カリキュラム・教材・授業を支える
4つの理論的枠組み
私たちのプロジェクトは以下のような理論的枠組みの中で、マルチリンガルな学習者のための継承日本語カリキュラム・教材・授業を作ることを目指しています。
私たちのプロジェクトは以下のような理論的枠組みの中で、マルチリンガルな学習者のための継承日本語カリキュラム・教材・授業を作ることを目指しています。
Genre-based approach (ジャンル教授法)
ジャンルに基づいた言語教授法「ジャンルアプローチ」では、体系機能言語学(下を参照)の言語観に基づき、言葉をつかって表現する際には、どんな目的で誰に向けてどんなコミュニケーションツールで発信するかなど、社会的コンテクストに応じて言葉をうまく使う必要があると考えます。
例えば「語り文」「報告文」などの異なるジャンルで書くことができるようになるには、典型的な構成やそれを具体化させる語彙や表現などを明示的に学ぶことが効果的です。本プロジェクトでは、ジャンルごとに構成や語彙、表現に関する認識を高めながら、効果的に書く能力を養うことを目的としています。
本プロジェクトが提案するカリキュラムでは、様々なジャンルをバランスよく網羅し、段階的に指導することで、学習者が自律して書く力が身につくように、書く課題をデザインしています。
Translanguaging (トランス・ランゲージング)
私たちが支援する継承日本語学習者の多くは多言語話者であり、かれらは日常生活の中で自発的に自分たちの持つ多様な言語資源をフル活用してコミュニケーションをしています。これをトランス・ランゲージングと呼びます。本プロジェクトではこれをアドバンテージととらえ「継承日本語学習」に積極的に生かしていきます。
私たちが支援する継承日本語学習者たちは、「日本語」は苦手でも、その他の言語では年齢相応の言語力・思考力を有しています。もし日本語力だけを基準に小学低学年・中学年の教材を使用したら、発達段階が進み、知識欲旺盛な中学生や高校生が、達成感をもって学習することは難しいでしょう。本プロジェクトで向上を目指す言語はあくまで「日本語」ですが、「日本語」を習得する過程で、「英語」や「中国語」などの得意な言語、また、得意な言語で学んだ知識をうまく利用して、「日本語オンリー」ではなかなかできない知識欲を刺激するようなカリキュラム・教材・授業づくりをしていきます。
この研究プロジェクトを通して、学習者が、日本語で書かれた教材で学習しながら、多言語使用者としての言語力・思考力全体を強化し、今後幅広く活用できる学習ストラテジーを身につけ、柔軟で自律的な学習主体を育てることを目指しています。
Systemic Functional Linguistics (体系機能言語学)
体系機能言語学では、言語を単なるルールの集合ではなく、「何」を「誰が誰に」「どのように」伝えるかという要素を組み合わせた社会的な作用ととらえます。この考え方をもとに、体系機能言語学には「言葉の使われ方」を様々な観点から分析し記録するフレームワークがあります。
本プロジェクトでは、この体系機能言語学のフレームワークを用いて、学習者の作文を分析することにより、より具体的で客観的なフィードバックができるような評価法の確立を目指しています。これにより、学習者がフィードバックや気づきを、ほかの作文でも再現し、書く力全体をレベルアップできるように指導します。
Paragraph Writing (パラグラフ ライティング)
パラグラフライティングは、論理的な思考を促し、アイデアや情報を整理し、明確に伝える能力を養います。このライティングスキルは、IBディプロマ全教科において、さらには大学で要求される論文作成で多いに役に立ちます。