第9代・日本英語教育学会会長を拝命しました赤塚祐哉です。
本学会は1970年に「科学的な方法により日本人学習者、日本人英語教師のあり方を解明し、提案する、開かれた調査・研究組織として」設立され、創立56年を迎えました。
日本において「英語教育学」という学問分野を発足させた歴史ある学会の会長職に拝命された重責を感じております。今後とも英語教育学の継承と発展に全力を尽くしていく所存です。みなさまの御指導を何卒宜しくお願い申し上げます。
ところで昨今、英語教育学が取り扱う範囲は拡大の一途を辿っています。理論と実践の往還が求められることは英語教育学の核となる部分ですが、英語指導法、第二言語習得論(SLA)等に加えて、CLIL(Content and Language Integrated Learning)、EMI(English Medium Instruction)、translanguaging、国際バカロレア教育、言語教育における批判的・創造的思考の育成、生成AIと大規模言語モデル等・・・列挙すれば枚挙に暇がありません。時代の変遷とともに、英語教育学を射程とする新たな概念が誕生しており、日本英語教育学会が社会に果たす役割も拡大しています。
学問分野が拡張している現状を踏まえて、改めて日本英語教育学会創設の理念と目的を確認してみますと、以下のように説明されています。
「そもそも人間が言語(母語)を習得していく行為はきわめて複雑であり、ましてやその人間が後年主として学校などで第2言語(いわゆる外国語)を習得していくことも複雑な行為であることを思えば、英語学習、英語教育を解明していく諸研究は当然複雑科学の一つであると言えよう。ここでいう複雑科学ということは、心理学、論理学、社会学、言語学、文化人類学などの関連諸学から必要な知識や刺激を受けていく、ということであり、いわゆる学際的(interdisciplinary)にならざるを得ない、ということである。」(一部抜粋)
この理念と目的で述べられている「複雑科学の一つ」、「学際的(interdisciplinary)」という言葉は、まさに近年の英語教育学の射程の拡大を見据えたものであり、日本英語教育学会の最大の特徴であると感じています。母語と外国語という境界を越えて、言語学と言語教育の視点からのさらなる研究の発展と先進的な実践を発信していくことが、日本英語教育学会の使命であると確信しています。
皆さまのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2026年4月1日
日本英語教育学会 会長
赤塚祐哉