ご挨拶

ご挨拶


 2020年前期は、大学関係者の間で今後永く語り継がれる稀有な経験を、教職員のみならず、学生・院生の多くが共有しました。そうです、授業のオンライン化です。準備を始めた2020年の春休みは誰もが懐疑的に思っていたオンライン授業が、環境が整わないなどの問題はあったものの、蓋を開けてみれば、意外にも「できてしまった」との感想を抱いた方が多かったのではないでしょうか。さらに想定外だったのは、授業によっては半数近くがオンライン開講を今後も希望するとの履修生のアンケート結果に現れたほど、日本の通学事情が学生にとっては厳しいもので、ついに日本の大学が「パンドラの箱」を開けてしまった学期となりました。

 2020年度近畿大学でのオンライン大会も、「できてしまった」との想いをぜひとも共有していただきたく、準備委員会が一丸となって「パンドラの箱」を開けることにいたしました。ただし、ほぼ手弁当で準備を進めていくにあたり、通常開催の年次大会のイメージをまずは捨て去り、何が心底求められているかを理事会をはじめ検討した結果、研究発表の機会が会員のみなさまにとっての最大のメリットであり、そこを最低でも保証しようと、研究発表を核とした大会設計・運用を心掛けております。シンプルがベストである。これを実証するためのオンライン大会となります。

 大会テーマの重要性を否定する訳ではありませんが、学会を担っていくのは、会員のみなさま方の研究に他なりません。そこで、第19回近大大会では、あえて大会テーマを掲げず、研究発表をメインに据え、会員のみなさまによる研究内容にもっとも重きを置いた大会に仕上げていくつもりです。そして、これまで以上に研究発表を重視した形で、多文化関係学会20周年となる2021年度を迎え、来年度こそは、対面にてみなさまにお会いできることを願って止みません。


2020年度年次大会準備委員会