高齢化社会において、認知症などの神経変性疾患や癌が増加傾向にあり、タンパク質分子が異常に絡まり合う「異常凝集」がその主な原因となっています。近年、タンパク質は液−液相分離により「液滴」と呼ばれる分子集合状態を形成し、異常凝集体へと転移することが明らかになっています。細胞内で液滴状態は高効率な化学反応を可能にする一方で、タンパク質同士が絡まり合うと凝集(異常凝集)してしまいます。 私たちの研究室では、顕微鏡分析やタンパク質設計といった独自手法を用いて、タンパク質の分子状態から液滴状態、異常凝集体までを研究しています。
人工知能設計法などを用いて人工タンパク質を設計し、「新規の機能性液滴」を開発しています。設計はコンピューター上で行い、大腸菌でタンパク質を発現・精製し、顕微鏡で設計した液滴の機能を評価しています。液滴に特定のタンパク質を集合させ高効率な化学反応を実現するなど、多様な機能性液滴の開発に挑戦しています。
疾患タンパク質に結合し、疾患タンパク質同士が絡まないようにすることで異常凝集を防ぐ 「人工ペプチド」や「人工タンパク質」を設計しています。また、液滴状態や異常凝集体を回収する装置の開発などを行い、1万種を超える生体分子の中から、異常凝集を抑制する機能性分子を見つけ出すことにも挑戦しています。
光ピンセット*などの独自の顕微鏡を用いて老化細胞や菌体を観察し、異常凝集と老化の関係を解明しています。(*光ピンセット顕微鏡は光で液滴などを操作することができ、液滴の力学的な応答を調べることができます。)
また、単分子蛍光顕微鏡を用いて細胞内のタンパク質1分子1分子を追跡し、その動きや働きを調べています。研究に適した顕微鏡を作製し、独自の視点で細胞や菌体を観察することで新しい発見を目指しています。
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