開催趣旨

銀河団ガスのクーリングフロー問題は、銀河団中心領域における銀河団ガスの冷却と加熱のメカニズムが複雑に絡み合った、銀河団物理における長年の難問として知られています。従来のクーリングフロー問題は、銀河団ガスの冷えない問題、つまり冷却と加熱のバランスをどのように維持するのかに焦点を当てた研究が盛んに行われてきました。加熱源として有力視されている乱流について、X線天文衛星XRISMによる銀河団ガスのX線精密分光観測による直接測定により、興味深い示唆が得られつつあります。一方、近年、ほうおう座銀河団という、クーリングフローが実際に起きているとされる銀河団が発見されたことにより、クーリングフロー問題は新展開を迎えています。この状況を打破し、クーリングフロー問題解決の切り札になりうるのが、ALMAによる銀河団中心領域の原子・分子ガスなどの冷たいガスの観測です。

本ALMA Workshopでは、銀河団ガスのクーリングフロー問題を多角的な観点から取り組むため、銀河団クーリングフローの観測・理論研究の枠を超えて、星間空間における高温ガスから冷たいガスに至るまでの冷却（あるいは加熱）過程の観測・理論研究、原子・分子ガスと星形成に関する観測・理論研究などの幅広い分野の知識の統合を目指します。これにより、温度10^7 Kから10 Kまでの6桁に及ぶスケールでのガスの物理を議論します。加えて、ALMA Cycle 13 や14 にて、ALMAによる原子・分子ガスの観測提案に関する戦略を議論します。

理論・観測、あるいはX線・電波などの専門波長帯やALMA観測経験の有無に関わらず、大学院生や若手研究者をはじめとして多くの方にご参加頂き、活発な議論を通じて本コミュニティーがより発展することを期待しております。

本ALMA Workshopが扱う主なテーマ

・銀河団ガスのクーリングフロー問題

・原子・分子ガスの観測

・高温ガスから冷たいガスに至るまでの冷却（あるいは加熱）の物理過程

・冷たいガスから星形成に至るまでの物理過程

講演・参加申し込み

本研究会への参加・講演の申し込み受付は終了しております（11月1日）。

申込締切

**旅費補助を希望される方**

2025年10月24日(金) 23:59 (JST)

**講演・一般参加の方**

2025年10月31日(金) 23:59 (JST)

 会場

 参加費：1000円

世話人

SOC: 

赤堀卓也（国立天文台）、上田周太朗（金沢大学・代表）、川勝望（呉高専）、紀基樹（工学院大学/国立天文台）、永井洋（国立天文台）、藤田裕（東京都立大学）、米徳大輔（金沢大学）

LOC:

有元誠（金沢大学）、上田周太朗（金沢大学）、木邑真理子（金沢大学）、澤野達哉（金沢大学）、中島王彦（金沢大学）、中西裕之（石川県立大学）、米徳大輔（金沢大学）

 謝辞

本ALMA Workshopは、国立天文台アルマプロジェクトによる「2025年度アルマワークショップ」による支援を受けております。世話人一同、感謝申し上げます。