4名の研究者が動物(イルカ、リス、ウマ、ヒグマ)と人間の関係について講演いたします。
参加申し込みは不要ですし、参加費は無料です。ぜひご参加ください!
函館市民会館 大会議室
11月23日(日)
15:00 – 15:10
本シンポジウムについて
15:10 – 15:40
網に入らさるイルカ:漁業の現場から考える共存のかたち
15:40 – 16:10
都市のエゾリス研究から探る身近な野生動物とのちょうどいい距離
16:15 – 16:45
ウマの生態とこころ ~人馬の望ましい関係性構築に向けて~
16:45 – 17:15
知床世界自然遺産に棲むヒグマ 〜謎に包まれた生態と、人との関係〜
17:15 – 17:30
総合討論
網に入らさるイルカ:漁業の現場から考える共存のかたち
柴田 夏実
北海道大学大学院
国際食資源学院
さまざまな漁業において、イルカの混獲(漁獲対象ではない種を誤って漁獲してしまうこと)が問題となっています。混獲はイルカにとっても人間にとっても望ましくない事態であり、その軽減は重要な課題です。函館市南茅部地域の定置網では、例年4-5月に沿岸性の種であるネズミイルカが混獲されており、これを軽減するため長年にわたる調査・研究が行われてきました。
本講演では、同地域で混獲された野生個体を対象とした研究や、「イルカが通過しにくい格子」を設計するため飼育個体を対象に行っている実験的検証を紹介します。全体を通して、同じ海に生きるイルカとの共存への歩みを見つめ直したいと思います。
都市のエゾリス研究から探る身近な野生動物とのちょうどいい距離
内田 健太
東京大学大学院
農学生命科学研究科
現在、「野生動物とのちょうどいい距離」というテーマが、かつてないほど社会の関心を集めています。身近にいる野生動物は、私たちに自然観を育む機会を与えてくれるだけでなく、「癒し」を通じて人の心身の健康にも役立ってくれる存在です。一方で、野生動物との距離が近くなりすぎると、人身被害や感染症など深刻な軋轢を生む恐れもあります。私は、北海道の街中で暮らすエゾリスとその人馴れを研究しており、その知見を人と野生動物が適切な距離で共存できる環境づくりに活かしたいと考えています。
本講演では、生態学の視点から、人馴れが生じる状況や、人馴れが動物と人間社会の双方にもたらす影響を紹介します。会場の皆さん、野生動物との「ちょうどいい距離」について考えましょう。
ウマの生態とこころ ~人馬の望ましい関係性構築に向けて~
瀧本 彩加
北海道大学大学院
文学研究院
馬産地として名高い北海道。その地の利を活かして、私は、生産牧場や大学馬術部・乗馬クラブで、ウマの子育てや絆形成・コミュニケーションの研究をおこなってきました。本講演では、まず、本来群れで暮らすウマの生態に焦点を当てて、一日中群れで放牧されている北海道和種馬の観察からわかってきた、その子育てや絆形成の在り方をお話しします。次に、家畜化されて以降ヒトとともに暮らしてきたウマのこころに焦点を当てて、動物心理学の研究から明らかになってきた、ヒトに対して発揮されるウマのコミュニケーション能力を紹介します。
本講演を通して、改めて、ウマの魅力やウマとの付き合い方について皆さんと一緒に考えたいです。
知床世界自然遺産に棲むヒグマ 〜謎に包まれた生態と、人との関係〜
下鶴 倫人
北海道大学大学院
獣医学研究院
日本では北海道や東北地方をはじめとして、クマの出没や被害に関するニュースが世間を大きく騒がせています。私は世界的に最もヒグマが高密度で生息する知床半島において、20年近く調査研究を実施してきました。
本シンポジウムでは、これまでの研究から明らかになってきたヒグマの生態に関する研究結果を紹介するとともに、人間活動がヒグマの生活や人とヒグマの軋轢に及ぼす影響について、今まさに起きていることをお話ししたいと思います。これから人はどのようにクマと付き合っていくべきか、皆さん一緒に考えましょう。