ご挨拶

第18回日本作業療法研究学会学術大会

大会長 森内 剛史

長崎大学生命医科学域(保健学系)

 この度,2024年8月31日,9月1日の2日間,長崎大学医学部良順会館にて第18回日本作業療法研究学会学術大会を開催する運びとなりました.本学会は,基礎研究に取り組んでおられた諸先輩方が,「作業療法について語れる場」を求め,1989年に設立された「作業療法基礎研究会」に始まり,その後2006年に現在の「日本作業療法研究学会」に改組され,基礎研究に従事する作業療法士の研究成果の発表の場としてこれまで発展してきました.

 昨年開催された第17回学術大会において,本学会の学術誌編集委員長の李先生より,今後の本学会が向かうべき方向性について,皆で検討していくべくロードマップを作成していただきました.そこで,本学術大会においては,原点回帰を行い,諸先輩方が築いてきた作業療法の基礎研究について振り返り,これからの作業療法における基礎研究のあり方,本学会の進むべき方向性について考えていく未来志向型の学会になるよう本学会のテーマを「過去から学び,未来へ繋ぐ – 作業療法研究の新たな時代に向けて – 」としました.

 近年のリハビリテーション領域では,ロボット技術を応用した新たな方法論の確立に向け,AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など,様々な最新技術を組み合わせた新たな介入方法が検討されてきています.一方で,2013年に発表されたオックスフォード大学の研究によると,自動化リスクの低い仕事つまり,AIやロボットに変わることができない仕事の第6位に作業療法士が挙げられています.本学会の教育講演では,身体障害領域,精神・発達障害領域において実用的なAIやロボット技術の応用に向け第一線でご活躍されている慶應義塾大学理工学部 牛場潤一先生と長崎大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経学分野 熊崎博一先生にご講演いただき,最新の知見についてご紹介していただく中で,今後,作業療法士としてこの分野の研究や臨床応用に向けてどのように実践していくべきか考える機会になればと考えております.さらに,本学会では若手・ベテランの先生方を交えて,今後の作業療法の基礎研究について考えていくシンポジウム,一般演題として,口述およびポスター発表を予定しております.年代関係なく参加者全員でディスカッションを行い,本学会が向かうべき方向性について検討していきたいと考えております.

 本学会が開催される長崎市は現在100年に一度の変革期として大きな進化の時期を迎えております.変革期を迎えている長崎の地で,今後の作業療法研究の未来について熱く語らい,参加者の皆様にとっても,本学会にとってもターニングポイントとなるような実り多い学術大会になるよう準備を進めて参りたいと思います.皆様のご参加を心からお待ちしております.