新入生セミナーの「建築環境の役割」を担当する糸井川高穂です。
よろしくお願いします。
建物には、それぞれ目的があります。
多くの場合、その目的の達成に最も強く影響するのが建築設備です。
例えば、レストランで夕食をいただくときも、建築設備がレストランの目的の達成に一役買っています。
「まだ寒い3月の夕方です。暖かい店内は、柔らく温かみのある光に包まれています。となりのお客さんは海の幸をふんだんに使ったペペロンチーノをいただいているようです。私たちは野菜たっぷりのトマトスープパスタをいただくことにしました。厨房では、シェフが忙しそうに料理を作っています。」
これを建築設備の視点で見ると、次のようになります。
「外気温は5度です。寒さに慣れた客と長時間滞在して暖かさに慣れた客の両者が快適でいられる室温20度を達成するように空調が運転されてい店内には、色温度の低い暖色系の照明が間接照明として客の視線より少し高い位置に配置されています。魚介やニンニクといったにおいの強い食材のにおいが周囲に拡散しないよう、空調の吹き出し風速が低く抑えられています。酸味のあるにおいも、ゆるやかに換気扇に吸い込まれていきます。厨房では、においの強い食材が過熱調理されているので、熱とにおいの拡散を低減するフードを備えた強力な換気扇が随所に配置され稼働しています。」
オフィスや工場、住宅やスーパー、病院や水族館など、目的を持ったすべての建物は、このような視点で見ることができ、そのように設計されています。
この授業では、建物の目的を達成するための設備を上手に使うことができるようになるために、建築設備的な視点のフレームを皆さんに提供します。
今回の授業の出欠は課題の提出で判断します。
課題を提出してもらえないと、出席とすることができません。
評価は課題と中間試験で行います。