2024年度テーマ:作用素論を目指して
具体的には,行列環上の保存問題について勉強する予定
各種写像において,
・ある構造を保存する写像は,他のどのような構造を保存するか?また,そのような写像の形を決定する問題。
・ある集合を保存する写像の形を決定する問題。
・ある関係を保存する写像の形を決定する問題。
・・・
このような種類の問題を「保存問題(preserver problem)」という。数学的な対象からなる集合には,演算や距離などいわゆる「構造」が定まっている。例えば複素数全体の集合を考えれば,和や掛け算などの演算が定まっているし,複素数どおし距離も定まっている。一見無関係にも見える異種構造間に存在している強い関係性を見出そうとするのが保存問題である。
数学的な対象は複数の構造をもつことが多い。それらの間に仮定される相互作用が見かけ上弱いものに見えても,その実相は強い因果関係に支配されているもののようである。例えば,自然数の集合は和と積という全く異種の2つの構造を持っているが,積を和で表すことができる!21世紀の小学生はこのことを用いて掛け算を学んでいるらしいと知ってJamiraは驚いたという。ユークリッド空間の間の線形写像は代数的性質のみで規定されていて解析的な条件は表面上はみえないが,この写像は自動的に連続になる。時代をさかのぼると,クライン(F. Klein)はエルランゲン・プログラム(1872)の中 で、幾何学を特定の変換群の作用で不変な図形の性質を研究するものと考え,その影響によって19世紀の幾何学は抽象的な群の研究とあわせて大きく発展したようである。階層の差を無視して,あるいは非常に一般的に解釈して同形式で問われる問題を保存問題といってよいのではないかと思っている。 物理学においても,例えばローレンツ変換で不変な性質を調べたりもするようである。 用語は別として,保存問題への意識は特定の数学分野に固有のもの ではないようである。
数学における保存問題の源流は,行列式を保存する写像を研究した19世紀末のフロベニウスの研究にみることができる。もっとも1776年のオイラーの論文で3次元ユークリッド空間の距離を保存する写像の研究があるので,保存問題の歴史はさらにさかのぼることができるともいえる。保存問題は理論物理学者のウイグナー(Wigner)のunitary or anti-unitary theorem以来量子力学とも関係を深めている。
本勉強会では,このような保存問題の入門的な内容を学んでいく予定です。保存問題についての和書はなく,洋書も含めて入門書はありませんので,Jyamira作成の資料を必要に応じて配布します。使用する言語は日本語の予定です。
実施場所:放送大学新潟学習センター
実施予定日時:
2024年 4月16日,23日,5月7日,5月21日,6月18日,7月2日,7月30日,8月6日,8月20日,9月17日
10月1日,10月15日,10月29日,11月19日,11月26日,12月3日,12月17日
2025年 1月7日,2月4日,2月18日,3月4日,3月25日
すべて火曜日13時から15時
各種ファイル
・過去に配布したものなど
無限を数えてみよう 不思議な模様 平行線の問題とナビシステム 平行線の問題とナビシステム(補足) 0.99999....って何?
・2024年度資料
作用素論を目指して2024資料v.20241126 4月16日補足 4月23日補足.rev 5月20日補足 全射・単射練習問題 全射・単射練習問題2
7月2日のテープリッツの問題訂正 多元環とグラスマン代数 9月17日問題(複素数の平方根) 2乗するとaになる数
・AIで数学ができるか?
AIでIMOレベルの幾何の問題が解ける! AIが数学に与える潜在的な影響について(Bulletin of AMS4月号)
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・複素数は本質的に必要か?
Quantum theory based on real numbers can be experimentally falsified
・2025年度資料