概要を読んでもよくわからない…。
「超カンタンに知りたい」という人のために説明します。
神谷貴行さんは、日本共産党という政党の職員を長くつとめてきました。長年、共産党の福岡市議会議員のサポートの仕事をしてきたし、みんなからおされて共産党推薦で福岡市長選挙にも出ました(共産単独推薦候補としては過去最高票)。
そんなある日、同じ共産党のメンバーで松竹伸幸さんという人が「共産党の代表を選ぶときにみんなで選挙をやったらどうか」などの内容を書いた本を出しました。共産党はそれを理由に松竹さんを共産党から追放してしまいました。この事件は共産党のあり方を示すものとして新聞やテレビでも大騒ぎになりました。
神谷さんは、「松竹さん追放のやり方はおかしいんじゃないか」と共産党の中の会議で発言し、見直すように提案しました。会議では神谷さんの提案は否決されましたが、神谷さんは自分の提案を否決した党の決定を紹介しながら、自分はその決定にそってこれからもがんばります、という趣旨をブログに書きました。
ところが、党の幹部は、このブログが党のルールに違反すると言い始めました。
「党の決定に反する意見を紹介している」とか「会議の議論を勝手に外に持ち出した」とか難くせをつけたのですが、神谷さんは「いやいや、決定に従いますって書いてるでしょ?」「会議の議論なんか書いてませんよ。誰のどんな発言を書いたのか、言ってください」と反論しました。党幹部はまともに答えられませんでしたが、とにかくお前はルール違反をしたんだから反省しなさい、反省しない場合は追い出します、と言い続けました。
反省を強制することは共産党のルールでは禁止されています。
それなのに反省しないと追い出される…共産党から叩き出され、職も失ってしまう…神谷さんは悩みくるしみました。こうしたことについて、党幹部は神谷さん1人を呼びつけて幹部5人でいっせいに追い詰めました。また、神谷さんの持っている仕事をぜんぶ取り上げて、仲間と接触することを禁止し、しかも神谷さんがいない会議で神谷さんが「共産党を破壊し、撹乱する人だ」という悪口を流し続けました。いわゆるパワハラです。
神谷さんは、パワハラを受け、精神疾患をわずらい、二度も休職に追い込まれました。
党幹部は、神谷さんを「ルール違反だ」と言ってみたものの、十分な理屈や証拠がありません。そこで必死で松竹さんと秘密の連絡を取っていないかとか、松竹さんの一味だとか、そういう「証拠づくり」をやろうとしたのでしょうか、なんと1年3ヶ月にもわたって「調査」をしましたが、けっきょくそうしたことにつながる新たな証拠は何も出てきませんでした。
そして、神谷さんは共産党の県の役員だったのですが、党幹部は60人以上いる役員たちの前で神谷さんがルール違反をしたかどうかをはかることができず(党のルールでは処分にはそれが絶対に必要)、結局、神谷さんにきちんとした弁明の機会も与えないまま、ごく一部の幹部だけで「神谷は規約違反をした」と決めつけて、追放(除籍)をし、解雇してしまったのです。
この事件は一言で言えば、ありもしない「ルール(規約)違反」に問われ、不正な手続きとパワハラで追放された事件です。