エンドレス

Mitsuki.N

2021.1(高校2年生)
京都精華大学 過去問

【問題】「エンドレス」をテーマに3〜5ページの漫画を描いてください。

ー完ー

評/美月さんは佳菜子さんと『ENDRESSから主人公が解放される話』として共にあらすじを考え、キャラクターデザイン・詳細なストーリー展開は各自で描き進めました。最後までよく頑張りました!エライ!!
 以前取り組んだ『千年に一度の夜by.美月』の際はキャラクター設定は固めていたものの、ストーリー設定・展開の方針が曖昧なまま本描きに入ってしまったことで良くも悪くも『なりゆきまかせ(気持ちの赴くまま)に』描くことに。
着地点を決めない『なりゆきまかせ』もそれはそれで楽しいのですが…難点が下記2点ほど。
  • 制作していくほどにイメージが広がりキャラクターへの愛着も強くなっていくため、 時間をかけるほどに『思いつくシーン』、『台詞』、『追加設定』が増えてゆくので…終われない
  • ページ割りのバランスが悪くなってしまう(全体の中での見せ場と省略できる箇所が混在してメリハリが鈍くなるため、読者にとって読みづらくなる)

 『思いつくままに』は草案(アイデア出しやネタスケッチ)に留め、本制作前は設計図(=プロット、ネーム)をきちんと作っておくことの大切さを実感できた前回の制作は、美月さんにとって大事なプロセスであったと感じています。
 さて、前回の反省が見事に生かされた今回の作品。 佳菜子さんとの企画会議→ネーム→本描き、という段階を踏んだことで『物語の方向性』『ページ割りなどの設計図』がブレることなく進行できました。また背景への描き込みや効果音のあしらい、集中線への挑戦なども嬉しく思いました。
ペン入れ+スクリーントーンで初めて仕上げた記念すべき5ページ漫画。トーン貼りに特に苦労していましたが、重ね貼り等の工夫が随所に見られました。思い切って黒ベタや重い色のスクリーントーンのコマを作ることで白黒のバランスが豊かになりましたね。ページごとの展開のリズムやコマ割りも魅力的で、読んでいて心地よいです。

ただ1点、ストーリーに関して『最終コマ』がやや気になりました。「どのように」主人公は平和への願いを叶えるつもりなのだろう…と。

  • ここを補強するならば… 主人公はただの使用人ではなく、現王『以前の王(あるいは為政者)』の血統、縁者であった(ゆえに使用人という立場に 貶められていた…)とか。


 重厚な剣で長い髪を切り落としドアの外へ踏み出す彼女の凛々しい背中。察するに、なかなかの剣の使い手のようも見えます。 その場合、剣の使い手であることを説明する『布石』が事前にあると、ラストのコマを見た際の戸惑いは避けられたように思います。(飛んできた斧を避けられた反射神経が布石だった…とすると、驚き方の演出に若干の変更を加える必要アリ)
 美月さんの魅力は『華のあるキャラクターが描けること』『愛ある表現ができること』だと思います。今回の作品では主人公がいざなわれた先で出会う様々な年齢・種族・関係性の人々の登場により、物語の世界がより広く、あたたかなものになりました。
 斧を投げた異民族の少女の『心配し治療せねば!』なリアクション、外部から来た主人公に敵意を持たず慈しみあう村人たち、主人公もまた『当たり前に人を心配し愛する者』として、『彼らのために今を変えねば』と旅立ちます。
 自らの苦境のみでは立ち上がれなかった彼女が『だれかのために』立ち上がることができた、というのも素敵です。彼女の生い立ちは語られていませんが、村人たちの様子に自らの来し方を思い起こし『自分の境遇のような目にあわせたくない』という強い意志の源となったのではと想像します。今後の彼女の歩みを、楽しみにしています!
文責:あや 2021/02/02