第64回日本脂質生化学会を開催するにあたって
実行委員長 板部 洋之
このたび、第64回日本脂質生化学会の実行委員長を仰せつかりました昭和大学薬学部の板部です。本学会は2022年6月23日(木)、24日(金)の2日間にわたって、東京都品川区にあります昭和大学上條記念館で開催いたします。新幹線の品川駅、羽田空港からのアクセスも良い場所にありますので、多くの先生方、学生の皆さんのご参加をお待ちしております。
コロナウイルスの流行により、2020年は誌上開催、2021年はオンライン開催となりました。今回、会場に皆様をお迎えできれば、3年ぶりのオンサイト開催となります。学術集会は、研究内容を発表し、最新の情報に触れることは勿論ですが、同じ分野の研究者同士が直接話し合いネットワークを広げていく格好の機会になると思います。是非、皆さんに楽しんでいただける会になるように努めてまいります。
今回の大会メインテーマを「躍動する脂質」とさせて頂きました。様々な生理機能、分子挙動、代謝動態を持つ脂質の多様性が次々と明らかになりつつあります。新たな飛躍的な着眼点もそこから生まれてくると感じられます。また、個別の脂質分子の特性だけでなく、細胞膜間、あるいは細胞小器官の膜間での脂質の動きも注目されるようになってきています。脂質研究の新たな動きという意味合いに、2年間、我慢を強いられた私たちもようやく動き出せる解放感を重ね合わせて、この言葉を選びました。
本大会の特別講演は,脂質輸送の分野で大きな貢献をされた植田和光先生(京都大学iCeMS)にお願い致しました。「ABCタンパク質と生物の進化 ―私たちが今ここにいるのは、コレステロールのおかげかもしれない」というタイトルでご講演していただきます。
今回は、1日目、2日目に2つずつシンポジウムを企画しました。1日目のシンポジウム1は横溝岳彦先生(順天堂大学)と進藤英雄先生(国立国際医療研究センター)に「眼と脂質」というテーマで、また、シンポジウム2は今井浩孝先生(北里大学)と山田健一先生(九州大学)に「酸化脂質研究の最前線」というテーマで企画していただきました。2日目のシンポジウム3は花田賢太郎先生(国立感染症研)と伊東信先生(九州大学)に「脂質と感染症」というテーマでオーガナイズしていただきます。シンポジウム4は「細胞内脂肪滴の実像に迫る」というテーマで、大崎雄樹先生(札幌医科大学)と板部洋之(昭和大学)がオーガナイザーを務めます。今回は、シンポジウムを4つと多めにし、多様な切り口のテーマを取り上げることにしました。シンポジウムの時間帯と一般口演の時間帯はできるだけ重ならないように、スケジュールを組みたいと思っています。
昨年10月に国内の緊急事態宣言が解除されましたが、1月には再び感染が流行し始めました。素早く収束することを願っていますが、大会の開催に当たっては感染状況に柔軟に対応し場合によってはオンライン開催に変更することも考えています。いずれの場合でも、皆様の研究成果の発表を通じて、充実した情報交換の場となることを期待しております。
今回、日本脂質生化学会を開催できるのは大変光栄なことで、大変ありがたく思います。準備の至らない点も多々あると思いますが、どうかご寛恕ください。是非活発な会となりますことと、脂質生化学研究に加わっている皆さんの研究がさらに発展しますことを願っています。
多くの学会員の皆様のご参加を心よりお待ちしております。