2025年11月22日(土)に中野市北部公民館にて、チョウゲンボウ勉強会を中野市教育委員会と共催して実施しました。総勢25名以上の方にご参加いただき、最年少は小学生から最高齢は80代と非常に幅広い年代の方々に興味を持っていただけました。
はじめに十三崖の現状について、教育委員会事務局生涯学習課の本村健氏よりご説明いただきました。応援団理事でもある本村氏はチョウゲンボウ研究の第一人者でありますが、応援団発足当時からかかわっており、20年間のデータ推移を基に現状を考察されました。
チョウゲンボウの集団営巣ゼロの原因は、繁殖地周辺の水田が減少し果樹園が増加していることですが、絶滅したわけではなく崖周辺の北は飯山方面、南は須坂地域まで広い範囲でチョウゲンボウは営巣しているということがわかりました。また、栄村方面で実施されている千曲川堤防の改修工事に際し堤防の土からネズミが狩れるのではないかという示唆もありました。
チョウゲンボウたちは十三崖を見捨てたわけではありません。餌場として魅力を取り戻すべく周辺環境の整備が一層重要になると思いました。
今年初めての試みとして、広島大学大学院助教の久野真純氏よりオンライン講演を実施していただきました。久野氏は本村氏と生態学に関する共同研究をしており、チョウゲンボウに関してネズミの分布について本年札幌市で開催された鳥学会にて研究発表されていました。
今回のテーマは「田んぼや畑が野鳥にもたらす良いことと悪いこと」でした。
水田という日本独特の自然活用法が湿地というカテゴリに分類されるのですが、鳥全種のうち3分の1にあたる種が水田を利用していることに驚きでした。
水田は春に水を張り冬は畑地状になるサイクルが野鳥たちにとって格好の休憩場所であり豊富な餌場となるのです。冬季湛水という、冬でも水田に水を張ることで肥料の消失防止や害虫の発生防止にも役立ち、鳥たちが休息場所として利用することが期待される取り組みも紹介されました。
しかし、いいことばかりではありません。沿岸部近くの水田や畑地には海風を防ぐ防風林があります。この防風林が捕食者である猛禽類の絶好ポイントでありますが、水田や畑地の遊休耕作地になると防風林も放置または伐採の危機に瀕します。ヨーロッパでは防風林等直線的に植樹することを奨励する取り組みがあることを講演会で紹介いただきました。
十三崖は冬季に積雪のある地域に位置し、水田が広がっていました。冬季湛水は不要ですが、だからこそネズミの繁殖サイクルとチョウゲンボウの繁殖サイクルが一致するのだそうです。近年の地球温暖化により水田に水を入れる時期が早まると、チョウゲンボウの繁殖サイクルがネズミのそれと合致しなくなりより子育てが難しくなるようです。
座学終了後、十三崖へ移動し崖の現状を観察しました。
松本から来てくれたルビアちゃんとちょうすけを囲んで撮影会も行われました。
さいごに、副会長が終わりの言葉で「応援団というのは、盛り上がってきたときに応援するのはもちろん、苦しい時や負けそうになった時にエールを送るのが本来の応援。十三崖も今営巣ゼロという苦境に立たされているが、ふたたびチョウゲンボウが舞い戻ってきてくれることを願い、応援してまいります」とおっしゃっていたことは、とても胸に響きました。
私たちの活動が明日の地域活性化、環境保全につながるよう努めてまいりますので、なにとぞ応援団の活動をこれからも見守っていただきますようお願い申し上げます。
十三崖をバックに参加者と集合写真
夕日にくれなずむちょうすけの後ろ姿と、リンゴ狩りのちょうすけ
11月22日はいい夫婦の日
ルビアちゃんとちょうすけはつがいではありませんが、応援団の広報アイドルユニットkestrel(ケストレル)を結成し活動中です♪何卒よろしくお願いします♪