COVID-19感染症数理モデルの再検討
オーガナイザー
掛谷英紀 (筑波大学)
COVID-19パンデミック下では、2020年春の接触削減政策、2021年の東京五輪開催時の感染予測、2023年5月の感染症法上の位置づけ変更に伴う影響評価など、数理モデルに基づく多くの予測や政策提言が行われた。これらのモデルは感染対策に関する政策決定において重要な役割を果たした一方で、その後の実測値との乖離や、モデルの前提条件・妥当性に関する議論も生じている。具体的には、モデル間の整合性、シミュレーション条件の設定、数式と実装コードの対応関係などに関して、検討すべき課題が指摘されている。感染症数理モデルは今後の公衆衛生政策においても重要な役割を担うと考えられるため、その妥当性や限界について学術的観点から検討を行うことは重要である。本シンポジウムでは、COVID-19数理モデルの検証を行ってきた数理科学・疫学研究者が、それぞれの観点から分析結果を報告するとともに、今後の感染症モデリング研究における再現性・透明性向上に向けた課題と展望について議論する。
講演予定者
岩本康志(東京大学)
中村隆(東京理科大学)
上島有加里(東京理科大学)
掛谷英紀(筑波大学)
「かたち」への数理・計算アプローチ
オーガナイザー
大林 一平 (岡山大学)
古賀 一基 (東京科学大学)
池田 香凜 (九州大学)
野下 浩司( 九州大学)
生物の「かたち」は,行動・機能・適応度に直結する重要な表現型でありながら,その定量化・比較・モデル化は容易ではない.3次元計測技術や画像解析技術の一般化により形態のデータ化は飛躍的に進んだ一方で,得られた高次元のかたちから生物学的に意味のある構造を抽出し,発生や進化の機構と結びつけるには,数理・計算的な新たなアプローチが求められている.近年では,トポロジカルデータ解析や離散微分幾何,偏微分方程式に基づく数値計算,調和解析や機械学習を活用した形状データ解析など,多様な数理・計算的手法が形態研究と結びつき,「かたち」を捉える視点そのものを更新しつつある.本企画シンポジウムでは,純粋数学・応用数学・数値計算・形態測定学などの立場から生物の「かたち」を含む多様な「かたち」と向き合う研究者にご講演いただく.数理・計算アプローチが形態研究にもたらす視点に触れつつ,観察・計測と理論の行き来,そして「かたち」をめぐる分野横断的な研究の今後について議論したい.
講演予定者
池田 香凜 (九州大学)
野下 浩司( 九州大学)
計算神経内科学:病理から症状への橋渡しを目指して
オーガナイザー
岩波翔也(名古屋大学)
中江健(福井大学)
本シンポジウムでは、PETなどの分子イメージングや神経計測技術により得られる定量データを基盤に、脳内の生理・代謝動態と認知・身体機能との関係を数理的に統合するComputational Neurologyの新展開を議論する。特に、計測データと行動・臨床指標を結びつけるモデル化やデータ同化の枠組みに着目し、疾患の早期検出や機能低下の予測、介入効果の定量評価に資する方法論の確立を目指す。基礎から臨床までを横断し、計測技術と数理モデルの相互作用を通じて、認知・身体機能の理解とその制御に迫る。
講演予定者
中江健 (福井大学)
小松三佐子(東京科学大学・理化学研究所)
近藤洋平(名古屋大学)
矢田祐一郎(名古屋大学)
行動―生態―進化:種内多型を創出する多階層性
オーガナイザー
冨塚暖史(東京都立大学)
久保日嵩(北海道大学)
堀田淳之介(東京情報大学)
立木佑弥(東京都立大学)
本シンポジウムでは、行動・生態・進化を横断する視点から、種内多型の創出と維持を説明する数理生物学的枠組みを議論する。個体の意思決定や相互作用といった行動レベルから、集団動態や種間相互作用を含む生態スケール、さらに進化的時間スケールに至るまでの多階層な過程がどのように結びつくのかを明らかにする。理論モデルの構築と解析を通じて、多型の創出原理とその普遍性を探り、行動・生態・進化を統合する新たな理論的視座の確立を目指す。
講演予定者
冨塚暖史(東京都立大学)
久保日嵩(北海道大学)
堀田淳之介(東京情報大学)
生物現象の理解に向けた数理構造とデータ解析
オーガナイザー
吉村雷輝 (名古屋大学)
河井雪野 (早稲田大学)
近年、計測技術や情報基盤の発展により、生物現象に関する大規模かつ多様なデータが急速に蓄積されている。一方で、これらの膨大なデータを統合的に解釈し、生物システムの背後にある構造や原理を明らかにすることは依然として困難であり、大きな課題となっている。こうした状況において、グラフ構造や確率モデル、動的システムといった数理的枠組みに基づくモデリングと、統計解析や機械学習などのデータ駆動的手法を組み合わせたアプローチが重要性を増している。本シンポジウムでは、数理構造・データ解析・生物情報解析といった多様な観点から生物現象の理解に取り組む研究者を招き、それぞれの手法がどのように生物学的知見の抽出に寄与しているかを議論する。異なるアプローチの共通点と相違点を整理しながら、数理とデータの統合による新たな研究展開の可能性を探る場とする。また、活発な議論を通じて、今後の数理生物学における新たな方法論の創出と分野横断的な連携の促進を目指す。
講演予定者
細田一史(NICT・CiNet)
小松 瑞果(神戸大学)
細川正人(早稲田大学 )
松井 求(京都大学 )
形態形成におけるマクロな制約とミクロな秩序
オーガナイザー
堀口修平(金沢大学)
形態形成は化学反応や力学的運動によって時間発展する物理的な現象であり、ミクロな構成要素のスケールでの時間変化がマクロなパターンを生み出す。一方で、マクロに課される境界条件などが制約としてミクロな秩序を決定づけるという側面も存在し、この階層間の双方向の関係が形態形成を進行させる。近年、数理と実験を組み合わせた先駆的な研究によって、ミクロな細胞の体積や配向性・キラリティなどが、マクロな時空間的秩序をどのように形成し、逆に制約されるのかについて明らかにされ始めている。本シンポジウムでは、筋芽細胞や胚盤葉上層、心臓、内耳などの異なる現象で発見され、異なる数理的アプローチで解析されてきた階層間の関係についての最新の結果を概観し、今後の数理生物学に期待される役割と求められる理論について議論したい。
講演予定者
宮廻 裕樹(東京大学)
市川 尚文(京都大学)
川平直史(UCLA・理化学研究所・慈恵医科大学)
堀口修平(金沢大学)
準備中
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