「日本の海洋学、世界の海洋学」
皆さんは海洋学を学び、その知識を使って研究を進めている最中でしょう。日々、新たな知識を得て、新しい手法を理解し、それらを自分の研究テーマの中でどう使うのか、悪戦苦闘していることと思います。将来研究者として国内はもとより世界を舞台にして生きて行くには、このような研究そのものに直接関係する部分(学部や大学院で経験する部分)だけでなく、より大きな視野の広がりを持つことが求められます。
それなりの期間を研究の世界に身を置いて、何とかこの世界で生きてきた中で気がついたこと、感じたこと、皆さんに伝えたいことをお話しし、様々な視点での議論のきっかけにできればと考えています。
「沿岸漁業再生のための水産業シミュレータ」
我が国の沿岸漁業は漁獲減のみならず、魚価低迷、燃油の高騰、漁業者の減少と高齢化等の社会経済的な理由により、漁業規模が縮退するなど厳しい状況にある。沿岸漁業を維持・活性化していくためには、漁場環境の再生や漁業資源の適切な利用などの「海の問題」への解決策を推進すると同時に、生産・販売戦略や流通構造の変化による生産者利益の増加など「陸の問題」も検討する必要がある。そこで、従来の海域環境改善や持続的資源利用の視点に加えて、資源状況の時空間変動や、市場の需要などの経済的視点を加味した管理方策を検討し漁業者等へ提案することを目的として、生産から消費までの実態を再現・予測する水産業シミュレータの構築を目指している。