佐伯知紀(日本映画研究者)
山本洋(元大映副社長)
武内健(元大映常務取締役)
司会進行:桝井省志(元大映・東京藝術大学名誉教授)
2024年12月21日(土)12:30開場、13:00開始、17:00終了予定
※休憩含め4時間以内の会を予定しています。
定員30名(こちらの予約フォームからお申し込みください)
無料
東京工芸大学中野キャンパス1号館 地下1階 大演習室
東京都中野区本町2−9−5
東京メトロ丸ノ内線・都営地下鉄大江戸線
中野坂上駅下車 徒歩約7分
1番出口より山手通りを初台・大橋方向に進み、成願寺を右折
第1回代表幹事:馬場一幸(東京工芸大学芸術学部映像学科助教)
日本映画を語る上では、一般に、作品、監督、俳優、製作者を中心に語られてきました。
しかし日本映画の黄金期においては、映画会社とその撮影所が中心になって映画が製作され、それぞれの会社が独自の個性を放ち、監督や脚本家、作品そのものへ多大な影響をもたらしました。そのため、本企画『映画会社の研究』では、日本映画における映画会社の歴史を知り、関係者の体験談を交え、その評価を検証し記録することを目的としています。
『映画会社の研究』 の第1回は、大映を取り上げます。
日本映画研究者の佐伯知紀氏のご講演と、山本洋氏(元大映副社長)、武内健氏(元大映常務取締役)にご登壇いただき、大映で体験した歴史を語っていただきます。司会・進行は桝井省志(元大映)が担当します。日本映画史にとって貴重な時代の証言となることでしょう。
今後、第2回以降も同様な形で、東宝、東映、松竹、日活などを取り上げて行く予定です。日本映画の歴史をみなさんと一緒に検証していきたいと考えています。
戦時体制下(第二次世界大戦)の企業統制により、日活(製作部門)と新興キネマ、大都映画の合併によって1942年に設立された映画会社。3社統合を画策した中心人物は永田雅一(当時新興キネマ京都撮影所長)。松竹、東宝の2大メジャー会社の間に参入した同社は、国策映画会社の性格を強く帯びていた。合併当時は時代劇の大スター(阪東妻三郎、片岡千恵蔵、市川右太衛門、嵐寛寿郎)を擁し、大作を手がけ存在感を示した。なお、日活の配給興行部門は日活の名称のまま存続し、戦後、調布の染地にスタジオを建設し製作に復帰する。
戦後は占領軍による時代劇製作禁止の指令のもとで、困難に直面するが、工夫をこらした現代劇や「母もの」映画などで苦境をしのぎ、1951年黒澤明の『羅生門』がヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し世界から注目され、その後も溝口健二の『雨月物語』『山椒太夫』が同映画祭銀獅子賞、衣笠貞之助の『地獄門』がカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞するなど、日本映画の復権を世界に強くアッピールした。1950年代半ばから60年代前半までの約10年間、日本映画は黄金時代を謳歌するが、この間、一貫して社長を務めた永田の剛腕は映画界のみなならず、経済界でも重きをなしていた。その大作重点主義は、その後の映画界を襲った衰退期(テレビ文化の浸透、経済の高度成長によるレジャーの多様化)において、破綻に向かう。勝新太郎や市川雷蔵のヒット作品はあるものの、大勢を立て直すにはいたらず、1971年12月に倒産。その後、労働組合の懸命の運動により、1974年徳間書店を中核とする徳間グループの一つとして映画製作を再開(徳間大映)するが、2002年に角川書店に譲渡され角川大映映画となる。2004年に角川映画と変更。現在は調布の多摩川にあるスタジオ「角川大映スタジオ」に「大映」の名称が残されている。
第1回代表幹事挨拶 馬場一幸 (13:00〜13:10/10分)
第一部 日本の映画会社の歴史
講演 佐伯知紀氏(13:10〜13:40/30分)
第二部 大映映画の歴史
永田・大映の歴史/講演 佐伯知紀氏(13:40〜14:10/30分)
徳間・大映の歴史/講演 武内健氏/聞き手 桝井省志(14:10〜14:40/30分)
休憩(14:40〜14:50/10分)
第三部 山本洋(元大映副社長)大いに語る/聞き手 佐伯知紀氏(14:50〜15:50/60分)
永田雅一社長時代の大映に助監督として採用され、後に労組委員長として倒産後の大映を、徳間康快氏(徳間書店社長)への経営の橋渡しを行い、徳間大映の基礎を築いた。またプロデューサーとして『敦煌』などの名作を数多く生み出した。その一連の経緯と、そして永田大映、徳間大映の社風、作風を語ってもらいます。
第四部 アフタートーク・質疑応答(16:00〜16:30)
閉会挨拶 松浦昇(16:30〜16:40/10分)
閉会(16:40〜17:00/終了予定)
佐伯知紀(さいきとものり)
1954年、愛媛県生まれ。日本映画研究者。東京国立近代美術館フィルムセンター研究員を経て、文化庁に異動し、映画映像分野を専門とする芸術文化調査官(文化部芸術文化課)を務めた。現在、上智大学の非常勤講師、「映画のまち調布シネマフェスティバル」実行委員長を務める。
主な著作 『伊藤大輔 反逆のパッション、時代劇のモダニズム』(フィルムアート社 ) 『映画美術に賭けた男』(草思社) 『聞き書きキネマの青春』(リブロポート)など。
山本洋(やまもとよう)
1941年、東京生まれ。山本薩夫(映画監督)次男。元大映副社長。映画プロデューサー。
代表作 『敦煌』(監督・佐藤純彌) 『おろしや国酔夢譚』(監督・佐藤純彌)『まあだだよ』(監督・黒澤明) 『Shall we ダンス?』(監督・周防正行)など。
武内健(たけうちけん)
1959年、神奈川県生まれ。元大映常務取締役。現在、トラヴィス代表取締役。映画プロデューサー。
代表作 『蟲たちの家』(監督・黒沢清) 『富江アンリミテッド』(監督・井口昇) 『マザー』(監督・楳図かずお) 『明日の食卓』(監督・瀬々敬久)など。