第20回エアロゾルシンポジウム
バイオエアロゾル応用編(先端研究、標準化動向)
日時:2025年11月6日 (木) 14:30~17:30
開催方式:ハイブリッドZoom(要事前登録)
会場:TKP品川カンファレンスセンターANNEX (〒108-0074 東京都港区高輪3丁目13-1 TAKANAWA COURT 3階 ホール1)
参加費:無料
申込:こちらからお申し込みください。申し込み締め切りは11月4日17:00です。
アンケート:終了後にこちらから回答をお願いいたします
講師:富山大学 教授 田中大祐先生
講演概要:大気中には細菌、真菌、花粉、ウイルスなどの生物粒子(バイオエアロゾル)が浮遊しており、これらは公衆衛生、気候、そして生態系への影響が懸念されています。私はこれまで、都市部および地方都市郊外における大気微生物のモニタリングを通じて、粒径ごとの微生物群集の違いや時空間的動態、さらには健康影響に関する研究に取り組んできました。本講演では、粒径別サンプリング、アンプリコンシーケンス解析、培養法、ゲノム解析を組み合わせたモニタリング事例を紹介します。また、得られたデータをもとに,大気微生物がもたらす健康リスクについて考察します。
◇略歴
1992 富山大学大学院理学研究科修士課程 修了
1992 富山県衛生研究所 研究員
2003 博士(医学) (金沢大学)
2006 富山大学理学部 助手
2010 富山大学理学部 准教授
2013 富山大学理学部 教授
講師:産業技術総合研究所 主任研究員 飯田健次郎先生
講演概要:バイオ蛍光気中パーティクルカウンタ(以下BFPC)は、空気中に浮遊する微生物が付着した粒子(以下、バイオパーティクル)をリアルタイムでモニタリングする計測器である。BFPCの用途の一つは、バイオパーティクルにより医薬品などの製品が汚染されることのリスク管理である。BFPCは機能の高度化が進んでおり、粒子からの自家蛍光に加え、粒径や形状の測定結果も、バイオパーティクルであるかの判定に用いられている。この判定に用いられる蛍光強度などのパラメータの調整は、メーカーにて微生物を試験粒子として実施される。一方で、BFPCの定期校正において微生物が試験粒子として用いることに対し、リスク管理にBFPCを用いるユーザーからの強い懸念がある。これより、微生物からの自家蛍光を模擬する試験粒子の発生技術が求められている。本講演では、これまでの開発の進捗について紹介する。
◇略歴
2007年 博士(工学) (米国ミネソタ州立大学)
2012年 日本エアロゾル学会 奨励賞
2017年 日本エアロゾル学会 計測賞
2018年 日本空気清浄協会 技術賞
2018年~2022年 日本エアロゾル学会編集委員
2021年~ ISO TC24/SC4 粒子特性評価委員会
講師:慶応義塾大学 教授 奥田知明先生
講演概要:エアロゾル粒子の健康影響メカニズムを理解するためには、粒子の化学的および生物的(微生物・病原体を含む)特性を同時に把握する必要がある。しかし粒子捕集のためにフィルターを用いる従来法では、化学・生物特性の同時解析用途としては不十分である。具体的には、化学分析用のフィルター(PTFEや石英繊維等を素材とするもの)は高強度で不溶性であるが、フィルターに捕集された粒子を定量的に取り出せず、細胞・生物曝露実験や微生物・病原体分析には不適である。一方生物分野ではゼラチン等を素材とした水溶性フィルターを用いてきたが、これは生物実験ができる一方で、低強度で耐候性がなく化学分析に供することが困難である。本発表では、エアロゾル粒子の化学・生物特性の同時解析のための新規技術として、サイクロンと対候性水溶性フィルターという2種類の新たなアプローチを紹介する。
◇略歴
1999 東京都立大学大学院理学研究科化学専攻修了
2002 東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程修了、博士(農学)
2002 慶應義塾大学理工学部応用化学科助手
2007 同専任講師
2007 米国ウィスコンシン大マディソン校客員講師
2014 日本エアロゾル学会論文賞
2015 慶應義塾大学理工学部応用化学科准教授
2015 日本エアロゾル学会奨励賞
2015 Asian Young Aerosol Scientist Award
2016 日本エアロゾル学会計測賞・井伊谷賞
2016 日本エアロゾル学会常任理事(~2020, 2022~2026)
2020 慶應義塾大学理工学部応用化学科教授
2023 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(科学技術振興部門)