集合写真
優勝:瀬田匡志選手
準優勝:高橋祐次選手
第3位:鎗水猛選手
準優勝 高橋祐次選手 優勝 瀬田匡志選手 第3位 鎗水猛選手
全日本釣り技術振興評議会
副理事長 服部 義正
今年度も6月21日(土)22日(日)の二日間かけて例年通り、岐阜県郡上市の白鳥と大和地区においてJFTコムテックカップ全日本アユトーナメントが開催され、全国から選抜された選手及び台湾から選抜された選手総勢64名、自身磨き上げてきた友釣りの技を競った。水況、天候共に恵まれて選手達は充分にその技術を発揮することが出来、大いに盛り上がった素晴らしい大会となった。
今年はメインスポンサー(株式会社 コムテック)様からのご協賛も大幅に増やしていただいた上に、新規に参入していただいた企業様からのご協賛もあり、増々豪華な賞金と賞品を提供しての大会となり、選手諸君の意気込みも増して、今迄にない盛り上がりを見せた。
今年の大会においては、オーナーばり様、グローブライド樣、シモツケ樣、マドンナツール様等、各釣り具メーカー樣からの推薦選手として、有名な選手も多く送り込んで頂くことが出来た上に全国の権威ある大会の覇者の経験を振りかざしての選手達も多く参加してくれ、よりレベルアップしての戦いとなって大いに盛り上げてくれ、JFTのアユ部会の未来に明るい輝きを放ってくれた事は言うまでもない。
試合の内容だが、先ずは1回戦、64名が32名に間引かれる大切な戦いだ。朝一番からの試合で、まだアユの活性が低い時間帯での試合であるため、選手の間では昔から運試しの鬼門と恐れられている一戦だ。
一回戦で一番注目した試合は、一昨年のこの全日本アユトーナメントでグローブライド樣の推薦選手として初出場していきなり優勝し、昨年のアユ王座決定戦においては全勝優勝を果たした西部俊希選手だ。JFTの試合で彼の連勝を止める金星を挙げるのは誰だ。その一回戦は山口県から参戦した田中修選手で、彼もまた地元では有名な、確かな腕の持ち主であることからその試合の行方がが気になっていた。終わってみれば13匹対7匹で、田中修選手が西部俊希選手の連勝にストップをかけて、大金星を挙げたではないか。これだから朝一番の鬼門の試合と言われるのか。さらに、一昨年の王座決定戦を全勝優勝した島根の大庭敏成選手と加藤達士選手の試合も9匹対14匹で大庭選手も鬼門で早々と敗退となった。
だが、一回戦で運を掴んだ選手が居る。今回優勝した瀬田匡志選手だ。一回戦の相手は最近メキメキと腕を上げてきている島根の河内裕司選手だ。結果は9匹対9匹の同匹数、重量判定に持ち込まれて564g対566g、なんと2gの僅差で瀬田選手の勝ちとなった。この時点で私の頭の中には瀬田選手が優勝するかもしれないという事がよぎったのは確かだ。もう一人、一回戦を8匹対8匹の同匹で重量判定により441g対464gの23g差で勝ち上がった玉木功選手だ。玉木選手選手は準々決勝で高橋祐次選手と対戦し11匹対11匹の同匹。規定により、1匹早掛け競争となり、高橋選手が勝利して玉木選手の運も受け継いだ。
他の試合では運命の女神の悪戯と思えるものは無く、順調に試合は進み、ベスト4に残った選手は【高橋祐次選手VS鎗水猛選手】【瀬田匡志選手VS清原裕之選手】となった。4名全員がアユ釣り界においては超有名人で、数々の大会において何度も優勝歴がある強者揃いである。流石にここまで勝ち上がって来る選手は技術的にもトップクラスの選手だ。よくよく見るとJFTアユ部会の高橋祐次部会長と瀬田匡志副部会長。この二人による決勝戦も有り得る組み合わせになっている。偶然とは言え、こんな組み合わせで尚且つこの二人がここまで勝ち上がってきていること自体、運命の女神様の悪戯としか思えないことである。
結局、決勝戦はこの二人の対戦となり、ドラマチックな大会になって良かったと思い喜んでいた。いよいよ決勝戦が始まった。参加選手を含めて、スポンサー様方々、多くの人達が固唾を飲んで見守る。前半戦は高橋選手の2匹くらいのリードで折り返したように見えた。後半戦もその差のままで推移していき、終了前12分頃には誰もが高橋選手の優勝の可能性が高くなったと思っていたはずだ。その時、運命の女神様が再び動いたのだ。瀬田選手が終了間際までの11分間で怒涛の5匹入れ掛かりをして大逆転。3匹の差をつけて15匹対12匹で試合を決めるという夢のようなドラマを演じてくれた。アユ部会の部会長と副部会長の決勝戦という珍事、その上に感動をより高めてくれた瀬田選手の最後まで諦めず演じてくれた大逆転劇。私も長年にわたり数々の名勝負を見て来たが、本当にJFTの記録に残る名勝負であった。
戦い抜き感動を与えてくれた選手諸君、お疲れ様でした。優勝した瀬田選手おめでとうございます。惜しくも準優勝の高橋選手、早く準優勝癖から抜け出して下さい。お疲れ様でした。そして、裏方に徹して、この大会の準備、運営、撤収等にご尽力賜りました役員並びに地元関係者の皆様、本当にお世話になりありがとうございました。
最後になりましたが、この大会に向けて多くのご協賛、ご協力を賜りましたスポンサー様、並びに関係企業の皆様に心より厚く御礼申し上げますと共に、深く感謝申し上げて今大会の戦評とさせて頂きます。
王座:大庭 敏成
2位:上田 弘幸
3位:西部 俊希
全日本釣り技術振興評議会 副理事長 小田 義正
2025年度、第44回JFTコムテックカップ全日本アユ釣り王座決定戦は福井県足羽川において、8月9日から11日の3日間で開催される予定であったが、9日、10日の二日間で7試合が終了した時点で天候が悪変、降雨増水により残り2試合は延期となり、9月7日に再度選手役員がが集結して、残り2試合を無事終了の運びとなりました。
足羽川漁協様には全試合にわたり、試合会場まで先導車で誘導していただいたり、テーブル、椅子等の資機材の手配、搬送等ひとかたならぬお世話をして頂きました。心より感謝を申し上げますと共に厚く御礼を申し上げます。
そして、昨年にも増して多大なるご支援ご協賛を賜りましたコムテック樣、オーナーばり樣、G7ホールディングス樣、マドンナツール樣、大橋漁具様、VISOA様をはじめ、多くのスポンサー様方、地元自治体関係各位様のお陰により,より盛大な大会が開催出来ました事に対して改めて感謝申し上げますと共に、心より厚く御礼申し上げます。
選手諸君もそれに応えるべく大いに頑張ってくれて、実力者が揃い白熱した試合を展開して、この大会を大いに盛り上げてくれました。
【西行福井市長様(後列中央)福井県足羽川漁業協同組合のスタッフの皆様と記念撮影】
選手左から児玉選手、瀬田選手、河内選手、有岡選手、上田選手、内山選手、森選手、大庭選手、 高橋選手、西部選手
大会初日
大会初日、第1試合、注目したのは高橋選手対瀬田選手の闘いである。どちらの選手も日本のアユ釣り界では超有名な実力者である。高橋選手と言えば、かつては年間5大タイトルを獲得したこともあり、昨年までこの王座決定戦に於いて数年連続して準優勝に泣き続けてきている名手だけに、そろそろこの辺りで爆発するのではと期待する。一方、瀬田選手はダイワアユマスターズで3回優勝している上に、これまでの王座決定戦でも全勝優勝を含めて4回優勝しているだけに期待がかかる。特にこの二人は今年の全日本アユトーナメントに於いて決勝戦で闘い、大逆転劇の末、瀬田選手が優勝したという大きな因縁があるだけに見所があった。結果は18匹対15匹で高橋選手が勝ちトーナメントでの雪辱を果たした。
アユトーナメントの雪辱を果たした高橋選手
2025年アユトーナメントチャンプ瀬田選手
第2試合は2組の対戦に注目した。西部選手対瀬田選手、ダイワフィールドテスター同志であり、どちらも王座全勝優勝経験者、特に西部選手は前回王座の全勝Champだ。
高橋選手対河内選手、1回戦で勢いを得た高橋選手に若手伸び盛りで、地元の島根県での実力は定評があり第1試合では同じく島根県の大庭選手に勝ってきた選手である。試合結果は、西部選手対瀬田選手:16匹対15匹の僅差で西部選手の勝ち。
高橋選手対河内選手:17匹対14匹で高橋選手の貫禄勝ち。
第3試合は3組の対戦に注目した。
試合結果は、
大庭選手対瀬田選手:30匹対25匹で大庭選手の勝ち。
上田選手対有岡選手:17匹対13匹で上田選手の勝ち。
西部選手対河内選手:17匹対26匹で河内選手の勝ち。
ハイスコアの試合で瀬田選手を下した大庭選手は勢いに乗る。有岡選手に勝った上田選手は価値ある1勝だ。西部選手に勝った河内選手はやはり実力を備えた伸び盛りの選手である。
第4試合(当初の予定では、初日3試合であったが天候を勘案し、初日に4試合まで消化)注目したのは西部選手対上田選手、21匹対19匹で西部選手の勝ち。この試合は終盤に日が暮れてしまい、上田選手は目印が見えなくなり、早仕舞いした残り時間に西部選手が2匹掛けて粘り勝ち。次は河内選手対瀬田選手、32匹対20匹で河内選手の勝ち。やはり河内選手はただ者ではない。
有岡選手に勝利した上田選手
瀬田選手、大庭選手、西部選手に黒星を付けた河内選手
大会初日、第1試合~第4試合が終了した時点では、西部選手、高橋選手、大庭選手、上田選手、河内選手の5人が3勝1敗で並び、有岡選手は2勝1敗1分けで追う状況だ。名手瀬田選手はどうしたことか4連敗だ。私が見る限りでは自分の釣りに迷いが生じているようだ。目の向くポイント設定が本来の彼の釣りからはかけ離れているように見受けられた。誰しも経験があると思うが、こういった極限を競う大会ではメンタル面で大きく左右されるものだ。自信を持って、自分の釣りを信じ、突き進む中でそれが的中する選手は、自身の力を更に加速して勢いが出る。しかし、一旦歯車が狂うと、なかなかそれを修復することはいかなる名人でも容易な事ではない。
5人が同率で並び、一分け差で追うのが有岡選手。初日から大混乱となり、優勝の行方は全く読めない。戦う選手達には張り合いがあり、観る側にとっては一戦毎に順位が激変するので、大いに見応えのある展開だ。
大会二日目、第5試合は2組の試合に注目した。有岡選手対瀬田選手、16匹対15匹、有岡選手の勝ち。双方共に超名高いアユ釣り界のスター選手の対決だが、今回不調の淵に沈んでいる瀬田選手は惜しくも1匹差でさらに沈んだ。勢いの差そのものと言える勝負であった。
大庭選手対上田選手、15匹対14匹で大庭選手の勝ち。この段階まで暫定1位の大庭選手がもしもこの試合を落としていたらと考えると、見ずには居られない試合であったが僅差で勝ち、優勝に向かって一歩駒を進めた試合であった。
第6試合は高橋選手対上田選手、18匹対19匹で上田選手の勝ち。名手高橋選手もさすがにここで敗れて気持ちが楽になったか・・・?1匹差の惜敗により大きく後退することとなった。
まだこの段階では、有岡選手は1敗、西部選手、上田選手が2敗をキープして大庭選手に続いており、優勝の行方は第7戦以降に持ち越されている。
第7試合は、
高橋選手対大庭選手、18匹対20匹で大庭選手の勝ち。
西部選手対有岡選手、15匹対18匹で有岡選手の勝ち。
上田選手対河内選手、30匹対16匹で上田選手の勝ち。
大庭選手、有岡選手、上田選手の3選手は駒を進め、西部選手は一つ下げた。
大会2日目までの7試合は無事に終了出来たが、その夜の天候悪化、降雨増水のため、一旦大会は中止となり、選手と役員により協議の結果、延期して9月7日に残り2試合を完全消化して勝敗を決することとなった。
王座を決するためには中途半端は出来ないという選手と役員の英断により、後日再び足羽川に集結して最後まで闘うこととなった。
役員選手は前日の6日午後に集合して、皆で協力して会場設営を仕上げて翌日の大会最終日に備えた。これもJFTならではの大いに誇れる光景である。
第8試合は3組の試合に注目した。
西部選手対大庭選手、7匹対10匹で大庭選手の勝ち。
高橋選手対有岡選手、14匹対14匹で引き分け。
上田選手対瀬田選手、13匹対4匹で上田選手の勝ち。
この段階での勝敗によっては上位が逆転する可能性を秘めた試合であったため、それぞれに注目が集まった。西部選手対大庭選手の試合で勝った大庭選手はこれで西部選手、上田選手の各後続選手との直接対決を制したこととなり、残る最終戦の対有岡選手に懸かると思ったが、実力者高橋選手が有岡選手と引き分けるという、大庭選手にとっては嬉しい援護射撃を展開したことにより、この段階で大庭選手の優勝が決まった。
第9試合、優勝は決まったとは言え、何といってもこの試合の見どころは、大庭選手対有岡選手の対決だ。この二選手は先日行われたダイワアユマスターズ全国決勝戦において、最終決勝戦を戦った二人だ。有岡選手に大逆転劇の末敗れた大庭選手には胸に秘めたものがあるはずだ。
結果は19匹対7匹で大庭選手の勝ち。余りの大差は胸に秘めたる闘志を持ち、王座での優勝も決 めて自信満々の心境の大庭選手と、目前で優勝が遠のき意気の沈んだ有岡選手との気力面での差か。やはり、アユ釣りといえども、これだけの力の逼迫した選手同士の闘いはメンタル面での充実は大切なものだと感じた。
最終戦を終え、緊張感の取れた大庭選手
ダイワマスターズのリベンジに燃えた試合後大庭チャンピオンと有岡選手
以上、2025年度 第44回JFTコムテックカップ全日本アユ釣り王座決定戦の3日間の熱戦についてご報告いたします。
9名の選手で大庭チャンプの祝福の胴上げ
森永理事長から地元施設にアユの贈呈