サードセクター研究若手フォーラム(Japanese Early Career Forum for Third Sector Research: JECTS)は、サードセクターに関する研究を推進し、若手研究者同士の交流と協力を深めることを目的とした研究フォーラムです。
サードセクターとは「国家」「市場」「親密圏」の対比から、これらの各領域(セクター)の中間領域で活動する組織・団体の集合と理解されます(e.g. Pestoff 1998; 坂本 2017; 後・坂本編 2018)。具体的には、NPO・NGO、ボランティア、フィランソロピー、寄付、アドボカシー、社会的企業、社会運動、市民社会、協同組合、コミュニティなど、さまざまな概念・アクターを含みます。このようにさまざまな概念を含む言葉ですから、使う人によって「サードセクター」の意味が異なっていることもあります。そもそもサードセクター研究の国際会議であるInternational Society for Third-Sector Research (ISTR)でも「サードセクター」がきちんと定義されていません。
いわゆる「政府の失敗」や「市場の失敗」によってサードセクターの存在と重要性が指摘されるようになったのは近年のことであり、未だ実態が明らかになっていないからこそ、定義も流動的でばらばらなのかもしれません。しかし、政治や経済から取りこぼされる人々が増えるにつれて、多くの研究者・実践者がサードセクターに注目するようになり、今日ではさまざまな学術領域においてサードセクターの重要性が強調されています。
したがって、当フォーラムでも明確な定義は避け「市場や政府、親密圏とは異なる領域での活動・組織・個人に焦点を当てた研究」を行う方の参加を歓迎します。参考までにISTR 2024で募集されていた研究テーマは以下の通りです(以下のテーマに限るものではありません)
危機と紛争におけるサードセクターの役割と立場
サードセクター、持続可能な開発、気候変動、気候正義
人権、社会正義、公平性、多様性を追求するソーシャルワーク、ソーシャル・イノベーション、アクティビズム
サードセクターの成果と影響の測定
異なる政治体制と文脈の下でのサードセクター組織と市民社会:役割と規制
ポピュリズムとサードセクター
ローカルおよびグローバルなフィランソロピーとボランタリズム
社会起業家、経営、リーダーシップ、サードセクター組織のガバナンス
ハイブリディティ、ネットワーク、仮想空間、デジタル化とサードセクター
学際的/複合的なサードセクター理論
サードセクターに関する教育
特別テーマ:サードセクターにおけるニュー・パブリック・マネジメントの影響: 比較・批判的事例研究
その他のサードセクター関連トピック
ご自身の研究がフォーラムの研究テーマに合っているどうかに関して、ご不明な方はお問い合わせください。
問い合わせフォーム(要Googleアカウント)
幹事の専門も社会学、政治学、経営学、経済学など多岐に渡っています。分野、テーマを問わず、みなさまのご参加をお待ちしております。
当フォーラムでは年に2回、研究会を開催します。春季研究会(5月)はオンラインで開催し、研究者が地理的な制約を超えて参加できる機会を設けます。秋季研究会(11月予定)は対面・オンラインのハイブリッド形式で行い、直接的な交流とディスカッション、懇親会の機会を設けます。
サードセクターに関連する学会のスケジュールに合わせて研究会を開くことで、所属や専門分野を超えた交流を促進します。また一部で英語セッションを設ける予定です。日本語・英語での報告を歓迎します。
報告時間10分、質疑10分のショート報告形式を採用します。研究交流を第1の目的とするため、同一時間帯にセッションを分けることはせず、その上で可能な限り多くの方が報告・参加できるように運営します。幅広い研究分野からの参加が予想されますので、ご自身の研究を分かりやすいように簡潔に話すことが求められます。
研究報告の機会が少ない大学院生、大学生、若手研究者を優先します。
個人・グループ、いずれの研究も可としますが、報告者および参加者は参加資格を満たしている必要があります。
現在募集中の研究会
2025年春季研究会 (2/28締め切りました)
サードセクターに関する研究を行う若手研究者(学部生、大学院生、ポスドクを含む)
若手研究者:以下のいずれかに当てはまる研究者を指します
国内外の大学または大学院の正規課程に在籍している
大学院修士課程相当に在籍したことがあり、当該大学院の入学時から起算し、13年(修士博士の標準修業年限+「若手研究」応募資格年)を超えていない
科学研究費助成事業「若手研究」への応募資格がある(博士の学位取得後8年未満)
研修生や研究生などの身分で大学院に在籍しており、大学院への正規入学または大学等研究機関への就職を目指している
*本フォーラムは特定の学会に属するものではありません。したがって、以上の条件に当てはまる人であれば誰でも参加できます。
メーリングリストへの登録によってフォーラムへの参加登録が完了します。
登録費用は無料です。また原則として研究会への参加費用も無料です(懇親会への参加は別途費用がかかります)
メーリングリストへの登録
Googleアカウントにログインした状態で「登録」リンクにアクセスし「グループに参加」をクリックして登録を完了してください。
一部の法人アカウントでは登録できないことがあります。その場合、個人アカウントでアクセスし直してください。
メーリスは幹事からの連絡専用であり、幹事以外の投稿はできません。参加者間の連絡、交流、情報共有の手段は別途設ける予定です。
2025年現在、以下の7名が幹事を務めています。常勤研究者のほか、大学院生・これから進学予定の方なども運営に参加することで「若手のための研究会」を目指しています。
寺下和宏(東京大学)、佐藤絵理(東北大学大学院)、陳秋伊(東北大学大学院)、峯村遥香(東北大学)、金澤つき美(民間企業勤務)、高橋弘幸(関西大学大学院/ワーカーズコープ・センター事業団)、菰田レエ也(鳥取大学)