第15回医療コンフリクトマネジメント学会を主催いたします、長崎大学の栗原慎太郎です。
大きなテーマとして患者相談を取り上げましたが、コンフリクトマネジメントのいろんな側面が見つけやすいと考えて選んだテーマであり、患者相談の学会ではありません。
医療におけるコンフリクトマネジメントは、医療に関わるあらゆる行為のなかで根源ともいえる業務です。医療としてまず浮かぶものは、診断や治療、ひいては先進的な医療ではあるものの、これらは診療行為として限定され、医療の一部でしかありません。医療が手術に限らず、投薬を含めた侵襲を伴う行為であるからには、医療側だけでなく、患者側との双方向の同意がなければ傷害行為となるのですから、芯からの理解があって始めて医療行為が実施可能となります。
まさにインフォームドコンセントが重要であるとされる理由のひとつがここにあり、医療の重要な段階となっています。しかし、重要性は理解するものの、個々の事例において目的を達成できているか測ることは容易ではなく、どのように実施すればよいのかについての具体的な方法は必ずしも明確ではありません。私は医療を実施し経験を積むほどに、エビデンスだけでなく、患者のナラティブによって方針を決定することが多くなってきました。結果的に診療と医療との大きな差を体感しています。
医療コンフリクトマネジメントやその手法の大きな割合を占める医療メディエーションを理解することは、インフォームドコンセントひとつをとっても、理解を深めるだけでなく、その方法論をもたらすこととなり、つまりは医療についての理解を深めることとなります。
コンフリクトマネジメントは、決して対立が発生したのちに解決するためだけのマネジメントではなく、医療行為の始まりから医療側と患者側に発生しうるコンフリクトを発生させない取り組み全体のマネジメントを指すのであり、対立が発生することはすでに一部のマネジメントの失敗を意味します。今後医療行為を実践していく医療者には、是非とも理解していただきたい論理であり、相互に研究結果や実践内容を検討し、より深いマネジメントを模索することは、医療の発展に寄与するに違いないと確信しています。
第15回学術大会長
長崎大学病院 安全管理部部長
栗原 慎太郎