水素などの強いニオイが発生します。これが著しい悪臭の原因となります。
なぜ「特定既存単独浄化槽」に指定されやすくなるのか?
環境省の指針において、この「水平の狂い」は重要な項目に位置づけられています。
槽が傾いており、正常な流れが崩れているその結果、適切な処理ができずに悪臭が発生しているこの2つの要因が重なると、「このまま放置すれば、周辺の生活環境や衛生面において重大な影響が出る恐れがある」と判断されやすくなります。つまり、槽が傾いて汚水がきちんと処理されず、ニオイも強く出ている状態は、非常に深刻なトラブルとして扱われるのです。
要点
正常な浄化槽: 水が順番にゆっくりと流れ、綺麗に処理されます。
水平が狂った浄化槽: 水が近道をして素通りし、汚泥が偏ることで悪臭が発生します。
このような状態は構造的に深刻であり、簡単に修理することが難しいため、「特定既存単独処理浄化槽」の条件に該当しやすくなります。
【地域別の浄化槽清掃(汲み取り)費用目安】
株式会社環境サニタリーでは、お客様からのお問い合わせをいただいた後、『無料』で費用のお見積りを実施しております。
各都道府県における、おおよその清掃費用を弊社にて調査いたしました。ご参考としてご活用いただけますと幸いです。
首都圏(東京都など)
5人槽:約15,000円 〜 30,000円
7人槽:約20,000円 〜 35,000円
埼玉県(熊谷市・川口市周辺など)
5人槽:約15,000円 〜 31,000円
7人槽:約17,000円 〜 45,000円
関西圏(大阪府・兵庫県など)
5人槽:約20,000円 〜 35,000円
7人槽:約25,000円 〜 45,000円
愛知県(名古屋周辺など)
5人槽:約18,000円 〜 30,000円
7人槽:約22,000円 〜 38,000円
【家庭用浄化槽の業界について】
家庭用浄化槽は、下水道の整備が難しい地域(主に地方)において、トイレのし尿や台所、お風呂、洗濯などの生活雑排水を微生物の力を借りて浄化し、河川へと放流する設備です。
現在は「単独処理浄化槽」から、下水道と同等の処理性能を持つ「合併処理浄化槽」への転換が進んでおります。浄化槽は下水道未整備地域における環境保全の要(かなめ)であり、設置の際には多くの地方自治体から補助金が支給されます。また、地震に強く、工期が短いという点も大きなメリットです。一方で、数ヶ月に1回以上の定期的な保守点検に加え、年1回以上の清掃と法定検査が義務付けられており、維持管理の手間や費用がかかるという側面もございます。
家庭用浄化槽の本体素材は、高い耐久性と耐食性を備えたガラス繊維強化プラスチック(FRP)が主流です。また、自動車のバンパーにも使用され、軽量で耐衝撃性に優れたジシクロペンタジエン(DCPD)や、ポリプロピレンなども採用されています。
一般的な5人~10人槽の設置費用(工事費込み)の目安は以下の通りです。
・5人槽:約70万円 ~ 120万円
・7人槽:約90万円 ~ 140万円
・10人槽:約120万円 ~ 170万円
なお、これらの費用は地域や地盤の状況、オプションの有無などによって若干異なります。
主な製造メーカーとしては、フジクリーン株式会社(愛知県)、株式会社アムズ(石川県)、積水ホームテクノ株式会社、株式会社クボタ、株式会社ダイキアクシスなどが挙げられます。
【浄化槽法で義務付けられている11条検査について】
浄化槽は、微生物の働きを利用して汚水を綺麗にする装置です。微生物が活発に活動できる良い環境を保つことが大切であり、これが適切な維持管理の要(かなめ)となります。
浄化槽法により、皆様には「保守点検」「清掃」「法定検査」を定期的に実施する義務がございます。
⇒保守点検
送風機やポンプといった浄化槽の機器の点検・調整、汚泥の状況確認、消毒剤の補充などを行います。一般的なご家庭では「4ヶ月に1回以上」が目安ですが、使用量が多い場合は頻度が高くなります。こちらは登録を受けた専門業者へご依頼ください。
⇒清掃
槽内に溜まった汚泥や異物を引き抜き、機器の洗浄を行います。「年に1回以上(全ばっ気方式などは半年に1回以上)」の実施が義務付けられています。こちらも使用頻度が高い場合は、さらに追加で清掃(汲み取り・引き抜き)が必要になります。適切な時期は、浄化槽保守点検業者(当社:環境サニタリーでも承っております)がアドバイスいたしますのでご安心ください。
⇒法定検査
保守点検と清掃が適切に行われ、浄化槽の機能が正常に働いているかを第三者機関が確認する「健康診断」のようなものです。なお、福岡県では独自の「福岡方式」が採用されており、処理対象人員(槽の大きさ)に応じて、検査内容や頻度が最適化されています。
【浄化槽における活性炭吸着法の概要と仕組み】
活性炭吸着法は、主に臭気対策として用いられる物理化学的な処理方法です。排水の高度処理として一部で活用されることもありますが、家庭用や中規模の浄化槽においては、排気中に含まれる悪臭成分(硫化水素、アンモニア、有機酸など)を除去する脱臭システムとしての役割が中心となっています。
基本原理について
活性炭は、石炭やヤシ殻、木材などを原料とし、高温で「賦活(ふかつ)処理」を施した多孔質の物質です。非常に大きな表面積を持ち、内部には無数の微細な穴(細孔)があります。この構造を利用して、以下の2つの作用で臭気成分を捕捉します。
・物理吸着:分子間力によって、臭気や有機物の分子を表面や細孔に引き寄せて閉じ込めます。
・化学吸着:特定の物質(硫黄や塩素など)と化学的に結合させて除去します。
浄化槽では、ブロワ(送風機)による送風にともなって槽内の空気が排出されます。この臭気を含んだ排気を活性炭が充填された槽に通すことで、臭気成分を吸着・除去する仕組みです。
参考までに、浄化槽から発生する臭気の主な成分は以下の通りです。
・硫化水素(腐った卵のような臭い)
・アンモニア(し尿の臭い)
・メチルメルカプタン(腐った玉ねぎのような臭い)
【微生物の力を利用した窒素処理技術】
1. 生物学的硝化・脱窒素法とは
下水道や工場の排水には、多くの有機物や窒素が含まれています。有機物の量はBOD(生物化学的酸素要求量)という指標で測定が可能です。これらの窒素を含んだ排水を未処理のまま放流すると、水域の富栄養化を引き起こし、赤潮などの環境問題の原因となります。こうした問題を解決するため、微生物の働きを利用して窒素を安全な物質へと変換する技術が「生物学的硝化・脱窒素法」です。
2. 処理に関与する3つの微生物
この処理プロセスでは、主に以下の3種類の細菌が重要な役割を果たしています。
BOD酸化菌:酸素を好む環境(好気条件)で働き、有機物を水と二酸化炭素に分解します。
硝化菌:酸素を好む環境(好気条件)で働き、アンモニア態窒素を硝酸態窒素へと変化させます。
脱窒菌:酸素のない環境(嫌気条件)で働き、硝酸態窒素を無害な窒素ガスへと変換して大気中へ放出します。
3. 代表的な3つの処理システム
微生物(汚泥)の管理方法手法により、主に3つのシステムに分類されます。
・単一汚泥システム:1つの沈殿槽ですべての細菌を含む汚泥をまとめて回収し、各処理槽へ返送するシンプルな方式です。
・二相汚泥システム:汚泥を2つのグループ(BOD酸化菌+硝化菌のグループと、脱窒菌のグループ)に分け、それぞれの専用沈殿槽で回収・返送を行う方式です。
・三相汚泥システム:BOD酸化、硝化、脱窒のプロセスを最も細かく分離して管理する方式です。非常に高い処理効率を誇りますが、設備の構造や維持管理が複雑になります。
【浄化槽の構造の考え方】
浄化槽は、微生物が持つ浄化機能を最大限に発揮できるよう設計されております。最大の特徴は、酸素を嫌う「嫌気性処理」と、酸素を好む「好気性処理」を組み合わせている点にあります。
一般的な浄化槽の処理は、以下のような流れで行われます。
まず、汚水に含まれる固形物を分離して汚泥を貯留し、嫌気性微生物によって汚濁物質を分解します。次に、接触曝気槽(好気性処理)において、好気性微生物がさらに汚濁物質を分解するとともに、アンモニアの脱窒(窒素の除去)を行います。その後、沈殿槽で処理水の中の浮遊物質を沈殿させ、きれいな上澄み液を消毒槽へと送り出します。最終的に、消毒槽で処理水を塩素消毒してから放流します。このように各工程を適切に組み合わせることで、非常に高い処理性能を実現しております。
【浄化槽による生活雑排水の浄化の仕組み】
浄化槽は、家庭から出る汚水を汚水管を通して集め、槽内で物理的、化学的、そして生物学的な作用を組み合わせて浄化し、消毒を行った上で河川へと放流するシステムです。これらの処理を正しく機能させるためには、各装置の役割を正確に理解し、適切に管理することが非常に重要です。
⇒浄化槽の内部には、それぞれ異なる役割を持ったいくつかの「単位装置」が備わっています。そこでは、以下のような処理が組み合わされています。
・物理的役割:汚れを沈殿させたり、浮上させたりします。
・化学的役割:薬品を用いて汚れを固めたり、消毒を行ったりします。
・生物的役割:微生物に汚れ(有機物)を捕食させ、分解します。
これらの装置が適切に稼働するよう、日々の維持管理を行うことが大切です。
⇒特に重要な「排水特性」の把握
浄化槽の管理において、特に重要なのは「排水特性」を知っておくことです。流入する汚水の特徴を把握できなければ、適切な処理を行うことができません。排水特性とは、「設計時の排水量に対して、実際にどの程度の量が流れているか」、そして「その量が時間、1日、1か月、1年の単位でどのように変動するか」を指します。この流量と変動を理解することが極めて重要です。
⇒滞留時間との密接な関係
排水特性の把握が重要な理由は、水の処理時間(滞留時間)、つまり「水が装置の中にどれだけの時間とどまるか」という点と密接に関わっているためです。
・水量が多すぎる場合:十分な処理時間を確保できず、汚れが残ったまま流出してしまいます。
・水量が少なすぎる場合:沈殿物が溜まりすぎてしまい、フロック(汚れの塊)が壊れるなどの問題が発生します。
したがって、浄化槽の運用においては、実際にどれくらいの汚水が、どのようなタイミングで流入してくるかを正確に把握し、それに基づいた適切な管理と設計を行う必要があります。
【浄化槽の汚泥の再利用について】
家庭やビル、施設などで使われる小型の処理施設では、排水を浄化槽で処理しています。この処理の過程では、微生物が有機物を分解した後の残りかすである「汚泥(おでい)」が必ず発生します。以前はこれを単なるゴミとして埋め立て処分することが多くありましたが、近年では貴重な資源として有効利用する方向へと変わってきています。
その有効利用の方法は、大まかに以下の3種類に分けられます。
⇒発酵処理:微生物の力を借りて汚泥を発酵させ、良質な堆肥(有機肥料)にして農業に利用します。また、嫌気性微生物を利用してバイオガスを発生させ、燃料や発電に活用する方法もあります。
⇒化学処理:凝集剤などの薬品を使い、汚泥の成分を分離・安定させて再利用します。具体的には、重金属などの有害物質を除去した上で、リンや窒素などの栄養分を回収し、セメントの原料や土壌改良剤の原料にします。
⇒乾燥処理:汚泥の水分を機械的に脱水し、加熱乾燥させます。乾燥させた汚泥は、固形燃料として工場や発電所で燃焼させるほか、成分を調整して農地などで利用したり、セメント工場などの副原料として活用したりします。
【浄化槽の凝集分離方式とは】
浄化槽の凝集分離方式(凝集沈殿分離式)とは、主に化学薬品である凝集剤を添加することにより、汚水中の懸濁物質やコロイド物質を凝集・結合させ、沈殿や分離によって汚水を浄化する物理化学的な処理方式です。
凝集分離方式の凝集槽では、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、鉄塩などを添加し、微粒子を中和・結合させて大きな凝集体(フロック)を作ります。次に、沈殿槽で生成した凝集体を重力によって沈殿させて固液分離し、最終的に消毒槽などで処理した後に放流します。
⇒なぜ家庭用浄化槽で主流として使われないのか?
この方式が家庭用で普及していないのには、主に以下のような理由があります。
・維持管理の難しさ
凝集剤を定期的に投入する必要があり、pH調整や最適な処理条件の維持が求められます。家庭でこれらを行うための自動制御装置を設置・運用することは煩雑であり、お住まいの方による維持管理は現実的に困難という実情があります。
・専門知識の必要性
浄化槽法により保守点検は義務付けられていますが、化学薬品の扱いは専門的な知識が必要です。
・コストの負担
薬剤費が定期的に発生するほか、生成される凝集汚泥の量が増えるため、清掃の頻度や処分コストが通常の家庭用浄化槽よりも高くなる傾向があります。
一方で、現在主流となっている生物方式(微生物による処理)の場合は、微生物が自然に汚水を分解してくれるため、ランニングコストを低く抑えることができます。
【家庭用浄化槽と河川の浄化作用】
現代の家庭用浄化槽(主に嫌気ろ床接触ばっ気方式など)は、川の自浄作用を模倣した多段階の処理を行っています。
1. 沈殿・分離段階
まずは沈殿と分離の段階です。これは川における急激な沈殿作用に相当します。最初に汚水が流入する「嫌気槽(あんきそう)」では、固形物や大きな汚れが自然に沈殿し、分離されます。これは、川の瓦礫(がれき)に汚れがぶつかって沈む仕組みとよく似ています。また、ここでは酸素の少ない環境を好む「嫌気性微生物」も一部働き、有機物を分解します。
2. 吸着・接触段階
次は、吸着と接触の段階です。続く「接触曝気槽(せっしょくばっきそう)」には、接触材が充填されています。この接触材の表面に微生物が付着して「バイオフィルム(生物膜)」を形成し、汚れを物理的に吸着します。川の瓦礫が果たす役割を、ここでは人工的な接触材が担っています。さらに「ブロアー」と呼ばれる送風機で空気を送り込み、汚水を循環させることで、接触材と十分に接触するよう工夫されています。
3. 生物膜(バイオフィルム)による分解段階
最後は、生物膜による分解の段階です。ここでは、接触材のバイオフィルムに生息する「好気性微生物」が、送り込まれた酸素を活用しながら、有機物の汚れをエサとして積極的に分解します。これは河川の瓦礫の表面にいる微生物と同じ原理であり、最終的には汚れを水と二酸化炭素などに変化させます。この「生物膜法」は、浄化槽の主力を担う重要な技術です。
【浄化槽の膜分離槽について】
浄化槽の「膜分離槽」は、主に膜分離活性汚泥法を採用した高度な浄化槽で使用される重要な部分です。これは、一般的な家庭用浄化槽の活性汚泥法で用いられる「沈殿槽」の代わりに、固形物と液体を分ける「固液分離装置」として機能します。
浄化槽の「膜分離槽」は、主に膜分離活性汚泥法を採用した高度な浄化槽で使用される重要な部分です。これは、一般的な家庭用浄化槽の活性汚泥法で用いられる「沈殿槽」の代わりに、固形物と液体を分ける「固液分離装置」として機能します。
コストに関する詳細
膜モジュールやその制御機器自体が非常に高価です。精密ろ過膜をはじめ、吸引ポンプや自動制御システムが必要となるため、従来の家庭用浄化槽で主流である「接触ばっ気方式」や「嫌気ろ床方式」と比べて、設置費用が大幅に高くなります。
また、定期的な膜の交換が必要であり、その寿命は数年から10年程度です。さらに、膜の目詰まりを防ぐための定期的な薬液洗浄や、吸引ポンプの稼働に伴う電力消費などにより、ランニングコストが増加します。そのため、一般家庭にとっては経済的な負担が大きく、従来の家庭用小型浄化槽を選択するのが通常となっています。
≪膜分離活性汚泥法における処理の流れ≫
膜分離活性汚泥法を採用した浄化槽は、以下のような流れで汚水を処理します。
・流量調整槽:最初に汚水が流入する槽です。流れ込む水の量や水質を一定に安定させます。
・ばっ気槽:酸素を好む好気性微生物(活性汚泥)が汚水中の有機物を分解し、BOD(生物化学的酸素要求量)などを低下させます。
・膜分離槽:ここで精密ろ過膜を用いて、汚泥が混ざった液体をろ過し、固形物を分離します。この際、水中の浮遊物質(懸濁物質)や活性汚泥だけでなく、大腸菌までもろ過して除去することができます。
【浄化槽清掃における「浄水車」とは】
当社では浄水車を導入しております。ここでは、その役割について分かりやすく解説いたします。
浄化槽清掃業者が使用する「浄水車」とは、主に浄化槽の清掃作業を行った後、槽内にきれいな水を張るために使用する専用の車両です。
一般家庭などで使われている合併処理浄化槽は、生活雑排水を微生物の働きによって処理する設備です。清掃(汲み取り)の際には、内部に溜まった汚泥などをバキュームカーで一度すべて引き抜きます。
汚泥を引き抜いた後の槽内は空の状態になるため、そのままでは機能しません。正常な状態に戻すには、そのスペースに再び水を満たす必要があります。
この水張り作業を効率的に行うために活躍するのが、大容量の水タンクを搭載した「浄水車」です。清掃後の浄化槽が本来の機能をスムーズに再開できるよう、重要なサポートを行っています。
【沈殿槽と消毒槽】
沈殿槽(ちんでんそう)と消毒槽(しょうどくそう)は、合併処理浄化槽における最終段階の工程であり、主に接触ばっ気槽などの微生物処理の後に配置されています。これは、家庭から出る生活雑排水を浄化し、河川などへ放流するための極めて重要な最終ステップです。
沈殿槽の役割
沈殿槽では、浄化された処理水に含まれる固形物(微生物の塊)を沈殿させ、綺麗な上澄み水だけを次の消毒槽へと送る役割を担っています。
具体的には、好気性微生物による有機物分解(微生物処理)の過程で増殖した「余剰汚泥(微生物の塊)」や、剥離した「生物膜」などの固形物を、重力を利用して沈殿・分離させます。
沈殿槽の仕組み
その具体的な仕組みは以下の通りです。
・重力による分離:処理水を槽内に静かに留めることで、含まれる粒子が重力によって自然に沈殿します。
・微生物の再利用:多くの浄化槽では、沈殿した汚泥の一部が「ばっ気槽」へと自動的に戻される仕組みになっています。これにより微生物が再利用され、高い処理効率が維持されます。
・定期的な清掃の必要性:槽内に残った余剰汚泥は徐々に蓄積していくため、定期的な浄化槽の清掃(汲み取り)が必要となります。
・構造上の工夫:設計においては、水の流れを極めて穏やかに保ち、水が十分に処理されずに通り抜けてしまう「短絡流(ショートカット)」を防ぐための工夫が施されています。
【浄化槽の清掃について】
浄化槽の清掃は、浄化槽法によって義務付けられている法定のサービスです。この作業は、市町村から正式に許可を受けた専門業者のみが実施できます。
清掃の頻度は、設置されている浄化槽の種類によって異なります。標準的な「合併処理浄化槽」では年に1回以上、「全ばっ気方式」ではおおむね6か月に1回以上が目安です。なお、実際の使用状況によっても清掃の頻度は変わります。
浄化槽の清掃や管理は、「利用頻度は低いものの、関心や重要度が高い(低頻度・高関与)」という特徴を持つサービスです。日常生活の中で常に意識するものではなく、法的な義務、ニオイや詰まりといったトラブル、あるいは保守点検業者からの通知などをきっかけに必要性を認識される方がほとんどです。
消費者の皆様が「浄化槽の清掃が必要だ」と感じる主なきっかけは以下の通りです。
・法定期限の到来
・保守点検業者からの通知
・悪臭・排水不良・逆流などの具体的なトラブル
・法定検査(11条検査)での指摘
・近隣住民からの苦情
また、清掃業者を選ぶ際の主な基準や情報収集の方法は以下の通りです。
・知人や工務店などからの紹介
・久留米市が公開している「浄化槽保守点検業者一覧」の確認
・インターネット(ウェブサイト)での検索
・料金の適正性と透明性
・業者の実績、経験年数、および久留米市社内での施工実績
【河川の浄水の仕組み】
川や水路の「自浄作用」とは、自然の河川や水路が本来持っている、水を自らきれいにする仕組みのことです。
昔、人間が排出する汚れが少なかった時代には、この機能が十分に働いていたため、良好な水質が保たれていました。しかし、近代化が進むにつれて人口が増加し、生活雑排水や産業排水が急増した結果、自然の自浄作用の限界を超えて河川が汚れるようになってしまいました。
本来、河川には「水の流れ」「水中に溶けた酸素」「川底の砂利」「微生物」がそろっています。これらが互いに連携し合うことで、有機物などの汚染物質が除去されます。
しかし、この限界を超えてBOD(生化学的酸素要求量)やSS(浮遊物質)が大量に流れ込むと、水中の酸素が不足してしまいます。酸素がない状態(嫌気状態)になると、悪臭が発生したり、魚やエビなどの水生生物が死んでしまったりする問題が起こります。
特に戦後から高度経済成長期にかけては、下水道の整備が追いつかず、生活排水がそのまま川へ流れ込んでいたため、河川の環境が著しく悪化しました。現在でも、一部の地域では依然としてその課題が残っています。
【浄化槽の素材について】
浄化槽にはさまざまな素材が使われており、その特徴や用途は規模によって異なります。
一般的なご家庭で広く使われている「小型浄化槽」は、50人槽以下の規模を目安としたタイプです。こちらの主な素材には、FRPと呼ばれる繊維強化プラスチックや、DCPDと呼ばれる熱硬化性樹脂が用いられています。設置の際は、あらかじめ工場で製造されたものを工事によって地中に埋設します。
一方で、51人槽から500人槽クラスの規模を指す「中型浄化槽」は、主に中規模施設や特殊な地盤の場所などで使用されます。こちらの主な素材はFRP製、またはRC製と呼ばれる鉄筋コンクリート製です。FRPタイプは工場で生産されたものを用いますが、RC製の場合は工事現場で鉄筋を組み立て、型枠を設置した上でコンクリートを流し込んで構築します。また、これらFRP製とRC構造を組み合わせたハイブリッドタイプも存在します。
【活性汚泥法について】
活性汚泥法(かっせいおでいほう)は、下水や工場排水をきれいにするための代表的な生物学的処理方法です。主に「好気性微生物(酸素を好む細菌)」の働きを利用して、排水中の有機物を分解・除去します。
この技術の核心は、微生物に有機物を分解させる点にあります。自然界が本来持っている自浄作用を、人工的にコントロールして強化した画期的な仕組みです。
具体的な仕組みとしては、まず好気性微生物が排水中の有機物(BOD:生物化学的酸素要求量)を栄養源(エサ)として体内に取り込み、酸化分解します。この分解プロセスによって、主に二酸化炭素と水、そして新しい微生物(バイオマス)が生成されます。
増殖した微生物は互いにくっつき合い、「フロック」と呼ばれる泥の塊を形成します。これが「活性汚泥」です。このフロックの量や状態を適切に管理し、システム内で循環させることによって、効率的な水処理が実現します。
歴史的には、1914年にイギリスのエドワード・アーダーン(Edward Ardern)とW.T.ロケット(W.T. Lockett)によって開発・発表されました。日本では1930年に名古屋市で初めて導入されています。誕生から100年以上が経過した現在でも、世界中の下水処理場や工場排水処理施設で最も広く採用されている標準的な手法です。
処理の全体フロー
前処理⇒一次処理⇒曝気槽⇒最終沈殿槽⇒返送汚泥⇒余剰汚泥の引き抜き⇒処理水の放流
【嫌気ろ床接触ばっ気方式合併処理浄化槽について】
浄化槽にはさまざまなタイプがあり、「嫌気ろ床(ろしょう)接触ばっ気方式」をはじめ、嫌気ろ床槽の代わりに特殊な沈殿分離槽を使う「分離接触ばっ気方式」、接触材が流動する「担体(たんたい)流動方式」、窒素やリンの除去機能が強化された「高度処理型」などが挙げられます。
今回は、その中でも特に一般家庭用の浄化槽として広く普及している「嫌気ろ床接触ばっ気方式」について詳しくご説明いたします。
この方式の浄化槽では、汚水が以下の順に各槽を通過しながら綺麗になっていきます。
【汚水が通過する流れ】
嫌気ろ床槽⇒接触ばっ気槽⇒沈殿槽⇒消毒槽
それぞれの槽には以下のような役割があります。
・嫌気ろ床槽: 固形物の除去と粗分解
・接触ばっ気槽: 好気性微生物による分解(浄化のメイン)
・沈殿槽: 汚泥の沈殿と固液分離
・消毒槽: 塩素剤による殺菌
それぞれの詳しい仕組みは以下の通りです。
1. 嫌気ろ床槽(けんきろしょうそう)
汚水が最初に流れ込む、酸素を必要としない「嫌気性分解」を行う槽です。
槽内にはプラスチック製の「ろ材」が多数設置されており、髪の毛、トイレットペーパーの塊、油脂、食べ物などの大きな固形物やゴミを物理的に捕捉・除去します。これにより、後段の微生物処理の効率を高めることができます。
また、このろ材の表面には嫌気性微生物が厚い生物膜(微生物の集まり)として付着しており、これらの微生物が有機物を大まかに分解(嫌気分解)します。
2. 接触ばっ気(ばっき)槽
好気性微生物(酸素を好む微生物)を使い、本格的に有機物を分解するメインの槽です。
「ブロア」と呼ばれる送風機によって常に空気が送り込まれており、槽内に十分な酸素を供給します。これにより、好気性微生物が活発に活動できる環境を整えています。
槽内にはプラスチック製の網状の「接触材」が設置されており、そこに好気性微生物が厚い生物膜を形成しています。この微生物たちが汚水中の有機物を栄養として取り込み(摂食)、二酸化炭素、水、硝酸塩などに分解します。この過程を経ることで、水質の指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)が大幅に低下します。
3. 沈殿(ちんでん)槽
増殖した微生物の塊(汚泥)を重力によって沈め、綺麗な上澄み水だけを分離する槽です。
接触ばっ気槽で活発に活動した微生物は、増殖しすぎると接触材から剥がれ落ちていきます。この剥がれ落ちた微生物の塊を、重力を利用して底に沈殿させます。これにより、槽の下部には汚泥が溜まり、上部には比較的綺麗な上澄み水ができあがります。
4. 消毒槽
浄化槽における最後の工程であり、病原性微生物を殺菌する槽です。
沈殿槽から送られてきた上澄み水に塩素剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)を投入し、水中に残っている大腸菌や病原菌、ウイルスなどの活動を停止させます。
こうしてすべての消毒が完了し、水質基準を満たした安全な水が、河川や側溝へと放流されます。
【グリストラップとは】
グリストラップとは、厨房を備えるレストランやファーストフード店、ホテル、食堂などの排水設備に設置される「油脂分離装置」のことです。厨房から出る排水に含まれる油、脂、グリースなどを分離して捕集し、下水道や排水管に直接流れ込まないようにするための設備です。
⇒グリストラップの仕組み
グリストラップは、水と油の比重の差(重さの違い)を利用して分離する仕組みになっています。
・厨房のシンクや洗浄場から出た温かい排水が、グリストラップ内に流れ込みます。
・内部で排水の流速が落ちることで、水よりも比重が軽い油が自然と水面に浮き上がり、分離されます。
・反対に、比重が重い固形物や残飯などは底に沈殿します。
・このようにして、比較的きれいになった水だけが下水道へと流れていく仕組みです。
⇒基本的な構造
グリストラップの構造は、一般的に以下の流れで構成されています。
・入口 ⇒ 沈殿室 ⇒ 分離室 ⇒ 出口(油脂回収部・清掃口)
【浄化槽の法定検査について】
浄化槽の法定検査には「7条検査」と「11条検査」の2種類があります。それぞれの内容は以下の通りです。
7条検査(設置後の初期検査)
⇒目的:浄化槽の新設や構造・規模の変更時に、正しく施工されたか(工事の適否)と、初期の機能状況を確認する検査です。
⇒特徴:浄化槽は実際に汚水を流して使用してみないと本来の性能が分からないため、浄化槽法に基づいた独自の視点で確認を行います。
⇒時期:使用開始後3ヶ月を経過した日から、5ヶ月以内に行う必要があります。
⇒内容:設置状況や設備の稼働状態を調べる「外観検査」、pH・溶存酸素・透視度などを調べる「水質検査」、工事記録や使用開始直前の保守点検記録などを確認する「書類検査」の3つです。
11条検査(毎年の定期検査)
⇒目的:保守点検や清掃が技術基準通りに実施されているか、また浄化槽の機能が正常に維持されているかを確認する検査です。
⇒特徴:浄化槽は一度設置して終わりではなく、長期的に環境を守るための重要な仕組みであるため、継続的な管理が欠かせません。
⇒時期:すべての浄化槽が対象となり、7条検査を受けた翌年以降、使用している限り毎年1回受ける必要があります。
⇒内容:設置状況・設備の稼働・水の流れなどを調べる「外観検査」、pH・DO(溶存酸素)・透視度などを調べる「水質検査」、保守点検や清掃の記録を確認する「書類検査」によって状態を確認します。
【仮設トイレの汲み取り依頼について】
お客様が仮設トイレの清掃(汲み取り)を依頼される際の基準について解説いたします。建設現場やイベント会場などで実際に運用される際、お役立ていただけますと幸いです。
もっとも重要なポイントは、タンクの残量を確認することです。便槽(タンク)の容量は一般的に300〜400リットル程度ですが、7〜8割ほど溜まった段階で依頼していただくのが標準的な目安となります。100パーセント近くになるまで依頼をされない場合、悪臭が強くなる恐れがありますのでご注意ください。
汚物と洗浄水の量は、1人1日あたり約1.5〜2リットルです。例えば、10人が利用する現場で400リットルのタンクを使用している場合、計算上は約20日で満タンになりますが、実際には15日ほど経過した時点でご依頼いただくのが確実です。
また、季節や気温も影響いたします。特に夏場は水分摂取に伴う排尿数が増加し、発酵も促進されるため、通常よりも早く満杯になりやすい傾向があります。ニオイが気になり始めたら、お早めに清掃会社へ汲み取りをご依頼いただくのが賢明です。日頃から現場のスタッフ様がトイレの使用状況をこまめに確認しておくことも、大切なポイントとなります。
【BODと家庭用浄化槽】
家庭用浄化槽、特に「合併処理浄化槽」とBOD(生化学的酸素要求量)の間には、非常に密接な関係があります。BODは浄化槽の処理性能を評価する最も重要な指標の一つであり、浄化槽が家庭からの生活雑排水をどれだけ綺麗に処理できたかを直接示すものです。
BODとは、水中の有機物(汚れ)が好気性微生物によって分解される際に消費される酸素の量を表します。BODの値が高い場合は、有機物による汚染が大きいと判断されます。その結果、水中の酸素が急速に消費されてしまい、魚などの水生生物が生息しにくい水質になってしまいます。
トイレや台所、お風呂、洗濯などから出る汚れの主成分は、この有機物です。これらの汚れの度合いは、BODの数値によって定量的に測定されます。
日本では、下水道が未整備の地域において、家庭用浄化槽が生活排水を処理した上で河川や海へ放流しています。この浄化槽が微生物の力を借りて有機物を分解し、BODを大幅に低減させる仕組みとなっています。
家庭用浄化槽には、主に以下の2種類があります。
・合併処理浄化槽:BOD除去率 90%以上
・単独処理浄化槽:BOD除去率 65%以上
現在は、新築や改築の際には合併処理浄化槽の設置が義務付けられており、環境負荷の大幅な低減につながっています。
浄化槽内でBODを低減させる具体的な仕組みは、以下の通りです。
1:嫌気槽(けんきそう)
酸素のない状態で、嫌気性微生物が有機物を分解します。
2:好気槽(こうきそう)
ブロアーで空気を送り込み、好気性微生物の働きを活発にすることで、有機物を酸化分解します。ここでのポイントは、微生物が大量の酸素を消費しながら、BODを大幅に低下させている点です。
3:沈殿槽(ちんでんそう)
残った汚泥を沈殿させ、最後に消毒を行った後、綺麗になった水を河川へ放流します。
【浄化槽の仕組みと正しい使い方】
浄化槽は、お手洗いや台所などから出る汚れた水を綺麗にするための設備です。その中心となって働いているのは、目に見えない小さな微生物(バクテリア、好気性・嫌気性細菌など)です。この微生物の活動が活発であるほど、汚れをしっかりと分解・浄化することができます。反対に、微生物が弱ったり死滅したりすると、浄化槽の性能が低下してしまいます。その結果、水質が悪化したり、悪臭が発生したりする原因となります。微生物の働きを活発に保ち、浄化槽を正しくお使いいただくための「5つの注意点」をご紹介いたします。
1. トイレの洗浄水は十分に流してください
微生物は水の中で活動するため、水が少なすぎると汚れの濃度が高くなり、微生物に大きな負担がかかってしまいます。通常の洗浄量であれば問題ありませんが、わずかな水量(ちょろちょろと流す程度)ではなく、毎回しっかりと流していただくようお願いいたします。
2. 便器の清掃には、微生物に影響を与える薬剤を避けてください
カビ取り剤などの塩素系漂白剤や、強力な酸性・アルカリ性の洗剤は、微生物を死滅させたり、その活動を著しく低下させたりする恐れがあります。お掃除の際は、「浄化槽対応」「微生物に優しい」と記載されている洗剤や、中性洗剤のご使用をお願いいたします。
3. トイレにトイレットペーパー以外の異物を流さないでください
紙おむつ、生理用品、ティッシュペーパー、タバコの吸い殻、ウェットティッシュなどは絶対に流さないでください。これらは分解されにくいため、浄化槽内での詰まりを引き起こしたり、微生物の活動を妨げたりする原因となります。
4. 浄化槽の電源は切らないでください(通気口や送風口も塞がないでください)
多くの浄化槽では、ブロアーという装置を使って槽内に空気を送り込み、微生物に酸素を供給しています。電源を切ると酸素不足になり、微生物が弱って悪臭や浄化不良の原因となります。あわせて、空気の取り入れ口や通気口も常に塞がないようご注意ください。
5. マンホールの上には物を置かず、蓋はきちんと閉めてください
マンホールの上にプランターやブロックなどを置かれますと、定期点検やメンテナンスの妨げになる場合がございます。また、蓋がズレていると、ゴミや雨水が侵入したり、ニオイが外に漏れたりすることがありますので、常にしっかりと閉めておくようお願いいたします。
【腐敗槽(セプティックタンク)とは】
特に海外においては、日本の「浄化槽」の代わりに「腐敗槽」と呼ばれる設備が使用されるケースが多く見られます。ここでは、その腐敗槽について詳しく解説いたします。
腐敗槽は、浄化槽と同様に汚水を処理するための「分散型処理設備」であり、各住居に設置されます。「分散処理」とは、下水道のように多くの家庭から排水を集めて1箇所の広大な施設で一括処理する方式とは異なります。排水の発生源である各家庭で、個別に処理を行う仕組みのことです。つまり、腐敗槽は各家庭に1基ずつ設置される小型の処理設備を指します。
日本国内でも、公共下水道が整備されていない一部の地域で使用されている事例がありますが、現在は設置に関する規制が厳しくなっています。日本の浄化槽も分散処理設備の一種ですが、これは日本が独自に開発し、高度化させた技術です。一方で腐敗槽は、より簡易的な構造をしており、国際的には広く普及している一般的な設備です。
この腐敗槽の仕組みについて、概要をご説明いたします。構造としては、2室以上の処理槽を連結した形をしており、「沈殿分離」と「嫌気性(けんきせい)微生物」の働きによって汚水を分解します。通常は、2室以上を繋いだタンク状の設備です。最初の室で「沈殿分離」を行い、糞便やトイレットペーパーなどを底に沈めます。そして、その上澄み液だけを次の室へと流す仕組みになっています。
【担体接触槽とは】
担体接触槽(たんたいせっしょくそう)とは、生物膜を効率的に管理しながら、限られたスペースでコンパクトに排水を浄化することを目指した生物処理技術です。
⇒従来の「活性汚泥法」と比較して、以下のメリットがあります。
・余剰汚泥の発生が少ない
・逆洗(ぎゃくせん)作業が不要
・維持管理が比較的容易である
⇒担体流動法の仕組み
担体流動法は、活性汚泥法とは異なる生物処理方式の一つです。処理の主役となるのは、槽内に投入されたプラスチック製などの小さな媒体(流動担体)です。
・担体の大きさ:数ミリメートルから数センチメートル程度
・仕組み:担体の表面に生物膜(バイオフィルム)を形成させます。
・槽内の動き:エアレーション(ばっ気)によって水と担体を激しく撹拌し、担体を常に流動させています。
⇒最大の特徴は、担体同士が衝突・摩擦を繰り返す点にあります。
・生物膜の自動更新:表面の生物膜が常に新しく生まれ変わります。
・過剰な膜の剥離:厚くなりすぎた生物膜は、自然に剥がれ落ちます。
・メンテナンスフリー:これにより逆洗作業がほぼ不要となります。
・高い処理効率:担体の表面に膜が蓄積しにくいため、その表面積をほぼ100パーセント有効活用できます。
⇒担体同士が激しくぶつかり合うため、以下のようなデメリットが生じる場合があります。
・担体の摩耗:長期間の使用により、担体が徐々にすり減ることがあります。
・破損やプラ片の発生:摩耗が進むと、担体が破損したり、微細なプラスチック破片が発生したりするリスクがあります。
そのため、導入の際は耐久性の高い材質を選定することが重要です。
【浄化槽の定期清掃(汲み取り)についてのご案内】
合併浄化槽や単独浄化槽は、年に1回程度の清掃(汲み取り)が必要です。ここでは合併浄化槽を例に挙げてご説明いたします。
⇒定期清掃が必要な理由
・生活排水をまとめて処理するため:トイレの汚水だけでなく、台所やお風呂などの生活雑排水も一緒に処理するシステムです。
・汚れが蓄積するため:微生物による処理の過程で、浄化槽内には「余剰汚泥」や「スカム(浮遊物)」がどうしても溜まってしまいます。
・法律で義務付けられているため:浄化槽法により、年に1回以上(全ばっ気方式などの場合は半年に1回程度)の清掃が義務付けられています。
※清掃を怠ると、浄化槽の機能低下、悪臭の発生、法定点検での不合格などにつながる恐れがあります。
⇒清掃当日の流れとお願い
1:業者への依頼:お住まいの自治体から許可を受けた「浄化槽清掃業者」へ事前にご依頼ください。
2:作業前の準備:マンホール周辺の整理整頓をお願いいたします。植木の苗、お車、洗濯物などは一時的に移動させておいてください。
3:駐車スペースの確保:作業で使用するバキュームカーの駐車場所の確保もお願いいたします。
4:清掃作業:バキュームカーの強力な真空ポンプとホースを使い、溜まった汚泥を吸引します。
5:運搬と処理:吸引した汚泥は、専用のし尿処理施設へと運ばれて適切に処理されます。
・作業時間
約1時間半未満で完了いたします。
【浄化槽に流してはいけないもの】
おむつや、ナプキン、タンポンなどの生理用品は、絶対に浄化槽に流さないでください。
浄化槽(特に合併処理浄化槽)は、下水道が整備されていない地域において、家庭の生活排水やトイレの汚水を微生物の働きによって綺麗にするための大切な設備です。しかし、この設備は微生物による繊細な自然の仕組みに頼っているため、処理しにくい物質が入り込むと、詰まりなどの重大なトラブルが起きやすくなります。
おむつや生理用品を流してはいけない主な理由は以下の通りです。
⇒物理的な詰まりの原因になります
おむつには、プラスチック製の外側シートや伸縮性素材、高吸水性ポリマーなどが使用されています。
⇒微生物が分解できません
これらの素材は水に溶けないため、浄化槽内の微生物ではほとんど分解することができません。
⇒非分解性の素材でできています
生理用品のナプキンやタンポンも、綿やポリマーの吸収剤、プラスチックフィルム、接着剤などでできており、同様に浄化槽内では分解されません。
⇒配管や内部を閉塞させます
これらが水分を吸って大きく膨らむと、配管や浄化槽の内部が詰まる原因になります。
⇒処理能力を低下させます
浄化槽の内部で浮遊物質(スカム)や汚泥を余計に増加させてしまい、水を綺麗にする処理能力が落ちてしまいます。
⇒深刻な故障に繋がります
最悪の場合には、排水ポンプの故障や、汚水のあふれ・逆流といった非常に深刻なトラブルを引き起こしてしまいます。
大切な設備を正しく長持ちさせるために、トイレットペーパー以外のものは流さないよう、ご理解とご協力をお願いいたします。
【下水道・合併処理浄化槽・簡易水洗汲み取り式】
◆ 下水道
下水道は、ご家庭から出るトイレの排水や、台所、お風呂、洗濯などの生活雑排水を地下の配管で集め、地域の下水処理場で一括して処理するシステムです。トイレは一般的な水洗トイレを使用します。個人の負担による維持管理はほとんどなく、使用料は水道料金に含まれており、自治体が管理を行います。環境への負荷はご紹介する3つの方式の中で最も低く、処理された水は高度に浄化されて河川などに放流されます。
◆ 合併処理浄化槽
合併処理浄化槽は、敷地内に専用のタンクを埋設し、微生物(好気性バクテリアや嫌気性バクテリア)の力で汚水を生物処理するシステムです。トイレの排水だけでなく、生活雑排水全体を浄化し、比較的きれいな水にして敷地内や水路に放流します。トイレは一般的な水洗タイプを使用します。維持管理として、年1回程度の法定点検と清掃(汚泥の引き抜き)が必要です。また、微生物を活性化させるためにブロアーという送風機で空気を送る必要があり、その分の電気代がかかります。
◆ 簡易水洗汲み取り式
簡易水洗汲み取り式は、汚水の処理をほとんど行わないシステムです。水洗式の便器を使用しますが、汚水は便槽(貯留タンク)に貯めるだけとなります。そのため、微生物による処理はほとんど期待できません。トイレは少量の水を使って流す簡易式の水洗トイレ(便器の底に水封の蓋があるタイプ)です。見た目は普通の水洗トイレに近いですが、ニオイが発生しやすい傾向があります。タンクが満杯になった際は、業者に依頼してバキュームカーによる汲み取り(年1回程度)を行う必要があります。
【法律の変遷と浄化槽について】
平成13年(2001年)4月1日の浄化槽法改正にともない、し尿のみを処理する「単独処理浄化槽」の新規設置は原則として禁止されました。
それまでは単独処理浄化槽も法律上の「浄化槽」と認められていましたが、生活雑排水による環境汚染の深刻化を受け、すべての生活排水を処理する「合併処理浄化槽」のみを浄化槽と定義し直すこととなりました。
すでに設置されている単独処理浄化槽の所有者様に対しては、合併処理浄化槽への転換に努めること(努力義務)が求められています。さらに令和元年以降には、環境への影響が大きい単独処理浄化槽を「特定既存単独処理浄化槽」に指定し、都道府県知事がより強い指導を行えるよう法改正が進んでまいりました。なお、2001年4月1日以降に設置された浄化槽は、ほぼ100パーセントが合併処理浄化槽でございます。
お客様がご使用中の浄化槽のタイプを確認する方法としては、「浄化槽設置届出書」をはじめ、毎回の保守点検記録や法定検査結果の通知書などの書類でご確認いただけます。
万が一、お手元の書類で確認できない場合は、設置を担当した工事業者、現在の保守点検業者、浄化槽清掃会社、または久留米市役所までお気軽にご相談ください。
【単独処理浄化槽から合併処理浄化槽へ】
ご自宅の浄化槽が、トイレの汚水のみを処理する「旧式(単独処理浄化槽)」か、台所や浴室、洗濯などの生活排水もすべて一緒に処理する「現代式(合併処理浄化槽)」か、一度ご確認をお願いいたします。環境省では、環境保全のために旧式から現代式への早期の切り替えを推進しています。
お使いの浄化槽の種類は、お手元の書類にある「処理対象」の欄で確認できます。「し尿のみ」と記載があれば単独処理浄化槽、「し尿及び生活雑排水」と記載があれば合併処理浄化槽です。
⇒なぜ切り替えが重要なのか?
家庭から1日に出る汚れの量(BOD:生物化学的酸素要求量)は、1人あたり約40gと言われています。
・単独処理浄化槽(旧式)の場合トイレの汚れしか取り除けないため、処理しきれなかった汚れ(5g)と、未処理の生活排水(27g)がそのまま流れてしまいます。結果として、1日に1人あたり32gもの汚れを環境中に排出することになります。
・合併処理浄化槽(現代式)の場合すべての排水をまとめてきれいに処理できるため、環境に出る汚れは1日に1人あたりわずか4gに抑えられます。
この排出量の差は非常に大きく、旧式を使い続けると、河川や湖の富栄養化、藻の異常発生、悪臭などを引き起こす原因になります。
また、法律で定められた放流基準(水質のきれいさの基準)にも以下のような大きな違いがあります。
・単独処理浄化槽:BOD 90mg/L以下
・合併処理浄化槽:BOD 20mg/L以下(より厳しい基準で水をきれいにしています)
美しい水環境を守るために、ぜひ合併処理浄化槽への切り替えをご検討ください。
【浄化槽の微生物維持管理ガイド】
「集合処理方式から個別処理方式への
転換に関するQ&A(環境省)」の一部を分かりやすく解説していと思います。
浄化槽の管理において特に重要とされるのが、微生物の維持でございます。酸素を好む細菌などの「好気性微生物」は、有機物を分解することで、汚れの指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)を下げてくれます。微生物の活性が高い状態に保たれていれば、汚水がしっかりと処理されるため、悪臭が発生しにくくなり、きれいな水が放流されます。
反対に、微生物が死滅したり弱ったりしてしまうと、処理能力が大幅に低下いたします。その結果、悪臭や泡の発生、逆流、さらには汚れた水の放流に繋がってしまいます。つまり、浄化槽の維持管理とは「微生物の健康管理」であると言っても過言ではございません。
この微生物を健康に保つために、控えていただきたい事柄をいくつかご紹介いたします。
まず、浄化槽に流してはいけないものとして、以下の項目が挙げられます。
・灯油・農薬・殺虫剤
・強アルカリ性の洗剤・消毒液
・大量の漂白剤
・大量の食用油
・紙おむつ・生理用品
また、意外と見落としがちな注意点として、以下の2点がございます。
・イオウ成分が含まれる入浴剤の使用
・ブロワ(送風機)の電源を長時間切ること
ブロワが止まってしまうと、槽内が酸素不足になり、微生物が死滅する恐れがございます。好気性微生物が生息するためには酸素が不可欠であり、その目安はDO(溶存酸素量)1.0mg/L以上とされております。また、先ほど強アルカリ性を控えていただきたい旨をお伝えいたしましたが、微生物にとって最適な環境はpH 5.8〜8.6の範囲内でございます。
【特定既存単独処理浄化槽について】
古くなった「単独処理浄化槽(トイレの汚水のみを処理するもの)」のうち、そのまま放置すると環境や衛生面へ悪影響を及ぼす可能性が高いものは、法律に基づき「特定既存単独処理浄化槽」に指定されます。現在、これらに対して都道府県知事がどのような対応を取るべきか、具体的な進め方の検討が進められています。
この取り組みの最終的な目標は、トイレだけでなく台所やお風呂などの生活雑排水もすべて一緒に処理できる「合併処理浄化槽」への切り替えや、下水道への接続を普及させることです。
では、なぜ今このような指針が必要とされているのでしょうか。その背景には、日本国内に設置されてから40年以上が経過した単独処理浄化槽が、いまだに約10万基以上も残っているという現状があります。さらに、法律で義務付けられている水質検査(11条検査)の受検率が低く、管理が不十分なまま放置されているケースも少なくありません。このように老朽化した浄化槽は、汚水の漏水や溢水(あふれ出ること)、処理機能の低下を引き起こし、河川や地下水を汚染してしまう恐れがあります。
今回策定される指針によって、問題のある浄化槽を公平かつ透明な基準で特定できるようになります。今後は、所有者の方々に対して段階的に改善を促していく方向で手続きが進められています。
【産業排水の処理と基準】
工場や事業場から排出される産業排水には、生産工程、洗浄、冷却、原料処理などの過程で発生する、様々な有機物、重金属、油分、酸、アルカリ、SS(浮遊物質)などが含まれています。
これらを未処理のまま河川や海へ流してしまうと、水質汚濁や生態系の破壊など、深刻な環境問題を引き起こす原因となります。そのため日本では、水質汚濁防止法に基づき、全国一律の排水基準が定められています。
【主な排水基準の例】
pH(水素イオン濃度): 5.8〜8.6
BOD(生物化学的酸素要求量): 160mg/L以下(日間平均 120mg/L以下)
COD(化学的酸素要求量): BODと同様の水準
SS(浮遊物質): 200mg/L以下
事業者は、上記の基準を必ず満たした上で河川などへ放流しなければなりません。万が一、基準を満たさずに放流した場合は、行政処分や罰則の対象となります。
工場排水処理における2つの主な形態
① 自社での個別処理各工場が自社の敷地内に汚水処理施設を設置し、自ら処理を行う形態です。特定の有害物質や、高濃度の汚染物質を多く含む排水を排出する工場で広く採用されています。
① 自社での個別処理各工場が自社の敷地内に汚水処理施設を設置し、自ら処理を行う形態です。特定の有害物質や、高濃度の汚染物質を多く含む排水を排出する工場で広く採用されています。
※当社は家庭用浄化槽の清掃(汲み取り)と維持管理では御座いますが、工場の場合の排水について分かる範囲で解説させて頂きました。
【異なる汚水処理施設の特徴】
1. 合併処理浄化槽
・設置単位:各家庭単位です。
・主な設置地域:住宅が点在する地域、山間部、既存の下水道が届きにくい場所などに設置されます。
・処理の仕組み:トイレの汚水だけでなく、台所、お風呂、洗濯などの生活雑排水も一緒に高度処理します。微生物の働きによって、BOD(生物化学的酸素要求量)を大幅に低減させます。
・メリット:柔軟な設置が可能で、既存の住宅でも後から取り付けやすい点が特徴です。また、優れた処理性能を備えています。
・デメリット:浄化槽の維持管理は各家庭の責任となります。また、規模が小さいため、集合処理に比べると処理効率が劣る場合があります。
2. 農業集落排水施設
・設置単位:集落単位です。
・主な設置地域:主に農村の集落に設置されます。
・処理の仕組み:集落内の複数世帯から汚水を集め、小規模な処理施設でまとめて処理を行います。
・メリット:集合処理を行うため、処理効率が比較的良好です。農村の生活環境の改善と、農業の振興を両立させています。
・デメリット:集落の規模や地形によっては、施設の整備が難しい場合があります。
3. 公共下水道
・設置単位:都市全体などの大規模な単位です。
・主な設置地域:主に都市部を中心に整備されます。
・処理の仕組み:管渠(かんきょ)を通じて汚水を集め、終末処理場にて大規模に処理します。
・メリット:処理能力が非常に高く、大量の汚水を一度に処理することに優れています。これにより、都市の衛生環境の向上に大きく寄与しています。
・デメリット:整備コストが非常に高額になります。そのため、人口密度が低い地域では効率が悪くなってしまいます。
【単独処理浄化槽から合併処理浄化槽へ】
単独処理浄化槽は、合併処理浄化槽とは異なり、トイレの汚水のみを処理するシステムです。
そのため、台所やお風呂、洗濯、洗面所などから出る生活雑排水は処理されず、そのまま河川や水路へと流されてしまいます。これが深刻な水質汚濁の原因となり、異臭や害虫が発生するリスクにもつながっています。汚れの度合いを示す指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)に関しては、合併処理浄化槽の約8倍にもおよぶと言われています。
法律面においては、平成13年(2001年)4月以降、単独処理浄化槽の新設が完全に禁止されました。すでに設置されているものについても、合併処理浄化槽への転換が努力義務として求められています。
なお、単独処理浄化槽と合併処理浄化槽は、マンホールの数を見ることで大まかに見分けることが可能です。
・マンホールが2枚のタイプ:生活雑排水を未処理のまま河川などへ放流する「単独処理浄化槽」
・マンホールが3枚のタイプ:生活雑排水をきれいに浄化してから放流する「合併処理浄化槽」
ただし、近年は浄化槽のコンパクト化が進んでいるため、合併処理浄化槽であっても蓋が2枚の製品が登場しています。そのため、この見分け方は必ずしも100パーセント確実とは言えませんのでご注意ください。
【久留米市】令和8年度 浄化槽設置補助金のご案内
久留米市の公式ウェブサイトに掲載されている「一般住宅向け浄化槽に関する補助制度(10人槽以下)」の要点を分かりやすく解説いたします。
この制度は、10人槽以下の一般住宅向け「合併処理浄化槽」を設置する際に、費用の一部が補助されるものです。特に、公共下水道の予定区域から外れ、合併処理浄化槽への切り替えが必要になった方にとって、大変重要な内容となっています。
⇒スケジュールと重要な期限
・申込締切:令和9年1月8日(金)まで
・工事完了目安:令和9年3月14日(日)まで
・現地検査期限:令和9年3月31日(水)まで
⇒ご注意いただきたい重要事項
・事前着工の禁止:交付決定(許可)の通知が届く前に工事を始められた場合は、補助対象外となります。
・年度内の検査必須:工事後の現地検査を3月31日までに完了させる必要があります。年度末は大変混み合いますので、余裕を持って早めにお手続きを進めてください。
⇒基本構想の改定に伴う「上乗せ補助制度」について
令和6年3月に「久留米市生活排水処理基本構想」が改定されました。これにより、もともと公共下水道が整備される予定だった区域の一部が、合併浄化槽で対応する区域へと変更になっています。
この対象区域に該当される方に向けて、公共下水道の代わりに補助金を上乗せして交付する新しい制度がスタートいたしました。
⇒上乗せ補助の主な対象者
・現在、単独処理浄化槽または汲み取り便槽を使用されている方
・今後、合併処理浄化槽への切り替えを予定されている方
・今後も該当の住宅に住み続けられる方
【久留米市のし尿汲み取り料金】
久留米市廃棄物の処理及び清掃に関する条例に記載があります通り、『し尿処理手数料 18リットルまでごとに225円(消費税等相当額を含む。)とする。』となっております。
【浄化槽の概要】
浄化槽は、ご家庭やお店から出るし尿(トイレの排水)と雑排水(お風呂、台所、洗濯の排水など)をきれいに処理し、川や排水路に流すための装置です。下水道が整備されていない地域において、水環境を守るために非常に重要な役割を果たしています。
平成18年(2006年)2月1日からは新しいルールが施行され、新しく設置する浄化槽には「放流水のBOD(生物化学的酸素要求量)を20mg/L以下にする」という基準が設けられました。※BODは水質の汚濁度合いを表す数値で、この値が低いほど水がきれいであることを意味します。
「浄化槽は生き物です」という言葉がありますが、なぜそのように表現されるのでしょうか。それは、浄化槽の中でたくさんの微生物(バクテリア)が汚水を分解し、水をきれいにする働きをしているからです。この微生物たちが元気に活動できる環境を保つことが、浄化槽の性能を十分に発揮させるための大切なポイントとなります。
もし維持管理を怠ってしまうと、放流される水が汚れたり、悪臭が発生したりして、かえって生活環境を悪化させてしまいます。そのため、まるで生き物を育てるように、定期的なメンテナンスやお手入れ(維持管理)が必要となるのです。
※トイレにはトイレットペーパー以外のものは流さないようお願いいたします。ティッシュペーパー、生理用品、おむつ、たばこの吸い殻などは、浄化槽の微生物では分解・浄化することができません。
【下水汚泥の再利用】
福岡県の公式サイト(下水汚泥の有効利用 - 福岡県庁ホームページ)にその解説が御座います。その要点を分かりやすく解説します。
下水汚泥には、窒素、リン酸、カリウム、有機物、石灰など、植物の生長に必要な成分が豊富に含まれています。これらを原料として、植物の育成に非常に効果的な下水汚泥肥料(コンポストなど)を製造することができます。
福岡県の流域下水道浄化センターでは、処理過程で発生した下水汚泥を材料の一部として提供し、民間事業者の方が肥料を製造・販売されています。
下水道資源の循環利用フローチャート
下水道資源は、以下のようなサイクルで循環しています。
1. 流入:家庭や事業所から出た下水が、下水浄化センターに流れ込みます。
2. 処理:浄化センターにて、流れ込んだ下水をきれいに処理します。
3. 資源化:処理する過程で発生する下水汚泥の一部を、肥料の原料として活用します。
4. 利用:作られた肥料を畑で利用し、育った農作物が皆様の食卓へと届きます。
5. 循環:使われた水や資源が、再び下水として処理場へと戻ってきます。
【浄化槽を長期間使用されない場合の手続きに】
上記に関して当社(環境サニタリー)が要点をまとめました。
空き家などになることで、浄化槽をおおよそ1年以上使用しない場合は、市役所へ一時休止の届け出を行うことができます。この手続きにより、浄化槽の保守点検・清掃・定期検査の義務が免除される制度がございます。こちらは令和元年6月の法改正によって新設された制度です。
通常、浄化槽を使用している場合は、定期的な保守点検、清掃、定期検査の義務があり、そのための費用が発生いたします。これは空き家であっても同様に費用負担が発生するものです。
一時休止の届け出を行うための具体的な流れは以下の通りです。
1. 休止の手続きについて
まず、休止前の最終清掃を行います。清掃が完了いたしましたら、「浄化槽使用休止届出書(久留米市の指定様式)」に必要書類を添付し、久留米市へ提出します。
久留米市の場合、必要となる添付書類は以下の通りです。
・清掃の記録
・浄化槽の現況写真(休止状態が確認できるもの)
・届出書・添付書類(それぞれ2部ずつ提出)
提出先は、「久留米市企業局上下水道部 給排水設備課」でございます。
手続きが完了しますと、浄化槽の保守点検・清掃・定期検査の義務がすべて免除され、維持費用がかからなくなります。ただし、休止期間中であっても管理者としての責任は残りますのでご留意ください。
2. 使用を再開する場合の手続きについて
休止の届け出をした浄化槽の使用を再開される場合は、必ず事後の届け出が必要となります。
具体的には、使用を再開した日、または再開されていることを知った日から30日以内に手続きを行います。「浄化槽使用再開届出書」に「清掃および保守点検の契約書の写し」を添えて、休止時と同じく「久留米市企業局上下水道部 給排水設備課」へご提出ください。なお、再開後は通常通り、保守点検・清掃・定期検査の義務が復活いたします。
【特定既存単独処理浄化槽についてのご案内】
福岡県公式ホームページの「福岡県からの大切なお知らせです - あなたの浄化槽」に記載されている、「特定既存単独処理浄化槽」について詳しく解説いたします。
◆特定既存単独処理浄化槽とは
昭和時代から長年使用されている単独処理浄化槽のうち、破損や亀裂、漏水などが見られる状態のものを指します。これを修理せずにそのまま放置した場合、周囲の生活環境や公衆衛生に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため福岡県では、このタイプの浄化槽をお持ちの方に対し、できるだけ早期に「合併処理浄化槽」へと転換していただくよう呼びかけています。
◆早めの転換をご検討ください
保守点検などを担当する浄化槽業者から「破損や漏水がある」と指摘された場合や、法律に基づく定期検査で「不適正」と判定された場合は、特に速やかな転換の検討が必要です。万が一、浄化槽の補修や改善を行わずに放置してしまった場合、法律に基づいて改善の勧告や命令が出されることがあります。さらに、これらの命令に違反した場合には、30万円以下の罰金が科せられる可能性もございますので、十分にご注意ください。
◆補助金制度と相談窓口のご案内
久留米市では、合併処理浄化槽への転換に際して設置や撤去にかかる費用の一部を上乗せして受けられる補助金制度が用意されています。補助金の支給には一定の条件がございますので、まずはお住まいの自治体の浄化槽担当窓口、または久留米市の浄化槽担当窓口へお気軽にご相談ください。
【久留米市「既存の単独処理浄化槽・汲み取り便槽の撤去に対する上乗せ補助制度」の概要】
⇒久留米市で実施されている「既存の単独処理浄化槽・汲み取り便槽の撤去に対する上乗せ補助制度」の要点について解説いたします。
⇒本制度は、古い浄化槽や便槽を撤去して新しい「合併処理浄化槽」へと変更される際に、通常の設置補助金にプラスして、撤去費用や配管工事費用の一部を追加で補助する仕組みです。
⇒平成30年(2018年)4月から開始された制度ですが、令和5年(2023年)4月からは、汲み取り便槽から転換する場合の補助金額が増額されました。昭和時代からの古い水処理システムを合併処理浄化槽へと切り替えることで、皆様の生活環境の向上を目指し、地域の河川の水質を守ることを目的としています。
⇒補助の対象となる方(以下の条件をすべて満たす必要があります)
・久留米市内で浄化槽設置の補助が受けられる地域にお住まいの方
・住宅のリフォームなどに伴い、古い単独処理浄化槽または汲み取り便槽から合併処理浄化槽へ転換される方
・古い槽を完全に撤去し、適正に処分(産業廃棄物として処分)される方
⇒上乗せ補助金の限度額
・単独処理浄化槽から転換する場合:最大 480,000円(処分費 150,000円 + 配管設置費 330,000円)
・汲み取り便槽から転換する場合:最大 450,000円(処分費 120,000円 + 配管設置費 330,000円)
※実際にかかった費用が上記の限度額に満たない場合は、実費(千円未満切り捨て)が補助額となります。
詳細な申請手続きや必要書類につきましては、久留米市公式ホームページの案内ページをご確認ください。
【久留米市「合併浄化槽設置補助金」の要点】
をまとめました。ご参考ください。
※(2026年7月10日現在)
この制度は、久留米市内の下水道が整備されていない地域において、合併浄化槽を新しく設置される方を対象に、市が予算の範囲内で補助金を交付するものです。地域の汚水処理未普及を解消し、生活環境を向上させることを目的としています。
⇒対象地域について
対象地域は久留米市全域です。ただし、以下の地域にお住まいの方は対象外となります。
・すでに下水道が通っている地域
・将来下水道が整備される予定の地域(公共下水道の事業計画区域)
・農業集落排水事業の区域
⇒対象となる設置基準
以下の条件をすべて満たし、汚水処理の未普及解消につながる場合が対象です。
・専用住宅などへの設置であること
・処理対象人員が10人以下の合併処理浄化槽を新たに設置すること
⇒補助の対象外となる主なケース
主に投資用、売却用、施設への設置は対象外となります。具体的には以下の通りです。
・建売住宅に設置する場合
・ご自身が居住しない家に設置する場合
・賃貸目的(借家)の家に設置する場合
※基本的には「ご自身が現在、またはこれから実際に住まわれる家」に新しく設置するケースが対象となります。
⇒詳細情報のご案内
さらに詳しい要件や申請手続きにつきましては、久留米市の公式ウェブサイト「一般住宅向け浄化槽に関する補助制度(10人槽以下)」をご確認ください。
【浸水した便槽の汲み取り料 補助金制度(久留米市)】
久留米市のホームページに掲載されている「浸水した便槽の汲み取り料の補助金制度」について、分かりやすく解説いたします。
⇒制度の概要
この制度は、災害や水害によってご自宅のトイレの便槽(べんそう)が浸水し、満タンになってトイレが使えなくなってしまった方を対象としています。し尿の汲み取り(便槽の中身を抜き取る作業)に一回あたりにかかった費用を、久留米市が補助する仕組みです。
⇒補助金額
・許可業者に支払った汲み取り料金の半額
・補助の上限額は5,000円です。
⇒対象となる方
以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
・久留米市にお住まいの方
・災害によりご自宅の便槽が浸水し、トイレが使用できなくなった方
・久留米市が「避難情報」を発令した地域で被災された方
⇒対象外となるケース
以下の場合は補助の対象とはなりませんのでご注意ください。
・店舗、倉庫、事務所などに設置されている便槽の場合
・災害が発生した日から7日以上経過した後に汲み取りを依頼された場合
⇒手続きの流れ
・汲み取りの依頼(7日以内)災害発生から7日以内に、久留米市の許可を受けた業者へ速やかに汲み取りを依頼し、作業を行ってもらってください。
・市への問い合わせ作業完了後、久留米市役所の「下水道施設課」へお電話にてお問い合わせください。
【浄化槽法定検査手数料】
こちらは(2026年7月10日現在)では、以下の通りです。
浄化槽法定検査手数料(単位:円)
5〜10人槽
7条検査(設置後初回)9,000円
11条検査(年1回定期)5,600円
11〜20人槽
7条検査(設置後初回)9,500円
11条検査(年1回定期)6,500円
21〜50人槽
7条検査(設置後初回)12,000円
11条検査(年1回定期)8,000円
詳しい内容に関しましては、「一般財団法人福岡県浄化槽協会」にご連絡ください。
【浄化槽清掃業者の選定について】
浄化槽の清掃(汲み取りやスカムの除去)は、法律により市町村長の許可を受けた業者しか行うことができません。これは単なる資格ではなく、「一般廃棄物処理業」の適正な許可証が必要です。許可を受けるためには、車両や設備、処理施設への搬入ルート、人員配置など、市町村が定める厳しい基準を満たしている必要があります。
一方で、浄化槽の保守点検(機械の点検・調整・消毒剤の補充など)を行うのは都道府県などの登録業者であり、国家資格を持つ「浄化槽管理士」が在籍している必要があります。
久留米市でお探しの場合は、久留米市公式ホームページに掲載されている「久留米市浄化槽保守点検業者一覧表」からご確認いただけます。
なお、浄化槽の維持管理には以下の3つの手続きが定められており、それぞれ実施頻度や担当業者が異なります。
・保守点検:4ヶ月に1回以上(浄化槽管理士が在籍する登録業者)
・清掃:年に1回以上(市の許可業者)
・法定検査:年に1回(指定検査機関である福岡県浄化槽協会)
これらの維持管理は、「清掃」と「保守点検」を1つの会社に一括委託するケースと、それぞれ別の会社に委託するケースがございます。一括委託をお選びいただくメリットとしては、日程の調整や業者への手配をすべて1社に窓口を一本化できるため、管理にかかる手間を大幅に軽減できる点が挙げられます。
【浄化槽の概要】
浄化槽は非常に優れた汚水処理能力を持っています。微生物による生物処理を利用することで、下水道処理場と同等レベルの高度な処理が可能です。
⇒BOD(生物化学的酸素要求量)について
BODとは、微生物が有機物を分解する際に消費する酸素の量を示す指標です。この数値が低いほど、水がきれいであることを意味します。
⇒処理性能の目安
・標準的な合併処理浄化槽
放流水のBOD:20mg/L以下
BOD除去率:90%以上
⇒高度処理型浄化槽
放流水のBOD:5mg/L以下(除去率97%以上)
総窒素(T-N):20mg/L以下
総リン(T-P):1mg/L以下
一般家庭では、1人あたり1日に約40gのBODを排出していると言われています。しかし、浄化槽で処理を行うことで、1日あたり4gにまで汚れを低減させることができます。
⇒働く微生物の種類と役割
浄化槽の中には、主に以下のような微生物が存在し、それぞれ重要な役割を果たしています。
・嫌気性細菌
有機物を分解し、メタンや硫化水素などを発生させ ます。ここで発生した物質は、そのあとの工程で適切に処 理されます。
・好気性細菌
ブロワ(送風機)によるエアレーション(送気)で酸素を供給します。酸素を得た細菌が有機物を効率よく分解し、BODを劇的に低下させます。
・硝化菌・脱窒菌
硝化菌がアンモニア性窒素を硝酸へと変えます(硝 化)。その後、脱窒菌が窒素ガスへと変化させて大気中へ放出します(脱窒)。
・リン除去の仕組み
ポリリン酸蓄積菌という微生物の働き、または化学的な処理によって水中のリンを除去します。
【汲み取り式・簡易水洗トイレの仕組みと特徴】
汲み取り式や簡易水洗トイレは、一般的な水洗トイレのように下水道や浄化槽へ流す仕組みではありません。排泄物を「便槽(べんそう)」と呼ばれるタンクに直接貯め、定期的にバキュームカーで汲み取る方式です。この方式では、便器の真下や少し離れた位置に、コンクリート製やプラスチック製の便槽が設置されています。
⇒主に以下の2つの種類があります。
・ぼっとん便所方式:水をほとんど、あるいはまったく使用しない方式です。
・簡易水洗トイレ:使用するたびに少量の水を流す方式です。
⇒最大のデメリットと「臭突(しゅうとつ)」の役割
これらのトイレの最大のデメリットは「悪臭」です。排泄物が長期間にわたって溜まるため、微生物の働きによってガスが発生しやすくなります。
この悪臭を防ぐために設置されるのが、煙突のような形をした「臭突(しゅうとつ)」です。便槽の中で排泄物が嫌気性微生物によって分解されると、アンモニア、硫化水素、メタンガス、インドール、スカトールといった強い悪臭ガスが発生します。これらのガスがトイレの室内や家の中に逆流しないよう、屋外の高い場所へ逃がすことが臭突の重要な役割です。
⇒臭突の詳しい仕組み(煙突効果)
臭突は「煙突効果(スタック効果)」という自然の仕組みを利用しています。便槽内の暖かい空気やガスは、軽くなって上へと移動する性質があります。この性質により、ガスが臭突のパイプ内を上昇し、屋根の上などの高い位置から自然に屋外へ排出される仕組みになっています。
【家庭用浄化槽の種類】
家庭用浄化槽は、微生物が汚泥を分解することで水を浄化するシステムです。この浄化槽には、大きく分けて「合併処理浄化槽」と「単独処理浄化槽」の2種類があります。
⇒合併処理浄化槽
・トイレのし尿だけでなく、台所、お風呂、洗濯などの生・活雑排水も一緒に処理します。
法律で設置が推奨・義務化されており、現在の主流となっています。
⇒単独処理浄化槽
・昭和時代に普及した古いタイプです。
・トイレのし尿のみを処理し、生活雑排水はそのまま側溝や川に流す仕組みでした。
・生活雑排水には全体の汚水の70%以上が含まれるため、環境への負荷が高いとされています。
⇒浄化槽を支える微生物の働き
浄化槽の本質は、機械で水をろ過するのではなく、生きている微生物に汚水の中の有機物を処理してもらう「生物処理装置」である点です。その微生物は、大まかに以下の2種類に分かれます。
⇒好気性微生物(こうきせいびせいぶつ)
・酸素を使って有機物を燃やすように分解します。
・得られるエネルギーが多いため素早く増殖し、大量の汚れをスピーディーに分解できるのが特徴です。
⇒嫌気性微生物(けんきせいびせいぶつ)
・酸素がない環境で活動することができます。
・複雑な有機物を分解し、有機酸などの単純な物質に変える働きを持っています。
・分解のスピードは遅いものの、固形物をじっくり分解するのに適しています。
【浄化槽の沈殿槽と消毒槽について】
家庭用合併処理浄化槽は、トイレやお風呂、台所などから出る生活排水を微生物の力で綺麗にし、河川や側溝へ放流するシステムです。この浄化プロセスの終盤で重要な役割を果たすのが「沈殿槽(ちんでんそう)」と「消毒槽(しょうどくそう)」です。
一般的に広く普及している「嫌気ろ床接触ばっ気方式(けんきろしょうせっしょくばっきほうしき)」を例に、それぞれの仕組みを分かりやすく解説いたします。
⇒沈殿槽(ちんでんそう)の仕組み
沈殿槽の手前にある「接触ばっ気槽」では、好気性微生物が汚水に含まれる有機物を分解しています。この過程で微生物が増殖し、剥がれ落ちた生物膜などの塊(固形物)が発生します。
これらの固形物は水よりも重いため、沈殿槽に入ると自然に底へと沈んでいきます。浄化槽の設計に基づき、沈殿した汚泥は再び手前のばっ気槽などに戻されて適切に管理されます。そして、固形物が取り除かれた上部の綺麗な上澄み水だけが、次の消毒槽へとゆっくり送られます。
⇒消毒槽(しょうどくそう)の仕組み
消毒槽では、沈殿槽から送られてきた上澄み水にわずかに残っている大腸菌などの病原菌や微生物を、殺菌剤を使って消毒します。
消毒には、主に次亜塩素酸カルシウムなどの塩素系薬剤が使用されます。この薬剤を専用の筒(薬筒)に入れておくことで、処理水が通過する際に薬剤が少しずつ溶け出し、確実に消毒が行われる仕組みになっています。
【浄化槽清掃業者の選び方】
久留米市には、私ども「環境サニタリー」を含め、複数の浄化槽清掃・管理業者がございます。ここでは、皆様が安心して任せられる業者を選ぶためのポイントを、分かりやすくご紹介いたします。
浄化槽清掃の基本と重要性
浄化槽の清掃は、浄化槽法で義務付けられている法定のサービスです。そのため、市町村から正式に許可を受けた専門業者でなければ実施することができません。清掃の頻度は浄化槽の種類によって異なりますが、一般的な「家庭用合併浄化槽」では年に1回以上、「全ばっ気方式」ではおおよそ6か月に1回が目安とされています。
浄化槽の清掃・管理は法律上の義務であると同時に、ニオイや詰まりといった日々のトラブルを防ぐためにも大変重要です。だからこそ、業者の「信頼性」や「地域密着度」が大切な指標となります。
信頼できる業者選びの5つのステップ
皆様が実際に業者を選び、依頼するまでの流れを5つの段階に分けて解説します。
1. 清掃の必要性に気づく(問題の認識)
まずは、お客様が「そろそろ清掃の時期だな」と認識される段階です。
多くは、法定期限の到来や、自治体・保守点検業者からの通知によって気づかれます。そのほかにも、悪臭や排水不良、逆流といった実際のトラブルや、法定検査(11条検査)での指摘をきっかけにされるケースもございます。
なお、清掃を含む維持管理に対して補助金制度が利用できる場合もありますので、事前に市役所へご相談されるのも賢明な方法です。
2. 情報を集める(情報の探索)
「どこに頼めばいいのだろう?」と、業者を探し始める段階です。
ご近所の方や知人、工務店の方に相談し、その口コミを参考にされるケースが多く見られます。また、久留米市が公開している「浄化槽保守点検業者一覧(※私ども環境サニタリーも記載されております)」を確認したり、市役所の窓口へ相談したりするのも安心です。最近では、インターネットで検索して探される方も増えています。
3. 複数の業者を比べる(代替案の評価)
「ここにお願いしよう」と決めるために、複数の業者を比較・検討する段階です。
主に以下の基準で評価されます。
・公的な資格や許可、登録の有無
・料金の適正さと透明性
・地域での実績や経験年数(※環境サニタリーは久留米市で50年以上の歴史がございます)
・口コミや評判
・対応の丁寧さや迅速さ
・環境への配慮
4. 見積もりを依頼して予約する(購入決定)
実際に見積もりを依頼し、ご契約や作業の予約を行う段階です。複数の会社に見積もりを依頼して内容を比較した後、お電話やメールで最終確認を行い、予約へと進みます。この際、特に重視されるのは「担当者の対応の良さ」「見積もりの早さと分かりやすさ」「予約のしやすさ」です。
5. 作業完了後の満足度(購入後評価)
作業完了後の満足度が、次回(半年〜1年後)のご依頼や、ほかのお客様へのご紹介に直結する段階です。「次回もまたこの会社にお願いしよう」と感じていただけるかどうかが決まります。
浄化槽の清掃や管理、トラブルなどでお困りのことがございましたら、どうぞお気軽に環境サニタリーまでご相談ください。皆様の快適な暮らしを、心を込めてサポートいたします。
【嫌気ろ床接触ばっ気方式の仕組み】
この浄化槽は、以下のようなフローチャート(工程)を経て水をきれいにします。
1. 嫌気ろ床槽(けんきろしょうそう)
ろ材を用いて固形物や浮遊物を捕捉(キャッチ)し、酸素を嫌わない「嫌気性微生物」の働きによって有機物を分解します。
2. 接触ばっ気槽(せっしょくばっきそう)
ブロワで槽内に空気を送り込みます。接触材に付着した「好気性微生物(生物膜)」が、汚水中の有機物(BOD成分)を効率よく分解します。
3. 沈殿槽(ちんでんそう)
微生物の塊である汚泥を重力によって底に沈殿させ、きれいな上澄み液を分離します。
4. 消毒槽(しょうどくそう)
塩素剤を用いて病原菌を殺菌したのち、河川などへ放流します。
⇒沈殿槽の詳しい解説
ここでは、全体の工程において重要な役割を果たす「沈殿槽」について詳しく解説いたします。
・主な役割
沈殿槽の主な仕事は、浄化された処理水に含まれる固形物を沈殿させ、きれいな上澄み水を消毒槽へ送ることです。手前の「接触ばっ気槽」では、活発に活動した好気性微生物が有機物を捕食して増殖します。その結果、微生物の塊である「フロック」が大量に発生します。この微生物の塊を重力によって沈殿・除去し、処理水をさらに澄んだ状態にするのが沈殿槽の役割です。
・なぜ沈殿槽が必要なのか?
最大の理由は、放流水の「水質基準」をクリアするためです。沈殿槽は、BODやSS(浮遊物質・懸濁物質)を低減させる最後の物理的な処理工程にあたります。接触ばっ気槽だけでは、役目を終えた微生物が水中に浮遊したままになってしまいます。そのため、この沈殿工程がなければ、放流水が濁ったまま排出されてしまうことになります。
・補足(メンテナンスへの影響)参考までに、この沈殿槽に溜まる汚泥の量や性質は、浄化槽の清掃(汲み取り)頻度や、汚泥処理にかかるコストに大きく影響を与えます。
【浄化槽の仕組みと微生物の役割】
浄化槽は、ご家庭などから出るトイレ、台所、お風呂などの生活排水を、自然界の仕組みを利用して分解・浄化する小型の処理施設です。その中心的な役割を担っているのが、バクテリアをはじめとする微生物です。
微生物は水中の有機物を食べて分解し、無害な水やガス、二酸化炭素などに変化させます。これにより水質が改善され、河川や地下水などへの環境負荷を減らすことができます。浄化槽内の微生物が活発に働くと、浄化能力が高まり、汚泥(泥の塊)が溜まりにくくなるだけでなく、気になるニオイも抑えられます。
反対に、この微生物の働きが弱まったり死んでしまったりすると、浄化機能が低下してしまいます。その結果、悪臭や排水不良を引き起こし、場合によっては法令違反につながる恐れもあります。
このようなトラブルを防ぐためにも、日頃から以下の点についてご留意・ご検討いただけますと幸いです。
1. トイレの洗浄水は十分な量を流す
微生物の活動には、適度な水分が欠かせません。洗浄水の量が少ないと汚物が濃縮されてしまい、微生物に過度な負担がかかります。これにより、pH(酸性・アルカリ性の度合い)のバランスが崩れたり、酸素不足を招いたりします。その結果、固形物が溜まりやすくなり、配管が詰まる原因にもなります。これらを防ぐため、トイレを1回ご使用になるごとに、十分な水量を流すよう心がけてください。
2. 便器のお掃除には、微生物に影響を与える薬剤を使用しない
市販されている多くのトイレ用洗剤(特に塩素系、強酸性、強アルカリ性のもの)は、微生物を死滅させたり、その繁殖を抑えたりしてしまいます。これにより、浄化槽内で役立っている有用な菌(好気性菌や嫌気性菌)が減少し、浄化機能が急激に落ちてしまいます。微生物を守るためには、浄化槽に対応した、環境に優しい「中性洗剤」をご使用いただくのがおすすめです。
3. トイレにトイレットペーパー以外の異物を流さない
紙おむつ、生理用品、ティッシュペーパー、プラスチック類、髪の毛などは、微生物では分解することができません。これらが溜まると浄化槽の内部が詰まり、ポンプの故障や汚泥の増加を招く原因となります。
4. 浄化槽の電源は切らない(通気口や送風機の空気取り入れ口をふさがない)
多くの浄化槽には、空気を送り込んで「好気性微生物(酸素を好む菌)」を活性化させるための、ばっ気装置(ブロワーなど)が備わっています。電源を切ってしまうと酸素の供給が止まり、槽内が酸欠状態(嫌気性状態)になります。その結果、強い悪臭(硫化水素など)が発生したり、浄化不良が起きたりします。常に正常な空気が送られるよう、電源は切らず、空気の取り入れ口をふさがないようご注意ください。
【浄化槽法第7条検査11条検査について】
浄化槽法第7条に基づく検査は、新たに浄化槽を設置された方、または構造や規模を変更された方が対象となります。
・検査の時期:使用開始後「3か月を経過した日から5か月間」と環境省令で定められています。
検査の目的:設置工事が届け出通りに適正に行われたか、また浄化槽が本来の処理機能を発揮しているかを早期に確認し、問題があれば速やかに改善するためです。
・実施機関:都道府県知事が指定する第三者機関(指定検査機関)が実施します。福岡県の場合は「一般社団法人 福岡県浄化槽協会」がこれに該当します。
主な検査内容は以下の3点です。
1:外観検査:槽の水平状態、破損や漏水の有無、設備の稼働状況、水の流れ、汚泥の堆積状況、臭気、消毒や異物の状態などを確認します。
2:水質検査:pH、溶存酸素(DO)、透視度、汚泥沈殿率(SV)、残留塩素、BODなどの測定を行います。
3:書類検査:保守点検や清掃の記録を確認します。
浄化槽法第11条検査について
こちらは毎年1回、定期的に受けていただく検査です。
検査の目的:日頃の保守点検や清掃が適正に行われているか、また浄化槽の機能が継続して正常に維持されているかを確認するために実施されます。
検査の時期:第7条検査を受検された翌年から、毎年1回実施することになります。
【双方の位置づけ】第7条検査が「初期診断(機能の立ち上がり検査)」であるのに対し、第11条検査は「定期健康診断」という位置づけになります。そのため、検査項目や内容もおおむね近いものとなっています。
【浄化槽維持管理の義務について】
日本国内では、浄化槽法に基づき「保守点検」「清掃」「法定検査」という3つの義務が定められています。
浄化槽は微生物の働きを利用して生活排水をきれいにするため、定期的な管理が欠かせません。
万が一これらを怠ってしまうと、悪臭の発生や水質の悪化、環境汚染につながるだけでなく、罰則の対象となる場合もございます。
1. 保守点検(メンテナンス・点検)
浄化槽の機能を正常に維持するための、日常的な点検・調整作業です。
・主な作業内容: ブロアー(送風機)やタイマー、ポンプなどの機械類が正常に作動しているかの調整、塩素系消毒剤の補充、各機材の異常確認などを行います。また、汚泥やスカム(浮きかす)の蓄積状況を把握し、適切な清掃時期の判定もいたします。
・頻度: 一般的には年に3回程度ですが、浄化槽内の汚泥の量などによっては回数が増える場合もございます。
・委託先: 「浄化槽管理士」の国家資格を持つ、都道府県等に登録された保守点検業者へご依頼ください。
・ご案内: 当社(環境サニタリー)でも承っておりますが、詳細につきましては久留米市役所までお問い合わせください。
2. 清掃
浄化槽の内部に溜まった固形物や汚泥(スラッジ)を吸引・回収する作業です。
・主な作業内容: 水に溶けないトイレットペーパーの残渣、油分、微生物の死骸などが溜まると、処理効率が下がり、悪臭や水質悪化の原因となります。これらをきれいに取り除き、機器の洗浄などを行います。
・頻度: 年に1回以上行うことが義務付けられていますが、使用状況により汚れが著しい場合は、回数が増えることもございます。
・委託先: 市町村の許可を受けた「浄化槽清掃業者」へご依頼ください。
・ご案内: 当社(環境サニタリー)でも清掃を承っております。なお、久留米市の公式ホームページにて、その他の許可業者様の一覧もご確認いただけます。
3. 法定検査
保守点検や清掃が適正に行われ、浄化槽が本来の機能を果たしているかを、知事が指定した第三者機関が客観的にチェックする検査です。
・目的: 浄化槽の設置状況や稼働状態、放流水の水質、悪臭の有無、害虫の発生状況などを総合的に確認します。
・検査の種類: 法定検査には以下の2種類がございます。
⇒第7条検査(設置後等の検査): 浄化槽の使用開始後、3ヶ月を経過した日から5ヶ月以内に受ける初回の水質検査です
⇒第11条検査(定期検査): 第7条検査のあと、毎年1回定期的に受ける検査です。
【浄化槽のばっ気(ばっき)】
浄化槽には、汚水に空気を積極的に送り込んで酸素を溶け込ませる「ばっ気」という重要な工程がございます。
浄化槽は、微生物の働きを利用して汚水を綺麗にするシステムです。その中でも「好気性微生物(酸素を好む微生物)」が汚れ(有機物)を分解するためには、水中に十分な酸素が溶け込んでいる必要があります。
そのため、ブロアー(送風機)を使って槽内に絶えず空気を送り込みます。このとき、空気の泡が上昇する勢いによって槽内の水がしっかりと掻き混ぜられます(撹拌)。
これにより、汚水と微生物が触れ合う機会が増えるだけでなく、酸素が行き届かない場所(死水域)が生まれるのを防いでいます。さらに、この撹拌によって微生物の膜(生物膜)が厚くなりすぎるのを抑える効果もございます。
一般的な家庭用浄化槽では、汚水は主に以下の順番で処理されていきます。
1:嫌気(けんき)ろ床槽
2:接触ばっ気槽
3:沈殿槽
4:消毒槽
このうち「接触ばっ気槽」にブロアーからの酸素が供給され、好気性微生物による本格的な浄化(BOD成分の除去の主軸)が行われます。この槽の中では、プラスチックなどの「接触材」に付着した生物膜を効率よく水中で流動させながら、汚水を綺麗にしています。
【仮設トイレのレンタル】
今回は、仮設トイレのレンタル店を選ぶ際のお客様の心理(検討プロセス)について解説いたします。ぜひこちらを参考にしながら、最適なレンタル店をご検討ください。
1. Attention(注意)
まずは「工事やイベントなどのために、仮設トイレをどう手配するか」を考える段階です。
・インターネットで検索する
・近所の工事現場で見かけた業者を調べる
・地方自治体などの口コミを参考にするといった方法で検討を始めます。この段階では、地元で豊富な実績がある会社や、大手の企業が選ばれやすい傾向にあります。
2. Interest(関心)
次に「この会社は本当に信頼できるか」「サービス内容は十分か」などを深く考える段階です。
・ホームページで料金や対応エリア、設置事例を確認する
・電話や問い合わせフォームから複数の会社へ見積もりを依頼するといった行動を通して、さらに詳しく比較検討します。特に「全自動洗浄機能付き」や「強力な脱臭機能」を備えた仮設トイレは、高く評価される傾向にあります。
3. Desire(欲求)
「この会社なら安心して任せられる」「他社の仮設トイレよりも優れている」と感じ、気持ちが大きく傾く段階です。
・過去の豊富な施工実績
・徹底した衛生管理
・トラブル発生時の迅速な対応
・長期レンタルによる割引などの強みがあると、お客様の心が決まりやすくなります。
4. Memory(記憶)
他社と比較しながら、一度時間をおいて再検討する段階です。
・見やすくて分かりやすい見積書
・メールやLINEでの迅速かつ丁寧なやり取りといった対応の良さが、判断の基準になります。ここでは、お客様の記憶に強く残った会社が最終候補として残ります。
5. Action(行動)
「このお店に決めよう」と最終決定を下す段階です。この最終段階での決め手となるのは、主に以下の要素です。
・納得のいく価格
・素早く丁寧な対応
・地元での確かな実績
・万全な衛生管理
・担当者の高い対応力
【仮設トイレの業者へ依頼するタイミングとニオイ対策】
仮設トイレにおける主なニオイの原因は、尿素が雑菌によって分解されることで発生する「アンモニアガス」です。これは、排泄物の蓄積や尿石の付着によって雑菌が繁殖するために起こります。特に夏場の高温多湿な時期や、利用者が多い場合には状況が悪化しやすくなります。このニオイを効果的に防止するためには、以下の対策が重要です。
1. 定期的な排泄物の処理(業者への依頼)
ニオイの元を断つため、定期的に業者へ排泄物の処理を依頼することが最も効果的です。あわせて、薬剤や消臭剤を適切に使用することもおすすめいたします。
2. 定期的な清掃
仮設トイレの衛生状態を保つためには、日々の清掃が欠かせません。
・便器内の清掃:酸性の洗剤を便器内につけ、ブラシでこすり洗いをしてください。その後は水で洗い流し、乾拭きをして仕上げるのがベストです。なお、漂白剤系の洗剤は尿石に対して効果が薄いため、酸性の洗剤のご使用を推奨いたします。
・その他の清掃:便器以外の床、壁、ドアなどについても、週に1回以上は清掃を行うことが望ましいです。
3. バキューム車による汲み取り(汚泥の回収)
多くのレンタル仮設トイレでは、定期的にバキューム車による汲み取りが必要となります。処理を怠り放置してしまうと、排泄物があふれてしまい、強い悪臭を放つなど重大な衛生問題に発展する恐れがあります。汲み取りの頻度やタイミングに関しては、レンタル業者とのご契約内容によって異なる場合がございます。トラブルを防ぐためにも、まずは一度レンタル業者へ事前にご相談いただくことをおすすめいたします。
【浄化槽管理士が使用する専門用語】
■ BOD(生物化学的酸素要求量)
こちらは、水の中に含まれる有機物の汚れが、好気性微生物によって分解される際に消費される酸素の量を、一定の条件のもとで測定したものです。浄化槽の処理性能を直接的に示す、最も重要な指標と考えられています。有機物による汚染が強い場合はBODの値が高くなりますが、これは言い換えると「微生物が大量の酸素を必要としている状態」と解釈できます。一般的には、BODが10〜20mg/L以下を達成できていれば、良好な処理が行われていると判断されます。
■ DO(溶存酸素量)
こちらは、好気性微生物(活性汚泥の主な成分)が有機物を分解する際、および呼吸や代謝を活発にするために必要な、水中に溶けている酸素の量です。測定の目安としては、曝気槽(ばっきそう)内で「2.0mg/L以上」が望ましいとされています。この数値を適切に維持するための管理ポイントは、ブロアー(送風機)の稼働時間や風量を細かく調整することです。
■ SVI(汚泥容量指標)
こちらは、活性汚泥1gが沈殿した際に占める体積(mL/g)を表した指標です。正常な範囲は「50〜150mL/g程度」とされています。この値が高すぎると「バルキング(汚泥の膨化)」が発生し、糸状菌が異常に増殖したり、汚泥のかさが増して沈殿しにくくなったりします。その結果、処理された汚泥がそのまま流出してしまう恐れがあります。
【家庭用浄化槽とは】
家庭から出る排水は、大きく分けると次の2種類があります。
し尿:トイレから出る汚水のことで、糞尿、有機物、病原菌などが含まれており、BOD(生物化学的酸素要求量)の負荷が比較的高いのが特徴です。
雑排水:台所や洗面所、お風呂、洗濯などから出る排水のことで、実は生活排水全体のBOD負荷の70パーセント以上を占めています。
これらを処理する浄化槽には、大きく2つのタイプがあります。
単独処理浄化槽
トイレの排水(し尿)のみを浄化する装置です。生活排水の一部しか処理できないため、結果として河川の富栄養化や有機汚濁、悪臭、病原菌の流出を招きやすい点が指摘されています。また、装置の老朽化が進んでいることも多く、破損や漏水といった問題も懸念されています。
合併処理浄化槽
トイレの排水と雑排水の両方をまとめて処理できる装置です。装置内は「嫌気処理部」「好気処理部」「沈殿部」「消毒部」で構成されており、家庭から出るすべての生活排水をこの一つのシステムできれいにできます。さらに「高度処理型」と呼ばれるタイプでは、窒素の除去(脱窒)も行えるため、河川や湖沼の富栄養化対策としても非常に高い効果を発揮します。
【嫌気ろ床槽とは】
一般的な嫌気ろ床槽方式(ばっ気型)の浄化槽は、以下のような工程を経て、汚水をきれいに浄化します。
・固液分離槽・沈殿分離槽
まず、生活排水が最初に流れ込む場所です。ここでは、大きなゴミや固形物を沈殿させたり浮かせたりして、大まかな汚れを取り除きます。
・嫌気ろ床槽
次に、嫌気ろ床槽へと進みます。槽内に詰められたプラスチック製の「ろ材」が、取り切れなかった細かい固形物や浮遊物をしっかりとキャッチします。このろ材の表面には「バイオフィルム」と呼ばれる微生物の膜が付着しており、酸素を嫌う微生物(嫌気性微生物)が汚水中の有機物を分解します。なお、この槽が第1室と第2室の2つに分かれているのは、第1室で大きな汚れを確実に処理し、第2室でさらに細かく浄化を行うためです。
・接触ばっ気槽
続いて、接触ばっ気槽へと送られます。ここではブロワー(送風機)を使って槽内に絶えず酸素を送り込みます。酸素を好む微生物(好気性微生物)を活発に働かせることで、残った有機物をさらに分解し、同時に窒素の硝化処理(無害化へのプロセス)も行います。
・沈殿槽・消毒槽
最後に、処理の過程で発生した余分な微生物や汚泥を「沈殿槽」の底に沈めて分離します。その後、きれいになった上澄み水を「消毒槽」にて塩素などで滅菌消毒し、安全な水として河川などへ放流します。
【浄化槽の微生物について】
浄化槽の中には、主に2種類の微生物が存在しています。それは「好気性(こうきせい)微生物」と「嫌気性(けんきせい)微生物」です。
⇒好気性微生物
酸素が豊富な環境で活発に活動し、有機物を分解していきます。この分解によって、有機物は炭酸ガスや水、硝酸塩などに変化します。代表的な例としては、アンモニアを硝酸に変える硝化菌や、各種の好気性バクテリアが挙げられます。
⇒嫌気性微生物
酸素が少ない、あるいは全く無い環境で活動します。有機物を分解する力は持っていますが、分解の効率は好気性細菌よりも低く、メタンガスや硫化水素などのガスが発生しやすいという特徴があります。主な役割は、有機物を揮発性脂肪酸やメタン、二酸化炭素などに変化させることです。代表例としては、メタン生成菌や硫酸還元菌などが挙げられます。
⇒微生物の増殖メカニズム(まとめ)
微生物が増殖する仕組みは以下の通りです。
・分解とエネルギー獲得:微生物が有機物を分解し、活動のためのエネルギーを得ます。
・自己複製:得られたエネルギーを使って、自らを複製(増殖)させます。
・沈殿:最終的に増えた微生物の死骸や残渣(残りかす)は、汚泥として浄化槽の底に沈殿します。
【合併処理浄化槽と単独処理浄化槽】
⇒合併処理浄化槽とは
合併処理浄化槽とは、家庭から出るすべての生活排水をきれいにする、日本の分散型汚水処理施設のことです。
⇒処理能力の違い
従来の「単独処理浄化槽」は、し尿(トイレの排水)のみを浄化するものでした。それに対して「合併処理浄化槽」は、し尿に加えて、台所や浴室、洗濯などの「生活雑排水」も含めたすべての排水を浄化します。
⇒性能とし尿・排水の負荷(BOD)の違い
それぞれの性能を比較すると、以下のような大きな違いがあります。
⇒BOD除去率(汚れを削減する割合)
単独処理浄化槽(前者):55%以上にとどまります。
合併処理浄化槽(後者):90%以上ときわめて高い排水能力を持っています。
⇒放流される汚濁負荷の目安(1人1日あたり)
単独処理浄化槽(前者):32gの汚れが流出してしまいます。
合併処理浄化槽(後者):わずか4gに抑えられ、環境に優しい非常に優秀なシステムです。
⇒単独処理浄化槽が抱える問題点
トイレの排水だけを処理したとしても、台所から出る油分や食べかす、洗剤、そして浴室の皮脂などがそのまま川や側溝に流れ込んでしまいます。その結果、水底にヘドロが蓄積したり、害虫が発生したりする原因となります。これが、身近な河川や湖沼の「富栄養化(水質汚濁)」を引き起こす大きな要因となっています。
【活性汚泥法について】
活性汚泥法は、主に下水や工場排水の処理に用いられる、微生物の働きを利用して有機物を分解する生物学的処理法です。
この処理法の主な目的は、微生物に排水中の有機物を分解させることにあります。大まかな処理の流れは以下の通りです。
⇒有機物の分解
排水に含まれるBOD成分(有機物)を好気性微生物が栄養源(エサ)として取り込み、酸素を使って分解します。
⇒生成物の発生
分解にともない、主に二酸化炭素や水が発生します。
⇒微生物の増殖と沈殿
この過程で微生物自身が増殖し、新しいバイオマス(微生物の集まり)が生まれます。微生物はフロックと呼ばれる塊(凝集体)を作りやすく、沈殿しやすい性質を持っています。その性質を利用して、処理された水と汚泥をきれいに分離します。
なお、この微生物の集まり(微生物群集)には、細菌類だけでなく、原生動物なども含まれています。
【単独処理浄化槽(みなし浄化槽)】
全ばっ気方式は、日本における旧型の「単独処理浄化槽(みなし浄化槽)」の処理方式の一つです。この方式は、台所やお風呂、洗濯などの生活雑排水は処理せずにそのまま川などへ流し、トイレの汚水のみを処理する仕組みになっています。
⇒基本的な仕組みは以下の通りです。
・汚水の移動:トイレからの汚水を主に「曝気(ばっき)槽」へと直接集めます。
・微生物の活性化:エアー(空気)を送り出すブロアを使用し、槽内の好気性微生物を活性化させます。
・有機物の分解:活性化した微生物の働きによって、汚水中の有機物を分解し浄化します。なお、この好気性微生物は「活性汚泥(かっせいおでい)」とも呼ばれます。
⇒この機種のメリットとデメリットは以下の通りです。
≪メリット≫
・シンプルな構造:仕組みが非常に単純です。
・低コスト:比較的安価で製造も容易であったため、昭和時代には広く普及しました。
≪デメリット≫
・不安定な処理能力:沈殿分離の機能が不十分なため、汚水の質や量の変動が曝気槽へ直接影響してしまいます。その結果、微生物の活動が不安定になりやすいという弱点があります。
・早い汚泥の蓄積:固形物や分解されない不活性物質が溜まりやすいため、汚泥の蓄積スピードが早くなります。
【浄化槽管理士が用いる指標】
浄化槽管理士は、浄化槽の保守点検や維持管理において、BOD(生物化学的酸素要求量)以外にも複数の指標を用いて、家庭用浄化槽の放流水の処理状況や微生物の状態を把握しています。今回はそのうちのいくつかをご紹介します。
⇒pH(水素イオン濃度)
これは、水の酸性やアルカリ性の度合いを示す指標です。浄化槽内の微生物は中性を好む傾向があるため、この指標を確認します。pHの異常は、微生物の生活環境の悪化や、処理機能の低下を意味します。
⇒透視度
これは、水の濁りの程度を測る簡易的な指標です。浮遊物質(SS)との相関性が高く、BODの処理状況を現場で素早く確認できます。この透視度が低い(=濁っている)場合は、固液分離の不良や汚泥の流出が示唆されていることになります。
⇒残留塩素
消毒槽に投入された塩素がどれくらい残っているかを調べるための指標です。これにより、大腸菌群などの病原性微生物に対する殺菌効果を把握できます。ただし、塩素が残りすぎている場合は過剰消毒となり、環境に負荷がかかってしまいます。
【仮設トイレの清掃方法】
仮設トイレは、一般的な家庭用トイレ(陶器製)とは異なり、プラスチック製のものが多く見られます。そのため、強く擦りすぎたり、化学薬品の洗剤を混ぜて使用したりしないよう、十分な注意が必要です。
使用する洗剤は、壁や床には中性洗剤を、便器の尿石や黄ばみ落としには酸性洗剤を用いるのが最適です。
基本的な清掃手順
1. 換気と事前のゴミ清掃
ドアを全開にします。
内部に十分な空気を入れて換気を行ってください。
床や壁のゴミをホウキで掃き出します。
その後、水を使って軽く洗い流してください。
2. 壁・床・外側の拭き掃除
中性洗剤を水で薄めます。
薄めた液体を雑巾やモップに含ませます。
壁、床、および本体の外側を丁寧に拭き上げてください。
3. 便器内の清掃と便座の除菌
酸性洗剤を便器の内側やフチの裏側に塗布します。
洗剤が浸透するまで数分間そのまま置いてください。
柔らかいブラシを使い、汚れを優しくこすり落とします。
便座はアルコール除菌シートなどを用いて清掃してください。
【下水道管路施設の点検(マンホール点検)について】
下水道管路施設の点検(特にマンホール点検)は、下水道の管きょやマンホールなどの施設を定期的に調査し、異常を早期に発見することで、道路の陥没、管の閉塞、および重大な事故を未然に防ぐための重要な維持管理作業です。
点検の主な目的は以下の通りです。
・異常の早期発見:施設の腐食、破損、クラック(ひび割れ)、ずれ、堆積物、侵入水などをいち早く見つけます。
・安全の確保と環境保全:道路の陥没や管の詰まり、悪臭、有毒ガスの発生を防ぎ、人身事故を防止します。
・適切な維持管理への連携:施設の健全度を正確に把握し、効率的な清掃や修繕・改築計画へと繋げます。
・長寿命化とコスト削減:施設のライフサイクルコストを抑制し、下水道の機能を長く持続させます。
特に、段差や落差が大きい場所、圧送管の吐き出し先、硫化水素が発生しやすい場所など、腐食のリスクが極めて高い箇所については、下水道法に基づき5年に1回以上の点検が義務付けられています。
点検作業は大きく「巡視」と「詳細な点検」に分かれており、マンホールの「蓋」と「内部」をそれぞれ確認します。
1. 巡視(日常的な確認)
蓋を開けずに地上から目視で確認を行います。
・蓋のガタつきや摩耗の有無
・浮上・飛散防止機能の有無
・マンホール周辺の路面の沈下や亀裂の確認
2. 点検(本格的な調査)
実際に蓋を開けて、詳細な内部調査を実施します。
・器具を用いた確認:鏡とライト、または管口テレビカメラを用いて内部を調査します。
・入孔目視(直接確認):作業員がマンホール内へ入り、直接目視で確認します。精度は非常に高いですが、万全な安全対策が必須となります。必要に応じて、管口カメラで内部の可視範囲も併せて確認します。
徹底すべき安全対策
マンホール内は、酸素欠乏や硫化水素などの有毒ガスが発生する危険性があるため、作業時には必ず以下の対策を徹底します。
・酸素濃度や硫化水素などのガス濃度の事前測定
・必要に応じた十分な換気の実施
・交通安全対策および転落防止策の徹底
マンホール点検は、単に内部を覗くだけでなく、蓋の安全性から内部構造の劣化状況までを総合的にチェックする重要な業務です。異常を早期に発見し、適切な対策を講じることで、市民の皆様の生活を支える下水道インフラを安全に維持することができます。現在は、各自治体や専門業者がマニュアルなどの基準に基づき、計画的にこの点検を実施しています。
[Information on Kurume City Multilingual Consultation Support Service]
Kurume City provides a free consultation service for foreign residents who are facing problems or worries in their daily lives. All consultations are strictly confidential. You can also consult about your family members or friends, not just yourself.
We offer support for a wide range of everyday life matters, including status of residence (visas), health insurance, pensions, taxes, employment, and child-related issues. If you have any concerns regarding septic tanks (Johkaso), please feel free to consult with us here as well.
No reservation is required for this service. You can contact us using the following methods:
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