私たちは、言葉を使って学び、言葉を使って考えます。言葉の力こそ学力の基本です。スポーツ選手がまずランニングによって足腰を鍛えるのは、腰の力こそスポーツの基本だからです。(体をあらわす肉月と要を使って漢字『腰』が出来ていますよね。)それと同じように、本当に学力を高めたければ、まず言葉の力=日本語力を鍛える必要があります。英語力は、実際に外国人と英語で会話出来るかどうかで分かる気がします。でも普通に友達と話し、ネットの書き込みを読み、テレビのアナウンスを聞いていますから、日本語力を意識することはあまりありません。勉強でも英語では、単語を何語知っているかがまず問題です。高校受験には500語くらい、大学受験には2000語くらいは知っておかないと・・と言う基準があります。では、あなたは、日本語の言葉をどれくらい知っていますか。
ある調査によると、小学校六年生で学力の高い児童の語彙(ごい=知っている単語の数)37000語に対し、学力の低い児童の語彙は10000語、つまり4倍近く差が開いている。勉強ができるから語彙数が多いのではありません。語彙数が多いから学力が高いのです。また文字を読む速度を見ると、学力の高い児童は低い児童の4倍くらいの速さで読める。この日本語力の差が学力の差を作る。学力を根本的に高めたければ、日本語力を鍛えることが最初の仕事です。あなたの語彙は? 読む速度は?
では、日本語力をどうやって鍛えるか。普段の会話、テレビの視聴からも言葉は学べます。でもそこでは子供でも普通に分かる言葉しか使われていない。そしてこれは誰でもやる。日本語力の差はそれ以外の部分、活字を読む体験の量によって決まります。逆に、日本語力を高めたければ、活字を読む量を増やす。新聞を読む、本を読むことです。
気に入った本を読むのは楽しいことです。と言うか、楽しい本を読まなくては駄目です。楽しみながら学力を高められる。こんなお得な話は他にない。まず自分が楽しめる本を見つけましょう。
どこの学校にも図書室があります。ただで借りられます。最も優れたところは、気に入らなかったら返却すればよいことです。10ページ読んでつまらなかったら返す。これを繰り返しながら、自分のお気に入りを探す。本当に手元に置きたい本に出会ったら、本屋で購入するのです。
インターネットで「面白い本 中学生」とか「面白い本 高校生」で検索してみて下さい。お世話好きの人が世の中にはこんなに沢山います。これと、図書室を組み合わせれば、自分のお気に入りを必ず見つけられるでしょう。図書室になかったら、図書室に買ってもらう。生徒の希望は喜んで聞いてくれるはず。トンデモナイ本は別として。
私の高校時代恵まれていたことの一つは、読書好きの先輩や友人に出会えたことでした。幸運にもこういう人に巡り会えたらそのすすめほど確かなものはありません。私の読書の世界を広げてくれたのは、先輩と友人でした。
収録した全作品がそれぞれ百字程度で要約紹介されている優れもの。本屋さんに置いてあれば無料!でくれる。もらえるだけもらってこよう。取り寄せ無料のものもある。ネット上で読めるものもある。ざっと眺めるだけでも楽しい。お気に入りを探す絶好のアイテム。(特に岩波文庫は収録してあるもののレベルが高く、目録を読むだけで、文学史や日本史、世界史の勉強になる。)○○=新潮、角川、岩波、ハヤカワ、講談社、中公、ちくま、文春、東京創元社、集英社 、ほか。△△=岩波、中公、朝日、講談社現代、河出、集英社、ちくま、文春、平凡社、ほか。
一冊お気に入りの本に出会ったら、しめたもの。同じ作家の別の本。また、解説のページなどに登場する関連した作家の作品、作家のエッセイなどに紹介されてる本・・どんどん繋がりが生まれます。そのうち、「あなたの本棚」ができあがります。
まず日本の若者向けに書かれた本から始まった読書も、世界を広げていきたい。純文学に、エッセイに、そして海外文学へ。新書版が普通に読めるようになったら、大学入試の国語も大丈夫。
次のページに私が個人的に推薦する書物をあげてみます。