謹啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より日本ペインクリニック学会ならびに疼痛医療の発展に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたび、日本ペインクリニック学会 第7回九州支部学術集会を、2027年2月13日(土)、沖縄県市町村自治会館において開催する運びとなりました。
本学術集会のテーマは、
「海を越えて、ペインクリニックの叡智をつなぐ
―インターベンション・集学的治療による全人的苦痛への挑戦―」
です。
高齢化の進展や疾病構造の変化、医療技術の高度化に伴い、急性痛、慢性疼痛、がん疼痛、術後遷延痛など、痛みを抱える患者さんに対してペインクリニックが果たす役割は、これまで以上に重要になっています。
痛みは単なる身体症状ではありません。長期化する痛みは、患者さんの活動性や就労、家族関係、社会生活に影響を及ぼし、不安や抑うつ、孤立、さらには生きる意味や希望にも深く関わります。そのため、痛みの強さを軽減することだけでなく、その人が再び自分らしい生活を取り戻すことを目標とした、全人的な支援が求められています。
近年の疼痛診療は、薬物療法、神経ブロック、脊髄刺激療法、超音波ガイド下治療、内視鏡を用いた低侵襲治療などのインターベンションに加え、リハビリテーション、心理的支援、看護ケア、緩和ケア、地域連携などを組み合わせた集学的治療へと発展しています。
インターベンションは、痛みの機序に直接働きかけ、患者さんが生活を取り戻すための重要な契機となります。一方で、痛みが長期化し、人生全体に影を落とすようになったときには、一つの治療法だけで十分に対応することは困難です。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、心理職、薬剤師をはじめとする多職種が、それぞれの専門性を持ち寄り、継続して患者さんを支えることが不可欠となります。
インターベンションと集学的治療は、決して相反するものではありません。患者さんの状態や人生の歩みに応じて、適切な時期に両者を組み合わせることによって、より大きな治療の力が生まれるものと考えています。
本学術集会でいう「海」とは、地理的な隔たりだけを意味するものではありません。診療科や職種、施設、地域、世代、さらには身体とこころ、治療とケア、専門知と生活知の間にある隔たりを越え、互いの経験と知恵を結び直したいという願いを込めています。
「叡智をつなぐ」とは、最新のエビデンスや高度な医療技術を共有するだけではなく、日々の診療で培われた実践知、患者さんやご家族から教えていただいた経験、そして医療者同士の対話から生まれる知恵を持ち寄り、次の診療と次の世代へ受け継いでいくことでもあります。
本学術集会では、疼痛医療に携わる医師および多職種が一堂に会し、身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛をどのように理解し、どのように和らげていくのかについて、専門分野や立場を越えて考える機会にしたいと願っています。
また、古くから海を介して多様な文化と人々をつないできた沖縄の地から、九州各県はもとより、全国、そして韓国をはじめとする近隣地域との学術交流も視野に入れ、将来の国際的な疼痛医療ネットワークにつながる一歩を踏み出したいと考えています。
九州支部の会員に限らず、全国の皆様にもご参加いただけるよう、現地開催に加え、講演の一部については後日オンデマンド配信を予定しています。経験豊かな先生方はもちろん、これから疼痛医療を担う若い医療者や、さまざまな領域で患者さんの痛みと苦しみに向き合っておられる多職種の皆様にも、積極的にご参加いただければ幸いです。
沖縄の海を越えて集う知識、技術、経験、そして思いやりが結び合い、新たな疼痛医療の可能性をひらく学術集会となるよう、鋭意準備を進めてまいります。
2026年秋には復興再建された首里城が皆様を歓迎いたします。多くの皆様に沖縄の地でお目にかかり、ともに学び、考え、語り合えることを心より楽しみにしております。
謹白
一般社団法人日本ペインクリニック学会
第7回九州支部学術集会
大会長 笹良 剛史
牧港クリニック 集学的痛みセンター
亀田総合病院 疼痛・緩和ケア科