全国大会プログラムの自由論題、英語セッションの詳細につきましては、各会場情報をご確認ください。
趣旨
2022 年 2 月 24 日に始まったロシアのウクライナ侵攻を契機として、緊張感を増しつつある米・ロ対立の影響は、安定と均衡を実現しつつあった世界秩序を大きく様変わりさせつつある。そうしたなか、同年 5 月に開催された第 27 回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)において、「分断された世界をつなぐ、アジアの新たな役割」というテーマのもと、活発な議論が展開されたことは記憶に新しい。分断化が進む世界経済のなかで、ひときわ存在感を増しているのがアジアである。多様性とダイナミズムのバランスに長けたアジアは、いまや世界経済のけん引役となっている。そして、そのアジアとともに歩んできた日本企業もまた、そうしたアジアの存在を抜きに自らの“未来”を描くことはできない。
アジア経営学会全国大会は、2023 年に記念すべき第 30 回目を迎える。1993 年 10 月の専修大学・神田キャンパスにおける創立大会を経て、翌年 9 月には山形県長井市のハイマン・タス・ホテルにて、本会の第 1 回全国大会が開催された。この間、アジア経営学会はその目的・設立趣旨に則り、常に「アジアの経営学の研究」をテーマとした研究活動に尽力してきた。
「本会は、アジアの人々と連携し、経営を中心とした科学・技術・産業に関する学術的な相互交流を通じて、内外研究者の共同と親睦を深め、アジアの経営学の研究と普及を盛んにし、もって人類社会の友好と健全なる発展に寄与することを目的としています。」(アジア経営学会「学会の目的」より)
なかでも、全国大会統一論題では、本会を代表する正会員による問題提起に対して、フロアとの活発な意見交換がなされてきた。過去 29 回にわたるその蓄積は、アジア経営学会の知的資産であるとともに、日本とアジアの学術的な連携の礎として、内外における本会の対外的評価を支えている。その意味では、統一論題の歴史には、本会の歴史そのものが集約されているともいえる。
そこで、今年度のアジア経営学会第 30 回記念全国大会の統一論題テーマを、「分断化する世界経済とアジア企業の未来」とする。成長著しいアジア企業のダイナミズムに、不確実性の増す世界経済への打開策を見出し得るのか?また、そうした文脈のなかで日本企業が果たしてきた役割、あるいは今後果たすべき役割とは何か?アジア企業の一角を占める日本企業はもとより、アジア企業との関係性の深く欧米企業も含めた、アジア企業を取り巻く“未来”全般について、アジア経営学会会員の総力を挙げて議論することを目指したい。
「分断化する世界経済とアジア企業の未来」という統一論題テーマのもと、記念すべき第 30 回全国大会を成功させることを通じ、アジア経営学会の目的・設立趣旨を会員全体で再確認するとともに、さらなる本会の発展へとつなげる新たな契機としたい。