システム正当化研究会
since 2022.10
since 2022.10
本研究会は,日本の人々が社会や政治状況をどう認識しているかを定点観測し,システム正当化(現状の社会制度やシステムを,ただそこに存在するという理由で受け入れ,また,そのシステムを維持しようとすること)を軸に,その差異や変化を社会心理学的な観点から分析しています.
クラウドソーシングサービスを活用して,1ヶ月に1回パネル調査を実施しています.毎回聞く質問のほか,社会状況に応じた項目を加えて実施しているので,そういうことなら是非私のこの項目を取ってほしい!という方にスポット参加していただくことも可能です.必要があれば,収集済みのデータも提供できます.
Matsuo, A., Miura, A., Kitamura, H., & Murayama, A. (accepted). The ebb and flow of morality: The role of purity in the public perceptions of Fukushima's processed water release. Japanese Psychological Research. https://doi.org/10.1111/jpr.12546
道徳の「潮目」:福島原発の処理水放出に対する世間の認識における「純粋さ」の役割
2023年8月下旬に開始された福島第一原発の処理水海洋放出は,日本だけでなく世界から注目を集める社会問題となりました.2023年9月に,私たちの調査パネルにこの件に対する賛否を問い,道徳基盤や感染忌避傾向,システム正当化傾向との関連を分析・考察しました.
※本研究に際しては,北村と共同で清浄志向/穢れ忌避(POPA)傾向尺度を開発した松尾朗子氏(東京大学先端研)に加わっていただきました.
Miura, A., Murayama, A., & Kitamura, H. (2024). Behind the mask: Analyzing the dual influence of social norms on pandemic behavior in Japan. Japanese Psychological Research. https://doi.org/10.1111/jpr.12520
マスクの裏側:日本のパンデミック時の行動に対する2つの社会規範の影響
2023年2月から10月にかけてのパネル調査データを用いて,アフターコロナへの重要な転換期を含む日本人のマスク着用率の推移とそれに対する社会的規範の影響を分析し,私たちの社会行動に対する「状況の力」を解明しました.
プレスリリース(大阪大学)
紹介記事(2024.4.27 朝日新聞)
村山綾・三浦麻子・北村英哉 (2023). 新型コロナウイルス感染禍とシステム正当化. 社会心理学研究, 39(2), 64-75. https://doi.org/10.14966/jssp.2022-003
※この論文には訂正があります(Table 1,符号1箇所の誤り).
新型コロナウイルス感染禍における医療の逼迫に見られる国や政府などのマクロレベルのシステムへの間接的な脅威がシステム正当化への動機づけを高める可能性について,日本社会を対象に複数の研究を通して検討しました.その際,2022年10月と11月に実施したパネル調査データを用いて,システム正当化の程度を測定する尺度の日本語版を作成して,再検査信頼性と基準関連妥当性を検討しました.
ジョン・T. ジョスト(著) 北村英哉・池上知子・沼崎誠(監訳) (2022). システム正当化理論. ちとせプレス.
村山綾(著) (2023). 「心のクセ」に気付くには―社会心理学から考える. ちくまプリマー新書.