9.13~9.16の四日間にわたり、東京大学弥生キャンパスで鳥学会が開催されました。
当大会は、小中高校生から研究者まで、幅広い世代が研究内容の発表を行います。
口頭発表によるものと、ポスター掲示による発表があり、今年度は口頭発表が101本、ポスター掲示が186本ありました。
そのなかで、当応援団会員の本村健氏がポスター論文を掲示しましたので、ご報告します。
「チョウゲンボウのルースコロニーにおけ る営巣数と餌環境、捕食者との関係」
○本村健(中野市教育委員会)、久野真純(広島大・ 先進理工)
【要旨】
チョウゲンボウは日本では最大 20 つがい程度のルースコロニーを形成するが、その形成要因は明らかにさ れていない。本研究では、捕食者と餌環境がルースコロニー(最大 6 つがい営巣)の営巣数に与える影響を 調べ、その形成要因を考察した。調査は、2006 年から 2022 年の長野県北部のルースコロニーの営巣地 2 箇所で、3 月から 7 月の繁殖期に毎月営巣数をカウントした。また同時に捕食者(ハヤブサ等)の飛来頻 度、餌環境等に関する7項目を調査し、営巣数との関係について一般化線形モデルを構築した。その結果、ハ タネズミの密度、その他のネズミ類の密度、餌場の植生群落高が増加すると営巣数が有意に増加したが、捕 食者の飛来頻度とは有意な関係は見られなかった。ハタネズミはチョウゲンボウが多く捕食する餌動物のた め、その密度の高さが営巣数を増加させることが明らかになった。また補助的な餌であるその他のネズミ類 の密度と、ネズミ類の生息環境に影響する植生群落高が高い場合にも営巣数は増加した。このため、チョウ ゲンボウのルースコロニーの形成要因の一つは、好適な餌環境であることが示唆された。