ネガティブ・ケイパビリティ
「わからない」「矛盾している」「すぐには答えが出ない」状態に、あえてとどまる力。
この言葉は、イギリスの詩人ジョン・キーツが、1817年12月21日付の弟たちへの手紙の中で用いた表現です。キーツは、詩人にとって重要な資質として、次のように述べました。
“when a man is capable of being in uncertainties, Mysteries, doubts, without any irritable reaching after fact & reason”
「人が、不確実さや神秘、疑いの中にいながら、事実や理由を性急に求めて苛立つことなくいられるとき」
ここでいう「ネガティブ」は、否定的・消極的という意味ではありません。すぐに答えを出せない状況に耐え、わからなさを抱えたまま考え続ける力を指します。
依存症支援では、支援者が「なぜ飲むのか」「どうすればやめられるのか」を急いで決めつけないことが大切です。
「やめたい。でも飲みたい」
そんな矛盾も、そのまま受け止める。
答えを持っていない自分に耐えながら、その人と一緒に考え続ける。
「何とかしてあげなければ」と急ぐのではなく、
「今は、わからないままでいい。一緒に見ていこう」
と、ただ隣にいる。
それも、依存症看護の大切な力だと思います。
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【HALT】 HALTを知っていますか?
飲みたくなったときは、すぐに答えを出そうとせず、少しだけ立ち止まって、HALTを確認してみましょう。
H=Hungry(空腹)
A=Angry(怒り)
L=Lonely(孤独)
T=Tired(疲れ)
お腹がすいていたら、何かを食べてみる。
怒りを感じていたら、いったんその場や相手から距離を置いてみる。
孤独を感じていたら、信頼できる人に連絡してみる。
疲れていたら、できるだけ休んでみる。
HALTは、無理に我慢するための方法ではありません。飲みたくなった自分を責めるのではなく、そのとき自分が何に困っているのか、何を必要としているのかに気づくための合図です。
「ハングリー、アングリー、ロンリー、タイアード」
歌うように口にして、覚えておきましょう。
そして、飲みたくなったときに、ふと思い出してみてください。
「あ、HALTかもしれない」
その小さな気づきが、自分をいたわるきっかけになるかもしれません。