今田実行委員長趣旨説明
野々内晴香さん
福田玲子さん
濵村由香さん
はじめに、今田敏宏実行委員長から、この講演会の趣旨説明、前回の振り返りなどを行いました。
そのあと、今回のメインテーマである「本人の自己決定。住み慣れた自宅での最期を支える」として、入院を契機に全身状態が悪化し、「命が短くなってもいいから家に帰りたい」と希望されたAさんを、入院中から退院支援、自宅の療養環境調整、訪問診療、訪問看護を経て、自宅での看取りとグリーフケアに関わった活動をリレー形式で発表いただきました。
〇野々内晴香さん(医療ソーシャルワーカー)
医療ソーシャルワーカーの野々内さんからは、透析中止を望む本人の強い意志と、それを尊重する家族の葛藤があったことや、透析医と主治医・看護師がそれぞれ思いの違いがあり、病院の倫理委員会を開催して本人にとっての最善が何であるかを判断した経緯などを話されました。自宅退院に向け、年末年始でかかりつけ医が対応できず、急遽新たな在宅医と訪問看護を調整したこと、年末に向け時間が限られる中ぎりぎりの調整をしたおかげで退院に結びついたことなどを話されました。
〇福田玲子さん(ケアマネジャー)
ケアマネジャーの福田さんからは、急な依頼で新規に担当になったが、本人・家族の思いを確認し、自宅訪問して療養環境整備の手配をし、訪問診療医、訪問看護ステーションとチームを組んで在宅支援計画を作成、在宅療養支援体制を整備したことや、穏やかな最期を自宅で迎えるまでの過程と、関係者によるグリーフケア(※)を行ったことなどを話されました。
※)喪失体験をした人の悲しみや苦痛に寄り添い、立ち直りを支援するケアのこと
〇濵村由香さん(訪問看護師)
訪問看護師の濱村さんからは、日々の身体ケアとバイタルサインの確認、痛みがないか、心配がないか、緊急時の連絡先などの確認を行ったことや、PCAポンプ(※)による医療用麻薬の使用で痛みを訴えることなく退院から 14 日目に家族に見守られて穏やかに過ごされたことなどを話されました。
※)患者が自分で痛みを感じたときにボタンを押して鎮痛薬を投与できる医療機器
〇参加者アンケート
今回初めて参加しました。私もAさんと同じ立場で、病院での療養か自宅での療養かと決断をする時が来たら、自宅に帰る決断をしたと思います。ですがその決断には前もって考え始めることが必要であり、講演会で初めて考えるきっかけをいただきました。(50代/一般)
終末期の医療や自己決定について考え、日頃から利用者や家族の思いを丁寧に聞き、本人らしい生き方や最期を支えたいと思いました。ACP(※)の大切さを伝え、穏やかに寄り添えるケアを心がけていけたらと思います 。(40代/保健医療)
※)自身が望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組のこと
などがありました。
〇まとめ
今回の講演会は、自らの意思で透析治療を中断し、自宅で最期を迎えることを望まれたAさんについて、支援に携わった専門職がリレー形式で発表するスタイルで行いました。
当日は、会場である市役所やその周辺で別のイベントが重なったため、駐車場が不足し、参加者のみなさまにはご不便をお掛けしましましたが、50名以上の方にお越しいただきました。
発表では、それぞれ専門職の立場における支援の難しさや、本当にこれでいいのかといった葛藤があったこと、一方で、多職種連携の頼もしさ、チームで本人や家族の希望を叶え、最期を支えることができた喜びなどをお話しいただきました。
Aさんに関する発表やご家族からの手記紹介、意見交換などを通じて、自己決定の大切さや自らが望む最期のときについて、会場のみなさんとともに自分自身や大切な人を想いながら考えることができました。
今田実行委員長趣旨説明
高橋幸男さん
井上明夫さん
演者らによる意見交換
はじめに、今田敏宏実行委員長から、この講演会の趣旨説明、前回の振り返りなどを行いました。
そのあと、今回のメインテーマである「認知症の方の一人暮らしを最期まで支える」として、次のお二人による講演を始めました。
〇基調講演(高橋幸男さん)
BPSD(※認知症の行動・心理状態 Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia) はケアによって作られる。そのBPSDは不安、寄る辺なさから来ており、家族を含め、周囲の関わる人たちが認知症のことをよく知り、上手に対応することでBPSDはなくなる。それを「からくり」という言葉でわかりやすく示されました。
認知症対応のコツである、①感謝する ②話しかける ③間違いを指摘しない の3点を、運営するデイケアなどの事例からお話しされました。
※からくりの図は高橋幸男さんから掲載の許可をいただいています。
〇実践発表(井上明夫さん)
成年後見人として11年間関わり、6年前に自宅で看取ったAさん(80歳代)の後見活動の実際をお話しされました。活動で成功したことだけでなく、失敗したことや苦労したこと、そのときの心情までも率直に話されました。
後見人は自分で世話するというよりも本人が安心して暮らせるように様々な手配すること。本人のこれまでの生活の延長線で周囲の知り合いの人たちの温かい見守りがあり、高橋先生やケアマネなど、Aさんを支える専門職からも様々なアイデアをもらって対応できたと話されました。
〇参加者アンケート
認知症になってもその人は変わらず受け入れることが穏やかな生活につながるということがよくわかりました。今後、親が認知症になった場合への不安が減りました(50代/一般)
認知症になっても本人が望めば 家で最後まで暮らすことができるということを知ることができました。ケアマネジャーとしてできることはたくさんあると気づきました(30代/福祉職)
などがありました。
〇まとめ
今回は、当初講演会会場として予定していた出雲市役所で衆議院議員選挙の期日前投票が行われることになったため、会場を出雲保健所に変更して開催しました。
あいにくの悪天候でしたが、50名以上の方に雨の中お越しいただきました。会場では笑いも起こり、意見交換では会場参加者を交えて熱心な議論もあり、終始和やかな雰囲気のなか充実した講演会となりました。
この開催レポートでは伝えきれませんので、次回はさらに多くの方に会場にお越しいただき、一人ひとりが自身や大切な人のいのちの輝きについて考えるきっかけになることを願っています。
〇終わりに
この会を発足の前から支えてくださっていた石飛幸三先生が2024年7月にご逝去されました。石飛先生は死を避ける延命ではなく、準備して平穏に迎えることの大切さを教えていただき、この会の発足にもご尽力いただきました。石飛先生がおられたからこそ今の会があり、続けていける原動力になりました。改めてご冥福をお祈りするとともに、教えていただいた平穏死の選択についてもこの会で伝えていきたいと思います。