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東京工業大学 融合理工学系 News 研究室紹介
サンゴ礁域やマングローブ域を研究対象として、生態学的な調査や地球化学的な手法を用いた水質等のモニタリング、物理観測などの現地観測や、衛星リモートセンシングなど様々なテクニックを駆使して、生態系の複雑な挙動を理解し、背後にあるメカニズムを解明するための研究を行っています。
また、環境に対する生物群集の応答や相互作用を解明するための生態系の統合モデリングシステムの開発ならびに、数値シミュレーションによる生態系の将来予測に関する研究を行っています。
これらを通して、近年の地球温暖化や海洋酸性化などに代表されるグローバルな環境変化や、赤土や栄養塩の流出などのローカルな人為影響下での生態系の変遷や、それを踏まえた持続可能な人間社会と生態系とのかかわり方について研究を進めています。
小さいころは恐竜博士になりたいと思っており、その延長で、大学では地質・古生物学を専攻し、そこでサンゴ礁に関する研究に出会いました。
当初は研究テーマについてあまり真剣に考えおらず、海が好きだったことと石垣島で現地調査できるという単純な理由で研究室とテーマを選び、サンゴ礁の研究を始めました。
そのころは研究者になろうとも、なれるとも思っていませんでしたが、初めて現地に長期滞在し、調査を進めていく中で、サンゴ礁の魅力にどっぷりはまってしまったのがサンゴ礁の研究者を志すきっかけでした。
ちなみに、そのときに与えられた卒論のテーマについては、卒業はできたものの、未だに十分に納得できる答えは導き出せていません。このことも研究を続けることになったきっかけの一つです。
日本の亜熱帯域では裾礁と呼ばれるタイプのサンゴ礁が海岸線を取り巻いていますが、良く発達した裾礁は遠浅で、シュノーケリングなどで比較的簡単に泳ぐことができます。
サンゴ礁は様々な生物種が生息しており、泳いでいると、色とりどりの生き物や変わった形をした生き物に出会い、いつも新しい発見があって飽きることはありません。
このような地形や生態系を、造礁サンゴ自身がその骨格を積み重ねて何千年もかかて造り上げていきました。
このように広大かつ美しい構造物を造るサンゴ礁には、大きな驚きと崇高さを感じさせてくれます。
これを読んでくれている皆さんは、サンゴ礁に興味を持ってくれている方々と思います。
サンゴ礁を語るときに生態系という言葉を良く耳にすると思いますが、この生態系という言葉は、生物だけでなく、それを取り巻く環境を含んだシステム全体を指す言葉です。
つまり、生態系を理解しようと思うと、生物学だけでなく、数学、物理学、化学、社会学など、様々な分野について学ぶ必要があります。
今の勉強が何の役に立つのか?と思うこともあるかもしれませんが、サンゴ礁生態系の姿は、知識と経験を積み重ね、俯瞰し、統合してようやく少しづつクリアーになってきます(私自身、まだ理解できているとは言い難いですが、、。)。
国語や英語だって大事です。体育や音楽、生活、図工、家庭科も人生を豊かにしてくれます。
今やっていることは何一つ無駄にはならないので、ぜひ興味を持って一生懸命励んでください。
それと同時に、野山や海に出て、自然の面白さ、不思議さに触れ、様々な経験を積んで欲しいと思います。